『Unforgettable』
(大河内春樹)陣川警部補に何が起こったのかあなたにもお伺いしたいんですが。
(杉下右京)叶わなかった恋を思うとコーヒー豆を噛み潰した時のような苦みが広がる…。
冠城くんはそう表現していました。
(大河内)冠城氏ではなく陣川の話を聞きたいんですが…。
法務省から出向中のあなたに警視庁の問題で聴取を行うのは心苦しいのですが…。
(冠城亘)僕にも責任ありますから。
(大河内)あなたは陣川警部補の相談を受けていたと聞きました。
ええ。
陣川さんに出会った時にはもう…。
(冠城の声)始まっていたんです。
(瀬山圭子)ううっ…!
(殴る音)
(芹沢慶二)被害女性の顔の切られ方…また5年前の事件と共通してます。
(伊丹憲一)ああ…。
(ため息)
(伊丹)奴が復活した。
(角田六郎)おい暇か?暇っちゃあ暇ですけどもね。
右京さんこれ気になりません?息を潜めていた連続切り裂き犯が犯行を再開したようですねぇ。
「息を潜めてた」ってどこに書いてあるんですか?
(角田)まあマスコミには伏せてるからね。
5年前の事件と似てるなんて事は。
そういう事ですか。
女性の顔を切り裂くなんて完全に猟奇殺人ですね。
5年前4人を殺した連続殺人犯にもかかわらず逮捕出来なかった。
そしてまた似たような被害者が出た。
一課の連中はカッカきてるよ。
変に首突っ込むといつも以上にもめるぞ。
もしも同一犯だとするとこの5年の沈黙と再開は何を意味するのでしょうねぇ。
だから首を突っ込むなって。
もちろん捜査は一課にお任せしますよ。
事件のほうからやってこない限りは。
そんな事言ってると事件のほうからやって来ますよ。
本当にもう…。
なあ。
本当に不吉な男だからね。
はい?ヘヘヘヘヘ…。
あれ?何やってんだ?あいつ。
(陣川公平)すごい美味しいですから。
誰ですか?ああ…。
(角田)陣川公平。
警視庁にはね関わらないほうがいい人間が何人かいるがそのうちの一人だ。
過去の例にならうと君の事を後輩扱いするかもしれませんよ。
完全にキャラ被ってますね。
お久しぶりです杉下さん。
陣川くんもしかしてこの件ですか?えっどうしてですか?君が興味を持ちそうな未解決事件だと思ったのですが。
今僕それどころじゃないんですよ。
コーヒーいかがでしょう?いや僕は結構。
いやいや俺はこれ飲んでるから…。
あっ…じゃあ僕が…。
ああ…どうぞ。
あっ…。
エチオピアですね。
あなたは…?法務省から出向中の冠城です。
特命係に居候させてもらってます。
先輩面するぞ。
冠城先輩!僕に力を与えてください。
…勝った。
やっぱりこれは運命だな。
運命ってなんですか?だってこのタイミングで先輩みたいなコーヒー通に出会えるなんて…。
それに先輩モテそうじゃないですか。
まあ否定はしませんけど結構モテますよ。
やっぱり。
いや僕の周りは恋愛に関しては役に立たない人ばかりで。
私に任せなさい。
よろしくお願いします。
この店です。
彼女が?
(矢島さゆみ)あっこんにちは。
先輩先輩先輩。
どうも。
(大河内)コーヒー店経営矢島さゆみ…。
陣川くんは彼女に恋をしていました。
もっとも思い込みの激しい彼にとって片思いは珍しい事ではありません。
いつもの事だと思っていたのですが…。
出勤時や休憩時間に1杯のコーヒーを買う。
その時コーヒーをいれてくれる女性の笑顔が男にとって癒やしになり転じて恋をしてしまう事は珍しい事ではありません。
どこにでも転がっている恋のはずだったんですが…。
(さゆみ)お待たせしました。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
(ドアベル)
(ため息)今の子香水のにおいきつすぎ!鼻がおかしくなるよね!
(せき込み)いきなり口悪くないっすか?においに敏感なだけですよ。
口は悪くないです。
ねっ陣川さん。
ええ。
さゆみさんは事実を言ってるだけだと思いますよ。
あの…陣川さんはどうしてこの店を知ったんですか?あっ…それ聞いちゃいます?ええお願いします。
あの日仕事でヘマをして落ち込んで歩いていました。
あっあっ…!
(陣川の声)いい歳こいて道で転んで…。
なんかこのまま消えちゃいたいなって思いながら空を見上げてたんです。
そしたらさゆみさんが声をかけてくれて。
コーヒーを飲んで温まっていきませんか?って。
ねっ?さゆみさんはどうしてわざわざ陣川さんに話しかけたんですか?ちょうどお客さんいなかったし。
えっ?フフフ…。
子どもの頃雨の中に捨てられた子犬を思い出して…。
私は拾いたかったけど親に反対されてそのままにしていたら保健所に連れて行かれたって。
その事がずっと胸に残っていて…。
今度捨てられてる犬を見つけたら絶対拾おうって心に決めていたんです。
なんという優しさ。
陣川さんは犬ですか?
(さゆみ)いらっしゃいませ。
持ち帰りで。
(さゆみ)どのコーヒーにしますか?あの時飲んだコーヒー夢のような香りがしました。
人生で一番美味しかったなあ。
きっと彼女のコーヒーの香りを嗅ぐ度にその時の思い出がよみがえります。
記憶と香りは密接な関係があるそうですから。
へえ。
ねっ。
(小銭が落ちる音)
(さゆみ)あっ大丈夫ですか?ねえ先輩。
さゆみさんって何ゆえあんなかわいいんでしょうか?知りませんよ。
さゆみさんほくろとか超かわいいっすよね。
右京さんなんとかしてくださいよ本当に…。
君先輩でしょう。
いや先輩じゃないですって。
先輩。
僕さゆみんと結婚します。
まだ付き合ってもないですよね?…っす。
デートも行ってないですよね?です。
じゃあ今度幸子さん入れて4人で飯でも行きますか。
いいやんいいやん!めっちゃいいそれ!
(月本幸子)私は関わらないほうがいいと思いますけど…。
いいじゃないっすか。
さっちゃんも一緒に幸せになりましょうよ。
僕が幸せにします!君言う相手を間違えてますよ。
いいじゃないっすかもう…。
杉さんかぶちゃんって。
ヘヘヘ…。
みんなで幸せになりましょうよ〜。
ベタ惚れですね。
ちなみにどんな女性なんですか?美人ですよ。
高めのヒールを履きこなして脚がとてもきれいです。
よく見てますねぇ。
ちゃゆ〜。
我々で送りましょう。
ええ…?はい着きましたよ。
ああ着いちゃった着いちゃった。
ヘヘヘ…。
よいしょ。
あざーっす先輩。
なんですか?これ。
陣川くんは普段は捜査一課1係で経理を担当しているのですが刑事に憧れて未解決事件の解決にただならぬ執念を持っていましてねぇ。
これら指名手配犯の情報は全て頭にインプットされています。
じゃあ指名手配犯鹿沼雄太は?おっ鹿沼雄太!牛込夫婦強盗殺人事件の被疑者。
現在47歳。
身長176センチ。
後頭部にバカでかいイボがある。
検索エンジンみたいですね。
イボに関しては逃亡中に除去手術を行った可能性あり。
あっその事は僕は知りませんでしたねぇ。
僕が勝手に調べた情報ですから。
大した熱意ですねぇ君は。
いやあ…。
でもこんなもんもうどうだっていいやもう…。
どうしたんですか?どうせ僕はいつまで経っても刑事になれないし。
警察辞めて僕さゆみさんと喫茶店やりますよ。
まあ陣川さんの妄想ですけどもね。
経理なら僕得意だし…。
あっ!紅茶置きますから杉さんも来てください。
いらっしゃいませ〜!っつって…。
(大河内)陣川警部補は結婚を考えていたんですね。
ええ。
しかしまだそんな段階ではありませんでした。
いきなりプロポーズするのはやめろとアドバイスしました。
いつも陣川くんは被疑者に恋をしていました。
しかし今回のケースはそうではない。
心配はないだろうと高をくくっていたんです。
僕とした事が…。
あなたも人間です。
全てを見通せるわけではない。
そうかもしれません。
しかしあの夜の出来事だけはどうにかして止められはしなかったかと思わずにはいられません。
(殴る音)さゆみさん?さゆみさん…。
(陣川)さゆみさん。
さゆみさん!あっ…!はあ…これで3人目か…。
第一発見者が陣川警部補とはな。
(伊丹)しかも知り合いって…。
どうも。
矢島さゆみさん?そうですけど?僕は陣川さんとよくこの店に来てて…。
じゃあのちほど話聞かせてください。
例の切り裂き犯ですか?警部殿。
これは我々のヤマですからお引き取りください。
そうですか。
ではひとつだけ…。
申し訳ありませんが…。
(米沢守)5年前に4件。
そして今回新たに3件。
(米沢)同一犯による連続殺人の可能性が高いと見ています。
全員ストレートのセミロング。
被害女性のルックスに共通点があるわけですね。
殺害方法にも共通点があります。
女性の顔面を殴りつけて殺したあと鋭利な刃物で切りつける。
例えばこのように…。
うっ…。
一課は殺害の詳細をマスコミに流していません。
恐らく模倣犯ではなく同一犯でしょう。
しかし5年前との違いもあります。
かつては売春婦を狙っていましたが今回は一般人を対象にしています。
同一犯だったとしてもなんらかの変化を感じますねぇ。
陣川さんはさゆみさんの遺体を見てしまったわけですね。
第一発見者ですからね。
冠城くん陣川くんに電話してもらえますか?はい。
陣川さんも事件の情報を聞きに来ました。
(呼び出し音)出ませんね。
ちょっと心配ですね…。
(チャイム)
(携帯電話の振動音)杉下です。
陣川さんの携帯を拾ったという人から電話がありました。
長距離トラックの荷台にあったそうです。
本人の行方は不明です。
わかりました。
もしかして陣川さんは自分で逮捕するつもりでしょうか?それだけならば僕に相談したでしょう。
恐らく陣川くんは僕に気づかれる事を見越して時間稼ぎのためにスマートフォンをトラックの荷台に乗せた。
つまり?陣川くんは犯人に復讐するつもりです。
この男性が訪ねては来ませんでしたか?
(矢島絵里)いえ。
別の警察の方なら先ほど来られましたけど。
彼は陣川といって僕もよく一緒にさゆみさんの店に行ってたんですが…。
さゆみさんからなんか聞いてません?陣川さんですか…?特には。
仲がいいお客さんがいるとかそういう事は?いえ…。
妹はあんな子でしたので男性のお客さんと仲良くなる事は珍しくなかったみたいで…。
(伊丹)今まで無関係に見えた3人の被害者に共通点を見つけました。
5年前矢島さゆみさんがアルバイトをしていた喫茶店です。
(伊丹)第一の被害者瀬山圭子さんはこの店に通い翻訳作業をしていた事がわかりました。
第二の被害者中里薫さんは5年前この店付近の会社に勤務しており仕事の打ち合わせなどでここをよく利用していたそうです。
(伊丹)犯人は5年前この店で被害者女性3人を見ていた可能性が高いと思われます。
聞き込みの結果一人の男が浮上しました。
(伊丹)北一幸38歳司法書士を任意同行します。
ああそういえば入る時にも気になっていたのですがこのにおいは殺虫剤か何かでしょうか?あああの…カメムシが冬を越すのに家に入ってしまって。
さゆみが神経質になって毎日スプレーをまくようにって。
さゆみさんはカメムシの悪臭なんかたまんなかったでしょうね。
ええ。
妹はにおいにはうるさくて。
害虫駆除業者さんを呼んだんです。
そうでしたか。
あっ…。
なんでしょう?作業員の方の一人が足が汚れててにおいがきつくて…。
(絵里)さゆみはその人が家で作業する事を嫌がってクレームまで入れたんですよ。
念のためにその害虫駆除業者を教えて頂けますか?
(チャイム)
(チャイム)うおっ!
(北一幸)遅かったですね刑事さん。
(野田)ちょっと待ってください…ああこれだこれだ。
(野田)えー…こいつは足のにおいの事があってからすぐに辞めました。
クビ…ですか?
(野田)いやいやそんな事でクビにはしませんが…バカにした従業員を殴りましてね。
それを問題にしたら来なくなっちゃいました。
履歴書に顔写真がありませんねぇ。
(野田)履歴書もデタラメでしょう。
漫画喫茶で寝泊まりしているって言ってたし名前も偽名かもしれません。
よくそんな人を雇いますね。
いやいや…こっちも急に人に辞められて困ってて貼り紙しといたんですよ。
そしたらあいつがやって来て。
土下座までするんですよ。
彼なりに何か事情があったのかもしれませんねぇ。
あっ彼が作業をした現場のリストを頂けますか?ああ…ちょっと待ってください。
(携帯電話の振動音)杉下です。
例の連続殺人犯が逮捕されました。
(伊丹)なぜ5年の間を空けて犯行を再開した?体を壊しましてね闘病生活をしていました。
一度は治ったはずが再発して余命2カ月と言われました。
(芹沢)それが殺人となんの関係があるんだよ?最後にやりたい事をやって死のう。
そう思ったんです。
(北)「5年前は殺しても足がつかない女性を狙った」「だから売春婦が対象になった」「でも今回は本当に殺したい女性を狙ったんです」
(伊丹)「それが喫茶店で見かけた女性たちか?」そのとおり。
当時私はあの店で資格の勉強をしていましてね。
彼女たちの美しい顔が唯一の慰みだった。
それで尾行したりSNSで検索して情報を調べたりしたわけか。
死を前にして忘れがたいのは彼女たちの顔でした。
殺せば逮捕のリスクが伴う。
しかしやらない後悔よりやってから後悔したほうがいいと言うでしょ?合計7人の殺害を認めるんだな?ええ。
矢島さゆみさんが害虫駆除業者と少しもめていたという情報があるのですが…。
北の自供は取れてます。
現場には北の指紋も残されてましたから。
他の被害者の現場に指紋は残っていましたか?いえ指紋が残っていたのは矢島さゆみさんの現場だけです。
それが逮捕の決め手というわけですね?そういう事です。
行くぞ。
はい。
右京さんは何か違和感があると?ええ。
伊丹さんも同じだと思いますよ。
(中園照生)マスコミ発表を待てだと?
(伊丹)ええ。
(中園)お前の手柄だろう。
自信持て!大々的に発表してやる。
先輩何か気になるわけですか?北の往生際がよすぎる気がしてな…。
(ため息)
(陣川)奴だ…。
(マウスのクリック音)彼ですね。
あれ?どうしました?僕が飲んでるコーヒーさゆみさんの挽いた豆なんですけども。
ええ。
それで?僕はコーヒーの香りと一緒にその場の画像が記憶に残ってしまう体になってます。
ほう!うさんくさいですなあ。
…とはいえ五感の中で嗅覚だけが脳内の記憶を司る海馬に直接信号を送る事が出来る。
嗅覚と記憶の密接な関係を考えればない話ではありませんな。
説明どうも。
僕が初めてさゆみさんの店でコーヒーを飲んだ時この男が客としていました。
2人はどんな感じでした?ただの客として接してたはずです。
だとすればそれが問題です。
彼女に悪意がなかったとしても足のにおいをとがめられるのは屈辱的な事でしょう。
しかも彼はそれをきっかけに土下座までして得た職を失っています。
彼にとって彼女は忘れがたい相手と言えるでしょう。
にもかかわらず相手が自分の事を忘れていたら…?恨んでもおかしくない。
ええ。
米沢さん拡大してもらえますか?わかりました。
これ…。
ここ整形手術の痕じゃありませんかね?
(米沢)ええその可能性はありますね。
指名手配犯生木拓のデータを。
(米沢)わかりました。
生木は2年前男性1人を殺害後逃亡しました。
似てますね。
陣川くんの頭には指名手配犯のデータが完璧に記憶されています。
店で見た男の顔と生木の類似点に僕よりも早く気づいたはずです。
生木を捜して自分で片を付けるつもりですかね…。
行きましょう。
はい。
陣川さんの純粋さと能力が裏目に出ましたね。
2年前生木は漁船を乗り継いで無人島へ脱出したという情報があります。
今回もまた同じ方法で逃げる可能性が高い。
陣川さんは当然その逃走ルートを把握しているって事ですね。
そのとおりです。
急ぎましょう。
生木があの事件と関係あるんですか?わからねえ。
わからねえから調べるんだ。
(芹沢)特命の情報信じるんですね。
メンツより真相のほうが重要だろう。
どっちにしろ指名手配犯だ。
追う必要がある。
漁船を斡旋するブローカーを当たりましょう。
はい。
(陣川)ある荷物の行き先を教えてほしい。
あ?何言ってんだ?お前。
うちはDVD屋だよ。
とぼけるな。
潰すぞ!
(宮沢彩花)ああ…生木ってこんな顔でしたね。
生木から最近連絡などはありませんでしたか?
(彩花)あるわけないでしょう。
あなたが弁当屋でパートしてた時客だった生木は片思いが昂じてストーカーになった。
ストーキング中にあなたが恋人の男性に殴られている姿を目撃。
助けに入った生木は男性を殺害した。
ええ。
いい迷惑でしたよ。
もういいですか?本当にすみません。
あの…なんでもいいんです。
何か最近変わった事とかなかったですかねえ?ここ3カ月くらいたまに郵便受けにお金の入った封筒が置いてありました。
誰からかわからないけど…。
そのお金ありますか?証拠として…。
使っちゃいました。
えっ!?別にいいじゃないですか…。
私シングルマザーでパートだけでやっていくの大変なんです。
生木かもしれませんね。
この男性が漁船の手配を頼みに来ませんでしたか?ああ。
さっきも刑事さんが聞きに来たけど。
来たんですね?
(風の音)
(物音)
(足音)
(生木拓)漁船の人?お前が殺したのか?ああーっ!ああーっ!
(生木)ううっ…。
やめなさい!離せ…離せ!陣川さん。
指名手配犯の生木拓ですね?宮沢彩花さんのポストに匿名でお金を入れていたのもあなたですね?2年前の殺人事件のあと逃亡を続けていたあなたが整形までして東京に戻ってきたのは彼女のためですか?…ああ。
それが…それがどうした!俺はこんな男だからまともに女に相手にされる事はない…。
ちょっと優しく笑ってくれた弁当屋の女に惚れて指名手配犯にまでなっちまった…。
でも俺にはそれが全てだ。
逃亡中も忘れられず彩花のSNSをチェックしてた。
それで生活に困ってるのが心配になってね。
すごい執着だな。
笑えよ色男。
彼女の生活を支えるためにあなたは戻ってきた。
しかし逃亡中のあなたが仕事を探すのは困難を極めたでしょう。
そんな中経歴をごまかしたまま土下座までして得たのが害虫駆除の仕事だったんですね。
ああそうだ。
やっと働き出して彩花にも金をいくらか送れるようになった。
俺なりに人生やり直せる…そんな気がしてたんだ。
それをあの女…。
矢島さゆみさんは足のにおいについてクレームを入れた。
それがきっかけであなたは仕事を失った。
(陣川)まさか…そんな事で彼女を殺したのか?あの女は…俺を害虫みたいに扱ったんだ。
(生木の声)俺は偶然コーヒー屋で働くあの女を見かけた。
いらっしゃいませ。
持ち帰りで。
どのコーヒーにしますか?本日のドリップコーヒー。
今日のドリップは香りが深くて美味しいですよ。
(生木の声)何が香りが深いだ…。
たかが足のにおいで人の人生狂わせやがって。
自分にとって忘れがたい行いをした相手が自分の事を全く覚えていない。
元来カッとなりやすい性格のあなたはその事に腹を立てたのでしょう。
ああ。
だから彼女を殺したのか?
(生木)俺は閉店のタイミングを狙って裏口から侵入した。
これが痛みだ。
バカ野郎!
(生木の声)俺は一発食らわせてやるつもりだけだったんだよ。
殺すつもりなどなかったと言うのですか?実際そうなんだよ。
俺の人生いつも悪いほうにばっか転がっちまうんだ。
殺す!矢島さゆみさん殺害犯は生木拓。
北一幸ではなかった。
じゃあ一体なんで北は…。
そうですか…。
彼は逮捕されましたか。
(伊丹)どういう関係なんだ?共犯者か?犯罪と恋愛は似ている。
出会いを偶然と取るか運命と取るか。
(芹沢)おい…もったいつけずに話せよ。
(北の声)あの日私は矢島さゆみを殺そうと店を訪ねた。
すると彼がいた。
(北の声)2人の男が1人の女の死体の前で出会った。
私と同じにおいのする男がそこにいた。
同じにおい…?生きているだけで存在自体が嫌われる。
そういう害虫みたいな人間もいる。
彼や私がそうだ。
北はあなたになんらかのシンパシーを覚えたのかもしれませんね。
やったのは私だ。
2人だけの秘密だよ。
いいのか?君は生き延びろ。
ありがとう…!
(北の声)彼と同類の私だからこそ助ける事が出来るのではないかと思った。
今まで自分の欲望のままに罪を重ねてきたが死ぬ前に人助けが出来るのではないか…。
そんな理屈で自分の犯行に見せかけるために矢島さんの顔をナイフで切ったのか!?自分の欲望のためでなく人のために女の顔を切り刻む…。
忘れがたき思い出になりました。
北一幸死体損壊および犯人隠避で再逮捕だ。
ニュースを見て本当にあいつが俺をかばってくれたんだと知った。
北はあなたのためにわざと現場に指紋を残した。
俺を助けてくれるのは殺人鬼ぐらいしかいない。
俺は害虫だよ…。
今度もしぶとく生き残ってやると思った。
(生木)だがあんたが来た。
貴様!あんたの気持ちはよくわかるよ。
(パトカーのサイレン)陣川警部補経緯を聞かせて頂きたい。
はあ…。
(サイレン)僕が知っている事は以上です。
陣川くんは?まだ何も。
同席してもいいですか?取り計らいましょう。
(大河内)陣川警部補あなたに明確な殺意があったのかが焦点になります。
そんな事は決まってる…。
殺す気でしたよ。
あなたは恋人の矢島さゆみさんを…。
恋人ではありません。
事件の夜君は彼女と待ち合わせをしていたそうですねぇ。
どんな約束をしたんですか?前の日僕はプロポーズしたんです。
さゆみさんは僕が捨て犬みたいだから優しくしてくれたんですよね?そうだよ。
僕ずっと思ってきたんです。
犬になりたいなって。
犬が飼い主を愛するみたいに一生一途に人を愛する事が出来たら幸せだろうなって…。
その相手がさ…さゆみさんだったらいいなって。
一生って…プロポーズみたい。
いや…すみません!でも僕としてはそういうテンションでありまして。
そっか…。
(陣川)明日の夜返事ください。
もしオッケーだったら一緒に公園を散歩したいです。
(ドアベル)
(さゆみ)いらっしゃいませ!こんにちは。
考えておく。
その返事を聞く前にさゆみさんは…。
どうせ駄目に決まってましたけどね。
さゆみさん他の客とも仲良かったし…。
僕はその他大勢の一人だった。
わかってはいたんですが…す…好きで…。
愛する人を殺された気持ちは理解します。
しかし被疑者に対するあなたの過剰な暴力行為は問題になります。
殺した奴を殺す事がなんで問題なんですか?陣川くん。
なぜ止めたんですか!?僕はあいつを殺したい…。
クソッ!絶対に殺してやる!!目を覚ましなさい!!元の君に戻るんです。
戻ってどうなるんですか…?僕は彼女を守れなかった…。
陣川は処罰されません。
生木自身が暴力行為を訴える気はないという事です。
そうですか。
逆に陣川は指名手配犯を単独で逮捕した事により警視総監賞を受ける事になりそうです。
北の自供を鵜呑みにしてマスコミに発表したのは大きな失態でしたからね。
ミスを覆い隠すには英雄が必要という事です。
陣川さんに勲章なんてなんの意味も持たないでしょうね。
(足音)
(足音)ちょっと付き合って頂けますか?『Unforgettable』僕も一度来てみたかったものですから。
ご家族にお願いして店を借りたんです。
彼女はここに立っていつも「いらっしゃいませ」って言ってましたよね。
でも…気づいてました?陣川さんにだけは「こんにちは」って言ってた事を。
その他大勢なんかじゃない。
さゆみさんは陣川さんに特別な親しみを覚えていたと思います。
冠城くんによるとさゆみさんはいつもハイヒールを履いていたそうですね。
ですが君と会う約束をしていた夜はヒールの低いブーツに履き替えて出掛けようとしていた。
それが?君とゆっくり散歩をするつもりだったのかもしれません。
2人ともまるで僕みたいな妄想ですよ…。
では最後にもうひとつだけ。
冠城くん。
これコーヒーセレモニーの道具です。
彼女が陣川さんに会いに行く時鞄に入っていたものです。
コーヒーセレモニーはエチオピアに残る冠婚葬祭の風習です。
ある部族ではプロポーズとその承諾にコーヒーをいれる儀式をするそうですよ。
「Unforgettableineveryway」「Andforevermore」ではいただきましょう。
「That’swhydarlingit’sincredible」「Thatsomeonesounforgettable」「ThinksthatIamunforgettabletoo」
(中園)殺人を自殺として処理するなど言語道断!伊丹さんが?もう一度チャンスをください!かなりまずい状況ですよね?編集部から犯人へのメッセージだったんじゃありませんかね?
(伊丹)真犯人につながる重要な手掛かりなんです。
我々も被害者の人間関係を追うとしましょう。
2016/01/20(水) 21:00〜21:54
ABCテレビ1
相棒 season 14 #12[字]
「陣川という名の犬」水谷豊×反町隆史
元特命係・陣川警部補登場!
逃亡中のシリアルキラーが5年の沈黙を破り再始動!!
連続殺人に巻き込まれた陣川の恋の行方は!?
詳細情報
◇番組内容
第12話「陣川という名の犬」
監察官の大河内(神保悟志)から聴取を受ける右京(水谷豊)と亘(反町隆史)。捜査一課の経理担当で特命係に在籍したこともある陣川(原田龍二)が、また事件に巻き込まれたのだ。
発端は2週間前…。逃亡中の連続殺人犯が、5年の沈黙を破り活動を再開。その頃陣川は、コーヒー店を営むさゆみ(黒川智花)に熱烈な片想いをしていた。陣川は、まだ交際もしていない内からプロポーズを決行…!?
◇出演者
水谷豊、反町隆史、鈴木杏樹
川原和久、山中崇史、山西惇、六角精児、神保悟志、小野了
【ゲスト】原田龍二、黒川智花
◇スタッフ
【脚本】真野勝成
【監督】橋本一
◇音楽
池頼広
◇おしらせ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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