課外授業 ようこそ先輩▽諏訪湖みんなの家をつくろう〜建築家 伊東豊雄・後編 2016.01.18


今日の先輩は前回に続き…世界中を駆け巡りさまざまな建築をつくってきました。
伊東さんの建築は曲線を多く使ったユニークなデザインが特徴。
「自然と調和し呼吸する建築」をテーマに常に新しい試みを模索しています。
世界からの評価も高く2013年には建築界のノーベル賞といわれるプリツカー建築賞を受賞しました。
伊東さんが東北の被災地で行っている活動があります。
つくっているのは仮設住宅に暮らす人々の要望を取り入れた集いの場みんなの家。
ふさぎ込みがちだった住民にも笑顔が戻りました。
伊東さんはみんなの家をふるさと諏訪にもつくろうと子どもたちに言います。
大人やおじいさんやおばあさんたちが何を考えてどういうものが欲しいかっていうのは…。
赤ちゃんからお年寄りまで町の人みんなが集まってくつろげる家のような場所です。
こんにちは〜。
早速子どもたちは地元の人の声を聞きに町へと繰り出しました。
こうして集めた町の声をヒントに設計図を描きつくるのはの模型。
さあ一体どんな模型が完成したのでしょう。
諏訪湖のほとりにある…ここに伊東さんの母校下諏訪南小学校があります。
みんなやってきた?スケッチ。
(一同)はい。
すごい楽しみ。
これから各班ごとにそれぞれ自分の描いてきたのを1つにしてもらいます。
でもそれはみんなのいいとこを集めながらもう一回1つの絵にしよう。
そこで話し合う事すごく大事だから。
それでなおいいものになると思うよ。
まずは描いてきた絵を発表。
4班の新吾くんは下諏訪の自然の恵みを生かした大きな温泉を絵にしました。
お風呂があると…俺よくいつも行くんだけど仲良くなれる。
町の銭湯でいつも感じる温かいふれあいをみんなの家にもつくりたかったといいます。
ところが…。
銭湯行けばいいじゃん。
そうだよ。
銭湯があるじゃん。
そこに入るのに…それはあるかもね。
意見が対立。
一体どうなるんでしょう。
こちらは2班。
2班は美樹さんが描いてきた庭をどこに置くかで意見がまとまらず話が先に進みません。
みんな来てよ。
一回来て。
説明したい。
敷地の真ん中に庭つきの大きな建物を配置したいと主張する美樹さんに反対意見が出ます。
そんなはっきり分けないでも庭があっちこっちにあったっていいし…。
これをどういうふうに分けようみたいに考えないで。
決めつけは想像力を失うためやってはいけない事。
実際は横140m縦50mもある広い敷地ですがまだ全体を考えられません。
ちょっと聞いて。
あのね部分的には言ったけど敷地がこれだからね。
こんなに横に長いんだよ。
それでこの上にトレーシングペーパーっていう薄い紙をこの上にあててもう描いていってよ。
伊東さん半透明のトレーシングペーパーを図面の上に敷きアイデアをどんどん描いていくよう指示しました。
「俺はこれをここに置きたいんだ」っていうのを…。
早速作業開始。
建物の置き場所で意見が対立した2班もまずはそれぞれ図面に描いてみる事に。
美樹さんは太陽の光と名付けた大きな庭を日当たりのよい諏訪湖側に描きました。
するとそれに触発されユニークなアイデアがどんどん図面に広がっていきます。
なんと立体的なアイデアまで。
2階に吹き抜けをつくりカラフルな三日月型のプールを上から眺められるよう設計しました。
5班はそれぞれが描いた絵を切り取り図面の上に貼っていく事に。
特にお年寄りにはやさしい家にしようと考えています。
5班は前日お年寄りの切実な声を聞いていました。
訪ねたのは介護も受けられる高齢者住宅。
入居者は別々に暮らしを送っています。
毎日行きたい施設はどういう施設ですか?入居者同士の交流もあまりなく孤独を感じる事が多いというのが分かりました。
初めて聞いたお年寄りの本音。
どう生かすのでしょうか。
午後出来上がった設計図を伊東さんに見せに行きます。
(一同)失礼します。
は〜い。
おっもう…あっ2階が立ち上がってるね。
これは何?
(美樹)私が考えた太陽の光っていう場所なんですけど春夏秋冬と遊べたり真ん中が開いているので夏だったらお祭りとか秋だったら収穫とか冬だったら雪遊びとかそういう事ができるようになっています。
全体すごく楽しそうでいいと思います。
それで気が付いた事はもうちょっとこの広場広い方がいいと思う。
このぐらい広場にしたら駄目かな?伊東さん直接赤ペンで修正。
それで図書館はそれを囲むように。
こういう図書館いいじゃん。
伊東さんは庭を広く取りそれを囲むように図書館をつくったらどうかとアドバイスしました。
ただの四角だった図書館もこうすれば庭に大きく面し心地よい空間となるのです。
お〜どうなったかな。
4班は温泉レストラン図書館などとにかく好きなものをたくさん建物の中に配置しました。
ところが…。
だって例えばさこれせっかくレストランなのにここただの廊下になっちゃうの?あっそっか。
そうだよね。
敷地いっぱいの建物諏訪湖とは逆向きに設計されたレストランなど環境を無視した施設が一つの建物に押し込められ巨大な建築が出来上がっていました。
すると伊東さん子どもたちを教室の外に連れ出します。
模型を見てもらおうというのです。
これは実際に今伊東さんが設計している図書館の模型。
ここはイベントができるようなギャラリーに…。
そこの後ろには必ず小さい緑がっていうふうに外との関係が…。
やって来る人が心地よく過ごせる工夫が伊東さんの建築にはあふれています。
利用する人の気持ちを考え自分自身を建築のイメージの中に置く事が大切。
そう伊東さんは言います。
子どもたち大事な事に気が付いたようです。
足湯を通っていくっていう…。
それは僕なんかもそうで…伊東さんの心にいつもあるのはみんなと話し合ってつくる事がとても創造的だという事。
そこにたどりつくまでに伊東さんの中でも大きな変化がありました。
美しいものをつくりたい。
その一心で自らの思いのたけを建築に込めた若い頃。
でも次第にある疑問を抱くようになりました。
独りよがりになっていないか。
そう思うようになった伊東さんが描いた一枚のスケッチがあります。
満開に咲く桜の下に集まる人々。
たった一つの囲いをつけるだけで人が集う楽しい場となる。
人々の心を動かす建築の力。
どこにでもある材料ですぐにつくれみんなが集まり安らげるみんなの家は伊東さんにとってまさに建築の原点といえるものでした。
もう一度我々建築家は一つの形に置き換えていかないといけないのでそれを発見して新しい時代の新しい社会にふさわしいそれこそ…模型づくりが始まっていました。
伊東さんが用意したのはスチレンボードやアクリル板などプロも使う材料の数々。
これらを自由に使い設計図を立体化していきます。
お年寄りにやさしい家づくりを目指す5班。
インタビューした事を思い出しつくっているのはベンチです。
腰を下ろす所が。
年寄りは100m歩いたら腰下ろしたい訳。
広い敷地の中でどこでも腰掛けられるようたくさんベンチをつくりました。
町の人の思いをかなえた各班それぞれのみんなの家。
ようやく完成です。
チャカチャカチャッチャッチャ〜ンチャ〜ン…。
(拍手)午後2時いよいよ役場でのプレゼンの時です。
町長はじめ3人の幹部が来てくれました。
プレゼン開始。
僕たち4班は町に出ていろいろ聞きに行った時に自然の色を使ったりゆったりできるし気持ちが楽になるというところがあったので自然というのを入れました。
4班のみんなの家は…諏訪湖のほとりという立地を生かした自然あふれるみんなの家です。
どこからも花や草木が楽しめるようにつくりました。
外を向いて座るんだ?はい。
30mぐらいあるな。
ここから見たらきれいだろうな。
諏訪湖も花火も。
気持ちがよさそう。
次々と町の人の事を思ったみんなの家が登場します。
1班の作品は…落ち着ける空間を表現しようと大きな中庭と縁側を真ん中に置きました。
2班の作品その名も…大きな庭を中心にユニークな建物をつくりました。
諏訪湖の波をイメージしてつくった図書館の屋根。
これは信州名産のリンゴをかたどったお茶飲みスペースです。
3班のテーマは…町で聞いたお母さんの声をヒントにつくったのは子どもを預け安心して楽しめる託児所つきの映画館です。
最後は5班。
5班のみんなの家は楽しい建物が並ぶまるで町のようなみんなの家です。
真ん中を通る大きな道にはベンチをたくさん置きました。
そして一番こだわったのは瓦の屋根で出来たこの和室。
おじいちゃんやおばあちゃんが子どもの遊ぶ姿を見られるよう部屋の目の前には公園をつくりました。
大きな窓からは楽しげな子どもの声が聞こえてきそうです。
町の人を思いみんなで話し合いながら考えたみんなの家。
こんな家が出来たらきっと町の人も喜んでくれるはず。
思ってたよりも本当にいい作品が出来たと思うよ。
こんな短い時間によくすばらしい模型をつくって下さって本当にご苦労さまでした。
(拍手)もう最初から最後までみんなのという事がすごく伝わったような気がしてうれしかったですね。
建築って常にみんなのものみんなの何かっていう…。
今更という感じなんですけども自分の中でもますます重みを増しているような気がします。
ありがとうございました!2016/01/18(月) 12:25〜12:50
NHKEテレ1大阪
課外授業 ようこそ先輩▽諏訪湖みんなの家をつくろう〜建築家 伊東豊雄・後編[解][字][再]

「諏訪湖みんなの家」を作るため、子どもたちは住民のニーズをつかみ、それを画に描き出しさらに立体模型のカタチにした。どんな建築計画の模型が出来上がったのだろうか。

詳細情報
番組内容
「温泉に入りたい」「縁側が欲しい」「楽しい部屋がほしい」など、子どもたちは住民のニーズをつかんだ。この取材した結果を付箋に書き出し、みんなで検討する。さらに、これをまとめて全体イメージをスケッチ画に描き出す。そして、最後にプレゼンテーション用の立体模型にしてカタチにした。どんな建築計画の模型が出来上がったのだろうか。その模型を手にして、子どもたちはいよいよ下諏訪町に本気でプレゼンテーションする。
出演者
【出演】建築家…伊東豊雄,【語り】戸田恵子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
趣味/教育 – その他
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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