「きょうの健康」今週のテーマは「睡眠の悩みこれで解決」です。
今日も昨日に続いて漫画家の江川達也さんがご一緒です。
お願い致します。
お願いします。
まずライナップからご紹介します。
今日は4日目です。
「高齢者の不眠対策」です。
高齢になりますと朝の目覚めが早すぎるなどの悩みが増えてまいります。
その理由や対策を伺います。
お話は…睡眠のスペシャリストとして診療と研究に当たっていらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
江川さんは10代20代の頃と比べてご自分の睡眠何か変わったという点ありますか?何かどころかもう昔はいくら寝ても大丈夫だったんですよ。
平均がね12時間ぐらい寝てたんですけど。
最近年取って4時間ぐらいで目が覚めちゃうというか。
中にはこの睡眠年齢とともに短くなったり浅くなったりっていろんな変化が起きてその事で大変日中困ってらっしゃる方がおられます。
今日はそういう方のためにですねそういう睡眠の年齢による特徴を知って解決の糸口にして頂こうというねらいです。
よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
高齢の方の睡眠の特徴を見ていきたいと思います。
このAさんは70代の男性で退職してしばらくたちますので夜の9時ころになるとちょっともうやる事がないなという事で早めに寝床に横になられます。
寝つきはちょっとかかるんですがなんとか寝ついても夜中に何回も目が覚めてしまってトイレに行く度になかなか二度寝ができないと。
朝4時になると目が覚めてしまって夜が明けるまでのその2〜3時間とても苦しい思いをされていて受診されました。
昼間は昼間で今度逆にかなり眠気があってうたた寝をよくしてしまうと。
こういう方です。
どうしてこういう特徴が起こってくるんでしょうか?そもそもお年を召してくると体もあまり使わなくなります。
それからやはり社会生活もそんなに…平たく言えば頭もそんな使わない。
エネルギー消費量が落ちてくるので必要とする睡眠時間が短くなってしまうというのはこれは避け難い現象の一つです。
実際に脳波上ですねどのくらい正味眠れるのか。
それをその寝やすい環境で過ごして頂いて測定した結果がですねここに載ってあります。
いわゆる8時間睡眠とれるというのはやっぱり10代くらいまでで20代以降はあくまでも平均ですけれどもどんどん8時間を切って先ほどの70代のAさんのような年代になるとですね正味の睡眠時間って6時間を切ってしまうんですね。
一方で寝床に入ってる時間は国内で私たちが調査した結果ですがこの大体寝る時間と寝床にいる時間が一致してるのは20代くらいでそれ以降はだんだん差が開いてきて特にリタイア世代になってくる60代以降になってくると早い時間帯から寝床に入るので正味の睡眠時間減ってるのに寝床の時間はもうど〜んと増えてしまって。
これ寝床で何やってんですか。
いろいろですがテレビをつけて寝落ちするまでぼんやり見てるとか。
ラジオ聴いたり本を読んだりしてる方もおられます。
寝ながら…。
そうです。
中にはもういつ眠れるのかと思って歯がみしながら苦しい時間を過ごしておられる方も…。
笑い事じゃないね。
それは…苦しいんですよね。
次にですねこの睡眠時間が短くなるだけではなくて眠りが浅くなってしまうのも一つの特徴です。
これは若い人の脳波で測った睡眠の深さを示したものですがこの方は寝てからちょうど測定を開始して8時間後の睡眠まで書いてあります。
これは下に行くほど深く寝てるという事になります。
そうするとこれ水色で示したノンレム睡眠というのと。
これは主に脳が休んでる時間帯ですがこのような睡眠とそれから脳が比較的活発なレム睡眠。
これは主に夢を見る睡眠ですが若い人の場合にはとりわけこの眠りの初めの3時間くらいでこの緑で示した深い睡眠がですね比較的まとまって出てくると。
ところが高齢になってくるとですねこのように深い睡眠が激減してしまいます。
とれてないですね何かね。
深い睡眠で。
ここに黄色で示してありますけれども浅い眠りがやっぱり増えてきますのでこの途中の目覚めがかなり出てくるんですね。
健康であっても年を取るともうこうなっちゃうって事ですか。
そうです。
白髪とか老眼とかと同じようにですねある種の避け難い加齢変化といわれてます。
問題なのはこのような眠りの変化と一緒に日中に体調不良が出てくるかどうかというところが治療が必要かどうかの一番の境目になります。
じゃあ年取っても深くなくても健康でうまくいけば問題ない…。
そういう事ですね。
Aさんの場合にはこういう眠りの変化でまず朝の目覚めが非常に早くて苦しい。
それから夜中に何回も目が覚めて熟眠感がなくて寝た気がしない。
体が休まってないという事でした。
それに対してですね対策としては…朝の光を避けるについてもう少しご説明をしたいと思います。
日中の光というのは睡眠のリズムにとても大きな影響を及ぼします。
この光の浴び方もだけど時間帯によって効果がだいぶ違いまして。
朝7時に起きている方のケースです。
朝起きてから直後の数時間6〜7時間くらいの間に太陽光のような明るい光を浴びるとですねその翌日に睡眠が朝型…早寝早起き型に巻き戻ります。
一方それを越えて夕方以降は逆に夜型を強くしてしまう光になります。
Aさんの場合には実は朝起きてからやる事がないので。
あっ散歩しちゃう…。
犬の散歩を主に朝にやって光を浴びてしまうので…悪循環にはまりやすかったという事です。
ですからこういう場合にはですねこの散歩の時間帯を別の時間帯に変えて頂くと。
どうしても出なきゃいけない場合にはサングラスをしてもしくは帽子をかなり目深にかぶると目に直接入ってくる光が少なくなりますので。
実際光というのは体に浴びるんじゃなくてやっぱ目から入るって事なんですね。
そのとおりです。
家の中でも窓辺なんかだと思いの外強い光が目に入ってきますので窓辺から1〜2メートルくらい内側に入って本なりテレビなり見て頂くという事でその朝型になる早朝覚醒を悪化させるような光はだいぶ防ぐ事ができます。
なるほど。
次にですね睡眠にメリハリをつけるという事をご説明したいと思いますがこのAさんの場合はですね日中にかなり眠ってしまってたと。
高齢の方はですね昼間のウトウトが増えてしまうというのが一つ。
大体ねよく見かけますからね。
昼間。
でも…何か幸せそうな感じしますけどね。
ちょっと邪魔するのは心苦しいところもあるんですが。
深く寝れなかったらやっぱり自分で不調だったら治さないと。
そうですね。
ご本人がやっぱりね…。
具体的な対策なんですが一つは早めの昼寝というのを提案しました。
できれば昼寝は避けて頂きたいんですがやはり日中に眠くて苦しくなる方がおられますのでその時にはできるだけ早い時間帯にして頂くと。
これなぜ早い時間帯でなきゃいけないかご存じですか?えっ早めにする…。
早くしないで遅めにしちゃうとまた次の日寝れなくなるって事…。
まさにそのとおりですね。
おんなじ時間寝るんであれば夕方よりは…。
前倒しって事…。
お昼過ぎよりは午前中の二度寝の方が夜に響かないというふうにいわれています。
今度長さなんですけれどもできれば30分以内というのも…。
長く寝ちゃいけないんですね。
はい。
これも同じような理由で30分以上寝ると昼間でも結構深い眠りまでいってしまう方がいらっしゃるんですね。
そうするとてきめんに…。
また夜眠れなくなっちゃう。
ですからコンパクトな昼寝をできるだけ早い時間帯にとってしまうと。
その時に寝る直前にですねコーヒーやお茶などカフェインが入ってるものをお好きであれば直前に飲んでから昼寝をすると。
飲んだら寝れなくならないですか?逆に。
そうですよね。
ねえ。
飲んだあとにカフェインが体に回って目覚め効果を出してくるのは20分から30分くらいかかるんですね。
タイムラグが30分あるから眠いなと思ったらコーヒー飲んですぐ寝たらちょうど30分後に目覚まし代わりにコーヒーが効いてくる。
次に遅めの外出をして頂いたという事で夕方の光をうまく活用するという事なんですね。
グラフ見るとね。
意外でしたよあそこで。
夕方の光が実は夜型にしてるというのにちょっと自分の中で新鮮な知識だなと…。
強い光なのか弱い光なのかで違うって事ですよね。
散歩で浴びるような太陽の光だとかで十分な効果があります。
Aさんの場合はその効果も兼ねてですね犬の散歩を朝から夕方に変えてもらったんですけれども実際に体を動かすと先ほどのしばしばとっていた居眠りも防ぐ効果があるという事で「一石二鳥」だという事ですね。
なるほどね。
そして今度は3つ目眠くなるまで寝床に入らない。
Aさんの場合9時ころに寝床に入って朝まで9時間くらいいる訳ですけれども先にもお話ししたとおりそんなに長く眠れる高齢者の方は本当ごく僅かなんですね。
また9時という時間帯はですねいくら高齢者の方が早寝早起き型に若い頃から比べれば早寝早起きになるといってもまだ本当の意味でいい睡眠をとるための体のコンディションがまだできてない時間帯なんですね。
ですからウトウトっとしたとしても途中ですぐに目が覚めてしまう。
なかなか質のいい眠りがとれないという事も分かってます。
無駄な寝る努力をするんじゃなくて少し頑張って起きてコンパクトに寝て下さいという事ですね。
時刻で言うとやっぱり10時半とかですねそれ以降にやっぱり本当の意味での眠るコンディションができてくると…。
10時半ぐらいでいいって事ですね。
個人差がありますけれども平均で言うとそういう…。
無理に早く寝なくていいという…。
Aさんの場合はその後どうなったんですか?最終的にはですね11時くらいに寝床に入ってそうすると寝つきもかなりよくて朝は日によって違いますけど5時から6時くらいの間に起きると。
別に睡眠時間がすごく伸びた訳じゃないんですけどもコンパクトに眠れるようになって夜中の目覚め回数も少なくなってですね非常に熟眠感が出てきたのとそれから何よりも眠れるか眠れないかという不安感がかなり減って非常に日中の気分もよくなって今は元気にしておられます。
なかなか対策をしてもね朝早く起きてしまう。
あるいは夜もですね夜中何度も起きてしまう。
そういう人はいらっしゃると思うんですね苦しくて。
どうしたらいいんでしょう?このような寝方を工夫するというのはまず基本的にどんな方でもやって頂かなきゃいけないんですがそれでも足りない場合はですねやはり睡眠薬を一時的にでも活用するというのが有効だと思います。
高齢の方ではベンゾジアゼピン系の睡眠薬あまりすすめられていないんですけど最近は安全性の高い薬剤も出てまいりました。
睡眠薬をのんだ時に服用直後のふらつきとか転倒とかひどい時にはそれで骨折をしたりとかいう事が問題になっている訳なんですけれどもこのような副作用危険を避けるためにもですね服用したら余計な事をしないですぐに寝る。
逆に言うときちっと眠れる時間帯になってから服用する。
夜中にトイレに行かなきゃいけない時でも例えば照明を一旦きちんとつけるとか壁沿いにきちんと手を添えながら歩くとか。
そのような方法でこの睡眠薬のリスクを減らして頂ければ薬物療法も安全に受けて頂けると思います。
どんな感想をお持ちでいらっしゃいました?光を浴びさせる浴びるというその時期をねうまく考えるとやっぱ睡眠時間って自由にコントロールできるんだなってすごい…なるほどって思いましたね。
睡眠って毎日の事ですし夜だけじゃないんですね。
とにかく日中に非常に大きな影響をもたらすものですので何か年のせいだからとか薬のむのが嫌だとかそういう事で諦めるんじゃなくてやっぱりいろいろ工夫をして生活習慣の改善もそうですけどもどうしても必要な時には一時的にでもお薬を利用するなりしてやっぱり質のいい睡眠を確保して頂きたいなと思います。
本当どうもありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
2016/01/21(木) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 睡眠の悩み これで解決「高齢者の不眠対策」[解][字]
高齢者は睡眠時間が短く眠りも浅くなる。夜中に何度も目覚め、起きるのが早すぎてつらいと感じる。散歩は朝でなく夕方に、眠くなるまでは寝床に入らないなどの対策を紹介。
詳細情報
番組内容
高齢者は必要な睡眠時間が短くなり眠りも浅くなる。そのため夜中に何度も目が覚め、朝の目覚めは早くなる。日中うとうとすることも多い。この状態がつらいと感じる人は対策が必要。朝の光を浴びると目覚めはますます早くなるので、朝の散歩などは避ける。午後は外出して光を浴びれば、目覚めの時刻を遅くできる。夜は眠くなるまで寝床に入らない。日中どうしても眠ければ30分以内の昼寝を午前か、午後の早い時間にとる。
出演者
【ゲスト】漫画家…江川達也,【講師】国立精神・神経医療研究センター部長…三島和夫,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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