人生デザイン U−29「農産物販売」 2016.01.18


去年5月。
がばいすごか理想に燃える九州男児に会いました。
今回の「U−29」丹下雄大さん27歳です。
スイスチャード。
生でもいいですし炒めてもいいしカレーに入れたらほうれんそうみたいでおいしかったですよ。
自信満々などや顔で語っていますが農家ではありません。
ほれ込んだ地元佐賀の野菜を広めたいと起業しました。
ところが…丹下さんを訪ねてみると…。
売っていたのはポップコーン。
あの丹下さん野菜はどこへ…?起業家1年生。
丹下さんに一体何があったのか。
夕方丹下さんが自宅の前で始めたのは配達の準備。
この日の朝に農家から仕入れた野菜です。
扱うのは有機栽培や無農薬などの農法で作られた地元野菜。
新鮮さが何よりの売りです。
週に1度だけ契約している4軒のために配達します。
こんばんは。
こんばんは。
お待たせしました。
は〜いありがとうございま〜す。
評判は上々。
市場にはあまり出回らない知る人ぞ知る野菜を届けています。
生産者から自分の足で仕入れた商品を自分で届け自分の言葉で伝える。
それがモットーです。
去年2月佐賀市内の商店街でも販売を始めました。
中をのぞいてみると…あれ?野菜はどこですか?商品の多くは加工品。
丹下さんどういう事ですか?聞けば今や野菜の取り扱いは配達だけ。
ではどうして丹下さんはこの仕事を始めたんでしょうか。
高校時代は大学への進学を考えていた丹下さん。
しかし経済的な事情で急きょ就職を余儀なくされました。
就職先は地元の農協。
金融業務を担当しました。
しかし大きな組織の一職員として働くうちに自分が必要とされているのか分からなくなっていきました。
そのころ窓口で農家の同じような思いを知ります。
大規模な流通の中で自分たちの野菜が埋もれていく不安でした。
自分と農家の個性にスポットをあてたいと4年目で退職。
一から農業の勉強を始めました。
そんな時つてを頼りに出会ったのが…佐賀の農家の中でも一目置かれる大ベテランです。
松本さんは長年かけて畑の土作りを研究。
農薬をほとんど使わない独自の農法で野菜を栽培しています。
イチゴの観光農園で収入を得ながらごく親しい人のためだけに野菜を生産。
その幻の味に丹下さん心を奪われました。
それ以来丹下さんは毎日のように農作業の手伝いに通いました。
作り手の野菜に込める思いを現場で学びその思いと一緒に自分がほれた野菜を売りたいと思うようになりました。
松本さんもその熱意に応え貴重な野菜を丹下さんに卸しています。
頑張ります。
手抜けないです。
松本さんのような農家がほかにももっといるはず。
丹下さんは県内さまざまな畑を訪ね自分の目で見極めていきました。
こうして去年2月から佐賀市内での販売を開始。
農家のこだわりごと届ける自慢のセレクトショップが誕生しました。
それから半年…。
今の丹下さんのお店です。
野菜はほとんどありません。
それは夏の暑さがきっかけでした。
猛暑で客足が鈍る中野菜が売れ残り丹下さんは次々と野菜を腐らせてしまったのです。
売り上げが急激に減り仕入れる資金も無くなった丹下さん。
何より作った苦労をよく知るだけに野菜を捨ててしまう事が後ろめたく農家から足が遠のいていきました。
更にプライベートでも大きな変化が。
去年10月に結婚しました。
お相手は1つ年上の…佐賀県の農業普及センターで営農指導をしています。
農家を応援したいという共通の思いが2人を結びました。
…とは言われてもやっぱりどがんかせんばいかんやん。
今丹下さんの収入を支えているのはイベントでの販売です。
野菜に代わって主力商品となったのはコーヒー。
1杯200円。
更にはインターネットで買った材料で作るポップコーン。
じゃ2つすみません。
ありがとうございます。
じゃ600円ですね。
はいお預かりします。
あるイベントで主催者に頼まれて売り始めたところこれが家族連れに大受け。
売り上げは野菜を店で売っていた頃よりも格段にアップしました。
う〜ん。
丹下さん上機嫌ですね。
でもこれでいいんですかねえ。
丹下さんの売り上げは…しかし仕入れやお店の家賃を引くと手元に残るのは8万円。
食費や光熱費は妻友紀子さんの収入で賄っています。
1週間スケジュールがこちら。
土日はほぼ毎週イベントに出店するためなかなか休みはありません。
珍しくイベントでの出店がなかった週末。
結婚後初めて夫婦そろっての休日となりました。
2人が向かったのはみかん狩り。
デートも農作業ですか。
みかんが好きな丹下さんのために友紀子さんが誘いました。
それではどうぞ自分で選んで下さい。
丹下さん取り放題に夢中。
一方新妻は…。
お互い仕事相手は農家さん。
共通の知り合いも多くパートナーであり同志。
何だかそんな感じなんですかね。
店舗の方は相変わらず来客なし。
この冬の目玉として焼き芋も始めました。
この機械結婚のご祝儀で購入したそうです。
収入を見込んでの投資ですが春先には想像もしていなかった事業展開です。
おっお客さん登場。
丹下さんイベントへの出店が多くなりお店を空ける日が増えています。
夏以降なかなか顔を見せず理由も話さない丹下さんを松本さんも心配しています。
松本さんの親心。
それも知らず丹下さんはこの日も朝からイベントに。
現在主力の焼き芋機。
この日も持ち込みました。
市内の公園に開かれたマルシェには飲食や雑貨など50店が参加し大にぎわいです。
気温が上がらなかった事もあり丹下さんのお店も焼き芋やコーヒーが大人気。
手伝いに来た友紀子さんも大忙しです。
思わぬ大盛況に接客も気持ちも間に合わず…。
そんな旦那さんの姿に友紀子さんも何とも言えない状況に。
すみません。
カレー下さい。
カレーライスを。
はい。
午後4時過ぎようやくランチ。
友紀子さんの思いも届かずこの日6万円近くを売り上げた丹下さん。
しかし思い描いていた理想の事業からは遠ざかってしまいましたね。
イベントから2日後。
予定外の野菜の配達の注文が入ったため丹下さんは松本さんを訪ねました。
以前と同じように畑に招き入れてくれる松本さん。
この日も貴重な野菜を丹下さんに託してくれました。
丹下さんは初めて夏から起こった出来事を伝えました。
(松本)苦しくなるのが当然。
ならんかったらおかしい。
だからでもね…「理想だけは捨てるな」。
松本さんからのメッセージ。
丹下さんようやく素直な気持ちになれましたね。
その晩丹下さんは松本さんから仕入れた野菜の配達に向かいました。
届け先はお店を開いた頃に知り合ったお客さんです。
そうやったですね。
すっかり忘れてました。
出会いはそこ!ハハハ…!かつての自分をお客さんが思い出させてくれました。
理想と現実の間でさまよった1年目。
迷いの霧を晴らしてくれたのは周りの人たちでした。
そんな丹下さんに最後に質問です。
だけん山下さんと黒岩さんと江口さん。
2016/01/18(月) 19:25〜19:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「農産物販売」[字]

佐賀市で青果店を営む丹下雄大さん(27)が主人公。「農家と消費者をつなげたい」という思いで独立したものの経営は厳しく、営業形態は次第に理想からかけ離れていく…

詳細情報
番組内容
佐賀市で青果店を営む丹下雄大さん(27)が主人公。農家と消費者を自分の手でつなげたいと会社をやめて独立。県内の農家を回って丹精込めて作られている、“知る人ぞ知る野菜”を探し歩き、去年2月から商店街での販売を始めた。しかし経営は厳しく、次第に理想から離れ、お店から野菜が消えていく。「稼がなくてはいけない」という思いから、迷走する丹下さん。自分は何をしたかったのか?独立1年生、自問の日々を追う。
出演者
【語り】松坂桃李

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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