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中国主導AIIB 本格的な業務スタート1月18日 21時04分
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中国が主導するAIIB=アジアインフラ投資銀行は設立に伴う一連の会合が終了し、年内の資金提供の開始に向けて本格的な業務がスタートしました。
AIIBはアジアのインフラ建設を支援するため中国が主導して設立され、16日、参加する57か国の代表らが出席して北京で開業式典が開かれました。そして18日までの3日間、設立に伴う一連の会合を開き、中国の金立群元財政次官が総裁に就任したほか、アジア・大洋州の域内から9人、その他の地域から3人の理事の態勢や銀行の運営に必要な人事を決め、本格的な業務がスタートしました。
AIIBはアジアの途上国の声を重視し、ヨーロッパの先進国など域外の国の影響力を限定するためとして、資本金の75%を域内の国が拠出し、議決権のうち一定の割合を出資額にかかわらず各国に均等に分ける独自の仕組みを採用しています。その一方で、本部を北京に置き、理事が常駐しないほか、中国が議決権の4分の1以上を持ち、増資など重要な案件について事実上の拒否権を握るなど、中国の影響力が大きいのが特徴です。
AIIBは年内の資金提供の開始に向けて今後、投資や融資を行う事業を選定していきますが、国際的な開発金融機関として、透明で公正な運営ができるかが当面の試金石となります。
AIIBはアジアの途上国の声を重視し、ヨーロッパの先進国など域外の国の影響力を限定するためとして、資本金の75%を域内の国が拠出し、議決権のうち一定の割合を出資額にかかわらず各国に均等に分ける独自の仕組みを採用しています。その一方で、本部を北京に置き、理事が常駐しないほか、中国が議決権の4分の1以上を持ち、増資など重要な案件について事実上の拒否権を握るなど、中国の影響力が大きいのが特徴です。
AIIBは年内の資金提供の開始に向けて今後、投資や融資を行う事業を選定していきますが、国際的な開発金融機関として、透明で公正な運営ができるかが当面の試金石となります。
専門家「中国 経済規模に見合う発言権得るねらいか」
中国がAIIBの設立に乗り出した理由について、国際経済や外交に詳しい中国の政府系シンクタンクの王輝耀理事長は、「中国は世界第2の経済大国として世界の成長をけん引し、インフラ建設の領域でも発言権と実績がある。中国がAIIBの設立を主導し、一定の国際的な影響力を持つのも当然だ」と述べ、国際的な金融の枠組みのなかで中国が経済規模に見合った発言権を得るねらいがあると説明しました。
また、王氏は「AIIBは中国の海外進出を助けることにもつながる。国内の余分な生産能力を海外に輸出するためだけに銀行を設立した訳ではないが、銀行の支援を通じ各国が中国の鉄鋼やセメントを当然、必要とするし、それもウィンウィンの関係だ」と述べて、AIIBの活動が減速する中国経済の安定にも役立つという見方を示しました。
一方、AIIBを巡っては、中国が議決権の4分の1以上を握り、銀行の運営に大きな影響力を持っている点に懸念の声が出ています。これについて王氏は、アジアの途上国が出資比率よりも大きな議決権を持てるよう配慮されていることなどを念頭に、「中国とそれほど友好的でない国々が参加したことが銀行の求心力を物語っている。イギリスやフランスなどの先進国も銀行のガバナンスを受け入れている」と述べ、運営面での問題はないと主張しました。
また、王氏は「AIIBは中国の海外進出を助けることにもつながる。国内の余分な生産能力を海外に輸出するためだけに銀行を設立した訳ではないが、銀行の支援を通じ各国が中国の鉄鋼やセメントを当然、必要とするし、それもウィンウィンの関係だ」と述べて、AIIBの活動が減速する中国経済の安定にも役立つという見方を示しました。
一方、AIIBを巡っては、中国が議決権の4分の1以上を握り、銀行の運営に大きな影響力を持っている点に懸念の声が出ています。これについて王氏は、アジアの途上国が出資比率よりも大きな議決権を持てるよう配慮されていることなどを念頭に、「中国とそれほど友好的でない国々が参加したことが銀行の求心力を物語っている。イギリスやフランスなどの先進国も銀行のガバナンスを受け入れている」と述べ、運営面での問題はないと主張しました。
欧州の参加国はAIIBに期待
ヨーロッパからはAIIB=アジアインフラ投資銀行に、イギリスやフランス、ドイツ、イタリアといったG7=先進7か国のメンバーがすべて参加しています。このうちイギリスは、去年3月、G7で初めてAIIBへの参加を表明しました。そのねらいの1つが巨額の資金が必要な国内のインフラ整備などにチャイナマネーを呼び込むことです。去年10月には、キャメロン首相が中国の習近平国家主席と会談し、中国がイギリスの原子力発電所の建設計画に出資することで合意しました。建設されれば、地元に雇用が生み出されると期待されています。
中国の資金力を取り込もうという動きは、国際金融の分野にも及んでいます。旧ソビエトや東ヨーロッパの国々などを支援する開発金融機関、ヨーロッパ復興開発銀行は先月、中国を新たな加盟国として承認しました。ヨーロッパ復興開発銀行は、中国がアジアとヨーロッパをつなぐ経済圏構想を推進していることから、AIIBと連携することで、特に中国の経済構想と重なる中央アジアの経済開発が進むと期待しています。
ヨーロッパ復興開発銀行のスマ・チャクラバティ総裁は、NHKの取材に対し、「最初の数年のうちに多くのプロジェクトでAIIBとの協調融資が実現することを強く望んでいる」と話しています。
中国の資金力を取り込もうという動きは、国際金融の分野にも及んでいます。旧ソビエトや東ヨーロッパの国々などを支援する開発金融機関、ヨーロッパ復興開発銀行は先月、中国を新たな加盟国として承認しました。ヨーロッパ復興開発銀行は、中国がアジアとヨーロッパをつなぐ経済圏構想を推進していることから、AIIBと連携することで、特に中国の経済構想と重なる中央アジアの経済開発が進むと期待しています。
ヨーロッパ復興開発銀行のスマ・チャクラバティ総裁は、NHKの取材に対し、「最初の数年のうちに多くのプロジェクトでAIIBとの協調融資が実現することを強く望んでいる」と話しています。
国際協力銀総裁 協調融資に消極的な姿勢
国際協力銀行の渡辺博史総裁は18日の会見で、16日に開業したAIIB=アジアインフラ投資銀行との連携の在り方ついて、「当面は別々に資金支援に当たるほうが効率がよい」と述べ、AIIBと協調して融資することに消極的な姿勢を示しました。
中国が主導するAIIBはアジアのインフラ建設を支援する国際金融機関として16日に開業しました。これについて、政府系金融機関、国際協力銀行の渡辺総裁は日本記者クラブでの記者会見で、「世界全体のインフラ需要は旺盛でそれを賄うだけの資金提供は無く、インフラ建設を支援する公的機関が増えること自体は悪いことにはならない」と評価しました。さらに渡辺総裁は、「世界全体でODA=政府開発援助が増えないなかではAIIBのほか、アジア開発銀行や国際協力銀行も含めそれぞれが中心となって民間資金を取り込み資金量を増やすことが課題だ」と述べました。ただ、AIIBとの協調融資の可能性について渡辺総裁は、「AIIBが業務を本格化するのは2、3年先の話なので、当面は別々に資金支援に当たるほうが効率がよい」として消極的な姿勢を示しました。
中国が主導するAIIBはアジアのインフラ建設を支援する国際金融機関として16日に開業しました。これについて、政府系金融機関、国際協力銀行の渡辺総裁は日本記者クラブでの記者会見で、「世界全体のインフラ需要は旺盛でそれを賄うだけの資金提供は無く、インフラ建設を支援する公的機関が増えること自体は悪いことにはならない」と評価しました。さらに渡辺総裁は、「世界全体でODA=政府開発援助が増えないなかではAIIBのほか、アジア開発銀行や国際協力銀行も含めそれぞれが中心となって民間資金を取り込み資金量を増やすことが課題だ」と述べました。ただ、AIIBとの協調融資の可能性について渡辺総裁は、「AIIBが業務を本格化するのは2、3年先の話なので、当面は別々に資金支援に当たるほうが効率がよい」として消極的な姿勢を示しました。