（榊マリコ）ごちそうさまでした。
（店員）おおきに。
（吉崎泰乃）ごちそうさまでした。
（相馬涼）もううどん１本入んない。
おごりだからって食べ過ぎ。
でもマリコさんにおごってもらうの初めてかも。
そういえば私も誰かにおごったの初めてかも。
（相馬・泰乃）アハハハ…。
（パトカーのサイレン）科捜研です。
何か事件でしょうか？
（警官）はい。
あの部屋で住人の男性が亡くなっていたと通報がありまして。
ご遺体はまだ中ですか？
（警官）はい。
もしよろしかったらあの…私検視しますけど。
あどうぞ。
（相馬）嘘…食べたばっかなのに。
（江原幸三）左京西署刑事課の江原と申します。
法医担当の榊です。
あの検視がまだなら…。
あいにくですがそれには及びません。
どうしてですか？明らかな自殺です。
（江原）ドアのノブで首を吊っていました。
（江原）室内は荒らされた跡もなく遺書も見つかりました。
現場の状況から１００パーセント自殺。
事件性はないと判断しました。
解剖の必要はありませんか？昨今解剖医が足りないのはそちらもよくご存じでしょう。
明らかな自殺で解剖医の先生方の手を煩わせないように留意するのも我々現場の義務だとは思いませんか？それは確かに…。
あとはお任せください。
あれ？
（相馬）権藤さん…。
おはよう。
（相馬・泰乃）おはようございます。
マリコさんゆうべの自殺ネットの記事に出てました。
成尾優也さん２６歳。
洛北メンテナンス勤務…。
やっぱりただの自殺だったみたいですね。
一応名前で検索かけてみますね。
成尾…。
前歴者にはありませんね。
だったら…。
嘘…元警察官？左京西署…。
左京西署刑事課の江原と申します。
（土門薫）自殺した成尾優也のアパートは左京西署管内だ。
左京西署が処理するのは当然だが。
確かにただの偶然かもしれないけど…。
成尾優也は平成１６年採用。
うちの権藤とは警察学校で同期だったらしい。
えっ？ねえ権藤さんに話を聞けないかしら？権藤は実家に帰るといってここ３日休暇を取ってるが。
でもゆうべは確かにあの現場に…。
えっ。
（携帯電話）
（携帯電話）
（携帯電話の振動音）はい。
土門だ。
何！？白骨死体？骨盤の形状から見て男性ね。
「土の中から人骨みたいなものが出ている」…。
昼過ぎに匿名で１１０番通報があったそうだ。
（宇佐見裕也）これネジの一種ですかね…。
（泰乃）造成地だからゴミや不純物もかなり多いですね。
でもこれはゴミじゃないですよね。
じゃあ拳銃で撃ち殺されて埋められた…？死因の特定は鑑定を待ってからよ。
洛北医大に搬送を。
（風丘早月）頭蓋骨の縫合線と歯の摩耗状態から見て年齢は４０代後半から５０代。
ああ…下半身の損傷もひどいわね。
この肋骨なんですけど…。
あ…左胸第四肋骨が破断してる。
心臓に近い箇所ですから死因に関係する可能性が高いかもしれません。
遺体は鑑定の結果死後４年から４年半。
埋められていたのも同じ程度の期間とみられます。
（相馬）殺してすぐ埋めたって事ですか。
歯には明らかな治療痕はなく身元には繋がりません。
（日野和正）着衣からは何か？それがどれも特徴のない素材で出来ていて手がかりになりそうにありません。
ポケットにあったチューブからは何も読み取れなかった。
中身の分析は？ワセリンが主成分でした。
軟膏剤の可能性が高いですが特定はまだ出来ていません。
（泰乃）４年以上前に捜索願が出た失踪者の写真を取り寄せて比較してみたんですけど該当する顔はありませんでした。
死因はわかりましたか？肋骨の破断面から銃弾に使われる金属成分と微量の火薬が出ました。
肋骨の折れ方も１１．４ミリの銃弾ならバッチリです。
（泰乃）やっぱり銃殺だったんですね…。
早速あの拳銃の線条痕を調べます。
（銃声）一致したわ。
（相馬）過去の銃犯罪で使われたやつって事ですか？ううん…違う。
押収された拳銃！？５年前左京西署が暴力団黒洋連合会の組事務所を摘発して押収した５丁の拳銃の１丁と線条痕が一致したわ。
左京西署の組織犯罪対策係って事は自殺した成尾優也がいた部署か。
でも押収した拳銃がどうして外部に…。
（佐久間誠）左京西署を問い詰めたところこんな報告が上がってきた。
「拳銃紛失に関する内部調査報告」…。
保管記録と照らし合わせた結果５年前に押収した拳銃が５丁とも紛失している事が判明したそうだ。
（芝美紀江）問題なのはそれが判明した時期です。
４年前…。
５年前の摘発で押収された拳銃は左京西署の証拠品保管庫に厳重に保管されていたがその翌年つまり今から４年前…。
（佐久間の声）保管庫を点検した際５丁全てが紛失している事が判明した。
（佐久間の声）保管庫の入庫記録から当時組織犯罪対策係の刑事だった成尾優也が拳銃を持ち出した可能性が浮上し聴取したが…。
（成尾優也）違います。
何かの間違いです！
（佐久間の声）成尾の周辺からも拳銃は見つからなかった。
左京西署上層部はやむなく成尾巡査部長が過失で拳銃を紛失したと判断を下した。
過失…ですか？なおかつその事実を府警本部には報告しなかった。
ありていに言えば拳銃の紛失という不祥事をもみ消そうとしたわけです。
だからその件に関しては現在うちの監察官室で対応を判断中だ。
ひょっとして成尾優也さんが警察を辞めたのは…。
まあ本人も最後まで拳銃の持ち出しを否認したが左京西署上層部は過失での紛失を認めれば退職扱いにすると説得し成尾巡査部長も最後には受け入れ上申書を書いて依願退職となった。
（美紀江）信じられないほどずさんな措置としか言いようがありません。
その時に適切に対応していればこのような最悪の事態は避けられたはずです。
最悪の事態？
（美紀江）状況から見て洛西署管内で発見された白骨死体は成尾優也が左京西署から持ち出した拳銃を使い射殺し埋めた。
その可能性が高いと言わざるをえません。
つまり成尾の自殺の原因は４年前の殺人だと？
（佐久間）ああそうだ。
仮に成尾さんが殺人を犯したとしても自殺した翌日に４年も前に埋めた白骨死体が見つかるなんて偶然が過ぎると思いませんか？事実死体は見つかってるんだ。
異例ですが左京西署洛西署との合同捜査本部を府警本部内に設置します。
ポケットにあった軟膏剤の詳しい分析結果です。
市販薬には含まれていない成分が検出されました。
病院で処方される薬って事？ええ。
まいど！
（宇佐見・マリコ）こんにちは。
今日はババロア〜。
（泰乃）ありがとうございます！…と鑑定書。
先生ちょうどよかった。
これ見てください。
何？これ。
（早月）鎮静薬？ロキソプロフェンナトリウム水和物。
整形外科とかで出す薬じゃない？整形外科…。
そう。
骨折とか靱帯損傷のオペしたあとに塗布するやつ。
（宇佐見）風丘先生。
これなんだかわかりますか？
（早月）骨を固定するボルトじゃない？泰乃さん詳しく調べられる？はいやってみます。
やってみてください。
っていうかなんかみんな忙しそうね。
ババロア…。
土門さん。
被害者の手がかりが見つかったわ。
「
（読経）」参列者がこんなにいないなんて…。
左京西署からも誰も来てないな。
辞めた理由が理由だからか…。
あの…あの方は成尾さんの…？
（北野佳恵）妹の蒼ちゃんです。
確かご両親はかなり前に亡くなったと…。
はい。
他に親戚もなく蒼ちゃん今は私のところで…。
失礼ですが…。
岩倉で児童養護施設をやっております北野と申します。
（成尾蒼）何しに来たの？
（権藤克利）君に話したい事があるんだ。
警察なんか全然信じられない。
帰ってよ！帰ってよ！成尾さんとは警察学校の同期だったんですよね？ええ…。
卒業後もどっちが先に刑事になるか競い合ったりして…。
左京西署を辞めた経緯は何か聞いてなかったのか？俺が知った時には依願退職がもう決まったあとで…。
おい辞めるってどういう事だ？何があったんだ？今は何も聞かないでくれ。
成尾。
蒼のためなんだ…。
すまん。
（権藤の声）それ以上は何も言わず気づいた時には寮も出て連絡も取れなくなっていました。
妹の蒼さんのため…。
早くに両親を亡くした蒼ちゃんにとって成尾は父親代わりだったんです。
でも中学２年の頃あいつが刑事の仕事で面倒を見られなくなった頃から悪い仲間と付き合うようになり何度も補導されて…。
それで今の児童養護施設に預けたわけか。
けど非行はおさまらなくて…。
だからあいつが警察を辞めたのもてっきり蒼ちゃんと２人で一緒に暮らすためだ…。
そう思って俺も納得してたんですけど…。
でもそうじゃなかった。
先週警察学校の同期会で松ヶ崎荒木町のアパートでひとり暮らししてると聞いてどうしても気になって…。
休暇まで取って調べていたんだな？…で成尾さんには会えたの？
（権藤）成尾。
お前何やってんだよ。
俺はてっきりお前は蒼ちゃんと…。
悪いなこれから仕事なんだ。
（権藤の声）でもまるで取りつく島もなくて…。
次の日の夜訪ねてみたらあんな事に…。
それよりどうして土門さんやマリコさんまで…？京都府警に合同捜査本部が立った。
え…？４年前押収した５丁の拳銃が左京西署から消えた。
左京西署は紛失の責任を成尾に押しつけ事件をもみ消した。
まさか…。
その拳銃のうちの１丁で射殺された白骨死体が洛西で見つかったの。
刑事部長と芝管理官は白骨死体を射殺したのは成尾優也だとにらんでいる。
成尾はやってません！どうしてそう言い切れるんだ？成尾と俺は誓い合ったんです。
２人とも必ず本物の警察官になるんだって。
本物の警察官？巡査を拝命する時教官に言われました。
（教官）今君らが手にしているのは本物のバッジではない。
これから始まる警察官としての職務の中で君らが市民から愛され敬意を払われる本物の警察官となった時そのバッジは初めて本物になるんだ。
（権藤・成尾）はい！そんなあいつが人を殺すなんて俺は信じません。
明日から捜査に戻ります。
今日はこれで。
すいません…。
放っといていいの？今があいつの正念場なのかもしれないな。
えっ？本物の警察官になれるかどうかの。
（泰乃）一致しました！５年前右膝靱帯再建手術。
術後に鎮痛用塗り薬も処方されてる。
間違いないわ。
土門さん白骨死体の身元がわかったわ。
名前は吉岡繁信。
住所は京都市…。
（権藤）吉岡繁信。
４年前の１月まで２０３号室に住んでいた。
間違いありませんね？
（大家）ええ。
突然いなくなって半年も連絡がないから夜逃げじゃないかと思って家財道具は処分しましたけど。
あの２０３号室今はどなたかが？そのあとは誰も借り手がなくて。
２０３号室だ。
被害者のあとは誰も住んでないそうだ。
血痕はないようね。
射殺現場はここではないのかも。
（権藤）吉岡さんは仕事は何を？清掃員です。
確か…洛北メンテナンスだったかな。
成尾優也さん２６歳。
洛北メンテナンス勤務…。
ではこの男が吉岡さんを訪ねて来た事はありますか？
（大家）そういえば吉岡さんがいなくなる前に何度も訪ねて来てた若い男がこんな感じで…。
多分この人じゃないですかね。
（荻村武史）でもいいですね。
楽しみがあって。
（荻村）はいこんにちは。
来ましたよー。
（荻村）はいこんにちは。
はいちょっと待ってください。
（荻村）はいどうぞ。
ああたくさん出来ましたね。
すごいすごい。
（荻村）すみませんお待たせしてしまって。
どうぞお座りください。
「介護ビジネス希望の星」ですか…。
（荻村）介護サービスに事業を広げたのはよかったんですが大手に比べたらまだまだです。
それよりご用件は？吉岡繁信４年前ここで清掃員をしていましたね？確かにうちにいた吉岡さんです。
いたという事は退職されたと？それがある日を境に急に連絡が取れなくなりまして。
ところでこちらは左京西署のＯＢをかなりの数雇われていますがどうしてまた？いや…特に理由はありませんよ。
本社が左京西署の管内にあるせいか何かとお世話になる機会も多いもので。
（権藤）それで成尾優也も雇ったんですか？
（荻村）あ…そういえば思い出しました。
なんでしょうか？ここに来る前まだ警察にいた頃吉岡を訪ねて何度もここに顔を出してましたよ。
よく覚えてらっしゃいますね。
ええ。
何しろ吉岡に金を借りていたらしくて言い争ってたみたいでしたからね。
嘘ですそんなの絶対…！アパートの大家の供述もある。
２人が会っていたのは事実だ。
ですが成尾はやってません！捜査会議の時間だ。
行くぞ。
白骨で見つかった遺体は右膝の手術痕からみて４年前に失踪した吉岡繁信さんだと断定出来ました。
（佐久間）死因は？左第四肋骨の破断は明らかに銃弾によるものであり口径は遺体と一緒に掘り出された拳銃と一致しました。
同銃による射殺の可能性が高いと思われます。
（ざわめき）
（佐久間）吉岡繁信の部屋からは何か出なかったのか？血痕や火薬残渣などは見つかりませんでした。
ただ１人分の指紋が多数採取され４年間空き部屋だった事から被害者の指紋とみて間違いありません。
江原課長左京西署から報告があるそうですが。
（江原）はい。
あの人マリコさんの検視断った…。
（泰乃）刑事課長だったんだ。
死体発見の前日自室で自殺した成尾優也の部屋から見つかった遺書のコピーです。
「自分は警察官としてあるまじき行為をしてしまいました」えー京南大での筆跡鑑定により成尾優也の筆跡と断定されました。
なんだってわざわざ外部に？うちに頼めばいいのに…。
（江原）「警察官としてあるまじき行為」が殺人だったとすれば自殺の動機もおのずと推測が可能でしょう。
つまり４年前の殺人を後悔して？ええ。
次は府警本部一課。
吉岡が住んでいたアパートの大家が失踪前に成尾優也が何度も訪ねてきたと証言しています。
被害者と成尾は同じ勤務先でしたね。
そちらでは何か？はい。
同社の荻村社長から左京西署退職前の成尾が被害者から金を借りてトラブルになっていたという証言を得ました。
以上です。
成尾にはガイシャを殺す動機がある。
なおかつ成尾は犯行に使われた拳銃を持ち出し犯行をほのめかす遺書まで残して自殺した。
これで決まりでしょう。
しかしそうなると現職の刑事が殺人を…。
（美紀江）当捜査本部は成尾優也を吉岡繁信殺害の最重要容疑者と判断します。
捜査員は全員裏づけ捜査に当たってください。
以上です。
（一同）はい。
（権藤）待ってください！成尾は人を殺したりしません！警察学校の同期だからとはいえ被疑者ではないと信じるのは全く根拠がありません。
成尾は死んでるんです！弁解も出来ないのに容疑者だって決めつけるなんておかしいでしょう。
何かまだ報告していない情報でもあるのですか？いえ…それは…。
今回のような不祥事絡みの事件で最も避けなければならないのは捜査員が私情に流される事です。
情を挟み真実をおろそかにすれば警察の信用は再び地に落ちます。
警察は常に市民から信じられる存在でなければなりません。
佐久間部長。
権藤巡査部長を本捜査から外します。
よろしいですね？ええっ！？権藤捜査が片付くまで自宅謹慎だ。
芝管理官！
（美紀江）あなたも何か？仮に成尾優也が吉岡さんを殺害したとしても物証は何一つありません。
それこそあなたたちの怠慢では？そうかもしれません。
ですから京南大が鑑定した成尾優也の遺書を科捜研でも鑑定させてください。
その必要はありません。
証拠がないというのなら次は証拠を見つけてきてください。
わかりました…。
癒着？ああ。
あくまで噂だがな。
左京西署と洛北メンテナンスの間に癒着の噂が絶えない。
社長の荻村が洛北メンテナンスの顧客や政治家のために左京西署に便宜を図るように依頼してるらしい。
（荻村）お世話になってる議員の方がスピード違反を…。
ええ。
交通課長のお力でなんとかお願い出来ませんか？交通違反のもみ消し車両ナンバーの照会などが日常的に行われている。
左京西署の人間にとって洛北メンテナンスは退職後に世話になるかもしれない言わばお得意先だ。
だからむげに断れない事を荻村社長は利用してたんだ。
それで荻村社長は左京西署に有利なように成尾さんと吉岡さんの間に金銭トラブルがあったと供述した…。
左京西署には俺たちに知られたくない何かが隠されてるに違いないんだが…。
だったら調べてみる？言っておくが府警本部が所轄署を調べるとなると厄介だぞ。
ううん私に考えがあるの。
左京西署の証拠品保管庫を調べる？なんのためにだ？成尾優也が吉岡さんを殺害したという事を証明するには何よりも凶器である拳銃を成尾自身が持ち出したという確たる証拠が必要だと…榊君が。
証拠を見つけろとおっしゃいましたよね？そのために保管庫を検証する許可をお願いします。
わかりました。
皆さんどこの組の方ですか？ちょっと何言ってんの！怖え…。
（泰乃）バカ！科捜研です。
現場検証を行いますので保管庫の開錠をお願いします。
もう４年以上も前の話です。
今さら証拠なんか残ってますかね？それを見つけるのがこちらの仕事です。
鑑定の妨げになるので中に入るのは私たちだけにさせてください。
あんたら…！わかりました。
気のすむまでお調べください。
どうぞ。
紛失した拳銃はここに保管してあった。
まずは指紋から始めます。
（シャッター音）人の出入りが少ないせいかかなり残ってるわ。
だとしたら紛失当時の指紋も残ってるかもしれませんよ。
これで全部です。
あれ？
（相馬）あ…そっちは刑事課の保管庫ですけど…。
あったわ。
これって自殺した成尾優也の…。
遺体が荼毘に付されている以上現場で何があったのかそれを示す証拠はここにしかないの。
ひょっとして最初からこれが目当てだったんですか？時間がないわ。
証拠品も書類も今は写真におさめるしかない。
手分けしてやりましょう。
はい！
（泰乃）お願いします。
（シャッター音）次お願い。
はい。
原本じゃん。
土門さん！何かわかった？古株の刑事を当たったんだが成尾が刑事だった頃の事になると誰もが貝みたいに口をつぐんでやがる。
かん口令でも敷かれてるのかしら？ただそれとは別に成尾が自殺した夜…。
兄貴が自殺なんかするわけない！絶対おかしいって！頼むから帰ってくれないか。
お願い…もう一度調べ直して！だからあんな言葉を…。
警察なんか全然信じられない。
帰ってよ！帰ってよ！お葬式が終わってからずっと部屋にこもったままで…。
蒼ちゃん！
（ノック）権藤さんがお見えよ。
危ない目って…何か心当たりは？蒼ちゃんお兄さんが亡くなってから誰かに見張られたり後をつけられてる気がするって言ってて…。
誰かにって？わかりません。
でも他の子の中にも施設の様子を伺ってる不審な人影を見たっていう子もいて…。
他に何か気づいた事はありませんか？亡くなる前の日お兄さんが突然やってきて…。
はい。
（蒼）何？これ。
いやあ就職祝い。
渡してなかったろう？
（権藤）成尾が死ぬ前に蒼ちゃんに渡したんですね？ええ。
あっ私警察に…。
警察に届けるのは待ってください。
（佳恵）でも…。
心配しないで。
蒼ちゃんは俺が絶対見つけますから。
（相馬）所長これ…。
ん？左京西署の保管庫からは成尾優也さんの指紋は見つかりませんでした。
だとしても成尾さんが拳銃を持ち出していない証拠にはならないわね。
（泰乃）ただ１人分だけ府警本部のデータベースに登録のない指紋が見つかりました。
え？
（宇佐見）保管庫の中に入れるのは警察関係者に限られるはずです。
部外者の指紋が出るわけないんですが…。
これを見て。
遺体の発見時成尾さんの部屋には携帯電話があったわ。
証拠品のリストにも記載されてる。
でも保管庫のケースの中には携帯電話なんかなかったの。
まさか…誰かが持ち出したって事ですか？
（携帯電話の振動音）成尾蒼が児童養護施設を抜け出し行方不明だ。
「蒼さんが？どうして？」今来たところでまだわからん。
ただ俺が来る前に権藤が来ていた。
権藤さんが？成尾蒼は何者かに見張られつけ回されていたようだ。
それを聞いた権藤は…。
警察に届けるのは待ってください。
（佳恵）でも…。
心配しないで。
蒼ちゃんは俺が絶対見つけますから。
「そう言って出ていったそうだ」えっ…。
それともう１つ。
成尾優也は死の直前妹の蒼を訪ねてお守りを渡していた。
お守り…。
とにかく俺は成尾蒼と権藤の行方を捜す。
わかった。
こっちは成尾さんの身に何があったのか一刻も早く明らかにするわ。
この女の子来てませんか？この時間は男の人ばかりなので…。
見かけた事は？さあ…。
すいませんこの子に見覚えは？あのすいません。
この子に見覚えありませんか？この子に見覚えは？
（ため息）１０代の女の子にしては随分男くさい店にいるんだな。
なんで…？ひょっとしたらここじゃないかって思ったんだ。
兄貴おごってって言ったら必ずここだった。
バカの一つ覚えみたいに。
俺たちの頃と変わってないな…。
え？警察学校の試験のたび成尾と俺で点数の悪かった方が相手におごるルールだったから。
ふ〜ん…。
でどっちが勝ったの？６対４で…。
俺の負け。
チクショー！自殺なんかじゃ絶対ない…。
誰も私の言う事なんか信じてくれないんだ…。
（日野）これ。
これ成尾優也さんの遺書の…？
（日野）筆跡は間違いなく本人のものだった。
だが問題はこれが書かれた時期だ。
インクや紙の酸化程度から少なくとも４年以上前に書かれたものだと判明した。
だとすれば自殺のために書かれた遺書ではない可能性があります。
でもこの文章は一体…。
それにしても左京西署がよく原本を提出してくれたな。
原本は確かまだ保管庫にあるはず。
え？いやでもこれ相馬君が僕にって…。
ひょっとして勝手に持ち出したんじゃ…。
相馬君！相馬君！君ねまたとんでもない事を…！とんでもない事がわかっちゃいました！これ！現場写真をもとに首を吊ったノブの高さや保管庫にあったタオル成尾優也の身長から首を吊った時の姿勢をシミュレートした結果です。
これがなんだ？結び目から見てタオルは１１０センチ。
でもこれだけ長いと体重の８パーセントの力しか首にはかかりません。
頚骨の骨折はおろか頚動脈洞反射も起きないわ。
それって…。
この姿勢では首吊りは不可能という事です。
正体不明の指紋の持ち主がわかりました。
蒼ちゃん…出よう。
土門さん！蒼さんと権藤さんは？いやまだだ。
そっちは何かわかったか？成尾優也さんは自殺じゃなかった。
え？あの部屋のドアとタオルでは首を吊れなかった。
おそらく何者かが殺害したあと首吊り自殺に偽装したの。
遺書は？４年以上前に書かれたものだったから偽装の可能性が高いわ。
それともう１つ。
左京西署の拳銃保管用キャビネットに残っていた指紋は白骨で見つかった吉岡繁信のものと一致したの。
拳銃を持ち出したのは吉岡だったっていうのか？警官でもない人間がどうして…。
１つ気になっていた事があって。
成尾さんが死体で見つかった夜ただの自殺現場のはずなのに刑事課長の江原さんがわざわざ臨場していてそして…。
あとはお任せください。
（マリコの声）そう言って私たち科捜研を遺体に近づけさせなかった。
左京西署は４年前の拳銃紛失事件をもみ消しただけじゃなく成尾さんの死やおそらく吉岡繁信さん殺害にも関与している可能性が高いわ。
権藤はそれに気づいていたんだ。
警察に届けるのは待ってください。
あそこは左京西署管内だ。
権藤は成尾蒼の失踪を左京西署には知らせまいとした。
つまり左京西署の中に犯人に通じてる人間がいる事を知っていたんだ。
じゃあ権藤さんは…。
あいつは今１人で成尾蒼を守ろうとしている。
一刻も早く２人を見つけないと！行こう。
う〜ん…。
あんまり褒められた遊び場じゃないな…。
しょうがないでしょ。
ここなら誰も来ないし…。
ねえ…兄貴に死ぬ前会ったんでしょ？その時何話したのか教えて。
成尾は自分がどうして警察を辞めるはめになったのかを調べていた。
そして…真相を突き止めたから殺されたんだ。
（電子音）何？これ…。
ちょっと貸して。
（物音）
（鉄パイプを引きずる音）隠れて。
（鉄パイプを引きずる音）
（扉をたたく音）
（蒼）キャッ！ああっ…！逃げろ！
（鉄パイプでたたく音）キャーッ！
（権藤）走れ！走れ！どいて！ダメだ行こう！
（蒼）キャーッ！逃げろ。
（男）おらーっ！
（権藤）うわっ！行かすか…！顔見せてもらうぞ。
（刺す音）うっ…！うっううっ…！ああっ…！うあーっ！！どうしたの？いや…急ごう。
待て…。
2016/01/19(火) 16:00〜16:58
ＡＢＣテレビ１
科捜研の女１２[再][字]
「疑惑の白骨死体！残された押収拳銃の謎」
【出演】沢口靖子、内藤剛志、若村麻由美、田中健
詳細情報
◇番組内容
沢口靖子演じる京都府警科学捜査研究所研究員の榊マリコが、事件現場に残された微細証拠を手がかりに真相を究明する科学捜査ミステリー。
◇出演者
沢口靖子、内藤剛志、若村麻由美、風間トオル、戸田菜穂、斉藤暁、高橋光臣、奥田恵梨華、長田成哉、田中健
【ゲスト】
隆大介、田中幸太朗
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字（字幕）
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