オイコノミア「いくらに見える?アートの経済学」 2016.01.18


まずはそれを覚えて頂きたいと思います。
45度大切にします。

(テーマ音楽)今回又吉さんがやって来たのはかつて中学校だった建物。
今はアートの複合施設になっています。
(又吉)あっなんかありますね先生。
又吉さんと安藤先生何を見つけたのでしょうか?
(安藤)これ何だと思いますか?これ…恐竜ですよね?ですよね。
これは子供たちがもう遊ばなくなったオモチャを使って作ったアート作品というかオブジェなんですよね。
へぇ〜!あっホントですね。
よく見たらロボットいたり車いたりヘリコプターいたりしますね。
ああちゃんと。
らしく作ってあるんですね。
へぇ〜!いやまあまあモノは全部要らなくなったオモチャですよね?はい。
いやでも高いんじゃないですか。
こんだけ大きかったら。
時間かかるんじゃないですか?これ。
確かに。
なんかアートって難しいですよね。
難しいですね。
人によって全然違うでしょうね。
う〜ん。
使わなくなったオモチャで作ったこの恐竜も「アート作品」。
150万円という価格がついているそうです。
ワーオ!アートの「価格」ってよく分かりませんよね。
今年5月巨匠ピカソの作品がオークション史上最高の215億円で落札され話題になりましたが…。
一方でアメリカではこんなニュースも。
一般人がスマホのアプリを使ってSNSに投稿した写真が1,000万円以上で落札されたというのです。
アート作品の価格とは?そしてその価値とは?経済学で考えます。
又吉さんと先生が歩いていると…。
ここは子供たちが遊べるスペースみたいですね。
あれ!?見覚えのある人を発見!ジミーさん!
(ジミー大西)おい久しぶりで。
お久しぶりです。
久しぶりです。
積み木遊びをしながら待っててくれたみたいです。
今もうここで熱中したんですよ。
遊びを。
はい。
一緒にどう?僕大丈夫です。
およそ20年前芸人から画家に転身したジミー大西さん。
スペインほか25か国を巡って創作してきました。
一瞬のひらめきを鮮やかな色彩と大胆な構図で表現するのがジミーさんの持ち味。
絵画だけでなくオブジェやモニュメントも手がけ企業との共同制作など幅広く活動しています。
ジミーさん先生今日はよろしくお願いします!よろしくお願いします!よろしくお願いしいます!早々ですけれども絵を持ってきたんです。
自分が描いた。
えっ!?そうなんですか?そうなんです。
うわっ!象ですね。
象なんです。
へぇ〜!かわいい目をしてますね。
そうですね。
はい。
でなんで象が赤にしたかというと実は裏がこうやって透き通ったら。
ああ!ああ!裏から見えるんですね。
裏から見える。
光にかざすと赤の絵の具が透けて表とは違った「象」の姿が見られます。
これがジミーさんのこだわりポイント。
ありがとうございます。
描いてくださって。
はいあげませんけどね。
あっくれないんですか?番組にくれるとかじゃ…。
いや違います。
でも今日はこの番組のために作って頂いたんですよね?この絵を。
へぇ〜!あっそうなんですか。
ちなみに何で「オイコノミア」で象なんですか?これですか?いやあのう…思いついたんですよ。
はい?あの…象が。
あっ描くときに象にしようと。
しようって思いついたんですよ。
あのクモの巣にかかっている象を。
これクモの巣にかかってるんですか?クモの巣にかかってる象なんです。
引っ掛かってるんですねこれ。
引っ掛かってるんです。
へぇ〜!別に「オイコノミア」って言うわけでもないんですけども。
思いつきで。
この作品を作るのに時間で言ったらどのくらいかかるものなんですか?え〜と一泊二日。
一泊…えっ?泊まりで?泊まりで。
あっ!どっかに泊まりに行って描かれるんですか?いやいや昨日の昼に東京着いて今の昼までず〜っとこれギリギリまで描いて…。
そうなんすか。
そうなんです。
じゃあ出来たてホヤホヤの新作?へぇ〜!すごい。
なんか又吉さんはすごい興味を持たれてるみたいですけれども絵画とかってお好きなんですか?あの全然詳しくないんですけどすごい好きなんですよ。
あっ本当ですか?はい。
その辺ギャラリーとか行って気になったやつを買ったりして家に何点かあるんですよ。
へぇ〜!割といろいろあるんですけど例えばこの絵ですかね。
不思議な感じもあるんですよ。
7〜8枚あるというコレクションの中でも又吉さんお気に入りの1枚がこの作品。
「自然と人間の共生」をテーマにした平子雄一さんの絵画です。
ギャラリーで見つけてその日は「うわっ!欲しいけどちょっと値段するな」と思いながら帰ったんですけど後日やっぱり気になって行ったら終わってたんですよ。
その作品展。
でギャラリーの人に聞いてまだあの絵「Voice」という絵気になってるんですけど売ってもらえませんか?…みたいなことで買いましたね。
又吉君っぽい絵やね。
そうなんすよ。
そのコントでまさにこういう森のこういうのを僕やった直後に見つけて。
でこの「ボイス」っていう木持ってて。
全部そんとき考えてた事とかともちょうど合ったんですよね。
ああ。
僕もホンマは絵に興味なかったんですよ。
あっもともと。
もともとは。
どういうきっかけで絵に入っていかれたんですか?あのう番組でねみんなタレントさんとかうまいじゃないですか?はい。
まあオチで使うためにジミーちゃん絵描いてっていう話で描いたんですよ。
それが一気にオークションで33万。
へぇ〜!落札なって。
で岡本太郎先生から手紙もろて。
で絵描く…。
それがきっかけなんですよ。
岡本先生は見てたんですかね?なんか見ててほんでなんか手紙をもらったんですよ。
なんて書かれてたんですか?えっ「キャンバスからはみ出せ!もっと」。
へぇ〜!それまで興味はなかったからあのなんか自分でも絵描いてて不思議やなと思いますね。
へぇ〜!あの「アート作品の価値って何でしょう?」と考えたときにジミーさんはどう思われます?価値はお客さんにあると思うんですよ。
お客さんがいいと思うてそんだけのお金を出したのが価値やと思うんですけど僕は。
はいはいはい。
僕は買う側なんで僕もそうであの自分が好きかどうかに尽きるというか自分が持っときたいとかこれを部屋に飾ってたらテンション上がるというかそういうものやなと思うんですよね。
でも考え方としてすごく値段が高いものを価値とする人ももちろんいますよね。
まあだから一般にはこう価格が高いと価値が高いって思ったりとかするんですけどもやはり大事なのは今…例えばこの作品30万円ってついてるけども僕50万円まで本当だったら出してもいいぐらい好きだっていうんだったら僕にとっての価値と値札の価格っていうのが全然違うとかこういうことってよくあることなんですよ。
なので経済学では人がそういう何かモノに対して感じる価値っていうのをいくらまで払えるかと。
これを「支払意思額」と専門用語で言うんですけれども。
内心いくらまでだったらギリギリ払ってもいいと思ってるかという金額でこう表すことにしよう。
価格が30万円の絵に対して支払意思額つまり自分にとっての価値が価格を上回っていれば購入し下回っていれば購入しないということになります。
この価格と価値っていうのは取引が成立するかどうかっていう観点からとても大事な考え方なんですね。
特にこの価値っていうのは誰かが1億円で買った絵だとかそういう他の人が取引したとか値札がいくらかというんじゃなくてどちらかというと自分の中にあるものなんです。
なるほど。
価値が時代によって大きく変化した例がゴッホの絵画です。
生前はたった1枚しか売れなかった絵が今では数十億円で取引されていますよね。
(拍手)まあゴッホの絵でも生きてる間には全然売れなかったってことはみんなが価値があまり高いと思っていなかった状態から亡くなってからあとにみんなが「あっ実はこの絵いいんじゃないの?」って思って…あれあそこの個展で見たあの絵ジミーさん売らんって言ってるけど何とかあれをこの値段で売ってくれみたいなのもあるんですか?なんぼ出すからなんぼでも出すからとりあえず売ってくれいうのもあるんですよ。
へぇ〜!そのコレクターって言うか。
だから何か欲しいというお客さんが価値を上げていってるのかなぁなんて思います。
やっぱり先ほどのジミーさんの絵は今買っておかないと。
上がっていく可能性ありますよね。
はい。
ありますよ。
ハハハッ。
又吉さんは絵画もお好きということでこの絵いかがですか?欲しいと思いますか?いや欲しいですよ。
頂けるんですか?いや100万で買ってくださいよ。
ハハハハッ。
100万すか。
ハハッ。
やっぱしますね。
でも…どういうことですか?ああごめんなさい。
この絵に関しては時給に換算したら何万円かも分からんけど。
それに関しては時給に換算したら350円ぐらいやで。
ああそういうことですか。
はい。
例えば一泊二日ですから。
一泊二日やから…。
一泊二日ってことは…。
300なんぼにせんといてや。
10時間ぐらいですか?10…12時間は楽勝にやってるから。
まあ15時間と考えてまあ300円と考えて3×5=15。
よっよん。
4,000円。
4,000円…なんでよ!?4,000円言わんといてよ。
キャンバス代にもならへんやんか。
でもこの絵に今できたばっかりでまだないかもしれないですけど適正な価格がついていたとしますよね。
まあ100万円ってジミーさんおっしゃってましたけど。
例えば仮に30万円として又吉さんはその価格で30万円だったら喜んで買うよっていう状況になったとするじゃないですか?はい。
絵をお買い上げになったとしたらそのあとどう思いますかね?僕ですか?僕はだからうれしいですよね。
満足ですよね。
じゃあジミーさんはいかがですか?自分の絵が売れたら。
それはもうやっぱりありがとうございますですね。
納得する価格で買ってもらえたらやっぱりうれしいわけですね。
うれしいですねやっぱり。
モノを作るクリエーターの方とそれを購入する消費者両方…そうですね。
両方得してると。
はい。
これって経済活動の基本中の基本なんですよ。
う〜ん。
よく何かあると誰かが得したら相手方は損してんじゃないかって思いがちなんだけどもお互いが納得しての交換が成立したときにお互いうれしくなると。
前よりも。
このことを「余剰」って言います。
余剰。
仮にジミーさんが「20万円以上ならば絵を売りたい」と思っていたとします。
それが30万円で売れた場合ジミーさんは10万円分の満足を得ることになります。
これを「生産者余剰」と言います。
そして買い手の又吉さん。
ジミーさんの絵に対して「40万円までなら出してもいい」と考えていたとして30万円で買うことができたなら10万円分の満足を得ます。
これを「消費者余剰」と言います。
この取引によって両者合わせて世の中に20万円分の「余剰」が生まれたと考えるのです。
この「余剰」を求めて人々は物々交換の時代から取引を繰り返してきました。
リンゴを持っている人とブドウを持っている人。
自分の持っているモノより相手のモノの方が欲しいと感じるとき互いに交換すれば両者とも満足します。
その結果「余剰」が発生します。
しかし交換したいモノがお互い一致せず取引が成立しないことが多くありました。
そこで生み出されたのがどんなモノとも交換可能な「お金」。
お金を使うことで取引がスムーズになり世の中に「余剰」が増えていったのです。
こういうお互いが得をする取引交換をいかにうまく実現するかっていうことを経済学ではもう200年以上ず〜っと考えてきたんですよね。
う〜ん。
例えばこういうのは自分で人々が好き勝手に取引していいよとかこういうのは国がちょっと税金かけますとか。
いろんなルールを作ったりしていかに円滑な取引を実現するか。
なんかねお金もうけの学問とか金持ちの味方とかね言われがちなんですけども経済学って基本は「みんなに幸せになってほしい」と思うわけですよ。
いや〜すごく勉強になりますね。
ジミーさんの絵だとバラバラですか?作品によって全然値段違う?まあ作品。
でも値段はご自身でやっぱりつけられるんですね?一応つけて百貨店にもお金を落とし額屋さんにもお金を落としいろいろお金落としていってこの値段でやりましょうという。
なるほど。
はい。
だから余剰なんですね。
みんなが喜ぶ。
百貨店も喜ぶ。
そうですね。
だから最終的に絵を購入された方と制作者であるジミーさんの間の金額をまた他の方々も分け合ってるって形ですね。
みんなが取引を通じて喜びを覚える。
これが大事なんです。
なるほど。
では実際にはどのようにアート作品の価格が決まっているのでしょうか?ギャラリーをのぞいてみましょう。
何か元小学校だったとは思えない。
そうですね。
不思議な雰囲気で。
こんにちは。
(一同)こんにちは。
よろしくお願いします。
面白いでも。
へぇ〜!
(鈴木)ベルリンにいるジュリア・バイエルという作家の展覧会になってます。
こちらのギャラリーでは新進気鋭の若手アーティストの作品を展示し販売しています。
この日展示されていたのは「水と人との関係」をテーマに写真を撮り続けているドイツ人の女性アーティストの作品でした。
これ何してるんでしょうね?ジャグジーですか。
あっジャグジーか。
組み体操の扇とかに。
(ジミー)扇とかなんか。
面白いっすよね。
これなんやろ?これ森ですかね。
木に…。
森にすごい雨が降ってるというか。
(ジミー)あっこれ雨なの!?
(鈴木)それは雪。
雪ですよね!ああ雪か。
雪なんだ。
へぇ〜!モノクロやからやっぱり。
(鈴木)そうですね。
ええ。
何か想像力を結構かきたてられますよね。
さまざまな被写体の写真がありましたがジミーさんのお気に入りはどれですか?僕はやっぱり自然が好きなんで。
はい。
彼女。
自然じゃないじゃないですか。
全然自然じゃないです。
もう化粧もバッチリありますけどね。
あれや思ったんですけど。
森のあの雪のやつですよね。
はい。
これ。
これいいですよね。
これいいですよね。
パッと見何か分からないんですよね。
(ジミー)みんな狙ってるじゃないですか。
他のやつは。
でもこれ狙ってないんやけどもなんかどっかに狙いがあんのんちゃうかなとか思ったりするんですよ。
はいはい。
え〜っ?値段難しいなぁでも。
う〜ん10万円ぐらいするんじゃないですか。
10万円?はい。
いやもっと高いでしょう。
ああそうですか。
僕はえ〜と60万つけてますね。
へぇ〜!へぇ〜!じゃあ教えていただいてよろしいでしょうか。
え〜と今回はうちはこれを14万円という形で販売させていただいております。
14万円。
14万円近い。
近かったですね。
60万つけましたもんね。
60万思いません?でも。
僕14万っていうのが…。
意外ですか?意外でした逆に。
うん。
これ全部それぞれ値段違うんですか?え〜と大体大きさと比例して価格が決まってまして。
このようにアート作品の価格は同じ作者の場合サイズが大きいものほど高くなる傾向にあります。

(ジミー)大きさで値段が決まってしまうっていうこと?
(鈴木)そうですはい。
フィルムに撮った時は大きさは決まっててそれをどの大きさに焼くかっていうことなんですけれども大きさによってその焼く手間みたいなものが結構実際変わってくるんですけれども。
またアーティストの知名度も作品の価格に大きく影響します。
ちょっと手が届きやすい価格に。
(鈴木)すごくホント今回リーズナブルで。
そういう美術の世界での知名度という意味ではそこまでまだ大きく上がってないのでまだ控えめな設定というか。
写真ってこの同じ作品が何枚も売れるってことですか?
(鈴木)そうですね。
あの写真っていうのはやっぱ複製できるっていうのが一個の特徴なんですけれどもまあアート作品にする場合はエディションっていうものでまあ何枚プリントしますっていうのを最初に宣言してしまってそこから販売する価格を設定していく…。
作品の希少性も価格に関わります。
絵画や彫刻などの「一点モノ」と違って写真や版画などは複製する枚数が決め手となります。
それ以上はもう出ない…?はい。
ちなみにこれ100分のなんぼ?それとも200分?これは10枚。
10枚?10枚だけですか。
10分のあれやもんね。
それやったら値打ちありますね。
10枚しかないですもんね。
(鈴木)そうですね。
理由があるんですねちゃんとね。
又吉さん更に価格と価値の関係を探るため現代アートの世界で屈指の目利きと呼ばれる方を訪ねました。
あっこんにちは
(小山)どうも小山です。
どうも雨のとこありがとうございました。
又吉です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ギャラリストの小山登美夫さん。
現在も写真家蜷川実花をはじめ20名以上のアーティストの作品を扱っています。
小山さんが手がけるようになってから海外のオークションで高値で取引されるようになった作家もいます。
あのギャラリストとはどういったお仕事なんでしょうか?アーティストが毎回毎回こう作っていきますよね新作を。
それを売るっていうのが僕らの仕事なんですね。
売ってアーティストにもお金が行くし僕らにもお金が来ると。
でお互いが生活できるようになればいいかなっていうのが。
プレスリリースとかそういうのを書いたりとかするのがすごく大事だったりとか。
そういったことを考えてやるっていうのが僕らの仕事ですね。
だから鑑賞する側は漠然と「うわっ好きだなぁ」とか「あんま分かんないな」とかある中でそれをギャラリストの方が「いやこれはこういう面白さがある」ってことを…。
何となくいいと思ってたものが「ああだからいいと思ってたんか」になったり。
重要な仕事ですよね。
重要な仕事ですけどね。
洋服屋でもう7割8割買おうと思ってるときに店員さんのひと言で買うのやめたときありますもんね。
そうですか。
それはまずいですね。
それは避けなくちゃいけないです。
僕らは。
一番初めやっぱし展覧会やる時は安くするんですね。
ある程度。
安くして買ってもらってその人たちがやっぱしある程度マーケットを作っていくんですね。
ていうかまあ味方がまずできてそんでその人たちが買った人がいてその輪をどんどんどんどん広げていくんで一番初めは安くして買ってもらうっていうのは僕の考え方なんですけど。
どうですかね?まあでもそのほうが愛着湧くというかそのうまず持つと好きになりますよね。
そうですよね。
それが大事だと。
飾ったりとか人に言ったりとかしますよね。
たまにもう全然やり方変えてすごい若くて新人やけどとんでもない人見つけたっつって急に高い値段つけたら逆にそれに引かれるというのとかないんですかね。
やってみたことはないですけどね。
そのやり方もあるかもしれないですよね。
でもアカンかったとき生活できないですもんね。
そうですね。
リスクが大きいというか。
リスクが大きい。
だけどいやだけど一番初めのアーティストは価値は分からないんですよね。
まあもちろんアーティストが一番初めに自分の作品いいと思ってるわけですね。
で僕がいいと思ってそれでギャラリーで展示してえ〜と買われるじゃないですか。
はい。
その時に10万円でもいいですから絵があって10万円と交換されるときにやっとその10万円っていうみんなが使ってる価値が絵と交換されるわけで…それまではもしかしたら無価値かもしれない。
はい。
それと交換した人がいるっていうことで価値がちょっとずつ出来上がっていく感じですね。
ああなるほど。
ええ。
展示中の作品で「価格」の変化を見てみましょう。
福永大介さんは2006年に初めての個展を開催。
テーマは一貫して社会の片隅で放置されているもの。
モップなど使い古された道具や廃棄物などに目を向け擬人的に描き続けてきました。
100号サイズの作品で価格を比べてみます。
最初の展覧会では一点およそ50万円。
10年たった現在では150万円まで上がっています。
ムチャクチャ好きだけどまあ売れないなっていうものをそのギャラリストとしてこれの良さを何とかというのもあるんですか?難しいところですねそれはね。
僕も生きていきたいですからね。
そこなんですけども…え〜と買ったりはしますけどね。
ああなるほど。
そういうのを。
自分のギャラリーでやるという時にはやっぱしある程度ですね社会性があったりとかという事は考えたりしますね。
へぇ〜!うわ〜!難しいところですね。
そうですね。
ところでアート作品の価格には一般的なモノと比べると大きな特徴があるんです。
何だと思いますか?だから一般的な商品っていうのは大概の場合使ってったらだんだんとヨレヨレになって古くなっていって中古品って値段が下がるわけですよ。
普通は価格は下がるのに上がることが結構珍しくないっていうのが中古品なのに価格が上がるっていうのがアート作品の面白いところでありまた難しいところなんでしょうね。
う〜ん。
だからこそアート作品って自分が使うために買うっていうだけじゃなくて一定の時間たったら他の人に売ってもいいかなっていう意味で「投資」として買う。
うん。
そういう側面もあると思います。
なるほど。
経年劣化が少なく価格が上がる可能性があるアート作品は投資の対象にもなります。
オークションなどで転売されることも多いですよね。
いやもしかしたらね…どうしますか?あっ価値としてこの価値でいけんのかというのはホント何か自信持てますね。
認められたって感じ?ですね。
フフッ。
そういう事もありますよね。
みんなが今それぐらいの値段で欲しがってるって事ですもんね。
というね基本形があったら百貨店にも言えるじゃないですか。
はい。
ねえ。
百貨店の人はこれ50万円ですって言うけどもいやいや他で100万円で転売されてるんだから100万円つけたって売れますよって言えますもんね。
言えるんですよね。
う〜ん。
アート作品を投資目的で購入する場合どんなことに注目すればよいのでしょうか?疑似オークションで実験するのは番組に毎回登場する又吉像。
参加していただいたのはこちらの方々。
アートの目利きであるギャラリースタッフの皆さん。
よろしくお願いしま〜す。
番組CGスタッフ柏さん。
画家ジミーさんにも参加してもらいます。
何か質問ありますか?又吉像に関して。
はい!はい。
これは型取ったんは又吉君が型をそのままシリコンをかぶったわけですか?ちなみに。
これはあのう写真を前からとか斜めとかいろんなとこから撮ってそこで。
これが出来上がった?はい。
ほんなら…かぶってないです。
はい。
(柏)シリコンかぶってるのが重要ですか?えっ?シリコンかぶってるのが…。
そんだけやっぱりシリコンかぶってるということはそんだけ精密に。
その穴とか例えば。
そういうなんがあるでしょねえ。
どれだけ精巧に作られているのかは確かに大事なポイントですよね。
近くで見て品質をチェックしてもらいます。
アハハハッ。
(木戸)一点しか作られてない?一点しか作られてないです。
でも製作費20万円かかってますからね。
これは型を取ってるってことですよね?なんかそこからパカっみたいな感じ…。
あの発泡スチロールから抜いてるんちゃいます?あれ?発泡スチロールから抜いてるんちゃいます?ジミーさん丁寧に扱ってください。
(笑い声)売り物なので。
それではオークションスタート!はい。
1,000円からいきましょう。
ああ。
なら3,000円いきます。
3,000円!1万円!1万円。
ほんならもう15いくわ。
じゃあ2万円。
2万円。
(渡邊)3万円。
結構いきますね。
じゃあ6万円。
6万円。
8万円。
8万円。
9万円。
9万円。
いや絶対欲しいわ。
(笑い声)いきます?10?いや自分がでしょ?
(ジミー)10!10!はい。
10万。
ジミーさん10万。
うん。
11万。
11万。
(ジミー)絶対いくよ。
1つしかありませんからね。
(渡邊)12。
12。
じゃあ15。
おっ15。
15いきました。
どうしよっかな?制作費に20万円かかっててやっぱり「オイコノミア」をずっと見てるファンの方からしたら。
(ジミー)15。
よし。
これを看板で店を出してもいいわけ?「又吉店」って。
(笑い声)又吉店?例えばオムライス屋やろう思うて。
ああなるほどなるほど。
うん。
で「又吉店なんです」っていうふうにしてもいいわけ?お店の名前を「又吉亭」として。
(ジミー)ええ。
でそこにこれを飾る…。
それは駄目です。
(笑い声)もう半永久的にやるってことですよね。
なんか事件とかあったときに僕が責任取らなアカンような…。
誤解される可能性ありますから。
又吉という名前を貸してくれへんのやったらこんなもんやな。
ってことは今18でしたっけ?えっと僕は5と。
15ですね。
はい。
15より上はいないですか?
(木戸渡邊)う〜ん。
ということはもう15で決定ですね?じゃ15で落札ということで。
おめでとうございます。
(拍手)ありがとうございます。
番組のスタッフもやってるんですけど現場はあんまり入らないのでオンエアではしょっちゅう像のほうは確認してますのでまあ実物は初めて見ましたしまあ又吉バブルにあやかりたいなと。
(笑い声)なるほど。
目利きの方々はどうしてあまり高値をつけなかったのでしょうか。
いかがですか?
(木戸)作品として見てしまうと要するに作った方が何か著名な方で有名な作家さんとか好きな作家さんではないという事。
まあモデルにはなっているけれど手は加えられてないってところがちょっとうんやっぱりもう少し何か作ったときに例えばまあ色を塗るのを担当しましたとかそれがあるだけでももうちょっと違ったかなと思いつつ。
なるほど。
自分で作ってたらまた変わってくるんですね。
あの結構見たらテープ貼った跡とかすごいいっぱいあったりしてそれはどうなんだろうみたいな気になる点がいっぱい。
なるほど。
番組のシンボル又吉像ですが当初の価格20万円を下回る15万円で落札となりました。
投資対象としてはいまひとつだったみたいですね。
残念!ここで本邦初公開!又吉さん愛蔵の1点を見せてくれました。
書なんですけど。
こちらです。
へぇ〜!これは「咆号」という字で。
ほうごう?「咆哮」ってあるじゃないですか?叫ぶ。
あれと同じような。
で僕の中ではまあ「咆哮」より「咆号」のほうがより力強く叫んでるみたいなイメージなんですけど。
又吉さんが書道家田中象雨さんに依頼して書いてもらったというこの作品。
荒々しいタッチがまさに叫んでいるようです。
すごい!どれすか?これ投資?いや違います。
趣味です。
趣味。
はい。
基本人に見せる用「僕のコレクションこれです」じゃないですね。
ほんなら又吉君にとってはどういう価値があんの?その仕事部屋に置いといたらこう刺激受けて仕事モードに入れるというか。
自分の寝室とかには置けないんですよねこれは。
ああ寝なアカンから?はい。
これ見てやる気が出るってことはやっぱり又吉さんにとって書くっていうのは叫びなんだっていうふうに。
魂の叫びなんだっていうふうにこの話を聞くと感じますよね。
カッコええわ。
ものすごいカッコいい。
そうですか?うん。
はい。
羨ましいわ。
何かちょっと違う。
ああそうですか?うん。
僕はやっぱり文化人じゃないわ。
文化人って誰も思ってないです。
はい。
(笑い声)みんなから「ジミーちゃん」とか言って注目されていたところから1人でこうストイックに籠もって作品を作るっていうのって生活としては大幅な変化ですよね。
すごい変わりましたですね。
今まで何時にスタジオ入ったりとかあんなんが一切なくなってしまう。
なんて孤独なんやろうと。
なりますよね。
なりましたよ。
もう人間としてこれはアカンわと思うてくるんですよ。
ほんならある時町のあの工場の音がカーンカーンカーンって鳴って…。
「働いてはる!」って思うんですよ。
はいはいはい。
「僕も働かんと」って思うんですよ。
そんでまた絵を…。
へぇ〜!描いてしまうんですよ。
すごいですね。
自分でだからちゃんとあれですよね。
考えて仕事をしてるってことですもんね。
いいふうに捉えて…捉えたらそうですけどでもホント駄目になる日ありますよ。
本当にあります。
あります。
なんもしてないって時あります?もう口開きっぱなしっいうのがある。
(笑い声)あります?やっぱり。
ある。
ずっと口開いて。
はい。
今日はアート作品を題材に経済学の基本中の基本であるモノの価格と価値。
これについて考えてきたんですけれどもいかがでしたか?う〜ん。
どうでした?絵のその価値…。
はい。
ジミーさんがご自身で描かれた作品の自分の愛着と世間の声というか。
どっちが大事かっていう。
もう今世間の声。
あっそうなりました?でも値段はご自身でつけられてるからそこは割と評価と一致するんじゃないですか?世間の声を聞いて。
値段をつけてる?値段をつけてますから。
ああなるほど。
はい。
やっぱり買ってくれる人というか見てくれる人とかの目がやっぱり入ってくるというか気になるんだなっていうのがちょっと新鮮でした。
我々お笑いやってたからやと思うで。
これホンマの画家はやっぱりそんなん気にせんとやってると思いますよ。
芸人でおったからどうしても周りの目。
ありますね。
絶対気にしてしまうよね。
はい。
でもそれは妥協してるわけじゃなくてやってるときにこっちって見えるんすよね。
でもこっち行ったら多分あの誰も笑わんやろうなみたいな。
だからこっちと同じクオリティーを保ったままウケるのないかな?っていう作業なんですかね。
伝わるものを作りたいってこと…。
そうですね。
だとすればそれを楽しむ人の事も考えてるので受け手からしたらとてもありがたいことだと思います。
ただ作ってる時はやっぱりそのそこまで器用じゃないというか没頭するんで「あれ?これ大丈夫かな?」っていう不安がねジミーさんもあるっておっしゃってましたけども僕もやっぱりそうとは思いながらやるけどそうなってんのかどうかは分からんってとこですね。
僕はアート一切作ってないんですけどね。
アート作ってるみたいな感じで今最後の方しゃべってましたけど。
アハハハッ。
まあ文章書くのもあれも芸術の1つの形態ですからね。
ああそうですか。
「子供の頃答え合わせのいらない一人遊びは楽しかった」。
はぁ〜。
えっああため息すいません。
2016/01/18(月) 22:00〜22:45
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「いくらに見える?アートの経済学」[字]

世の中で売られているものの中でも、なぜその値段なのか、わかりにくいのが「アート」。又吉さんと、画家・ジミー大西さんが、「価格」と「価値」の深〜い関係に迫ります。

詳細情報
番組内容
世の中で売られているものの中でも、なぜその値段なのか、わかりにくいのが「アート」。一見ガラクタに見えるようなものが、高値で競り落とされることも…。実はこれ、私たちが何に「価値」を感じるかという、奥深い問題につながっているんです。アート好きだけど、価格のことはさっぱりという又吉さんと、画家・ジミー大西さんが、アートに値段がつくプロセスを経済学でたどりながら、「価格」と「価値」の関係に迫ります。
出演者
【ゲスト】ジミー大西,【出演】又吉直樹,【解説】日本大学大学院総合科学研究科准教授…安藤至大,【語り】朴ろ美

ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

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