「GAIA」…それは息づく大きな生命体。
混沌の時代にも希望を見いだし再生を果たして未来へ向かう。
そこにきっと夜明けがやってくる。
町工場がひしめくものづくりの町です。
1軒の町工場に大型バスがやってきました。
ご案内しますので…上のほうに行きます。
どうぞ。
実はこれ墨田区内の総勢60人が参加しています。
まず訪れたのはこれは納豆のパック。
こうした金型からさまざまな製品が生み出されます。
金型には機密事項が多く含まれるため通常製造現場は公開しません。
しかし今回はあえてツアーを受け入れたといいます。
ということもとてもいい機会…。
新製品の開発に活かせる技術がないかと皆真剣です。
次に訪れたのは派手な外観が目を引く…。
…などが専門です。
この見学ツアーここ浜野製作所の社長浜野慶一さんが企画しました。
原因は大手メーカーの製造拠点が次々と海外に移ったこと。
そのため下請けの町工場は厳しい状況に置かれています。
町工場の技術力を知ってもらうことで新たな取引先を開拓しようと浜野さんこうしたツアーを始めたのです。
そんな浜野製作所が1年ほど前に作った施設があります。
ここはものづくりのアイデアはあるものの技術がない人たちの相談を受ける施設です。
浜野製作所が中心となり墨田区内の町工場と連携。
必要な技術を支援しようというもの。
よろしくお願いします。
やってきたのはベンチャー企業の若者たち。
浜野製作所の技術者が相談にのります。
今ガレージスミダには次々と若者が訪れています。
ここから誰もが驚く画期的な製品が生まれようとしていました。
下町の町工場が仕掛ける新たなものづくり。
その挑戦を追った。
すご腕の職人たちが技術を結集。
夢の製品を作る。
崖っぷちの町工場…。
復活をかけてこれまでにない製品の開発が始まった。
託された若き職人。
3万個のバネから生まれたドラゴン。
そこには長年培った技術があった。
今日はものづくりを支援している町工場があると聞いて東京は墨田区に来ています。
ガレージスミダと書いてありますねこちらですか。
どうもおはようございます。
おはようございます。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
浜野製作所の浜野です。
どうも江口です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
どうもこんにちは。
こちらまたすごい。
はい。
こんな感じの…。
なんか一瞬プリンターのような…。
あっ!もう本当におっしゃるとおりでございまして…。
こういうもので…。
はい。
全部だいたいそんなような施設になります。
またちょっとざわざわとした感じでやってますけれどもホープフィールドさんという会社で。
こちら何か農作業か何かで使うような…。
そうですそのとおりです。
走る。
電動でちょっと…。
それいいじゃん!
(笑い声)このまま…。
これは便利ですねこれは。
はあ〜よく考えましたねこれ。
こういうふうにひとつの工房として皆さんを受け入れようとするのはどういう狙いでこういうことをやろうと思ったんですか?あのああいう…。
《ものづくりの駆け込み寺ということか。
ここからどんな新しい製品が誕生するのだろうか》浜野製作所が始めた今ここを利用して製品を開発している人がいます。
作っているのはこちら。
実用化されれば世界初となる夢の製品だそうです。
最大の特徴はプロペラがないことです。
これはただの棒なんですけども。
まず円筒翼と呼ばれる3本の棒を内蔵モーターで回転させます。
そこに風が当たると風車全体が回りだし発電する仕組み。
マグナス効果という原理を利用したものです。
一方倒壊事故につながる危険性もあります。
そのためしかしこの風力発電機なら…。
この福島の原発事故を目の当たりにし自然エネルギーに注目。
新たな風力発電の研究を始めました。
国の助成金も獲得しました。
それを機に会社を立ち上げた清水さん。
アイデアを形にするためガレージスミダの門を叩いたのです。
去年清水さんいよいよ本格的な試作機を作り実験を行うことになりました。
浜野製作所の職人たちにも参加してもらい準備を進めます。
ところが…。
必要な部品の1つが注文していたメーカーにないことがわかったのです。
それは発電機の軸の部分に使うこの歯車。
内蔵モーターがこの歯車を回すとゴムベルトでつながれた3つの円筒翼がそれぞれ回り出す仕組み。
この装置には不可欠な部品です。
清水さん頭をかかえてしまいました。
すると浜野製作所の職人たちが動き出しました。
自分たちで歯車を作ってしまおうというのです。
これは直径0.2ミリほどのワイヤーに電気を流し金属を切断する機械です。
この道30年の職人が機械を操ります。
これはアルミの塊。
1000分の1ミリの精度で歯車の形に切り出していきます。
翌朝。
23時間かかってようやく作業が終わりました。
出来栄えを確認します。
これで必要な部品がすべて揃いました。
早速試作機の組み立てを始めます。
つけましょう。
うん。
しかし清水さんたちにはものづくりの経験がほとんどありません。
一つひとつ教えてもらいながらの作業です。
練習しよう。
高さ2mを超える今回の試作機。
5日間を費やしようやく完成が見えてきました。
あの歯車も取り付けられます。
うまく動くのか確認。
どうやら問題ないようです。
職人たちの技術が清水さんのアイデアを見事形にしてみせました。
墨田区内の施設を借りてまず試作機が回るのかテストを行うことになりました。
円筒翼を内蔵モーターで回転させます。
ここに風が当たればマグナス効果によって風車全体が回るはずです。
テスト開始。
ところが風車全体は回りません。
どうしたのか?これまでにない風力発電機の開発を進める清水さん。
試作機が動くのかテストすることになりました。
はい。
テスト開始。
円筒翼を内蔵モーターで回転させます。
ところが風車全体は止まったまま。
そこで円筒翼の回転数を上げてみます。
すると全体がゆっくり回り始めました。
回った。
回った。
よしよし!思わずガッツポーズ。
東急建設技術研究所の施設を借りいよいよ性能実験を行います。
ここは直径4mの巨大なプロペラでさまざまな強さの風をトンネル内に吹かせることができます。
試作機がどれだけ発電できるのか実用化に向けて大事なデータをとります。
まずは風速5メートル。
そよ風程度です。
するとこの風でも安定して回りました。
いったいどれだけ発電できているのか?37。
37?風のエネルギーからどれだけの割合を電力に変換できているかという値。
一般的なプロペラ型風車と同等の数値が出ました。
モーターを使っているのでその分の電力を考慮すると必ずしも高い数値とはいえません。
それでも発電できることがわかりひと安心。
その後風の強さや円筒翼の回転数を変えてデータを収集していきます。
560580…。
すみません。
させていただきたいと思います。
風速25メートル。
通常の風車ではプロペラが過剰に回転する危険性があります。
しかしこの風力発電機なら大丈夫なはず。
そのときでした。
うお。
モーターで円筒翼を回転させる前に風車が勝手に回り始めてしまいました。
想定外の事態。
このままでは試作機が壊れてしまう危険があると判断。
急遽実験を中止しました。
原因はすぐにわかりました。
風車の性能を上げるためにあとから取り付けた板。
これが風を受けて風車を回してしまったのです。
この実験から1週間後。
清水さんの姿がありました。
今年の夏ここに試作機を設置し本物の台風で実験することになったのです。
台風の被害が多い沖縄。
清水さんたちの活動に共感した地元の企業がこの土地を使ってほしいと申し出てくれました。
頑張ります。
夏に向け町工場の職人たちと更に大きな試作機の開発を始めます。
一方ある展示販売のコーナーに人だかりができていました。
客の目の前には迫力あるドラゴンが。
よく見るとすべてバネで出来ています。
そこには町工場の驚きの技術が。
年末ある展示販売のコーナーが大人気となっていました。
客を引きつけていたこの商品よく見るとバネが組み合わさって出来ています。
実はこれバネのブロック。
大小さまざまなバネをつなげることで好きな形を作ることができます。
コツをつかめばこんなものも。
さまざまなキットが売られていました。
開発したのは横浜市に村井さんの会社があります。
バネの専門工場です。
精密バネと呼ばれる小さなバネを作っています。
3代目の村井さん下請けとしてバネを作るだけではこの先厳しいと考え初めて自社製品を開発したのです。
ここに村井さんが製品開発の際頼ったコンサルティング会社があります。
こちらの2人が運営しています。
そんな2人が始めたのが技術はあるものの何を作ればいいかアイデアがない。
そんな町工場など中小企業の経営者向けセミナーです。
実はあのバネの村井さんもこのセミナーでアイデアがひらめいたのです。
自社製品の開発を支援しているenmono。
そのセミナーに参加した町工場からさまざまな製品が生まれています。
例えばこちらのファイル。
通常中の書類は抜き取ることができません。
しかしこのようにすると1枚だけ抜き取ることができます。
実は書類には穴だけではなく細い切れ込みが入っています。
そのためこうして金具の向きを回転させると書類を抜き取ったり差し込んだりすることができる仕組みです。
これを開発したのは金型のプレス加工をしている会社です。
紙に穴を開けるパンチャーとファイルの金具の部分に独自の技術が使われているそうです。
続いてはこちらのスピーカーです。
iPhoneから出る音がこのパイプを通る間に大きな音に変わるそうです。
実際に聴いてみましょう。
どんな音がするんでしょうか。
〜お〜なるほど。
こちらを開発したのはパイプなどの曲げ加工を行っている会社だそうです。
そしてこちらは自動車メーカーなどの下請けで板金加工をしている会社が開発した製品です。
脚に装着することで座ったり歩いたりできる椅子だそうです。
装着するとこのようになります。
なるほど。
なんかこう高い椅子に座ってるような感じですね。
実はこちら医療現場のニーズに応えて作られました。
手術などで長時間立ったまま作業する場合に足腰への負担を減らせるというわけです。
確かにこれは楽ですね。
こうした自社製品を生み出したセミナーにまた1社悩める町工場が参加しようとしていました。
そこにフジタという1軒の町工場があります。
ホイールの金型を作っています。
ところが2年前売り上げの6割を頼っていた取り引き先が生産拠点を海外に移したことで仕事が激減。
苦しい経営が続いています。
梶川さんはファッション関係の専門学校を卒業後…。
24歳の時創業者の父親に頼まれフジタに入社しました。
新たな取り引き先を開拓しようと初めて展示会にも出展することにしました。
ところが…。
見せてくれたのは展示会場の写真。
下請けのため展示できる製品がなかったのです。
梶川さん自社製品を作って会社をなんとかアピールしたいと考えていました。
去年梶川さんが富山からやってきました。
訪ねたのは小さなスタジオ。
ここで…。
講師を務めるのは三木さんと宇都宮さんの2人。
製品の企画から販売戦略原価計算などさまざまなことを学んでいきます。
すると梶川さん製品のアイデアを考える最初の作業でいきなりつまずいてしまいました。
セミナーでまず書かされるのがこのシート。
横軸には自社の技術を。
縦軸には自分がワクワクすることを記入するというものです。
本業があるなかでの自社製品開発は茨の道。
自分が本当に好きなものでないと続かないそうです。
悩んでいた梶川さんかつてファッション業界に身を置き洋服作りが好きだったことを思い出しました。
梶川さん美をテーマに製品を作れないかと考えました。
すると三木さんがこんなことを書き出しました。
金型加工の技術を活かしてアート性の高い作品を作り工場内に展示。
販売もしてはどうかというのです。
早速梶川さんが動き出しました。
社員から製品のアイデアを募集しようというのです。
皆さんのなかでは自社製品を開発するという初めての試み。
社員たちはどう受け止めたのでしょうか?3週間後。
社員から続々とアイデアが集まってきていました。
そのなかにはあっと驚く奇想天外なものも。
富山県高岡市にある町工場フジタ。
自社製品の開発を進める社長の梶川さんのもとに社員からアイデアが続々と集まっていました。
こんにちは。
そのなかに梶川さんが特に気になるアイデアがありました。
提案したのは入社4年目の富山の伝統工芸をモチーフにしたものでした。
木彫りの欄間を金属を削って作りたいというのです。
そこに井波彫刻で知られる日本一の木彫りの町があります。
近年は需要の減少にともない職人の数も減り続けています。
この日梶川さんと松井さんの姿が。
木彫り職人だという松井さんのおじいさんに会いに来たのです。
こんにちは。
どうも。
おじいさんが得意とするのがこの欄間です。
日本家屋において天井と鴨居の間につける装飾品。
風を通し明かりを取り入れる役割も果たします。
実は2人おじいさんから欄間を借りたいと考えていました。
そうですね。
選んだのは縁起物の鶴が彫り込まれた作品。
あ〜これけ。
うん。
いい?本業の合間を縫って作業が始まりました。
経験が浅い松井さんのため先輩の吉崎さんが手伝ってくれることに。
これは立体的なものを測定する特別なスキャナー。
複雑に彫られている欄間の形状をさまざまな角度から読み取っていきます。
2日をかけて細部までデータを取り終えました。
欄間を削り出すのは100キロを超える一枚の松井さん削り出しに使う工具を準備します。
工場内には大小さまざまな工具が数百種類も揃っていました。
そのなかから作業によって適したものを自分で選ばなければなりません。
悩んだ末この4種類を使うことにしました。
次は加工に必要なデータの入力。
工具の回転スピードやどのくらいの深さまで削るかなどおよそ20の項目を入力していきます。
そしていよいよ機械にアルミ板をセット。
果たしてうまくいくのでしょうか?翌日。
出来栄えをチェックします。
すると…。
木彫りのような滑らかな表面にするはずでしたがよけいな線が残るなど仕上がりが粗くなってしまいました。
先輩の吉崎さんに相談します。
工具が通る道筋を表す本来はこのように細かくなるはずが…。
松井さんのものは目が粗くなっていました。
早速修正。
数値をより細かく入力していきます。
更に工具もより細いものを加えることにしました。
若き職人松井さんが任された自社製品第1号。
どんな仕上がりになるのか?このあと思いがけない反響が。
自動車関連の会社が一堂に会した展示会が開かれました。
その一角に富山の町工場フジタのブースも。
そこに松井さんが作っていた欄間が飾られていました。
アルミの板から削り出した欄間が完成したのです。
その出来栄えは…。
おじいさんの木彫りの鶴が見事に再現されていました。
粗かった表面は修正され滑らかに仕上がっています。
この欄間で客を引き寄せ技術力をアピールします。
こんにちはどうですか?削り出しです。
こちらはフランスに本社を置く大手機械メーカーの社員。
気になって聞こうと思っていて。
もしよろしければ。
初めて作った自社製品。
この挑戦が会社の未来を変えていくかもしれません。
アイデアがあるものの技術力がない。
または技術力があるもののアイデアがない。
そんなベンチャー企業や町工場を支援する新たな取り組みが始まっています。
日本のものづくりを復活させるためにも新しいものを生み出そうと熱意を持って頑張っている人たちに期待したいと思います。
2016/01/19(火) 22:00〜22:54
テレビ大阪1
ガイアの夜明け【崖っぷち“町工場”の逆襲!】[字]
下町の町工場が技術を結集!これまでにない風力発電機の開発は実現できるのか?▽赤字で苦しむ町工場が自社オリジナル製品で復活を目指す!
詳細情報
番組内容
大手メーカーが製造拠点を人件費の安い海外へ移したことで、“下請け”の町工場は仕事を失い、苦しんでいる。そんな中、日本の“ものづくり”を守ろうと、町工場を支援する動きが出てきた。合言葉は「下請けからの脱却」。アイデアはあるが技術力がない会社、技術力はあるがアイデアがない会社に、これまでにない新しい製品を生み出してもらおうという試みだ。変革の風が吹き始めた“ものづくり”の現場を追った。
出演者
【案内人】江口洋介
【ナレーター】杉本哲太
音楽
【音楽】
新井誠志
【テーマ曲】
◆オープニング曲
「鼓動〜ガイアの夜明け」(作曲/岸利至)
◆エンディング曲
「夜空の花」(作曲/新井誠志)
「ガイア」とは
ギリシャ神話に登場する「大地の女神」を意味し、後にノーベル賞作家のウィリアム・ゴールディングが「地球」を指して“ガイア”と呼んだことから「ガイア=地球」という解釈が定着している。「ガイアの夜明け」という番組タイトルには、地球規模で経済事象を捉えることで21世紀の新たな日本像を模索すること、そして低迷する経済状況からの再生=「夜明け」を目指す現在の日本を描くという意味合いが込められている。
関連情報
◆ホームページ
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◆公式Twitter
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