海上の安全保障
世界全体の海賊等事案発生状況

平成27年8月7日

 国際商業会議所(ICC)国際海事局(IMB)の報告によれば、世界全体の海賊等事案(注1)の発生状況は次のとおり。
 (注1)海賊等事案には公海上で発生したもの(海賊)及び領海内で発生したもの(武装強盗)の双方を含めている。

1 世界の海賊等事案発生件数(2004年~2014年)

 世界全体,及びソマリア沖・アデン湾,東南アジア,ギニア湾の各海域における海賊事案等の発生件数の推移は次の通りです。

  • 全世界の海賊等事案発生状況(IMB年次報告)

 また,世界全体,及びソマリア沖・アデン湾,東南アジア,ギニア湾の各海域におけるハイジャック事案の発生件数の推移は次のとおりです。

  • 全世界の海賊ハイジャック事案発生状況
(注)ソマリア沖: Gulf of Aden, Red Sea, Arabian Sea, Indian Ocean, Oman (注 Kenya, Tanzania, Mozambiqueは含まれない)
東南アジア: Indonesia, Malaysia, Malacca Straits, Myanmar, Philippines, Singapore Straits, Thailand (IMB統計のSouth East Asia該当国)
ギニア湾: Angola, Benin, Cameroon, Cape Verde, Congo, Equatorial Guinea, Gabon, Gambia, Ghana, Guinea, Guinea-Bissau, Ivory Coast, Liberia, Nigeria, Republic of the Congo, Sao Tome e Principe, Senegal, Sierra Leone, Togo(19か国)

 2014年における海賊等事案の件数及び構成比は次のとおりです。(出所:IMB)

  • 2014年海賊等事案構成比(件数及びシェア(%))
    2014年全世界件数:245件

2 2014年の概況

 2014年の全世界の海賊等事案件数245件(前年(264件)比7%減)。うちハイジャック事案は21件(前年(12件)比75%増加),乗り込み事案は183件(前年(202件)比9%減少),銃撃事案は13件(前年(22件)比41%減),未遂事件は28件(前年(28件)比±0%)となりました。

  • (1)ソマリア沖・アデン湾の海賊等事案件数11件(前年(15件)比27%減少)。うちハイジャック事案は0件(前年は2件),乗り込み事案は0件(前年は0件),銃撃事案は2件(前年は8件),未遂事件は9件(前年は5件)。
    減少の理由としては、次の3点が考えられます。
    • ア 各国海軍による海賊対処活動
    • イ 商船側における海賊被害防止等のためのマニュアルである「ベスト・マネジメント・プラクティス(BMP)」に基づく自衛措置の実施
    • ウ 危険海域における商船への武装警備員の乗船
  • (2)マラッカ・シンガポール海峡を含む東南アジアでの海賊等事案発生件数は141件で,前年(128件)比10%増加。うちハイジャック事案は15件(前年は3件),乗り込み事案は114件(前年は114件),未遂事案は10件(前年は11件)。
    なお、インドネシアでは100件発生し、同6件(6%)減少。
  • (3)ギニア湾海賊等事案の発生件数は41件で前年(51件)比20%減少。うちハイジャックは5件(前年は7件),乗り込み事案は22件(前年は23件),銃撃事案は8件(前年は14件),未遂事案は6件(前年は7件)。

3 2015年1~6月の概況

 2015年1~6月の全世界の海賊等事案件数は134件(前年同期(116件)比16%増)。うちハイジャックは13件(同+3件),乗り込み事案は106件(同+28件),銃撃事案は0件(同-7件),未遂事案は15件(同-6件)となりました。

  • (1)2015年1~6月の間、ソマリア沖海賊等事案は発生しませんでした。しかし、ソマリア海賊には依然として襲撃を実行する可能性と能力があると見られます。IMB海賊情報センター(PRC、Piracy Report Centre)は、商船のハイジャックが1回でも成功すれば、ソマリア海賊の海賊行為を再開させる熱意が呼び覚まされると考えており、商船の船主及び船長に油断しないよう注意を喚起しています。
  • (2)東南アジアの海賊等事案件数は79件(前年同期比+14件)。そのうち、ハイジャックは11件(同+5件)、乗り込み事案は61件(同+10件)、未遂事案は7件(同±0件)、銃撃は0件(同-1件)となりました。
     2015年4~6月の間、東南アジアでは小型タンカー5隻がハイジャックされました。東南アジアの海賊等事案の大部分は軽度の武装強盗ですが,同海域では2週間に1隻の頻度で小型タンカーがハイジャックされる傾向が続いています。2015年1~6月の世界全体のハイジャック件数13件のうち11件は東南アジアでした。
     なお,発生場所ではインドネシアが54件(同+7件),マレーシアが11件(同+2件),マラッカ・シンガポール海峡は9件(同+2件)。
  • (3)ギニア湾海賊等事案の発生件数は21件(前年同期比-2件)。そのうちハイジャック事案は2件(同-2件),乗り込み事案は13件(同+2件),未遂事案は6件(同+1件),銃撃事案は0件(同-3件)となりました。

関連リンク

Get Adobe Reader(別窓が開きます) Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。

このページのトップへ戻る
海上の安全保障へ戻る