あなたに相続が発生したとしよう。
仮にもし、あなたが相続する土地の評価が1億円だった場合、1,710万円の相続税を払わなくてはならない。
とんでもない金額だ。
しかし、この相続税がなんとゼロになるかもしれない。
それが「小規模宅地等の特例」という制度だ。
よく難しいと言われる小規模宅地等の特例について説明する。
小規模宅地(≒土地)の相続時の価値の算出方法
不動産を単純に売却した時のお金と不動産を相続財産としていくらのお金になるかというのは、同じお金でも大きく異なる。相続税を計算するために相続財産として、その不動産がいくらかを算出したものが相続税評価額である。土地の評価は通常「路線価額」により、路線価額の定められていない地域では固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて求める。「相続税」についてよくわからない方は先に以下を参照してほしい。
路線価額
評価される土地に接する道路につけられた価格。これを基に相続税や贈与税計算の前提となる土地の評価を求める。路線価額は公示価格の80%の水準になるように調整されている。
公示価格
一般の土地の取引価格に対する指標等として毎年1月1日時点での価格がその年の3月に国土交通省より発表される。
路線価による土地の計算方法
土地の1㎡当たりの価格(路線価)× 土地の広さ
例えば、あなたが相続を受ける土地が100㎡だとしよう。路線価が30万円だとすると 30×100=3000万円 ということになる。路線価を知りたい方は、国税庁のHPの「路線価図・評価倍率表」を参照してほしい。
小規模宅地等の特例とは?
小規模宅地等の特例とは、相続税の計算上、相続遺産に住宅や事業に使われていた宅地(≒土地)等がある場合には、一定の要件のもと評価額の高額な減額が認められている制度のことだ。これは自宅や事業用の敷地に相続税を普通に課税してしまうと、税金の額があまりにも多くなり居住や事業を継続できなくなってしまうからだ。簡単に言うと、相続税を払うために住んでいる家や土地を売ることを避けるために、相続した土地の相続税評価額を下げれる制度ということだ。
小規模宅地の特例の適用を受けるには、相続税の申告期限までにその宅地を所有している必要がある。相続税は、被相続人(=死亡した人)が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に被相続人の住所地の所轄税務署に申告し納税しなければならない。その遺産にかかる基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ない。遺産にかかる基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算することができ、その額を遺産額を超えてしまうと、超えた分について相続税を支払わなければならない。しかし、この小規模宅地の特例を利用して、相続税を支払う必要がなくなったときでも相続税の申告をしなければならない。
また、申告期限つまり10ヶ月以内に遺産分割協議が終了していない場合はこの特例はない。
遺産分割協議そして10ヶ月を超えた場合については以下を参照してほしい。
小規模宅地の評価減の特例
具体的な要件は以下のとおりだ。
| 区分 | 相続した親族の要件 | 適用対象面積 | 減額割合 |
| 特定居住用宅地 | 下記のいずれかに該当する場合
【被相続人(=死亡した人)の居住の用に供されていた場合】
【被相続人と生計を一にする親族の居住の用に供されていた場合】
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330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地 | 下記のいずれかに該当する場合
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400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地 | 下記のいずれかに該当する場合
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200㎡ | 50% |
小規模宅地等の特例の特定居住用宅地等に該当すると、仮に相続した時の土地の評価額が1億円だった場合において80%減額できるので、相続税の計算上その土地の評価額は2,000万円になる。その差額は8,000万円。この特例を使うのと使わないのとでは大きく変わるわけだ。
一般的に不動産を売却するときには、事業用ではなく居住用なのでここでは特定居住用宅地の特例のことを説明する。被相続人(=死亡した人)と同居している配偶者、同居している子供が継続的に居住する場合は基本的には特定居住用宅地等の特例を受けることができる。同居していない子供でも、被相続人に配偶者や同居している親族がいない場合で、その子供が賃貸住宅に住んでいる場合にはこの特例を受けることができる。
また、二世帯住宅については、平成26年1月1日からは同居とみなされる範囲が広くなり、建物の内部で行き来ができない場合などでも同居とみなされるようになった。この改正により、二世帯住宅が区分登記(例えば1階が子名義で登記して、2階が親名義で登記するなど)されているかどうかが、この規定の適用の可否を決めるポイントになり、区分登記されていなければ、つまり被相続人(=死亡した人)だけの登記であれば、その土地は小規模宅地の特例の適用を受けることができるようになった。
一方で、同居していない子供が、親が住んでいた土地を取得する場合で、すでにその子供が自分で家を買っていた場合は、この規定の適用を受けることができない。また、二世帯住宅が区分登記されている場合には、子供が所有する部分に対応する土地にはこの規定の適用を受けることができない。