初冬の京都。
冬野菜は味が濃くなり最初の収穫を迎えた。
築100年の古民家の庭。
まもなく迎える雪の季節を前に草花たちが生い茂る。
植物を生活のパートナーとして手作りの暮らしを送るベニシアさん。
日々の世話を欠かさない。
ずっとヘアカットしてないって感じよね。
こういう緑の葉がまた出てくるから剪定しても。
枯れた木はやっぱり取った方がいい。
これ普通だったら中に入れるけど大きくなりすぎて今年は外で藁でやってみたいと思います。
縁側のゼラニウムは10年前から大切に育ててきたハーブ。
部屋に入らないほど大きくなった。
これは友達からもらった。
竹を潰して粉にしてそして発酵させる。
ミネラルがいっぱい入ってるって聞いたから。
ゼラニウムが少し年とってるからミネラルをあげようかなと思って。
冬温度が下がると凍るのね。
だから毛布みたいなものと思ったらいい。
根が凍らないように幹の周りを堆肥で囲い寒さ対策。
コンフリー堆肥も載せます。
孫に毛布を着せ掛けるように藁をそっと置く。
無駄がないよね自然のもの。
御飯を食べて酒も造って藁も植物に使えるので。
ウインターガーデンのオブジェにもなるから…。
少しきれいに。
きょういい天気やね。
空がすごい…青い空。
日課の大原散歩へ。
風が冷たいけどなんか気持ちいい。
一番いいものは新鮮な空気。
一番元気になるよね。
だから少し疲れた時でも散歩へいく。
散歩いったらパワーが出てくるから。
以前から気になっていた所に寄り道。
かわいい家。
おはようございます。
(砂山)おはようございます。
良い所ここ。
砂山綾子さんはしめ縄作りの名人。
年末になると地元の人からの注文が殺到する。
しめ縄も何百年っていうか何千年も前から…。
そうそうそう。
京都とか大原はほとんどこれで…。
名前はね。
通称私は「ゴボウ」って言ってるの。
先っちょが細くてね。
これがもともとの…。
いちばん最初。
古いの?へぇ〜。
古いの。
京都はこれが多いですね。
ゴボウが。
ゴボウって言うの?そうそうそうそう。
私もお年寄りに習ったんやけど。
好きなの。
大好き。
作るのが?好きなの!これは?餅わら。
これでするでしょ。
軟らかいから自由にこういろんな形に…。
こっちの方が硬い?軟らかい。
軟らかい。
そして長いの。
なさいます?うん。
教えて下さい。
もち米の藁を使ってしめ縄作りに挑戦。
それでねここくくるでしょ。
全部。
全部?全部いっぺんにするの?そうそう。
全部いっぺん。
グルグルもっと巻いて…。
何回も?そう。
何回も。
あんまり器用じゃないんですよ。
そう?アハハハハ…。
これね3つに分けるんですよ。
3つに。
はい。
1つはここ置いておくんですよ。
2つをねじるんです。
そしてこれを巻いて下さい。
そうですそうです。
ひとつ余ったのあったでしょ?それもねじるんです。
ねじったのをここに挟むんです。
ここの編んだ所に。
そうそう入れるんです。
そしたらこれをあれでもこうでしょ?リースだってこうするん違います?ああ…。
こんなん付けたり。
ナンテン付けたり。
結構簡単にできる。
ねっ。
ひもでくくらなくてもこれで…。
かわいいね。
かわいいでしょ?ちょっとしたアイデアで。
フフフフ。
全然きれいに見えるでしょ!厄よけの意味を持つしめ縄。
戻ったら玄関に飾りたい。
冬には冬の季節を感じながら歩く。
このゆったりとした時間こそがベニシアさんの元気の素。
カリンを焼いてパテを作る。
大原でカリンがこの時期見れますね。
焼きカリンを作ってみたいと思ってます。
これ焼いたら中身がすごく軟らかくなるから。
温めることでカリン独特のえぐみが消える。
180℃でおよそ1時間半。
実が軟らかくなったらオーブンから出す。
なんかいい色になった。
う〜ん。
すごく香りがいい。
カリンの木を持ってる人が言ってた。
春にすごくいい香りが出るんだって。
皮や種を取り除き果肉だけをボウルに取り分ける。
そして潰します。
これ面倒くさいなぁ…。
あっ出来るか。
細かく砕いた果肉をさらに練り潰す。
そして砂糖を入れます。
甘さを足すため砂糖を加える。
どのくらい渋いかどのくらい甘いか。
うんおいしい。
そんなに渋くない。
ちょっとだけ最後にくる。
クリームを入れたらまろやかになるかな。
このカリンは特別ジューシーよね。
ちょっとゆずを半分くらい…。
レシピを一生懸命見て書いてあるとおりしないといけないと思う人が多いけど実は材料によって味が変わるんだよね。
そういう時は自分の舌を信じる。
おいしい。
おいしいよ。
これでちょうどいい。
特別おいしいカリンが来た。
カリンのパテ。
クラッカーなどに付けて食べればカリンの甘酸っぱい味が引き立つ。
日本でも有数の酒どころとして知られている。
ベニシアさんお正月に頂く酒を求めてやってきた。
地名の由来が「伏水」といわれるほど豊かな地下水に恵まれた伏見。
古くから酒造りが栄えていた。
昔ながらの方法で酒を造る蔵があると聞いてきたベニシアさん。
こんにちは。
いらっしゃいませ。
ここは酒を売っている場所ですか?そうです。
ここで造ったお酒を売ってます。
友達から聞いてここのお酒はおいしいと。
ありがとうございます。
この辺は酒が有名ですね。
ありがとうございます。
日本では灘か伏見が酒どころといわれてますので…。
ちょっとお飲みになられますか?はい。
これもステキですね。
こちらでは酒蔵の隣で日本酒を楽しめるバーをしつらえている。
ここの建物全部は何代目ですか?今息子で五代目になります。
結構昔からしてるね。
そうですね。
はい。
お酒を造ってる期間は長かったんですけれどもこういう形にしましたのはまだ10年目です。
渡舟というお米で造ったお酒です。
京都の米ですか?いいえ。
これは兵庫県で作られたお米です。
これも兵庫県で作られた山田穂というお米なんです。
お米の味で違う味の酒になるんですか?そうですね。
そうですか。
(コルクを抜く音)これが酒米の王様といわれてます山田錦です。
おいしいお酒を造るためにお酒専用の酒米を作りたくてそれでいろんなお米をかけ合わせてすごく研究してその結果渡舟と山田穂のかけ合わせで山田錦が出来上がったんです。
すごいですね。
そうですね。
まずは山田錦を味見。
うん。
主人多分これが好きかもね。
そうですか。
そして山田穂も味見してみる。
うん。
これちょっとソフトな感じね。
フルーティーでちょっと甘く感じると私も思いますし私も好きな味です。
おいしい。
息子が造ったお酒なんです。
そして今蔵でちょうど造っております。
見てもいいですか?はい。
ぜひ見てやって下さい。
お願いします。
はい。
新米で仕込んだばかりの酒の様子を見せてもらう事に。
わっすごい!こんにちはベニシアです。
こんにちは。
初めまして。
ようこそ。
なんかこういう所初めてですから。
五代目の蔵元…今ちょうどお酒仕込んで3本のタンク仕込んでるんでよかったら見て下さい。
上行ってもいいですか?どうぞ。
蔵の内部にはタンクが4基。
比較的小さい規模の酒蔵だ。
藤岡さん自身が杜氏としてこだわりの味を追求している。
これはちょうど5日前に仕込んだ酒です。
こっちが一番泡が出てるのね。
一番新しい。
これからどんどん泡がもっと高くなってきます。
匂いがいいですね。
そうですね。
全てお酒が埋まるともっときれいな香りが蔵中に充満します。
これがきょう完成したばかりの麹です。
酒造りの原料は水と米と麹だけ。
麹は米にコウジカビという微生物を繁殖させたもの。
これが全ての始まり。
味噌の中にも麹があるけど体にいいのね。
麹は体にいいですね。
酒もちょっと飲んだら体にいいですね。
お酒は適量であったら体にいいと思います。
よかったら味も見て下さい。
いいんですか?どうぞどうぞ。
なんかナッツみたいな味がする。
そうですね。
よく噛むと甘みが出てきます。
麹の出来のよしあしでお酒の味が決まります。
これは一番大事な時?一番大事ですね。
一番大切にしているところですね。
お酒造りで。
決してお酒って人間が造ってるのではなくて微生物が造ってくれてると僕は思ってまして人間ができる役割っていうのは微生物が正しい方向に行くような道を作ってあげる事だと思います。
麹は温度と湿度が管理された室と呼ばれる部屋でつくられる。
麹の菌を空に舞わせて慎重に米に振りかける。
20時間後。
米の温度はおよそ30℃。
菌の繁殖が進むと米の温度が上がってくる。
白く色が変わってるところが麹菌が付いてるところで米の表面に見えてますね。
生育してるのが。
菌が米に定着したら麹をむらなく管理するため米を小分けにする。
ここからが麹づくりの正念場。
寝ている間も微生物は繁殖するので温度管理を徹底するため24時間不眠不休の作業が続く。
何時間後にどういう作業ができるって決まってるわけではなくてその時どきによって急に温度が上がったりする事もあるのでこまめに温度チェックをして状態をチェックしないとあっという間に温度が上がってしまいます。
麹は生き物。
油断大敵なのだ。
夜が明ける頃。
麹が人肌ほどの温度まで上がった。
藤岡さんがねらっている麹の状態がある。
(藤岡)突破精って呼ばれる麹力価の高い麹なんですけど。
きれいな味のお酒を造りたいと思ってるので突破精ですと本当にきれいな飲み口で香り豊かなお酒になります。
突破精は菌が米の一部に定着し菌糸を中心に向かって深く伸ばした状態。
これがうまくいくと上品な味を作り上げるという。
麹を育てること50時間。
酒造りの要突破精の麹が出来上がる。
いい出来だと思います。
しっかり固く乾いていますしきれいな酒質のお酒になりそうです。
僕には目標とするお酒がありますのでその味を超えられるようないつか超えたいという今すぐには無理かもしれないですけどいつか超えたいという思いでお酒を造ってます。
創業110年。
伏見で知られた大きな造り酒屋に生まれ育った藤岡さん。
しかし三代目の父は若くして急逝した。
まだ25歳だった藤岡さんは専業主婦だった母と蔵を維持しなければならなかった。
つてを頼りベテランの杜氏を蔵へ呼び必死で生み出した酒の味が今でも忘れられないという。
まさかこういうお酒がうちの蔵で出来るとは…。
ちょっと鳥肌が立つといいますか。
派手なお酒ではないんですけど本当にまるい優しいすっと口の中で消えていくような本当にきれいなお酒でしたね。
しかし不運は続き震災で蔵が崩壊。
酒蔵は廃業に。
それでも藤岡さんあの味を忘れられなかった。
一念発起しまして酒蔵がない状態だったので赤れんがの倉庫を酒蔵に改造するところから始めなければいけなかったんです。
まずお酒になるのかどうなのかがまったく…。
自信がないわけではないんですけど…。
とにかく人が飲んでくれるお酒になればいいなという思いで最初は造りました。
なんとか再起し10年前にようやく出来上がった新しい酒。
藤岡さんが選んだ米を使い自分で杜氏を始めた。
こんにちは。
(店主)いらっしゃい。
ご苦労さまです。
お待ちしてました。
藤岡家が代々卸している酒屋へ。
店主の奥田さんは藤岡家歴代の味を知る。
早いもんで今年で10年目のお酒造りになりまして。
いっとき無くなった時は寂しかったんで心配しましたけど。
申し訳ございません。
もうなんとか…。
よく復活してくれはったなって感じです。
それと前のブランドにこだわらずに新しいブランドに。
これはすごいです。
一から始めてここまでやられたってことは。
このごろ藤岡さんのおかげと思えるようになってきました。
それはすごい事やと思おてるんです。
ふらふらしないで信念曲げないで頑張ってほしいですね。
残っていくお酒になると思いますので。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
残れるように頑張りますのでまた応援よろしくお願いします。
藤岡さんの造る酒は毎年少しずつ目標の味に近づいているという。
大学で醸造を学んだ藤岡さん。
酒の糖度からさまざまなデータを集める。
あと1週間から10日の間に搾れると思うんですけど。
結構いい出来だと思います。
例年よりもきれいな香りが出てますね。
今年はだいぶお米の出来もいいですしお酒もその分いい出来になってるかなと思います。
早く搾ったものを飲んでみたいですね。
こうして時間をかけて生まれる手づくりならではの味。
きょうはありがとうございました。
こちらこそ。
いろいろ説明してくれて。
やっぱり自分の家で造って直接売ってすごくいい事。
僕が目指したのは大量生産型の日本酒じゃなくて家内制手工業型。
本当に家族で…。
ああ昔の造り方。
そうですね。
家族でコツコツと丁寧に造っていくというスタイルのお酒造りをしたかったので。
うん。
「スモール」「シンプル」というのとできれば「スマート」に。
ああ。
これもいいですね。
(母)肉体的にもスマートに。
(笑い声)予期せぬ事に遭遇してもそこから逃げずに希望のかけらを見つけて生きていきたい。
春に植えた沖縄に住む友人からもらったウコン。
初めて育てるから今年。
一応出して来年の春もう一回植えたいと思っています。
毎年少しずつ育てて大きくなったらお茶やスパイスにするつもり。
あ…出た。
わぁすごい!こんなに大きくなった。
初めてやる時面白いよね。
全く分からないけどやりながら分かるようになる。
寝かしてるものをこれに入れようかなって。
昔お米を炊いたあとに冷めないようにここに入れたらしいから。
ウコンを寝かします。
かわいいね。
ちっちゃい。
来年はもうちょっと大きくなると思う。
ゆったりとした時の流れに身を任せてベニシアさんの手づくりの日々は続く。
はい。
おやすみなさい。
2016/01/20(水) 12:25〜13:00
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手「寒仕込みの頃」[字][再]
ベニシアさん、庭のローズゼラニウムの越冬準備をする。近所の方にしめ縄の作りを教わる。散歩中にカリンの木を見つけ、カリンのパテを作る。京都伏見の造り酒屋を訪ねる。
詳細情報
番組内容
初冬を迎えた京都・大原。ベニシアさん、庭のローズゼラニウムの越冬準備をする。近所の方にしめ縄の作り方を教わる。散歩中にカリンの木を見つけ、もらったカリンでカリン酒とパテを作る。日本でも有数の酒どころとして知られる京都・伏見の造り酒屋を訪ねる。自ら杜氏として酒造りもする蔵元の藤岡正章さんと出会い、酒造りや酒蔵運営の苦労話や将来の夢を聞く。大原に戻り、ウコンを土から掘り起こし、わらをかぶせて寝かせる。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:16155(0x3F1B)