(雷鳴)
(怜子)どこで有松絞りを?
(小夏)名古屋です。
食べていけてたの?いいえ。
どうやって食べてたの?誰かいたの?男の人?言わなきゃダメですか?
(鳴き声)この犬の面倒今日からあなたが見てちょうだい。
(光太郎)深浦怜子…有松絞りの師匠は表の顔にすぎない。
あの女は自分の欲しいものは何でも手に入れる。
しかもどんな手を使ってでも手に入れる女だ。
(佐橋)はじめまして。
佐橋京平です。
その若さで名北大学建築学部教授になられたと伺ってます。
君なんかに面倒見れるもんか。
人間に捨てられた犬だぞ。
私も…捨てられた犬です。
(辰造)元気か?元気ならええ…。
小夏!
(佐橋)赤ん坊どうしたんだ?おなかにいた子供…どうした?
(悲鳴)
(犬の鳴き声)
(犬の鳴き声)「待て」だからね。
待て!こら!もう〜ちょっとそっちはダメだってば!もう!
(チャイム)・
(原木)小夏ちゃ〜ん。
はい!あっおはよう。
おはようございます。
宅配便昨日預かっといたでの。
あっすみません。
(犬の鳴き声)ちょっと!こら!ちょっと…!ちょっと待って!
(車のクラクション)
(クラクション)回想脱走だけは気を付けろ。
君にまだ心を許してないからな。
隙あらば逃げようとする。
この犬たちはみんなそうだ。
追われて追われて生き延びてきたからな。
回想じゃあどうすれば…。
こいつらはな…愛されたいんだ。
回想
(犬の鳴き声)どうしたんだ?ずぶぬれやねえか。
何があったんや?小夏。
小夏…。
お大事に。
ありがとうございました。
(美奈)先生お電話です。
ありがとう。
もしもし。
・申し訳ありません。
どうした?脱走しました。
すみません。
あれほど言ったやろ!
(あやか)どうもありがとうございました。
あやか。
あっお疲れさまです。
小夏見なかった?いえ見てませんけど。
銀次。
(銀次)はい。
小夏どこ?さっき電話がありまして休ませてくれって。
えっ?犬が脱走してまったらしいんです。
まったく…いつになったら出来るのかしら?もうすぐ終わる。
待ってろ。
申し訳ございません。
(犬たちの鳴き声)
(犬たちの鳴き声)もしもし。
犬の声がうるさいわよ。
どこにいるの?
(犬たちの鳴き声)動物病院です。
動物病院?どこの動物病院?もしもし。
もしかして光太郎の病院?そうです。
どういう事?どうしてそこにいるの?犬が…脱走したものですから。
だからって光太郎は関係ないでしょ。
光太郎とかわって。
まだ診察中みたいで。
光太郎に電話するように言って。
(電話を切る音)怜子先生から電話がありました。
どこにいるのか聞かれたのでここに来てると答えました。
別にいいじゃないか。
よくはなさそうでした。
電話をくれとそうおっしゃってました。
お急ぎのようでした。
あの…。
ジローを捜す方が先だ。
ほっとけばいい。
そうだ。
うちの病院に初めて来た時の写真だ。
保健所から助け出されたばかりでまだおびえてた。
心配するな。
絶対見つける。
送ってもらってもいいですか?えっ?その写真。
ジローもうすぐやからな。
待っとれよ。
ここは?窯元だよ美濃焼の。
・俊吾!おう俊吾。
(俊吾)おう光太郎。
電話で話した藤沢さんやわ。
どうも。
はじめまして。
この俊吾はねジローの命の恩人なんだ。
保健所に連れていかれたジローを助け出してうちの病院に連れてきた。
こだまの会の会長だ。
こだまの会?犬や猫の保護団体です。
その会長だ。
脱走したジローの事やけど。
はい。
団体のみんなで手分けして捜してます。
きっと捜し出します。
大丈夫ですよ。
ありがとうございます。
(俊吾)お茶どうぞ。
ありがとうございます。
頂きます。
おまんも飲むんか?おめえ…俺のはないつもりかて?
(俊吾)麦茶で我慢しゃあ。
それが無二の親友に言う言葉かて?無二の親友ではないわなぁ。
出た。
出たよ。
小夏さん…でしたっけ?はい。
このね光太郎ってヤツとは小学校中学校と同級生ではありますがね冷たい野郎なんです。
こいつね何でか知らんけど勉強よう出来ていっつもクラスで一番。
俺なんかはダメでビリッケツ。
その俺がいっくら頼んでも勉強教えてくれへんのですよ。
教えるも何もあれはおめえカンニングやねえか。
それを教えてくれてこそ親友やら。
なあ小夏さんそう思いませんかの?あんなぁ俊吾…。
ちょっとすまん。
あっ小夏さん…。
(アマンダ)あ〜ん。
ピーナツ!
(はじめ)おいしい。
おいしいでしょ〜。
もっとあげようか?あっいらっしゃいませ!おっ紙音ちゃん珍しいの。
(紙音)来とる?トイレ。
元気そうやねぇ。
元気元気。
はじめちゃんやないわ。
ハニーよ。
よかったねぇまだ逃げられとらんのや。
ひどい事言うのもう…。
はじめちゃんコーヒーね。
かしこまりました!おう。
邪魔?こんなんよりもっとええニュース。
さっきねあんたを訪ねてお客さんが来たの。
誰?舟を作ってくれって人。
ずいぶん捜してくれたそうやよあんたの居場所。
誰なんや?村松さんって言っとんさったわ。
名刺なら頂いとる。
鵜飼いの舟作ってほしいんやって。
よう知っとるの。
本物の舟大工はもうあんたしかおらんからって。
ねっ?ええ話でしょう。
どうしたん?うれしくないん?その話…断ってくれ。
前にも言ったやないか。
この手がもう…さびてまったんだ。
辰ちゃんどこ行くの?紙音ちゃん心配させたあかんて。
辰ちゃん!2人そろってどこにいらしてたの?電話で話したじゃないか。
ジローを捜してるって。
あら…2人で捜してたとは聞いてないわ。
それも仲よく。
そんな事説明するほどの事じゃないだろう。
小夏。
はい。
あなたも仕事サボっていい気なものね。
二度とこんなまねしないで。
光太郎。
仕事があるんだ。
午後からは休みのはずよ。
私あなたを迎えに来たの。
このところゆっくり会ってないし…。
分かるでしょ?車に乗って。
乗って。
私に恥かかせないで。
名北大学建築学部教授。
佐橋京平。
どういうご関係?今度ゆっくり聞かせてね。
ねっ?
(車のエンジンをかける音)キスして。
キスして。
私の事…嫌なの?あぁ〜!振られたらしいよ。
マジかよ!悪い悪い。
「悪い悪い」じゃねえよ。
(どなり声)ジロー。
でもメスだしなぁ。
ジローって…。
(ドアをたたく音)どなたですか?・
(辰造)すまん…。
すまん!ちょっとどういう事よ!救急車呼ぶから。
(辰造)紙音だ。
シオン?何?紙音呼んでくれ。
何の事よ?パーマ屋だ。
パーマ屋?パーマ屋の紙音。
(うめき声)どうしたの?寒いの?お父さん見て!
(ノック)はい。
・
(紙音)紙音です。
どこ?あっ…ちょっとごめん!バカ!えっ?えっ?何で?何でこんな目に遭ったん?知〜らない。
もう少しここにおらせてもらってええ?これほんとに千葉?知り合いに医者がおってね来てくれるって言うんやわ。
ふ〜んそうなんだ。
(紙音)ねえ…熱が出たん?そんなヤツに熱なんかある訳ないじゃん。
そいつね人間じゃないの。
氷より冷たい。
またしけてる。
犬や猫だって家族を守る心を持ってる。
そいつは虫けらにも劣る最低の男。
何よ?何すんのよ!もっとたたかれたい?えっ?虫けらにも劣るって?最低の男やって?そういうあんたは何様なん?座ってもええ?もう座ってるでしょ。
あんたのお父さんやんね?関係ないでしょあなたなんかに。
関係あるよ。
私には何より大切な人やから。
何より大切な人?よく言ってくれるよね。
あんたさぁ私と母からこの男奪ってったんだもんね。
そりゃ大切でしょうよ。
それ違う。
何が違うのよ!それがもとでさぁ私の人生は狂うし…。
それだけじゃない。
母は…体をこわして死んじゃったわ!言っとくけど…。
何よ?私がこの人と出会ったのは3年前。
えっ?私もその女の人には一度も会った事ない。
名前も知らへん。
もうひとつ言っとくけど…。
あんたのお父さんはね優しい人やよ。
(紙音)こんなええ人生まれて初めて出会ったわ。
(紙音)不器用な人。
(紙音)自分をうまく表現する事ができへん人。
だけど…何でか愛おしい人。
(紙音)分かってあげて。
(紙音)ごめんね。
(紙音)大丈夫。
大丈夫。
(紙音)待っててね。
健ちゃん朝からごめんね。
(健)いいんですよ。
今度ランチでもおごって下さい。
すいません。
犬捜してて。
見かけたらこちらに連絡下さい。
お願いします。
ごめんね。
ちょっといい?これ犬捜してるんだけど見かけたらお願いします。
ごめんね。
ちょっといいかな?今犬捜してて。
見かけた事ない?見かけたら連絡します。
お願いします。
ありがとう。
あっすいません。
犬捜してるんですけど…。
どうも申し訳ありません。
今日明日はお医者さんから安静にしとるように言われてますんで。
動けるようになりましたら連絡致します。
よろしくお願い致します。
失礼致します。
ごめんください。
警察か?うん。
あんた襲った連中が捕まったんやって。
おやじ狩り…やそうやよ。
(紙音)その連中に何か思い当たる事ある?いや全くない。
お財布もね返ってきたみたい。
はい。
冷たいのがよかった?これでええ。
そうや。
電話しとこう。
なんや急に。
小夏ちゃんによ。
小夏に何を?何をって大丈夫やって。
ケガも外傷だけやから心配せんようにさ。
心配なんかするもんか。
(紙音)えっ?またまたバカヤローやと思っとるわ。
残念でした。
その逆であんたの事心配しとった。
間違いない。
一生懸命氷で冷やして看病しとったみたいよ。
ほんとはええ子なんよ。
いろいろ苦労もしたろうしさ…。
そりゃ突っぱって生きるしかなかったんよ。
分かるなぁ。
あの目…きれいやもん。
あんたの目に似とる。
(民)先生。
お客様が見えとられます。
そう。
リビングにお通しして。
かしこまりました。
(ノック)どうぞお座りになって。
お忙しいところわざわざお呼びたてして申し訳ありません。
どうぞお座りになって。
いえいえ恐縮です。
失礼します。
イタリア製かしら?はっ?そのスーツお似合いね。
いえいえ大したものじゃありません。
確か2年前でしたっけ?ご結婚なさったの。
ああ…。
学長の美しいお嬢さんと。
新婚旅行はイタリアでしたよね。
ローマ。
フィレンツェ。
ベニス。
羨ましいなぁ。
確かそのあとでしたよね?准教授から教授への異例の抜てき。
そうでしたわね?まあ…。
小夏とは…。
そのころのおつきあい?教授。
「赤ん坊はどうしたんだ?」。
そうおっしゃったあなたの声があの時聞こえてしまいましたの。
(悲鳴)それがどうも気になって…。
誤解なさらないで。
その事を公言するつもりは全くございません。
だって教授のお立場が大変な事になってしまいます。
とんでもないわ。
そうでしょう?私はね小夏の事が知りたいだけなの。
あの子がかつてどんな子だったのかあの子のためにもそれを知っておきたいだけなの。
小夏とは…。
(あやか)携帯鳴ってますよ。
ごめんなさい。
(佐橋)まだ准教授のころ…。
名古屋の夜の街で…。
(犬の鳴き声)もしもし。
すいません。
藤沢小夏です。
ジローが見つかったぞ。
えっ?ジローだよ。
脱走したあの犬だ。
(犬の鳴き声)もしもし。
聞こえるか?
(犬の鳴き声)もしもし。
(犬の鳴き声)これじゃまるで盗作じゃありませんか。
(笑い声)小夏に会わせてあげましょうか。
(山崎)男と女は友達にはなれない。
(紙音)男なんてねすぐ図に乗るやで。
気ぃ付けや〜よ。
やめてくれ!愛してるって言って。
・「また今日も繰り返す」・「悲しみが溢れないよに」・「いつの日か何もかも」・「心から許せるのかな?」・「泣きながら見上げた夜空に流れ星」・「願い事はひとつ」・「祈るよ叶う時まで」・「愛し方さえ忘れてた私達だけど」・「惹かれ合うこの気持ちは」・「もう誰にも止められなくて」・「不器用な恋なんだと」・「笑われてもかまわないから」・「信じてみよう」・「心のままに」2016/01/19(火) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
ドラマ10 愛(いと)おしくて(2)「逢(あ)いたくて」[解][字]
小夏(田中麗奈)の部屋から保護犬が脱走した。小夏は光太郎(吉田栄作)に協力を頼み、一緒に捜索するが、怜子(秋吉久美子)は二人の仲を疑い、嫉妬を覚える。
詳細情報
番組内容
小夏(田中麗奈)の部屋から、保護犬が脱走した。小夏は必死に探すが見つからず、光太郎(吉田栄作)に協力を頼む。小夏と光太郎が一緒に行動することに対し、怜子(秋吉久美子)は二人の仲を疑い、嫉妬を覚える。ある夜、父の辰造(小林稔侍)がオヤジ狩りにあい、血だらけになって小夏の部屋に飛び込んでくる。小夏が複雑な思いで辰造を介抱する中、引き取りにやって来たのが辰造の愛人、紙音(南果歩)だった。
出演者
【出演】田中麗奈,吉田栄作,秋吉久美子,水橋研二,石倉三郎,緒形幹太,南果歩,小林稔侍
原作・脚本
【作】黒土三男
音楽
【音楽】羽岡佳
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:15662(0x3D2E)