さまざまに形を変えて私たちの生活のあらゆる所で使われています。
ハ〜イ!ブツリンだよ。
熊谷君机の上の電磁石を持って。
(熊谷)これって電磁石なんだ。
頭の位置にその片方がつり下げてあるからくっつけてみて。
分かった。
くっつけてみるね。
あっ?くっつかないよ。
ごめんごめん。
(ブツリン)そこにあるから。
(熊谷)えっ…。
乾電池って1.5Vの1個?
(ブツリン)そう1個で十分。
(ブツリン)さあ今度はどうかな?くっつくかな。
よいしょ。
おっくっついた。
(ブツリン)ぶら下がってみて。
えっ?大丈夫かな。
じゃあやってみよう。
ほっ!お〜!すごい力だ。
何なんだろうこの力。
黒田有彩です。
「物理基礎」始まりますよ!熊谷知博で〜す。
熊谷君いつまでぶら下がってるつもり?いや有彩さん。
これすごい力だよ。
う〜ん引き合う力が強いよね。
うん。
でも電池1個でどうしてこんなに強い磁石になるんだろう。
熊谷君その鍵は乾電池と中に入っているコイルにあるの。
今回はここで起きている現象に物理の目を向けます。
ポイントはこの3つ。
キーワードは「磁界」です。
目に見えない世界が明らかになっていきます。
楽しみにしててね。
今日の講師は田原輝夫先生です。
(2人)よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今日のテーマは磁界という目に見えないものなんですね。
先ほどの電磁石にも関係のあるものです。
ところで磁界について学んでいく上で欠かせないものがあるんですね。
はい。
それは鉄です。
あっ鉄の釘がたっくさん。
この鉄釘同士っていうのはこうやってもくっつきませんけども鉄は磁石じゃありませんからね。
そうですね。
ところがこのように棒磁石で…。
(黒田熊谷)お〜。
たくさんついてきましたよね。
すご〜い。
この磁石だけを切り離します。
何か外れ方が力が抜けたように見えました。
そうですね。
もう一度やってみますのでよく見ていて下さい。
(黒田熊谷)お〜。
こんなふうにくっついてしまいます。
これは磁石を近づけるとこの釘が磁石に変わってしまうんですね。
これを磁化といいます。
今N極…棒磁石のN極がここにありますけれどもN極に近い部分この辺りですねここはS極になります。
遠い所この辺りがN極になる訳です。
それでくっついてしまうんですね。
それが次々と磁化が起こって下の方の釘もS極N極S極N極となりますからこんなふうに連なってしまう訳なんです。
なるほど〜。
このように磁化によって釘が次々と磁石になったんですけれども鉄は磁化されると強く磁石に引き付けられますね。
このような物質の事を強磁性体というんですね。
強磁性体。
鉄の重要な性質だね。
そのとおりですね。
でここからが今日の本題になります。
はい。
まず磁石の基本的な性質について見ていきたいと思います。
磁石というのはまずN極とS極がありますね。
で…このように…。
NとNだと反発し合って。
そうですね。
それから…。
SとSでも反発し合いますね。
そして…。
NとSだと引き付け合うと。
くっついてしまいますね。
実はこの磁石のまわりには磁力を及ぼす空間ができます。
それを磁界といっているんですけれどもこの磁界がほかの磁石に磁力を及ぼしているという考え方なんですね。
え〜この棒磁石のまわりの磁界がどうなっているのか観察してみましょう。
棒磁石を使って磁石がつくる磁界の様子を観察します。
磁石の上に少し隙間を空けてガラスを置きます。
磁界の様子を見るために細かい鉄線を用意します。
棒磁石の上に鉄線をまきます。
まいたあと鉄線を振動させると磁石に磁化された鉄線が動いてきれいに並びます。
磁石のまわりに鉄線が曲線を描いています。
この曲線が磁界の様子を表しています。
方位磁針を置いてみましょう。
方位磁針が指している向きと曲線の向きが一致しています。
黒田さん熊谷君これを見て下さい。
(熊谷)お〜!お〜すごい!かっこいい。
うん。
棒磁石がないとアートっぽく見えるね。
これはさっきの実験でつくられたものなんですけども先ほどの棒磁石のまわりにまかれた鉄線は磁化されて磁石になりますね。
(黒田熊谷)はい。
そのために引き付け合ってこのような模様ができるという事なんです。
それでは棒磁石のまわりの磁界について説明していきましょう。
N極またはS極の近くからこの鉄線の向きに沿って何本か曲線を引いていきます。
このようになりますね。
次に近くの方位磁針…近くに方位磁針を置いてこの方位磁針のN極の向きに合わせて緑の線の上に矢印を描いていきます。
このようにしてできた曲線の事を磁力線というんですね。
この磁力線の様子から磁石のまわりの磁界が分かります。
例えば磁力線の矢印の向きというのが磁石のまわりの磁界の向きを表しているんですね。
磁界には向きがあるんですね。
はいそのとおりです。
例えばこの辺りの磁界の向きっていうのは熊谷君どちら向きか分かりますか?それは上の方ですかね。
そうですね。
この矢印のこういう方向になってる訳ですね。
ではこの辺りの磁界の向きどうなってますか?それは左の方ですかね。
はいそうですね。
こういうふうに矢印がつながってますからこの方向になってますよね。
方位磁針のN極は磁界の向きにS極は磁界と反対向きに磁力を受けるんですね。
そのとおりですね。
それからこの磁力線からもう一つ分かる事があります。
このN極やS極の近くの緑で描いた磁力線ですけども近くではこのように磁力線と磁力線の間隔が非常に狭いですよね。
ところが離れた所では磁力線同士の間隔がこのように広がっています。
磁力線が接近してるほど磁界が強いって事ですね。
そのとおりです。
磁力線の密度から磁界の強さが分かるという訳なんですね。
はい。
熊谷君ふだんは見えないけど磁石のまわりにはいつでも磁界があるんだよ。
ふ〜ん。
見えないけどあるんだね。
有彩さん。
磁石が磁界をつくるのは分かったけど電流もつくるの?それでは確かめてみましょう。
この装置を用意しました。
この回路に電流が流れるとこのモーターが回る仕組みになっていま〜す。
ここに方位磁針を置きます。
何も変化しません。
うん。
ではスイッチを入れるとどうなるか。
方位磁針の針に注意して見ててね。
いきま〜す。
おっ。
おお!針が振れてる。
そう。
という事はここに電流が流れた時に…それって磁界じゃないかな。
おっそうかな?それでは実験で確かめてみましょう。
まっすぐに張った導線に電流を流した時の磁界の様子を調べてみます。
用意したのは1本の導線。
電源につないであります。
この回路では電流は上から下に流れます。
さて磁界ができるでしょうか。
電流を流して透明なアクリル板の上に鉄線をまきます。
真上から見ると導線を中心に円い模様ができました。
では方位磁針を置いて磁界の向きを調べてみましょう。
磁力線を引くと右回りの同心円となり磁界ができている事が分かります。
電流が流れた時も磁界ができたね。
そう。
できた磁界を真上から見ると円を描いてたよね。
うんうん。
磁石のまわりにできる磁界とはだいぶ様子が違いましたよね。
この時の電流と磁界の向きの関係を図でまとめてみたいと思います。
こちらの1本のまっすぐな導線には上から下向きの電流が流れていましたね。
そうするとこの導線を中心としたこのような向きの磁力線が描けます。
この磁力線がこの磁界の様子を表しているという事なんですね。
真上から見ると時計回りになってますね。
はいそのとおりですね。
右回りだね。
今このようにまっすぐな導線を流れる電流がつくる磁界を見ましたけれどもこの導線が今度曲がっていたらどうなるのか。
こんなものを用意しました。
コイルですか。
はいこれは…これは導線を等間隔に円筒状に巻いたコイルなんですね。
ではこのコイルに電流を流した時にどんな磁界ができるか観察してみたいと思います。
コイルに電流を流した時の磁界の様子を観察します。
コイルの右が電池のプラス側コイルの左が電池のマイナス側につないであります。
電流は矢印の向きに流れています。
さてどんな磁界ができるのか鉄線をまきます。
鉄線が磁力線に沿って並びました。
ソレノイドの磁界ができた事を示しています。
では方位磁針を置いて磁界の向きを確かめてみましょう。
このような磁力線が引けました。
ソレノイドのできた磁界の向きはどうなっているのでしょうか。
ソレノイドのまわりにできた磁界の様子を説明していきましょう。
(黒田熊谷)はい。
まずコイルにはこのように電流が流れています。
そして磁界の向きはこのようになっていましたね。
コイルも磁界をつくるんですよね。
磁石も電流にも磁界ができるっていう事が分かったね。
うん。
この時のソレノイドの磁界の特徴について見ていきます。
まずこの部分には下から上に向かって電流が流れていますので大体こういう反時計回りの磁界ができていますね。
そしてこの部分には上から下に向かった電流ができてますのでこのまわりにこういう時計回りの磁界ができています。
これが合わさった結果ソレノイドの内部にはこのような左向きの磁界ができています。
これは場所によって強さがあまり変わらない。
そういう特徴を持った磁界になっています。
さあもう一度確認してみるよ。
ソレノイドにできる磁界の向きは電流がまっすぐに流れた場合で説明できる。
こちら側は電流は上から下向きに流れている。
電流がまっすぐに流れる時電流の下向きの流れに対して磁界は時計回りになるね。
するとこのコイルの磁界の向きは時計回りとなる。
一方こちら側は電流は下から上向きに流れているから磁界は反時計回りとなる。
みんな分かったかな?では先生続きをお願いしま〜す。
熊谷君コイルの外側の磁界の様子ですけれども何か見覚えがありませんか?
(熊谷)うん…言われてみれば磁石の磁界に似てるような気がしますね。
あっ熊谷君鋭い。
イエ〜イ。
はいそれでは2つ並べて比べてみましょう。
おっやっぱりすごい似てますね。
コイルの左端がN極で右端がS極になってるように見えますね。
そうですね。
このようにソレノイドのつくる磁界というのは外側では磁石の磁界とよく似ているんですね。
熊谷君右ねじの法則が何かもう気付いたんじゃないかな?有彩さん。
電流と磁界の向きに関係があるんじゃないかな。
そのとおり。
じゃあ確かめてみましょう。
何これ?これはものを固定する時に使う道具なんだけどここがねじになってるのね。
じゃあ僕やってみるよ。
うん。
そうそう。
ねじを右に回すと進んでいきます。
確かにねじを右に回すと進んでくよね。
そうですね。
この右ねじの法則を今度は図を使って確認してみましょう。
まっすぐに流れている電流上から下に向かった電流の向きを右ねじの進む向きに合わせます。
そうすると磁界の向きはこのように右回りになりますね。
これがねじを回す方向と一致するという訳ですね。
これをアンペールの右ねじの法則といいます。
アンペールの右ねじの法則。
はい。
今日は磁石や電流がつくる磁界について学習しました。
熊谷君磁界の事分かった?有彩さん任せて。
今度コイルを見たら磁界の様子が見えてくるかもしれない。
本当かな。
まあいいや。
ところでこの電磁石の力の源を確かめておくよ。
電磁石を分解するとコイルとこの部分が鉄心になります。
熊谷君鉄といえば…?そうそのとおり。
じゃあこれ釘につけてみて。
うん。
やってみるよ。
は〜い。
ほっ!お〜たくさんついた。
そうだね。
このように電流が流れるとここに磁界ができます。
コイルだけでは強い磁石にはならないけどコイルがつくる磁界の中に鉄心を入れると強く磁化された鉄心が強力な磁石になるっていう訳。
なるほど。
そのとおり。
はいそのとおりですね。
今日は磁石や電流がつくる磁界について勉強してきました。
実は私たちのまわりには電磁石やそういう磁石がたくさん使われているんですね。
特に超伝導を使った強力な電磁石が今できますのでそれでリニアモーターカーを浮上させたり動かしたりする事ができるようになってるんですね。
(2人)へえ〜。
じゃあ僕は磁界の生み出す磁力を身をもって体験します。
またぶら下がるの?うん。
それでは皆さん。
(3人)さようなら〜。
よいしょ。
磁石のまわりの磁力が及ぶ空間を磁界といいます。
磁石のN極からS極に向かう磁力線によって磁界の向きが分かります。
電流も磁界をつくります。
まっすぐな電流が流れた場合には同心円の磁界ができます。
ソレノイドといわれる円筒状のコイルには磁石の時と似た磁界ができます。
電流がつくる磁界の向きは右ねじの法則で説明できます。
右ねじが進む向きを電流の向きに合わせると右ねじを回す向きが磁界の向きになります。
2016/01/20(水) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 物理基礎「電流のまわりの磁界を調べよう〜電流と磁界〜」[字]
導線に電流を流すと磁石と同じように磁界ができる。学習のポイントは(1)磁石がつくる磁界を調べよう(2)電流がつくる磁界を調べよう(3)右ねじの法則
詳細情報
番組内容
導線に電流を流すと方位磁針が振れ、電流のまわりにも磁界ができることが分かる。また、導線を等間隔に円筒状に巻いたソレノイドコイルに電流を流すと、コイルの内部には円筒の軸に沿って一様な磁界が、外部には棒磁石のまわりの磁界とよく似た磁界ができる。直線電流とそのまわりにできる同心円状の磁界との関係は右ねじの法則で理解する。【講師】田原輝夫(東京都立城東高校教諭)【司会】黒田有彩、熊谷知博
出演者
【講師】東京都立城東高等学校教諭…田原輝夫,【司会】黒田有彩,熊谷知博
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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