生字幕放送でお伝えします
一台の車が坂道を上がってきました。
この車タクシーなんですけれども岡山県倉敷市児島の自慢をまとっているタクシーなんです。
モトさん、なんだと思いますか?このタクシー。
なんか継ぎはぎになってるな。
ジーンズタクシーと呼ばれるものなんです。
ジーンズに使われる本物のデニム生地を使っているんですね。
雨の日は走りません。
きょう、晴れてよかったです。
そうしてモトさん、中もご覧になってください。
シートもデニム生地。
そして、運転手さんもご注目ください。
なんとジーンズをはいてそして、ジーンズジャケットネクタイもジーンズなんです。
瀬戸内海に面した岡山県倉敷市児島はかつて島だったんです。
干拓で広がった土地に塩分に強い綿花が栽培されました。
そうした中、繊維の町として発展。
51年前、化学繊維に押され綿の需要が減る中、日本で初めてジーンズを生産したといわれているんです。
そんな児島の町にはジーンズが、あふれています。
駅前にはジーンズがいっぱい。
駅構内の階段。
改札の扉も、よく見るとジーンズです。
路線バスの中にはシートが、なんとジーンズそのもの。
さらにジーンズストリートという商店街もあります。
ジーンズを求め年に10万人が訪れるジーンズの聖地なんです。
そして今、人気を集めているのが私たちが、きょう、はいていますこちらのジーンズなんです。
モトさん、いかがですか。
脚が太いから穴が開いちゃったやつだろう?
違いますよ。
ちゃんと、はけてるんですよ。
ダメージのやつだ。
すげえ。
そうなんです。
こちら、一見、ぼろぼろではき古したように見えますけど実は新品のジーンズモトさんがいうようにダメージジーンズなんですね。
昔、はやった記憶があるな。
でもね、今このダメージジーンズがおしゃれの最先端といわれているんです。
しかも、これ加工されているんですが一本一本、手作業なんですね。
中には20万円するものもあるそうなんですよ。
それだけ加工が重要なんです。
きょうはですねきれいなものに傷や汚れをつけることで逆に価値が生まれるというダメージジーンズの魅力をご紹介したいと思います。
ジーンズに、さまざまなダメージをつける児島の技術は世界トップクラスといわれているんですよ。
ダメージ加工の工場に潜入いたしますよ。
俺も髪の毛かなりダメージきてるんだけどそれとは違うんだよな…。
ノーコメントで。
この工場には国内や海外の200以上のメーカーから注文がきているんです。
多いときでは1か月に4万本ものジーンズを加工しているんです。
まずは最初の加工の部屋に入ります。
お昼ですけれども皆さん作業されています。
実際にダメージの加工をしているところなんです。
さまざまな加工を。
最初の部屋ではヒゲを作るところをご覧いただきたいんです。
ヒゲとは何かと申しますと私のジーンズ見ていただきますとこの足の付け根の部分に横の線、出てるの分かります?はきジワなんですよ。
これをヒゲというんです。
猫のヒゲに見える気がしません?これでヒゲっていわれているんですがはき続けたような味わいをこれを加工で出すんですよ。
ふだんは長い間、はいてできるヒゲがあるんですけどこちらでは一瞬で生み出せるんですね。
今、やすりで、こすってます。
こうやって、やすりでこすると、シワ模様が浮かび上がってきたの分かります?
なんで…。
その秘密はこのあとにあります。
なぜ、こうやって模様ができるかといいますとジーンズを取り出しますとこのように下にシワの型が置いてあるんです。
実際、こちらにも型をご用意いたしましたけれどちょっと見ていただけるとここにぼこぼこ、ぼこぼことした形ができてるんです。
これで、上からやすりをこすることによってシワができるんですね。
これで、はき古した感じがだんだん、出てくるわけですけど。
この工場では、40種類ぐらいの工程があるそうなんですが2階にはさらに激しいダメージをしているところがあるんです。
激しいダメージって言い方「はげ」ってことが強調されてだめだな…。
2階にやってきました。
ちょっと変わった雰囲気の部屋でしょ。
ここでは傷をつけたり穴を開けたりする加工をしているんです。
ちょうど、縁のところをこうやって傷つけているわけなんです。
そして職人さんたちの中でもトップクラスのすご腕を持つ方がいらっしゃいます。
清原さんです。
清原さんなんですけどこの手元にありますグラインダーという工具一つでさまざまな穴開け加工ができるということなんですね。
きょうは、その中でもいくつかの技を見せていただくんですけどまずは壁にこすったような傷ジャブと呼ばれるんですけれどその技を見せていただきます。
軽く、当てていくんですけども。
表面を僅かに削ってジーンズをけばだたせるんです。
壁にこすれたような感じ出てくるでしょう。
自然な感じにやってるな…。
一瞬で何年かたったような気がしますけどもこすれた感じが、また味わいにつながるわけなんです。
続いての技を見せていただきますけれども。
次は、ジーンズ横糸残しという技なんですがジーンズは縦糸が藍色そして、横糸は白なんですけどその白い部分だけ残す技を見せてもらいます。
すごい!めっちゃ自然!
藍色の縦糸だけが切られて、白い横糸だけが見えてきました。
絶妙な力加減が要求されるまさに職人技。
ひざやもものところ、何回もすって、すって。
ジーンズ自体が丈夫じゃなきゃできないね。
この力加減、難しいんです横糸だけ残しますから。
こういった技があるんですけれど職人さん、ただ単に穴を開けてるわけじゃないんですよ。
前、見てください。
サンプルがあるんですよね。
このサンプルを見ながら基本的には同じダメージを作っていくんです。
ただ、単純作業にはならないそうなんです。
清原さんその、おもしろさですとかだいご味、どういったところあるんでしょうか。
やっぱり人の手でやっていることなんで細かくいうと100%同じものはできないんですけどそれをいかに精密に早くやっていくかっていうことにいかに向き合うかが作業の楽しみです。
部屋の雰囲気もアートなんですけれど個性あるジーンズを作るのに一役買っているんです。
例えば、清原さんの好きなポスターを貼ったりとか。
あとは、あちらの上ご覧になってください。
スピーカーがあるんですがこれ、実は自分専用のスピーカーなんですよ。
好きな曲を聴きながら作業をするということなんです。
どんな曲を聴いているかちょっと清原さん。
♪〜
(「終わりなき旅」)
ミスチルか…。
こちら、清原さん大好きなMr.Childrenさんの曲ということですが。
やっぱり、音楽をなんで聴きながら作業されるんですか。
いかに自然体でやっていけるかなということで好きな音楽を聴きながらだと自然体でできるんでそれでやっています。
平常心で、できるわけですね。
さらに芸術的な加工があります。
今度は新品のジーンズがめちゃくちゃ古いジーンズになるということで部屋を移動します。
こちら部屋がたくさんあるんですよ。
壁ではないですよ、扉なので開けてみたいと思います。
こちらも作業されてますけれども…。
まだまだ奥にも部屋がありますよ。
この扉がカラフルでおもしろいですよね。
個性的な部屋で。
お待たせいたしました。
こちらの部屋で古いジーンズに生まれ変わるんです。
ご覧ください。
デザイン担当の西山さんです。
西山さんに、今からダメージを与えていただきたいと思うんですがそれではよろしくお願いします。
何か持ちましたよ。
こちらでデザイン、加えていくんです。
バーナーかよ!
これで、ジーンズをあぶってる。
本当に燃やしてるよ!
あぶっていく作業をしています。
あぶりトロって聞いたことあるけどあぶりジーンズってあんま見たことないもんな。
こうやってあぶることによってダメージがついているんですが実際に比べてご覧になっていただきたいと思います。
あぶる前のもの。
そして、あぶったあとのもの。
ちょっと焦げているといいますか。
少し古びた感じといいますか独特の風合いがつくという感じなんですね。
もったいないですよね新品のデニムですから。
でも、価値が上がりますから。
そして、近くの棚なんですけどこちらに塗料や薬品がたくさん並んでいます。
組み合わせは3000通り以上あってこうやって組み合わせながら理想の色合いを追求していくということなんです。
こういった加工をしていろんなジーンズができるんですけどもそんな中で一つすごいのがこちら。
見てください。
古いですよね。
古く見えるんですけど。
こちらのジーンズ名前がありまして100年ジーンズと呼ばれています。
アメリカの鉱山から100年たって発掘されたイメージを加工で編み出しているということなんです。
全く、そうだね。
リアルですよね。
このようにイメージどおりの作品ができたときというのはどういった気持ちですか?
表現するのに何年もかかる加工もあるので。
できたときはすごく感動します。
やってらっしゃる方は皆さん、お若いですね。
イケメンでしょう、そして。
ドキドキしちゃうんですけども。
そんなことはいいんですよ私の気持ちは…。
大変なこと忘れてたんですけど西山さんの好きな曲って皆さん、聴かれているみたいなんですけど、なんですか?
(ボイスパーカッション)
すばらしかったです。
こうやって、やりながら気持ちを上げて。
こういった加工もされています。
モトさん、モトさん。
今度は1階に再びやってきましたけどもいろんな部屋ある。
本当に迷路みたいになっていまして加工の工程が増えるごとに部屋を広げていったので最初はひと部屋だったんですけど今は20部屋以上あります。
ここでは、ダメージで傷つけた穴を直す作業をしているんですよ。
どうやって直すかというと一回、開いていくんですよジーンズの側面。
今、裏返しにしていますけれど。
1回、縫ってるのに。
誰もはいていないのに。
で、どうするかといいますと今、穴があります。
その穴に当て布をするんです。
16歳から68歳まで若い人から、本当にさまざまな方が支えているんですがどういうふうに穴を塞ぐか。
当て布をして、このように縫っていくわけなんです。
もちろん、縫い方にもさまざまあります。
先ほど上で開けたような穴なんですけれども
素人が穴、開けるとどんどん大きくなっちゃってどうにもなんなくなっちゃうもんね。
これでもちろん強度もつきますしリメイクという技なんですけども直した感じが、やっぱりファッションポイントにもなるわけなんです。
おばあちゃんに直してもらったっていうそういうようなおしゃれもあるわけですよ。
長い間使ってる感を出すわけだな。
当て布にもさまざまありまして例えば私がはいているジーンズ、この部分もリメイクなんですけどこれはコーティングされたジーンズなんだそうです。
質感が違うでしょう。
ちょっと、てかってるところが。
てかってるという言い方が嫌だけど…。
ちょっと光ってる…。
この質感の違いっていうのも楽しめるわけですよ。
まだまだ、モトさんこちらにあるジーンズこの当て布なんだと思いますか?
なんだそれ…。
これはポケットの裏地なんですよ。
これ、意外と、この生地って余るそうなんですね。
再利用した感じもまたおしゃれなんですよ。
そして、今度はこの当て布凸凹した感じのもの。
粗い。
なんだこれ…。
これ、柔道着。
この厚さだったり色合いっていうのがやっぱり、ジーンズにアクセントをつけるんですね。
色も、また、いいですよね。
ここまで見てきたジーンズの加工技術だったり心意気ですがこの加工職人を主人公にしたドラマがあるんですよ。
デニムって壊すことで完成するんですよ。
デニム加工職人が恋したのは青い絵を描く芸術家。
傷や汚れが価値になるんですよ。
たぶん、人も…。
ドラマは、この工場を舞台に撮影されました。
その中では次のようなシーンがあるんです。
思うような加工ができず悩む主人公。
そんな彼にヒロインがかけた、ことばがこちら。
職人こそアーティストです。
私は原田さんたちの作るデニム、好きです。
加工の一つ一つに皆さんの思いがあって。
思いを形にする。
それこそがアーティストなんじゃないですか。
このことばが主人公が自分の殻を破るきっかけになります。
アーティストとして新たなジーンズを生み出すことになるのです。
ということなんですが実際に、西山さんは撮影現場にも立ち会われたんですよね。
一応、出てもいます。
先ほどのシーンを見たあと西山さん、1人で別の部屋で泣いていたそうですね。
どんなお気持ちだったんですか?
すごく美波さんに言われたことがうれしくて。
こんなふうに僕も言われたいなみたいなふうに思いましたね。
自分と照らし合わせて…。
やっぱりここにいる人たちの気持ちを代弁している、ことばだよねさっきのねアーティストだと思うよね。
清原さん、いかがですか?このドラマこの舞台になって。
僕、撮影のときに俳優さんたちが機械の使い方であるとかものすごい熱心に聞いてこられて、その姿勢に感動しました。
清原さんは出てないの?
僕は、ちょっと出てます。
モトさん、ぜひドラマ、ご覧になっていただいてお二人、探してください。
モトさん、モトさん。
児島のダメージジーンズなんですけれども次々と新たな作品が生み出されていますよ。
最新のジーンズを並べてみました。
見てください、これ。
これは仕事したあとだな完全にな。
ひび割れですとかいろんな色がのっていますよね。
薬品や塗料を使って特殊メークのような傷をのせるコーティング加工をしたジーンズなんです。
そういった加工がされているんですよ。
ヨーロッパで絶賛されたそうですよ。
そして、モトさんちょっと何色に見えます?若干緑がかってるの分かりますか。
これ、実はお茶で染めたジーンズなんです。
カテキンかい。
お茶という、この日本の文化も取り入れました。
あまり、これまで、ジーンズでは使われなかった染色技術っていうのも使われているわけなんです。
ほかにもお茶だけじゃなくてべんがらという酸化鉄で染めたものもあります。
こちらが星空ジーンズです。
光を当てていますけども星のように光ってます。
キラキラと光っています。
反射材が使われているんです。
なので、こうやってキラキラ光るんです。
まさにジーンズ界の新たな星という感じですね。
生活観ももちろんなんですけど児島のジーンズ進化し続けています。
(あさ)もう九州にお帰りになるやて2016/01/20(水) 12:20〜12:45
NHK総合1・神戸
ひるブラ「心をこめて、“傷をつける”!〜岡山・倉敷市〜」[字]
新品のジーンズをあえてボロボロにして、新たな命を吹き込むダメージジーンズの世界。穴を開けたり、色を落としたり、年月を自在に表現する奥深い職人の技に迫ります!
詳細情報
番組内容
【ゲスト】磯山さやか,【コメンテーター】モト冬樹,【司会】塩田慎二 〜岡山県・倉敷市から中継〜
出演者
【ゲスト】磯山さやか,【コメンテーター】モト冬樹,【司会】塩田慎二
ジャンル :
バラエティ – 旅バラエティ
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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