桂春團治さんをしのんで 日本の話芸 落語「皿屋敷」 2016.01.18


(テーマ音楽)
(出囃子)
(拍手)
(出囃子)
(拍手)
(桂春團治)雨が降っておりましてお足元の悪い中をこのように大勢お運びをいただきましてまことに厚くお礼申し上げましてございます。
長時間のおつきあいいただき本当に恐縮いたしております。
どうぞもう一席バカバカしいところを聞いていただきまして失礼をさせていただきます。
どうぞ最後までよろしくおつきあいのほどをお願い申し上げます。
(拍手)「よう。
皆寄ってんな」。
「よう。
松つぁんやないかいな。
いつ戻ってきてん?」。
「今この町内に戻ったとこや。
まだこのとおりわらじを履いたままや」。
「それやったらそうと言うてくれたら皆で迎えに行くのに」。
「そない大層にしてくれるな」。
「しかしなこうして皆寄ったらいつもあんたの噂してんねんで。
『ふだん始末しててもないざという時に派手に伊勢参り。
若いもんにできんことや』と皆感心してんねん。
しかし伊勢にある古市とかいうえらい面白い所があるそうやが何ぞ面白い土産話があったらいっぺん聞かせてくれるか?」。
「面白い土産話どころか今度の旅でえらい恥をかいて戻った」。
「え〜?あんたが」。
「うん。
実はな帰りに京都を見物して30石で帰ってきたんやが舟の中の話というものは大抵相場の決まったもんや。
国ところの尋ね合い。
『あんたはどこあんたはどこ』。
順番がわしに回ってきた。
別に隠すことでもないさかいに『私は播州姫路でおます』とこない言うとな『姫路というたらあの酒井雅楽頭様18万石のお城下。
播州一繁華な土地。
結構な所で』とまあそこまではよかったんや。
すると中の1人がな『姫路というたら有名な皿屋敷のある所でんな?』と聞かれた。
『姫路に住んでますけども皿屋敷というのは聞いたことおまへん』とこない言うとな『何を言うてなはんねん。
播州皿屋敷と言うたらなかなか有名なもの。
こんな小さな子供でも知ってますがな。
あああんた姫路の方に違いはないけども城下の方やおまへんな。
どこぞ在方のお方でっしゃろ。
そりゃ誰しも国ところを尋ねられたら一番繁華な土地が言いたいもの。
そこであんた姫路と言いなはったんやが城下のお方やおまへん。
どこぞ在所のお方でっしゃろ。
そうでなかったらあの有名な皿屋敷を知らんはずがない。
時に今年の米の出来はどうでおます?』。
あんじょう百姓扱いにされてしもうた。
腹立ったけども知らんさかいしかたがない。
黙って帰ってきてやな『恥をかいて戻った』というのはこのこっちゃ」。
「そりゃいかんわ。
『姫路のもんや』言うて『皿屋敷知らん』ってなこと言うたら恥かいて戻ってもしゃあない」。
「そやから『恥かいて戻った』言うてるがな。
お前知ってるのかい?」。
「いや俺知らん」。
「知らんのやったら偉そうに言うなアホ。
徳さん。
あんたはどないや?」。
「さあ私もそんな話は聞いたことないな」。
「マサ!」。
「知らん」。
「早いな」。
「もう尋ねるやろ口開けて待っててん」。
「しょうもない。
口開けて待ったりするな。
何かい?ここにいてるの皆知らんのかい。
おかしやないかお前。
みんな姫路で生まれて姫路で育った人間やで。
それが知らんとほかの土地の者が皆知ってる。
『灯台下暗し』というのはここのこっちゃ。
これからもあるこっちゃ。
どこでどういう恥をかかんとも分からん。
これから皆そろったら裏のおやっさんの所に聞きに行こか」。
「えっ?」。
「裏のおやっさんの所へ聞きに行こうっちゅうねん」。
「ああ…。
裏のおやっさんってあの六兵衛か?」。
「そうや」。
「やめとこう」。
「何で?」。
「何でってあんな口の悪いおやじないで。
こんなこと聞きに行ってみい。
どないボロクソに言うか分からん」。
「ええやないか。
知らんこと教えてもらうんやないか口の悪いぐらい辛抱せえ。
ええか。
みんな早く出ておいでや。
おやっさんこんにちは」。
「おやっさんこんにちは」。
「おやっさんこんにちは」。
「おやっさんこんにちは」。
「おやっさんこんにちは」。
「ちいと陽気がようなるというと近所のあちゃらもくれんがろくでもないすこたん並べてうせさらしたな。
でまた今日は何しにうせさらしてん?よう。
あれは松やないかい。
聞けばわれ伊勢参りをさらしてけつかったて?ど甲斐性もないのに伊勢参りやなんて。
ほんでいつ戻ってうせさらしてん?」。
「え〜今戻ってうせさらしましたんや。
実はちょっと聞きたいことがあって来ました。
この姫路に皿屋敷というのがあるんやそうでんな」。
「待て待て…。
見たらわれまだわらじを履いたままやないかい。
旅から帰ってくるなりわらじも脱がんと俺のとこへ皿屋敷を聞きに来ると…。
ああ…われ旅先で『姫路のもん』と言うた手前皿屋敷のことを聞かれ返事ができねえで恥をかいて戻ってうせたやろ?」。
「実はそうだんねんけどそんな所あるんでっか?」。
「何にも知らんガキやなお前らは。
この城下をなちょっと西へ外れた所に大きな井戸のある古い屋敷跡があるやろ?」。
「あれは車屋敷…」。
「そうや。
土地の者は皆車屋敷。
皿屋敷というのはあれのこっちゃ」。
「さようか。
何や車屋敷や。
それやったら皆知ってるねんやな。
しかしおやっさんあんな古い屋敷跡何でそない有名だんねん?」。
「お前らな芝居や浄瑠璃を見たことないのんか?『播州皿屋敷』というたらなかなか有名なもんじゃ。
昔姫路の代官でな青山鉄山という男がおってなそこにお菊という腰元…。
これがなかなかのべっぴんじゃ。
鉄山そのお菊に思いを寄せ手を替え品を替えさまざまに口説いてみたがどうしても言うことを聞かん。
そうなるとやかわいさ余って憎さが100倍。
なんとかしてこのお菊を苦しめてやろう。
家に伝わる10枚1組の葵の皿という宝物をこれをお菊に渡し『これは身共の先祖が将軍家より拝領したる大切な宝物。
もし万一のことがあるんならば鉄山身に代えてでも申し訳をせねば相ならん。
必ず粗相のないように』と聞いてお菊が驚いた。
『それほど大切な宝物。
腰元ふぜいの私に』と思うたが主命は黙し難し。
『かしこまりました』。
我が部屋へ持って帰ってなおしといた。
鉄山お菊の留守を狙うてその皿を1枚抜き取って隠した」。
「へえ」。
「そうしておいて『こりゃお菊先日預けといた皿急に入り用じゃ。
これへ持って参れ』。
何にも知らんお菊さん。
『かしこまりました』。
鉄山の前へ持ってきて『1枚2枚』と皿の数をあらためたが1枚足ろまいがな」。
「へえ〜なるほど」。
「びっくりしたお菊が震える手先で1枚2枚3枚4枚5枚6枚7枚8枚9枚。
何度数えても1枚足らん。
『こりゃあどうしたことか』と泣き崩れているやつをば冷ややかに見下ろした鉄山。
『こら菊。
その方はこの青山の家にたたりをなさんとして皿を1枚抜き取って隠したに相違あるまい。
さあ誰に頼まれてその皿をどこへ隠した?まっすぐに白状いたせ』。
もとより身に覚えのないことや『知らぬ存ぜぬ』の一点張り。
『おのれ…不届きな女め。
このうえは痛い目を見せても白状させてみせる。
これへ来い!』。
髪の毛をつかんでズルズルズル。
井戸側に連れてくるなり荒縄で縛り上げ頭の上からザブンザブン。
水を浴びせかけ踏む蹴る殴るの責め折檻。
あまつさえ余った縄の端で井戸の中につるし上げたり下げたり下げたり上げたり半死半生になっているやつをば太い弓の折れを持ってピシ〜ッ!ピシ〜ッ!『ヒ〜ッ!たとえこの身が責め殺されてもさらさら命は惜しみませぬが盗みの汚名が悲しゅうござります。
どうぞもう一度皿の数をあらためさせてください』と言うやつをば耳にもとめず『おのれ…強情な女め。
このうえは家中への見せしめ。
成敗してくれる』。
長いやつをばズラ〜ッと抜くなり肩先からザクッと」。
「斬ったか?」。
「袈裟懸けじゃ。
これからこれへザクッ。
返す刀で縄の結び目をばプスッ。
ザブ〜ン。
無残な最期や。
『これで腹の虫が癒えたわい』と鉄山我が部屋へ帰ってくるなり冷や酒をばグ〜ッとあおるとそのままゴロッと寝てしまう。
腰元どもはそこら辺りを片づけてそれぞれ我が部屋へ引き取ってしまう…。
世間がシ〜ンと静まろうがな…」。
「へえ…へえ…へえ!」。
「おかしな返事するなアホ。
夜が次第に更けて丑三つのころになるというとお菊の沈んだ井戸の中から青い陰火が1つボ〜ッ。
ス〜。
尾を引いて鉄山の館へ飛んだ。
寝ていた鉄山が胸元を締めつけられるような苦しみ。
ふと目を覚ますと枕元にお菊の姿。
『おのれ迷うたな!』。
枕刀をスパッと斬りつけると姿が消えてしまう。
『…下腹が痛い。
かわやへ参ろう』。
鉄山便所の戸を開けると中にお菊の姿。
驚いて帰る廊下の隅にお菊の影や。
いかな鉄山も半狂乱になって狂い死にに死んでしもうたんや」。
「へえ〜怖いもんでんな。
しかしおやっさんそれはよっぽど昔の話でっしゃろ?」。
「うん。
話はよっぽど昔やが幽霊は今でも出るぞ」。
「えっ?ゆ…幽霊今でも出まっか?」。
「毎晩時刻たがえず車屋敷の井戸から出るがな」。
「さようか。
わてら幽霊っちゅうのは話には聞いてまっせ。
ほんまもん見たことおまへんがな。
さようか。
ほんならわてこれからちょっと行ってこ」。
「こら。
こら!どこ行くねん?」。
「『どこ行く』て車屋敷幽霊見に行きまんねん」。
「あっさり言うたな。
そりゃ『いかん』とは言わん。
そのかわり言うとくぞ。
お前らええか?行くんやったら皆気ぃ付けて行けよ」。
「何に気ぃ付けまんねん?」。
「そやないかい。
お菊の幽霊はな出てきたら必ず1枚2枚と皿の数読むねん。
ええか?『9枚』っちゅう声聞いたら震えついて死んでしまうぞ」。
「さようか。
…けどおやっさんなんでんな。
その『9枚』っちゅうのを聞かなんだら大丈夫だんな?」。
「うん。
7枚ぐらいで逃げて帰ったら命に別状ないな」。
「さようか。
おい!みんな今晩行こうか?」。
「何を?」。
「今晩車屋敷へ幽霊見に行こうっちゅうねん」。
「今晩な車屋敷に幽霊見に行こうっちゅうのや」。
「何をしとる…。
行くなら行く嫌なら嫌はっきり言えアホ!幽霊見に行こうっちゅうのや!」。
「やめとく!」。
「はっきりぬかしたなこのガキは。
何で?」。
「何でってお前らなおやっさんの話聞いてんのや。
『9枚』っちゅう声聞いたら震えついて死んでしまう言うてるがな」。
「アホかおのれこそおやっさんの話あんばい聞けアホ。
『7枚で逃げて帰ったら命に別状ない』言うてるやないかい」。
「そらなお前の思うとおりうまいこといったらええわ。
相手は幽霊やないか。
根性の悪い数の読み方したらどないする?」。
「何やねん。
その『根性の悪い数の読み方』って」。
「せやないかアホやな。
『1ま〜い2ま〜い』とこう順に言ったらええで。
もしも『5ま〜い6ま〜い7枚8枚9枚!』」。
(笑い)「そんなアホなことあるか」。
「わいはやめとく」。
「やめとけアホンダラ。
情けないガキや。
このガキは。
おい徳さん!お前どないすんねん?」。
「俺行くで」。
「偉い偉い」。
「あんたは?」「やめとく」「俺は行く」。
人数がちょうど半分に分かれます。
「行くと決まったもんは今夜俺んとこ集まってくれ」。
「え?」。
「時刻を見計ろうて出ていくねん。
分かってるな?」。
宵から集まってまだ時間が早いというのでチビチビ飲みかけます。
酒というやつは「これから飲んでどこぞへとんと繰り込もうか」という時には先に楽しみがありますからええ具合に発散をします。
けどこれから飲んで幽霊を見に行こうという…。
これは飲めば飲むほどだんだん陰気になっていきよる。
「えっ?わしかい?『いらん』言うてるやろ。
ほかに何ぼでも飲み手あるやろ?俺ばっかり勧めやがって。
えっ?…嫌いやないけどな。
何や知らんけどさっきからおかしな具合やねん。
ぎょうさん入れんといてや。
少しでええ。
ぎょうさん…」。
「どアホ!『ぎょうさん入れるな』って…。
ダダ〜ッと入れやがってアホンダラ。
こぼれたらもったいないってこと知らんのや」。
「えっ?…けったいな酒やな。
飲めば飲むほどだんだん酔いがさめるような気がする」。
「おい。
もう時刻もええと思うんやけどどやろ?ボツボツ出かけようか?」。
「よかろう!」。
ポイッと表出ます。
ただいまの姫路という所はえらいにぎやかな所になってございますが昔は田舎の城下町。
城下を一歩外れますというと寂しいことは言うまでもなく田んぼや畑の間を細〜い道が続いております。
そこを一塊でトボ〜トボ…。
「さあ皆はよ出といでや」。

(三味線と太鼓)「はよ行こ」。

(三味線と太鼓)「せぇやん…せぇやん!」。
「何や?」。
「ボチボチ車屋敷の塀が見えてきたで」。
「当たり前やねん。
車屋敷さして歩いてんねん塀ぐらい見えてくるわい」。
「そらそうやけどこうはよ見えるとは思わなんだ。
お前ら寒いことないか?」。
「別に寒いことないけどそう言われてみるとどことなしにゾ〜ッと…」。
「するやろ?わいなさっきからゾーゾーゾーゾー寒気してせっかくここまで来たけどな帰らせてもらうわ」。
「な…何で?」。
「何でって塀見ただけでこないゾーゾーゾーゾー寒気するんやろ?ヒョッとあん中入ってしもうて幽霊も何も見ん間にガタガタッと震いついて死んでしまうってなったら何にもならんさかいな帰らせてもらう」。
「そうか帰れ帰れ。
そのかわり言うとくぞ。
これから道で会うてもな友達ってえなことを言うな。
ええか?お前らみたいなん友達仲間におるのは情けない俺は。
帰れ!」。
「ああ…ああつらいな。
友達仲間はぶかれんのんつらいけどな命に代えられんさかい。
えらいすんまへん。
どなたもえらいすんまへんな。
勝手します。
お先さいなら!」。
「ちょっと…ちょっと待ちぃ。
去ぬるんやったらな気ぃ付けて去ねよ」。
(笑い)「そんなおかしな物の言い方するな!何に気ぃ付けんねん?」。
「せやないかいアホ。
お菊の幽霊かてな井戸の中から出るもんと決まったもんやないで。
人の大勢いてるとこより少ない方が出やすいてなもんや。
今来しなやぶ際を通ってきたやろ?」。
「あの地蔵さんのあるとこか?」。
「そうや。
あそこはななるべくならもう通らんようにしては去ねんか?去に」。
「余計帰られへんがな。
連れてもらう」。
「当たり前じゃ。
はよ来い!」。
「あ〜怖っ!あ〜怖っ!」。
「何がそない怖いねん。
お前昼間偉そうに『行く』言うたやないかい」。
「あの時は皆『行く行く』ってつり込まれて『行く』言うたんや。
あ〜えらいこと言うたな。
こんなんやったら『行く』言うねやなかった」。
「せぇやん!」。
「うるさいガキやなこのガキは。
何やねん?」。
「違うねん。
わいな一番後ろ歩いてるやろ。
誰や知らんけど後からついてくるような気がすんねん。
えらいすまんけどお前の前歩かせて」。
「情けないガキやなこのガキは。
前を歩け前を!」。
「えらいすまんな。
すまんすまん。
あの徳さん徳さんえらいすんまへん。
あんたの後ろ歩かせて。
みんなすまんけどわいのぐるりズ〜ッと…」。
(笑い)「これでちょっと気が落ち着いてきた。
前から幽霊出てきて前のもん食われてる間に後ろへシュッと逃げよう。
後ろのもん食われてる間に前へシュッと。
こっちから出てきたらこっちにシュッ」。
「何がそない怖いねん。
アホかお前は。
お前の思てるように幽霊がぐるりから出たらええわ。
人のいん隙狙うて頭の上…」。
「うわ〜…。
ほんまに頭の上ガラ空きや。
誰ぞ上上がって横んなれ」。
「そんなアホことできるか。
はよ来い!」。
わぁわぁ言いながら車屋敷へやってまいります。
井戸の際を取り囲んで今か今かと待っておりますうちに時刻がまいります。
丑三つのころになりますというと井戸の中から青い陰火とともにお菊の姿がそれへさしてウ〜!
(三味線と太鼓)「うらめしや〜鉄山殿」。
「出た出た。
こらどこ行くねんアホ。
一人で逃げたらあかん。
逃げる時はみんな一緒に逃げんねん。
じ〜っとしてじ〜っとして」。
「1枚2枚…」。
「そら数読みだしよった。
間違いないよう勘定しとけ勘定」。
「3枚4枚…」。
「そ〜らあと3枚や。
ボチボチ逃げれるように尻からげよう」。
「6枚7枚…」。
「そら逃げ〜!」。
「ああ痛っ。
どアホ!気を付けぇアホンダラ!人がこけててこけてきたら足の骨折れるやんかアホンダラ!気を付け!アホ!」。
「はあ〜はあ〜。
あ〜怖ぁ。
あ〜怖ぁ。
あ〜怖ぁ。
こんな怖いの初めてや。
ああ怖ぁ。
明日の晩も行こうか」。
(笑い)「アホかお前。
そない怖いなら行かんでもいいやろ!」。
「お前らそない言うけど俺逃げしなにふっと後ろ見たらお菊さんてええ女子やな。
あんなべっぴん見たことない。
明日の晩も行こう」。
こういうやつが出てまいります。
明くる晩も連れ立って見にいく。
7枚で逃げて帰る。
何事もない。
そうなりますというと面白なってきた。
それからというもの毎晩毎晩車屋敷へ行く人数が増える一方。
しまいには近郷近在から噂を聞き伝えてやって来る。
昼間から場所をとっておかな座る所がない。
紋日にでもなりますというと表でダフ屋が…。
「大将大将。
井戸際のええとこ2枚」。
切符を売り込んどる。
宵から集まって皆がワイワイ騒ぐ。
ワイワイワイワイ騒いでますうちに時刻がまいります。
お菊さん陰火とともにそれやそれや。
わ〜。
「ようよう待ってやした!」。
「日本一!」。
「お越しやす」。
幽霊が愛想やってます。
「頼むぞお菊さん!今日もひとつええ声で」。
「よろしおます。
うらめしい〜鉄山殿」。
「そこそこ!どうだあの情のある目は」。
「1枚2枚…」。
「お菊さん!今日はちょっとあんた声がおかしおまんな」。
「へえ風邪ひいてます」。
「ああさようか。
幽霊でも風邪ひきまんねんな」。
「3枚4枚5枚6枚7枚…」。
「そら逃げ〜!うわ〜。
押すな押すな押すな」。
「わたいが押すねやおまへん。
後ろから押してきまんねん」。
「8枚9枚10枚11枚…」。
「おいえらいおかしな具合やで。
幽霊ぎょうさん数読んでるで」。
「12枚13枚14枚15枚…」。
「お〜い戻ってこい戻ってこい。
怖い事も何にもないわ。
幽霊15枚や言うとるでおい」。
「16枚17枚18枚」。
「むかつくな。
こら!ボケカス!どない思うてけつかるねん。
おい!おのれはな皿が9枚しかないために殺されてそれでうらめしいて出てくるねん。
アホンダラ。
それなのに『10枚11枚…』。
ほっといたら18枚やぬかして。
もっと商売に勉強せえ!どアホ!」。
「ポンポンポンポンえらそうに言いなはんな!あんたに言われんかてわたいかて商売だす。
それぐらいのことちゃんと分かってますわ」。
「強情なガキやなこのガキは。
分かってけつかったら何でそないぎょうさん数を読んだんじゃ?」。
「2日分読んどいて明日の晩ヘヘ…休みまんねん」。
(拍手)
ここはおんがくのひみつがあつまるやかた。
ようこそすてきなおんがくのせかいへ!
2016/01/18(月) 15:00〜15:30
NHKEテレ1大阪
桂春團治さんをしのんで 日本の話芸 落語「皿屋敷」[解][字][再]

2016年1月9日に逝去された桂春團治さんをしのんで、桂春團治さんの落語「皿屋敷」を放送する。

詳細情報
番組内容
2016年1月9日に逝去された桂春團治さんをしのんで、桂春團治さんの落語「皿屋敷」を放送する。
出演者
【出演】桂春團治

ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 1/0+1/0モード(デュアルモノ)
日本語
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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