(美輪子)お母さんもパパも知らない秘密を私たちだけが共有してるんだわ。
もしそれが明るみに出ればこの家に激震が走るわね。
(世奈子)大変なことが判明したの。
これで天地がひっくり返るわよ。
(眞澄)ママから何か?
(崑一)えっ?どうせ富貴子と綱輝君の婚約のことで嫌みの一つでも言いたいんだろ。
ほっとけばいい。
ハハハ。
(綱輝)ママはいまだにぼたんの亡霊に取りつかれてるんですよ。
(崑一)まさか!そんなことがあるのか?おい!
(世奈子)弟の多摩留がストーカーになった揚げ句に放火殺人犯になってぼたんを殺し田園調布の家に火を付けて燃やしたことも何もかも承知の上であの女は小日向家に入りこんでるのよ。
富貴子が…。
あの富貴子が!?・
(ドアの開く音)
(世奈子)遅いじゃないの。
何もこんなときに身なりを構うことなんてないのよ。
普段着で駆け付けてくればいいじゃないの。
小日向家の一大事なんだから。
(眞澄)何が一大事なんです?
(眞澄)いったい富貴子がどうしたっていうんですか?
(世奈子)うんっ。
(世奈子)あんたひょっとして知ってたんじゃない?えっ?私が?
(世奈子)富貴子が多摩留の姉だってこと知りながら家に入れたんじゃない?でも姉といってもあの子は…。
(世奈子)養女だからってね赤ん坊のときからあの天ぷら屋にもらわれて弟と一緒に育ったんだから事実上の姉じゃないの。
小日向家を絶望のどん底に陥れた放火殺人犯多摩留の姉じゃないの!待ってくださいよ。
そんながんがん言われても私は…。
(世奈子)あなたはね自分が産んだ子だから富貴子がカワイイんでしょうけど親子で小日向家を乗っ取るつもりじゃなかったのかって疑われてもしかたがないのよ?乗っ取る?何を言ってるんですか?そんなこと言うから訳が分からなくなるんじゃないの。
(崑一)どうなんだ?眞澄。
お前本当に何も知らずに今まで?当たり前じゃないですかあなた。
富貴子が多摩留の姉だなんてそんなこと…。
そんなこと。
今の今まで…。
あなたたちが言うまで私は…。
それじゃ富貴子はお前にも知らさずに誰にも言わずにどえらい秘密を抱えたままで。
(世奈子)あちらの家が変なんじゃないの?弟が放火殺人を働いた家にわざわざ姉を行かせるなんて。
(崑一)そりゃそうだ。
天ぷら屋のあの養父母は全て承知しながら黙認したってことだから。
何か魂胆があるんじゃないのかしら?普通なら考えられないことだがね。
どうしてこんなことになるのよ?いくら何でもひどい。
ひど過ぎる!
(富貴子)えっ?アメリカから友達が?
(峰靖)知らせるのを忘れてたからちょっと耳に入れといた方がいいと思ってな。
(富貴子)どんな人たちなの?
(峰靖)中年の女2人だ。
なかなかいい身なりしてた。
・
(富貴子)そう。
(峰靖)別に用事はない。
それだけだ。
また顔見せにおいで。
(伊佐子)食べもしない天ぷら注文してさ。
「富貴子さんはこちらの養女なんですか?」なんて余計なことまで聞いて帰っちゃって。
何さ。
あのアメリカ帰り女が。
(富貴子)アメリカのそんな友達なんていないのに。
・
(美輪子)どうしたの?お姉ちゃま。
お客さまから文句でも言われたの?
(富貴子)いえ。
大したことじゃないの。
(美輪子)今日私夜誘われてるのよ。
ゼミの連中との食事会。
助教授が私を必ず呼べってご指名なんですって。
(富貴子)じゃあ行かなくちゃ。
(美輪子)クラブのホステスと間違えてないかしら?
(美輪子)私にワインをつがせてやに下がってるんだから先が思いやられるわ。
(富貴子)ゆっくりしてらっしゃい。
先に帰ってるから。
あっ。
美輪ちゃん。
何?秘密。
大丈夫ね?ええ。
ただいま。
美輪ちゃん遅くなるんですって。
そう。
色々お総菜買ってきたわ。
デパ地下で。
夕食はわざわざ作らなくてもいいくらいよ。
富貴子。
どうしたの?お母さん。
あなた一人で食べなさい。
私は食べたくないから。
おなかの具合でも悪いの?いいえ。
食欲がないだけ。
そう。
じゃあ残りは冷蔵庫に入れときます。
・
(ドアの開く音)あら。
パパ。
おかえりなさい。
お母さん。
食欲がないんですって。
こんなに早く帰ってらっしゃるんだったらパパと一緒に食べたらよかったわ。
夕食パパの分は取ってあるの。
すぐご用意します。
いいいい。
食べてきたからいい!じゃあ今から言うか?えっ?美輪子がいないんならちょうどいいじゃないか。
どうせあの子はここには置いとけない。
出ていくように言わねば。
待ってください。
あなた。
ちょっと待って。
富貴子に罪はないんですよ。
たまたま養女にもらわれた先に弟が生まれてそれが多摩留だったというだけで。
そんな運命の偶然あの子にだってどうしようもないじゃありませんか。
いや。
私は許せない。
虫も殺さぬような顔して黙っていたのが許せない。
きっと恐ろしくてとても自分の口からは言えなかったんです。
恐ろしけりゃこの屋敷に入ってこなきゃいいじゃないか。
言ってみりゃここは敵陣だよ。
腹に一物抱えながらあの子は敵陣に乗り込んできたんだよ。
美輪子が放さなかったからじゃないですか。
お姉ちゃまお姉ちゃまって。
しかしここはけじめだ。
断じて出てってもらう。
あなた。
姉妹の間を引き裂いたらどうなると思うんです?美輪子がショックを受けて大変な騒ぎになるわ。
私だって愁嘆場はごめんだよ。
しかしこのままにしておくわけにはいかない。
・富貴子。
こんなに早くどこへ?お母さん。
朝ご飯も食べずにどこ行くの?ウオーキングがてらカフェまで。
最近歩いてないので。
そう。
いってきます。
父さん。
おはよう。
・
(戸の開く音)パパ…。
パパと呼ぶのはやめた方がいいね。
お前はここの娘なんだから。
富貴子。
よくも私をだましてくれたね。
私だけじゃない。
眞澄も美輪子もお前はだまし続けたんだ。
いいえ…。
(崑一)がっかりしたよお前には。
両親を呼びなさい。
・
(峰靖)おっ。
おはよう。
しばらくだね。
吉田さん。
(峰靖)あっ。
いや。
これは…。
・
(伊佐子)富貴子が帰ってきたの?ああ…。
(崑一)ハハッ。
びっくりさせて悪かったね。
(伊佐子)富貴子。
どうしたのよ?どうしてこんな人を?
(崑一)フフッ。
私だってこんなところ二度と来たくなかった。
まあ立ったままじゃ話にならないから座らせてもらうよ。
(峰靖)何か富貴子にご不満なことがあるんでしょうか?ご不満だと?決まってるじゃないか。
こんないわく因縁のある家の娘を差し向けて。
何の魂胆があってそんなことする?魂胆なんかありませんよ。
お宅の美輪子さんとは姉妹なんだからしかたがないじゃないですか。
お互いの血が引かれ合ってるんだから。
それだけかね?他に何があるっていうんです?うちにとっても富貴子は大事な娘ですよ。
小日向家には近寄らない方がいい。
身元がバレたら大変なことになるからって何度も反対したんです。
でもねどうしても妹がかわいそうだから実母のところに帰るって言われりゃ養い親としては止めようがないんですよ。
そうなのか?富貴子。
それだけなのか?ええ。
申し訳ありません。
(伊佐子)何もあんたが謝ることないよ。
何一つ悪いことなんかしてないんだから。
(杉彦)帰れ。
帰れ!帰れ!
(伊佐子)本当はねあの事件だってうちの多摩留だけが悪いんじゃないんだ。
(伊佐子)お宅の美輪子ってわがまま娘が多摩留を誘惑した揚げ句に…。
(峰靖)よしなさい。
お宅がうちに恨みを持ってるのと同じくらい私たちだって恨んでますよ。
それだけは覚えといてくださいよ。
母さん。
お願い。
やめて。
言いたい放題言うんじゃない!どちらが被害者だと思ってんだ?
(杉彦)帰れ!帰れ!帰れ!
(崑一)うわ!?
(峰靖)やめろ!杉彦!
(杉彦)帰れ!帰れ!
(峰靖)やめなさい!
(杉彦)帰れ…。
(峰靖)杉彦!
(崑一)何なんだ?これは!
(峰靖)杉彦!すみません。
あっ。
富貴子。
お前はもうこのまま戻らなくていい。
えっ?荷物はこちらに送ってやる。
いいな?二度と小日向家の敷居をまたぐことはならん!美輪子とも二度と会うな!姉妹の縁を切ってもらう!分かったな!・
(杉彦)帰ったよ。
帰ったよ。
ハハハ。
(峰靖)富貴子。
大丈夫か?なるようになったんだ。
他にどうしようもないじゃないか。
お母さん…。
おばあちゃま。
来てたの?
(萌子)美輪ちゃん。
夕方からねお邪魔してたのよ。
おかしいのお母さん。
お姉ちゃまに連絡がつかないの。
そう。
どうしたのかしらねぇ。
今日は朝早く出たきりローズカフェにも出てこなくて。
予約のネイルアートのお客さまがぷんぷんして帰っちゃったわ。
昼間から何回かけてるか知れやしない。
もしかしたら綱輝さんと一緒かもしれないし。
綱輝さんにも連絡したわよ。
だけど今日は一度も電話はないって。
あっ。
じゃあどこか知り合いのところにでも…。
だって…。
じゃあ私もう寝ます。
(萌子)美輪ちゃん。
おやすみなさい。
(萌子)どうするのよ?眞澄。
美輪ちゃんかわいそうじゃないの。
崑一が怒り心頭で富貴子を追い出すの一点張りで。
どうしたらいいのか私にはもう…。
ねえ。
ちょっと。
もう一度筋道を立てて話してよ。
ああ。
どこまで話したのか…。
あのう。
崑一さんが粉まみれになって帰ってきたところまで。
そうなのよ。
びっくりしちゃった。
頭から天ぷらの小麦粉を掛けられたらしくって体中真っ白で。
ひどいわね。
向こうの親も。
もうあそこまでいったら駄目ね。
収拾がつかないわ。
かんかんになって出てったっきり帰ってきやしない。
じゃあ2人は?美輪子と富貴子は引き裂かれるの?もうしかたがないのよ。
崑一が憎んでるんだもの。
富貴子を。
やっぱり自分の子じゃないから。
でもかわいそうね。
2人とも。
もう何てかわいそうな子たちなのかしらホントに。
・・
(伊佐子)また美輪子からだよ。
あんた出なさいよ。
もう会えなくなったってはっきり言うしかないじゃないの。
・
(伊佐子)杉彦。
電話に出て閉店だって言いな。
・
(杉彦)閉店です。
閉店です。
お姉ちゃま…。
どうしちゃったの?・
(足音)・
(ノック)・
(ドアの開く音)美輪ちゃん。
(男性たち)おはようございます。
何なの?どうしたの?こちら側のものは全部運びだしてもらっていいですから。
(男性)ベッドもですか?いえ。
ベッドや机はいいの。
この辺りのこまごまとしたもの。
本も。
(男性)はい。
あと…。
こちら側の服やバッグも全部。
(男性)はい。
分かりました。
お願いします。
お母さん。
何なの?これは。
どういうことなの?パパがね富貴子を引っ越しさせるって聞かないのよ。
引っ越しですって?美輪ちゃん。
あなたはここにいない方がいいわ。
下へ行きましょう。
やめて!やめて!
(男性)ちょっと…。
邪魔しないでくださいよ。
美輪子。
行くのよ。
やだ。
何なの?ほら。
来なさい。
来なさい。
やめてよ!来なさい。
パパ。
いくら何でもひど過ぎるわ!どうしてそんな無慈悲なことをなさるのよ?
(崑一)落ち着きなさい美輪子。
パパだって富貴子を追い出すようなまねはしたくなかった。
しかしどうしてもここに置いておくわけにはいかない理由があるんだよ。
理由?理由って何よ!?恐ろしいことなんだよ。
これは。
お前にショックを与えたくないんだが。
言えばいいじゃないの。
早く!ねえ。
美輪子。
後でお母さんがちゃんと説明するから。
説明なんかしてくれなくたっていいわ。
どうせ富貴子が多摩留の姉だからでしょう?えっ?ぼたんを殺し田園調布の家を放火して死んだおぞましい宿敵。
多摩留のその姉吉田屋の養女がお姉ちゃまだから。
そうでしょう?それが理由なんでしょう?美輪子。
あなた知ってたの?私たちはただの姉妹じゃないのよ?牡丹と薔薇の姉妹なのよ。
そんなこと百も承知だわ!じゃあ富貴子があなたに?私とお姉ちゃま。
2人だけの誰にも知られてはならない秘密だったのに。
どうしてそっとしておいてくれないのよ?静かに見守ってくれないのよ?そうか。
知っていたのか。
(崑一)だったら話は早い。
パパとしても心を鬼にして富貴子を追い出すしかなかったんだよ。
パパ。
お姉ちゃまを許してあげてください。
それはできない。
お願いだから。
パパの広いお心で。
慈悲のお心で。
駄目だ!この家で富貴子にうろちょろされちゃ死んだぼたんの魂が浮かばれないじゃないか。
(崑一)いいかね?美輪子もあんな姉とは二度と会うな。
それだけはパパが許さない。
いいかね?パパは何にも分かってない!亡くなったぼたんの魂は富貴子に乗り移ってるのに。
私たちを引き裂くことなんて誰にもできやしないわ。
絶対に誰にも。
2016/01/20(水) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #34[字][デ]【修羅と化す父の怒り!!】
我慢の限界に達した富貴子(黛英里佳)は、美輪子(逢沢りな)をある場所へ連れ出す。美輪子にとっては忌まわしい思い出しかない場所。ついに美輪子に衝撃の事実を告げる!
詳細情報
番組内容
富貴子(黛英里佳)が、ぼたん(黛英里佳:一人二役)を殺害した多摩留(戸塚純貴)の姉だということが、世奈子(田中美奈子)によって崑一(岡田浩暉)と眞澄(伊藤かずえ)に知らされてしまう。天ぷら屋での一部始終を聞かせ、「言わんこっちゃない」と勝ち誇ったような顔を見せる世奈子。崑一は怒りに震え、眞澄は涙に暮れるしかなかった。
峰靖(安藤一夫)から、アメリカ時代の友人だと名乗る
番組内容2
二人連れの女性が現れたと聞かされても、さして気にも留めなかった富貴子だが、帰宅した家での眞澄や崑一の距離を置くような態度に、不穏なものを感じる。崑一は今すぐにでも、富貴子を家から追い出す気でいたのだが…。
翌日、富貴子は養父母の家を訪ねると、その場に崑一が冷たい顔で現れる。これから大変な事態が起こるに違いない…富貴子を恐怖にも似た不安が襲うのだった。
出演者
吉田富貴子:黛英里佳
小日向美輪子:逢沢りな
牧原世奈子:田中美奈子
小日向崑一:岡田浩暉
浅黄萌子:山口いづみ
瀬尾綱輝:片岡信和
・
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ)
【原作・脚本】
中島丈博
【演出】
西本淳一
【音楽】
中川幸太郎
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック)
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ)
大久保直実(ビデオフォーカス)
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス)
【制作著作】
ビデオフォーカス
【制作】
東海テレビ
ご案内
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【公式サイトURL】
http://tokai−tv.com/botabara/
【公式ツイッター】
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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