(話し声)
(杉沢美代子)いたいた!北村はん!
(北村鉄男)誰かと思ったら杉沢のオバハンでないの。
いや〜久しぶりやなぁ!ちょっとぐらい出世したんか?いやもう相変わらずの平刑事だよ。
しゃあないなぁ。
ちゃんと上にお上手しとかんとあかんえ?はいはいはい…。
ご忠告ありがとさん。
でおつとめは終わったのかい?終わったからここにおるんやないの。
まぁまぁまぁそりゃそうだね。
あんなぁうちの心配する暇があったら自分らの心配したらどないや!?はぁ?ホンマ警察は頼りないで。
あのねぇどっかの鬼検事みたいな事言わないの。
言いとうもなるわ!窃盗犯ぐらい一晩でパッパッと捕まえて欲しいわ。
何の話?昨日長岡京市で空き巣事件があったやろ?あんたらがしっかりせぇへんからうちがこうやって自首するハメになるんやないの!自首ってまさかオバハン…。
へへ…今回もよろしゅう頼むわ。
(笑い)お〜い冗談だろ…。
(堀川正太)キタさん!殺しです。
何!?中町のマンションで女の遺体だそうです。
行くぞ!何言うてんねん!?さっさと取り調べしてや!冗談に付き合ってる暇ねぇんだよ。
現場だ現場!お泊まりセットも持ってきてるんやで!こっちは準備万端やで!マジなのか?うん。
(ため息)
(堀川)被害者はこの部屋の住人福本茜27歳。
(池内弘二)死亡推定時刻は?鑑識の話では昨日の午後3時から6時の間だそうです。
凶器はこれか…。
おはようっす。
部屋は荒らされてねぇな。
現場に重役出勤とはいいご身分で。
窃盗犯が出頭してきたんでな仕方なく相手してたんだよ。
さっきの女性ですか?うん。
てっきり知り合いかと思いましたよ…。
知り合いだよ。
誰だと思う?杉沢のオバハンだ。
杉沢美代子か…!またやらかしたぜあのオバハン。
ちょ…誰なんですか?その杉沢美代子って。
空き巣の常習でな刑務所が大好きなオバハンだ。
出ました出ました!ほ〜世の中とんでもねぇ女が多いぜ。
(太田勇一)開錠してください。
座りなさい。
あやちゃん久しぶりやな。
(鶴丸あや)残念です。
なんや?あなたとこんな形で再会するなんて。
嫌やわ〜そんな怒らんといてぇな。
今回もよろしゅう頼むわ。
ハァ…始めます。
あなたは今月2日の夕方長岡京市友岡町1丁目の奥寺武雄さん宅に侵入。
現金5万円と通帳印鑑を盗み出した。
(奥寺武雄)あの…うちに何かご用ですか?あの…可愛らしい子猫がいたもんやから…。
あれ?どこ行ったんやろな?あ〜チィチィ…。
夜になって被害に気付いた奥寺さんは警察に通報。
翌日あなたは京都府警に出頭。
犯行を告白した。
(美代子)冬が近いやろ?は?おつとめを終える時にはいっつも思うんやで。
うん…。
「今度こそ真面目に生きよう」てな。
せやけど…木枯らしが吹く頃になるとなんや世間の冷たさが骨の髄までしみてな…。
うん…刑務所が懐かしゅうてたまらんようになるんや。
(柿口可久子)刑務所へ入るために窃盗を?
(太田)シッ!すいません。
新しい子?フフ…可愛らしいやないの。
太田はんこの子にちょっかい出したらあきまへんで。
あんたホンマに若い子好きそうやから。
何でそういう…根拠もないのに憶測でそういう事…!太田事務官!私語は慎むように。
あなたは今年5月に奈良女子刑務所での服役を終えその後ビル清掃の仕事をしていましたね。
はい…。
あなたの仕事振りは真面目で同僚からの評判も良かったと聞いてます。
そう言われるとなんや照れるわ…。
生活はそれなりに順調だったみたいですね。
それなのに世間の冷たさが身にしみたというのはどうしてですか?うん…。
理由なんてあらへんわ。
ただ…塀の中の方がホッとするんや。
自分でも嫌になるわ。
(ため息)うちって女は根が腐ってるのかもしれへんな。
「ラララララ〜ラララ…」
(鼻歌)「ラ〜ラ〜ラ…」検事!?…随分ご機嫌ねぇ。
すいません…いや私の努力が報われつつあるなと思いまして。
努力?柿口可久子ですよ!覚えてますか?彼女が初めてこの地検にきた日!
(可久子)失礼します!
(太田)今の姿と比べたら月とスッポン!これぞ私ヒギンズ太田の『マイ・フェア・レディ』作戦の成果です!いいわね。
いつも平和で。
あら?検事は平和ではないんですか?杉沢美代子なんか引っ掛かんのよ。
なんか見落としてる…。
見落としなんかないですよ。
こんな簡単な案件はチャチャッと済ませてチャチャッと次の仕事にマイ・フェア・レディゴーなんて。
(太田の鼻歌)
(白井清志)鶴丸検事!白井は本日5時にて退庁致します。
『マダム・バタフライ』のチケットを手に入れたんで。
バタフライでもエビフリャーでもかまわにゃーけど今雑音入れないで!ハハハ…鶴丸検事も『蝶々夫人』ぐらいご覧になるといいですよ。
遠く離れた男を思う女心…。
あ…それだ!な…何ですか!?暴力反対…。
遠く離れてるのよ!嫌な予感…。
杉沢美代子!彼女の現在の自宅は京都市下京区!盗みに入ったのは長岡京市。
遠く離れてる!それが何か?ほら彼女今までの窃盗事件は必ず自宅近くの土地勘のある場所で行われた。
それがなぜ今回に限ってわざわざ遠くの町まで出掛けたのかしら?ただの気まぐれじゃないですか?思いつきで行動する勝手なオバサンなんですよ。
どっかの誰かみたいに。
太田さん…!まぁあたしに皮肉言うなんてあなた随分成長したじゃない。
ありがとうございます。
いや申し訳ございません。
そんな成長した太田さんだったら山積みの仕事の調整なんてお手のものよね〜。
よろしくヒギンズ太田。
「ランララランララ…」白井検事。
あなたの余計な一言が主婦の勘をインスパイアしたようです。
このご恩は一生忘れません。
白井清志ミステイク…!
(高原純之介)杉沢美代子の犯行に釈然としない点がある?はい。
今回彼女は自宅から6キロ以上離れた長岡京市で空き巣に入っています。
常に土地勘のある場所で犯行を行ってきた彼女にしては極めて不可解な行動です。
うん…今回の窃盗事件は彼女のこれまでの犯行に比べると何かが違っているとそう思うんだね?そのとおり!それは君の願望だね。
は?かつて自分が起訴した人間が再び罪を犯し被疑者として戻ってくる程悲しいものはない。
君は心のどこかで彼女の犯行を信じたくないんじゃないかな。
副部長!あやちゃん!君もうじき…あなた気合だけで人が投げ飛ばせるよ。
副部長はあたしが個人的感情で起訴を踏みとどまってるとそうおっしゃりたいんですか!?いやいや決して咎めてるわけじゃないんだよ。
厳格さと人間味そのどちらも我々の仕事には必要だ。
大切なのはバランスだよ。
ね?こんなふうに。
バランスは保ってるつもりです。
では。
ちなみに章ちゃんは…!あ…主人なんですけど…。
清純さと色気のバランスがあたしの魅力だって。
オホホ…!オホホホホ…!ますますパワーアップしている…。
ブルブル…いや!気のせいだ…気のせいに違いない…!
(奥寺)現金やら通帳やらは全部この引き出しに入れてました。
それがそっくり盗まれましてね。
帰宅なさった時杉沢美代子と鉢合わせなさったそうですね。
その後家に入ろうとしたら玄関の鍵が開いていたと…。
えぇ。
てっきり自分が閉め忘れたとばかり。
あどうぞ。
あすみません。
いや情けない話ですが夜になるまで空き巣に入られた事に気が付きませんでした。
あ!今お茶淹れます。
あどうぞお構いなく。
(ため息)すべて送致事実と一致か…。
空き巣オバサンの事件にどんな裏があるって言うんですか?それを調べようとしてるのよ。
調べたけりゃ1人でどうぞ。
うちは今ね中町の殺しの件で忙しいんですよ。
何その言い草…!福本茜の情夫のアリバイ裏が取れました。
ちょっと…。
雀荘の防犯カメラに映ってました。
奴はシロか…。
密売組織の線は?調査中です。
奈良女子刑務所を出所後の人間関係についても現在調べを進めて…。
ちょっと…ねぇ!奈良女子刑務所って…。
ねぇ被害者奈良女子刑務所にいたの!?えぇ覚醒剤の密売で今年の4月まで。
シャバに出た途端再び売人稼業ですよ。
ねぇねぇ杉沢美代子もこの5月まで奈良女子刑務所で服役してたのよ!あぁ妙な偶然ですねぇ。
偶然じゃないわよ!!今主婦の勘がビビビってきた!そのビビビでこっちは感電死寸前だ。
おい行こう。
はい。
ちょ…ちょっと待ちなさい!ちょっと待ちなさいよ!もうこれからって時に!もう!でくの坊!ぐうたらコンビ!税金泥棒!おまわりさ〜ん!!僕も一緒にされてますよ。
諦めろ。
ケダモノは見境なく噛み付くもんだ。
なんやあやちゃん!差し入れでも持ってきてくれたんか?ちょっと訊きたい事があってね。
わかった。
夫婦円満の秘訣やろ?あ〜それも訊きたいけど…。
(笑い)うちに訊いても無駄やで。
そんなん知ってたら二度も亭主に逃げられてへんわ。
訊きたいのは福本茜って女性について。
奈良女子刑務所であなたと同室だったんだそうね。
茜…あぁ覚醒剤で入ってた子やろ?彼女殺されたわ。
あなたが出頭した前の日自宅マンションで。
仲良かったの?彼女と。
うん?あぁ…似てたのかもしれへん。
上手い事生きられへん者同士な。
服役を終えた後茜さん自宅近くの小さなスナックで働いてたみたい。
お店訪ねた事ある?いっぺんもない。
出所してからいっぺんも会うてへん。
福本茜っていう名前を出した時彼女明らかに動揺してたのよ。
あれ絶対何かあるわ。
じゃあ何か?覚醒剤の売人殺しにあのオバハンが絡んでるっちゅうのか?それはねぇだろ。
(鶴丸りん)でもさぁなんか虚しいよね…。
(あや・北村)ん?殺された女の人覚醒剤で捕まったのに出所後もまた覚醒剤売ってたんでしょ?盗みで捕まった女の人はまた盗みを繰り返して…。
あのなりんりん。
人間っちゅうのはな同じ悪事を繰り返していく生き物なんだよ。
残念ながら。
ふ〜ん…そんなに変われないもんなのかな?人って。
そりゃそうだよ。
見てみろほら。
ガミガミオバサンはいつまで経ってもガミガミオバサンだろ。
でくの坊刑事はいつまで経ってもでくの坊だしねぇ…。
府警の鬼刑事に向かって何を言うか。
違う違う違う…。
それを言うなら府警のゴミ刑事の間違いでしょ。
そっちは地検の鬼婆だろ。
頭きた…。
もう肉食べさせないから。
ふざけんな。
この肉は俺が金払って買ってきた…。
貰ったものは返せないでしょ!あげてねぇっつうの。
何言ってんの?これうちの…。
納得。
人間まったく成長しない。
(君江)茜ちゃんが覚醒剤にかかわってたいうてもうちの店関係あらへん。
妙な疑いもたんといて。
えぇあのお訊きしたいのはこの女性についてなんです。
(ため息)この人が茜さんを訪ねてきた事ありませんかね?さぁ?知らん人やなぁ。
はぁ…。
なんやったらうちの常連さんにも訊いて。
すぐそこやし。
(佐伯)え?覚醒剤の密売?可愛い顔してえげつない事してたんやなぁ。
社長さんは福本茜の勤めてたスナックにちょくちょく通ってたそうですね。
うん。
うちの若い連中が行きたがってね。
あでもわしらは覚醒剤なんかに手ぇ出してへんで。
最後に行ったのはいつですか?え〜と…いつやったかなぁ?おぉ勝「君江」に行ったんいつやった?
(末次勝)先週じゃないですか?曜日は覚えてないけど…。
こんにちは〜ご主人。
ちょっとお話伺いたい事が…。
あらまぁ!池内さん。
何こんなとこで油売ってんの?いやいや検事さんもお忙しいでしょうに何のご用ですか?企業秘密。
あ…あの…。
あぁすいません。
私京都地検の鶴丸といいます。
ご主人は福本茜さんの店によくいらしてたそうですね。
はい。
この女性ご存知ありませんか?お店で彼女を見かけたとか。
さぁ?覚えてないな。
おぉ勝。
この人見覚えあるか?いえまったく。
どうしていつも余計な事に口挟むんですか?余計な事じゃないわ!杉沢美代子の盗みには何かあるのよ。
これ主婦の勘!それと福本茜と何の関係があるんですか?それはこれから調べるんじゃない。
あら…?どうしました?検事。
まぁキレイ…。
あ…この花…。
今度は何ですか?
(小日向隆造)よかったらどうぞ。
中もご覧ください。
あ…。
コスモスにオミナエシ萩も見頃ですよ。
(小日向)そうですか。
刑事さんでしたか…。
この先のマンションで殺人事件がありましてね。
その調査中なんです。
何か気が付いた事ありませんか?驚きましたよ〜!まさかあの女性が殺されるなんてねぇ…。
あ…あの…殺された福本茜をご存知だったんですか!?えぇまぁ。
挨拶を交わす程度でしたがね。
あの…じゃあちょっとお尋ねしたいんですけどこの女性が福本さんと一緒にいるところを見た事ありませんか?あぁありますよ。
え…!?私はねてっきり親子だと思いましてね。
(美代子)茜ちゃん!ちょっと待ってぇな!
(福本茜)もういい加減にしてよ!もう放っておいて!ちょっと待ってぇな茜ちゃん!うちの話聞いてや!聞いてどうなんのよ!?ゆっくり聞いて欲しいんや。
うるせぇクソババア!クソババアってあんた…!クソババアだからクソババアって言ってんだよ!茜ちゃん!
(池内)福本茜がそんな態度を?
(小日向)えぇ。
何があったのか知りませんが人間は難しいですな…。
それに比べると草花はわかりやすぅてええ。
今の時期にまだ咲いてるんですね桔梗。
えぇ今年はねぇ気候のせいか二度咲きだったんです。
ここハサミが入ってますけど誰かに切り分けたんですか?えぇ。
先週友人にね。
その友人ってもしかして…!?小日向さんから伺いました。
あなたは週一度彼の家を訪ねて将棋を楽しんでらっしゃるそうですね。
一体何をお調べなんです?奥寺さんあなたは本当にあの日空き巣に入られたんでしょうか?は?窃盗犯の杉沢美代子とあなたは実は以前から面識があったんじゃないですか?バカな…!そんなわけないでしょう。
え〜福本茜さんです。
殺人事件の被害者です。
杉沢美代子と彼女は旧知の仲でした。
杉沢美代子は彼女のマンションを何度か訪ねてたようです。
マンションは小日向さんのお宅の目と鼻の先です。
つまりあなたと杉沢美代子は同じ町内に度々足を運んでいた事になる。
もうお帰りください。
何のつもりか知りませんが不愉快です!福本茜さんが殺されたのは杉沢美代子が空き巣に入ったのと同じ日同じ時間!これが偶然?つまりこういう事ですか?福本茜を殺したのは実は杉沢美代子で彼女は自分のアリバイをこしらえるために架空の空き巣事件をでっち上げたと。
あの奥寺って男はその作り話に協力してると。
彼女が殺人犯だとは思いたくないけど…。
(アナウンス)「次は中京署前」相変わらず検事さんは想像力がたくましい。
想像じゃないわよ!まったくありえない話だとは思えない!まぁせいぜい頑張って証拠を掴んでください。
降ります。
降りますよ。
ちょ…ちょっと協力してよ!もう…!私はあくまでヤクの売買トラブルの線で調べを進めます。
意見が合わずに残念です。
それでは。
あ…!あたし降りませんから。
もう…!ちょっとでも期待したあたしがバカだった!美代子さんあなた私に嘘をついたわね?ん?なんや嘘って。
あなたは出所後福本茜さんとは一度も会っていないそう言ったわね。
しかしあなた方が揉めている姿が近所の住人に目撃されています。
美代子さん…あなた本当にあの日空き巣に入ったの!?検事この期に及んで何を…。
黙って!本当はあの日福本茜さんと会ってたんじゃないの?あの空き巣事件は実は作り話で…。
ちょっと待って。
う〜ん…あれはなぁ黙秘権やったかな?それ使わしてもらうわ。
もう何も喋らへん。
(ため息)とにかくあの空き巣事件は釈然としないわ。
帰宅した奥寺さんと鉢合わせしたっていうのも考えてみたらタイミングが良過ぎる気がする。
つまり検事は空き巣事件そのものが存在しなかったというハチャメチャな暴論を振りかざして取り調べを振り出しに戻そうとしてらっしゃるわけですか?暴論?柔軟な発想と言って。
暴論ですよ。
白井スチールのお坊ちゃま。
言いたい事があったらはっきり言って。
あのお坊ちゃん勇気あるなぁ!太田さんも見習ったらどうです?でははっきり言わせていただきます。
杉沢美代子がアリバイ工作をするなんて絶対にありえない。
どうしてそう言い切れるの?
(白井)考えてもみてくださいよ。
彼女は自ら刑務所に入りたがるような女ですよ。
仮に殺人事件にかかわっていたとしても懲役を逃れるためにアリバイ工作なんてするはずありません。
(太田・可久子)なるほど〜!まぁその疑問には後々お答えするわ。
今はまずあらゆる可能性を考慮に入れて…。
それほど彼女を殺人犯にしたいんですか?なんですって?鶴丸検事は以前にも杉沢美代子を取り調べした事があるんですよね?今回の再犯はいわば検事に対する彼女の裏切りです。
裏切り…?人は誰かに裏切られるとその人物の人間性を頭から否定するようになります。
鶴丸検事は杉沢美代子に対し無意識の内にある種の偏見を抱きそれがために正しい判断力を失ってるのではないでしょうか?
(指を鳴らす音)以上。
偏見…?違うわ。
そんなわけない…。
開かない…。
出ないわよ!ちょっと…!
(桜井麗子)あやさんなんかカッカしてない?
(吉川香織)もしかして…いよいよ来たか?
(漆原さやか)夫婦の危機到来!?あ〜とうとう来たかこの時が!他人の修羅場は蜜の味!
(柿野たまこ)あやさんよかったら1杯どうぞ。
辛〜い!何これ!?唐辛子の成分カプサイシンは体温を上げて発汗を促します。
デトックス効果抜群ですよ。
(3人)そうそう!こんなカッカしてる時にこんなもん飲んだら余計カッカカッカしちゃうじゃないの!そこなんです!感情が昂ぶってる時は無理に落ち着かせようとしちゃいけません。
(3人)そうそう!むしろ極限まで心身をヒートアップさせて毒を出し切ってしまうんです!これぞ逆転の発想です!逆転の発想?そうか逆の可能性もありか!あ〜!うわ〜!わわ!
(3人)キャー!ハァ〜。
やっぱりいいもんだ。
男同士でしみじみと飲むのは。
お察しします。
あの暴れ馬と毎日一緒じゃ息つく暇もないでしょう。
わかってくれるか池内君!まったく最近の彼女ときたら暴れ馬より闘牛に近い。
思い込んだら一目散。
遮るものはなぎ倒し…。
どこまで逃げても追いかける。
グワ〜!
(扉の開く音)あ〜いたいた池内さん!あら?まぁ!副部長もお揃いで。
悪い相談?いや闘牛の話だよ。
たまには休暇を取ってスペインにでも旅行したいってな。
スペインよりもアリバイ!アリバイ偽装よ。
やれやれ…。
あたしはてっきり奥寺さんが杉沢美代子のアリバイ偽装に協力してるんだと思ってた。
でも逆だとしたら?逆?アリバイが必要なのは奥寺さんの方で杉沢美代子がそれに協力してたとしたら?福本茜を殺したのはあの男だったって事ですか?疑ってみる価値はあるわ。
またいつもの主婦の勘でしょ?もういい加減にしてくださいよ。
なぁあやちゃん。
その奥寺というのはどんな境遇の男なんだ?え〜と年齢は60代です。
仕事は引退してますが経済的には豊かなようです。
奥さんとは死別か離婚か…。
とにかく今は1人暮らしで同居の子供はいません。
うん…。
何十年もコツコツ働いてしかし行き着いた先は孤独な晩年だったってわけか。
杉沢美代子も孤独だった…!二度の結婚に失敗して身内は誰もいない。
2人の間に何か…精神的な共鳴があったとしてもおかしくないな。
(小日向)奥寺さんと殺された女性が?えぇ。
あの面識があったかもしれないんです。
その辺り何かご存知ありませんかね?さぁ…?私は何も。
奥寺さんは毎週こちらに将棋を指しにいらしてたんですよね?えぇ。
あの…最近何か変わった様子とか…?あそういえば…。
何か!?先月裏木戸が壊れましてな。
裏木戸?えぇなにしろ古い家ですのでね。
それで近くの工務店に修理をお願いしたんですが…。
(小日向)ほぅ…。
あの…。
裏木戸の修理終わりました。
(小日向)あぁご苦労様。
(小日向)お知り合いでしたか?いえ…知りません。
工務店の青年と…?えぇ。
お互い驚いた顔してました。
(ノック)ごめんください。
末次さん?
(ノック)末次さん!あ…度々すみません。
ちょっとお訊きしたい事があって。
殺された女の人の事は僕は何も…。
いえいえ今日は彼女の事訊きに来たんじゃないんです。
お訊きしたいのは奥寺武雄という男性の事です。
あなたと奥寺さんはどういう…?帰ってください!ちょっ…あの…末次さん?末…。
(ため息)
(ため息)
(ため息)ちょっと…!何してんの?池内さん!そちらは主婦の勘。
こちらはデカの勘ですよ。
え?それ何?どういう事?あの坊や見た時にねビビってきたんですよ。
ビビって?あいつは間違いなく覚醒剤をやってる。
絶対にシッポ掴んでやる。
そうすりゃ福本茜殺しの糸口も掴めるでしょう。
わかったー!何ですか?一体。
見えてきたのよ!奥寺武雄と被害者の接点が!え…?これ主婦の勘!あなたへの取り調べもこれで3回目です。
今度こそ包み隠さず真実を述べて欲しいものです。
美代子さん…。
あなたは出所後何度も福本茜さんを訪ねては覚醒剤の売人をやめるよう説得していた…違いますか?そやったらなんや?そんなある日あなたは末次勝という青年と出会った。
茜さんから覚醒剤を買っていた青年です。
(茜)はいこれ。
ちょっとあんた…これ足りないじゃないの。
残りはもう少しだけ待ってくれ!ハァ!?ちょっと待った!
(茜)待ちなよ…おいコラ!茜ちゃん…あんたまだ覚醒剤…。
もううるさいな!もう放っておいてよ!何言うてんの!?二度と同じ間違いはせぇへんってうちと約束したやないの!約束…?そんなん知らないわよ!茜ちゃん!茜ちゃん!茜ちゃん!茜さんが末次勝に覚醒剤を売りつけてるのを知ったあなたはこのままじゃいけない何とかしなければと思ったんじゃありませんか?アホらしい。
妙な作り話せんといて。
あなた末次勝のアパートに何度も足を運んでますよね?なぜですか?彼に覚醒剤をやめさせる事で茜さんに覚醒剤の売人をやめさせようと思った。
つまり茜さんを救うために末次勝を救おうと考えた。
違いますか?
(ノック)
(美代子)なぁうちの言う事聞いて。
これ以上茜ちゃんに近付いたらあかんて。
そして彼を訪ねるうちにそこでもう1人の人物と出会った。
もうええわ。
こっから先は黙秘や。
これから実況見分に行きます。
ハァ!?太田さん許可貰ってきて。
ちょ…冗談じゃありませんよ!もういい!あなたに頼まない!白井検事!我関せず。
検事!私が許可貰ってきます!可久ちゃん!裏切るのか!?私も一度暴走してみたかったんです!柿口…よく言った!フン!うわ〜ハハハ!滅茶苦茶だー!
(池内)お墓参りですか?このお寺には奥さんが眠ってらっしゃるそうですね。
10年前に別れた奥さんが。
あなたと離婚する際奥さんは当時中学生だった一人息子を連れて家を出た。
何なんです?一体。
先月10年ぶりにその息子さんに再会されましたね。
小日向さんという方のお宅で。
先ほど末次勝を覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕しました。
勝をあんなふうにしたのは…私の責任です。
仕事人間で家庭を顧みなかった私を見限って妻は家を出ました。
(奥寺の声)それから10年…。
思いがけない勝との再会でした。
裏木戸の修理終わりました。
(小日向)あ〜ご苦労様。
(小日向)おや?お知り合いでしたか?いえ…知りません。
(奥寺の声)その時の勝の冷ややかな視線…。
私には堪えました。
これまでの私の人生は一体何だったんだろう…?後悔に苛まれました。
(末次)今さら何だって言うんだ!?仕事…仕事!あんたはいっつも自分の事しか考えてない!俺もお袋もずっとほったらかしだった!今さら親父面してんじゃねぇよ!
(末次)帰れよ!勝…!
(末次)帰れよ…!ま…勝…。
(奥寺の声)勝の言うとおりです。
今さら父親面なんて…。
でも今さらでも…いや今さらだからこそ父親らしい事の1つもしてやりたかった。
だからあなたは何度拒まれても息子さんに会いに行った。
そしてある人物と知り合った。
やっぱりお2人には面識があったんですね。
いや誤解や!空き巣に入った時たまたま会うただけや!そうでしょうか?奥寺さん本当にそうですか?あなた方はどちらも末次勝のアパートを度々訪ねていた。
あのアパートで偶然出会っていたとしても不思議じゃない。
美代子さん…あなた奥寺さんに告げたんじゃありませんか?自分の知ってる事をすべて。
(美代子)これ以上茜ちゃんに近付いたらあかんて…。
(ノック)
(美代子)ちょっとあんた!
(美代子)開けて!開けてぇな!
(ノック)あの…どうかしましたか?勝が何か…?勝って…あんたあの子の身内なんか!?あなたは奥寺さんにすべてを話した。
覚醒剤の事も茜さんの事も。
そのとおりです。
せ…せやけどあんた…!いいんですもう。
話してくださいますね?真実を。
2人で福本茜に会いに行きました。
「二度と息子には近付かないでくれ」そう訴えました。
頼む…。
勝には二度と近付かないでくれ。
冗談じゃないよ。
せっかくのお得意様なのにさ。
(美代子)茜ちゃん!ええ加減にしとき!うちホンマにあんたを警察に突き出すで!?勝手にすれば!?ただしねぇ…。
あんたの息子も逮捕されるよ!?一生の傷になる。
あたしねぇあいつの事気に入ってんだ。
自分を見てるみたいで。
ろくでもない親から生まれた出来損ない!きっとこれからどんどんダメになるよ。
アハハ…!茜ちゃん!目覚ましや!てめぇ…!何すんだよクソババア!オラ!オラァ!やめなさい…!放せって言ってんだろこのクソジジイ!大体ねぇあんたがろくでもないからこんな事になったんだろ!?フン…。
(茜)あいつ言ってたよ。
(茜)あんたなんか父親失格だって。
ざまあないね!恨むんならねぇ…自分を恨みな!
(奥寺)あぁー!
(茜)キャー!
(茜)うっ…。
あんた…どこ行くんや?自首してきます。
待ちぃな!あんたが自首する事あらへん。
元々悪いのは茜ちゃんや…。
大体あんたが人を殺したの知ったら息子はん…どうなる?余計薬に溺れるに決まっとる。
しかし…!うちに任しとき。
そこから先は検事さんのご想像どおりです。
あの空き巣事件は私のアリバイを作るための狂言です。
も〜これで全部パアやないの…!あれは定年退職した日でした。
(奥寺の声)会社の帰り道桔梗を見つけたんです。
その時です…。
死んだ家内の事を思い出しました。
桔梗は家内の好きな花だった事を…。
(奥寺)表の桔梗はいつからあそこに?あぁもう40年になりますかなぁ?40年…。
はい。
そんなに前からあったんですか。
えぇ。
40年間毎日同じ風景を見ていたはずなのに私はあの花に気付かなかった。
いや…家族の事も…何もかも…わかっていなかった!行きましょうか。
さぁ。
(サイレン)うちの若い頃を見てるようやった。
茜さんの事?うん。
不器用で…。
気ぃ付いたら悪い道に迷い込んでどうしても抜けられへん。
だからあなた…茜さんが堕落していくの見ていられなかったのね。
放っといたらよかったんやな。
こんな事になるんやったら。
あの子の望みどおり放っといてあげたら…。
あたしはそうは思わない。
なんでや!?うちがいらんお節介焼いたせいであの子は死んだんや!うちが殺したようなもんや…。
美代子さん…。
なぁ…あやちゃん。
あの子の人生何やったんやろな…?男に利用されて…覚醒剤売りまくって…。
あの子…何のために生まれてきたんやろ?あの子を…変えてやりたかった。
うちが言うのも変やけど真面目にしてやりたかった。
そやけど無駄やった。
どんなに思うてもあの子はちっとも変わらへんかった…。
そうねぇ…。
あなたは茜さんを変えられなかった。
でも茜さんはあなたを変えたわ。
あなたは無償の愛で茜さんを包んだ。
何の見返りも求めずに彼女を愛した。
あなたはもう昔のあなたじゃないわ。
あやちゃん…!1人の人間をここまで変えた。
それだけでも茜さんの人生は確かに意味があったと思う。
うん…。
40年間花に気付かなかった男か…。
いつも前ばっかり見て歩いてると時には大事なものを見落としてしまう事もあるって事ね。
う〜ん…そんなもんかな?まちなみに俺はだなぁいい女を見落とさないように常に視野を広〜く保つようにしてるけどな。
あきれた。
目の前にいるいい女に全然気が付かないくせに。
そうだよ!ここにも1人いたな。
とびっきりのいい女の卵が!おいおい…。
北村案外見る目あるじゃん。
当たり前だよ。
ホントにあんたの目は節穴なの!?あぁ?ここにいるでしょ!?完璧に完成された美女が1人。
完璧に完成された美女!?どこだ!?おいどこだ!?どこにいるんだ!?おいどこだよ!?う〜わ!完璧に熟しきった熟女!ハハハ!熟熟だ。
発酵してるぞおい。
人を鮒寿司みたいに!体にいいんだから!古漬けだった…。
フン!…バカ。
おしゃべりあるき目です
今日はすごーい鞄職人の親子を訪ねます
2016/01/20(水) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
京都地検の女4[再][字]
第6話『桔梗の咲く庭』▼窃盗常習犯の美代子が送致された!刑務所に入りたいからというが、鶴丸検事は疑いをもつ。ある殺人の被害者が美代子と刑務所の同室だと判明し…。
詳細情報
◇番組内容
▼“空き巣常習犯”の美代子が送致されてきた!刑務所が恋しくなったからというが、鶴丸検事は疑いをもつ。やがて、ある殺人事件の被害者が、美代子と“刑務所で同室”だったと判明するが・・・!?
◇出演者
京都地検検事・鶴丸あや ・・ 名取裕子
京都府警刑事・北村鉄男 ・・ 船越英一郎
中京署刑事 ・池内弘二 ・・ 益岡徹
京都地検事務官・太田勇一・・ 渡辺いっけい
京都地検副部長・高原純之介・・蟹江敬三
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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