生字幕放送でお伝えします≫情緒あふれる白壁の町並み。
なんだかタイムトリップをしたみたいですよね。
私が来ているのは岡山県倉敷市です。
ここは美しく観える地区と書いて美観地区というところです。
いかがですか、この風景。
勝俣さん!≫僕もね、何度か行きましたけどきれいで気持ちいいところですよね。
≫そうですよね。
本当にきれいな町並みですよね。
≫磯山さん、左手から花嫁さんが歩いてきてますよ。
≫そうなんです。
花嫁さんと婿さんが。
すてきですよね。
おめでとうございます!本当に仕込みじゃなくて偶然、撮影に来ているお二方なんですよ。
ここには、町屋や蔵屋敷などの建物がこのようにきれいに残されています。
岡山県内屈指の観光地で年間300万人もの人が訪れるということなんですよね。
今日は、あちらにいる南波アナウンサーとともにお送りしたいと思います。
南波さん!≫はーい!川を挟んで続く、この美しい景色。
この景色は、江戸時代から400年かけて作られてきたんです。
町の始まり、江戸時代には中国地方や四国地方の商品を舟で大阪に運ぶときの中継地として栄えました。
その後、明治、大正、昭和と時代を重ねより美しく変貌を遂げてきたこの美観地区。
今日はその美の神髄を味わう400年の旅にご案内しますよ。
≫勝俣さん、こちら実はもう明治時代の美しさを実感できる場所に来ているんですよ。
分かりますか?≫なんですか、建物ですか?≫建物もそうなんですけれども答えは、こちら。
この橋なんですよね。
こちらの橋は、江戸時代が終わり明治10年に完成しました。
本当に近くで見るときれいなアーチを描いているのが分かりますか?≫そうですね。
だって石でこの曲線って難しいですもんね。
≫そうなんですよ。
さすがです。
石で作られている橋なんですけれどもこの橋には珍しい特徴があるんですが勝俣さん、分かりますか?≫すぐ分解できる!≫違うんです。
分解できないんですよ。
実は、この橋は一続きの大きな岩で支えられているんです。
下の部分、分かります?下の部分が一枚岩なんですよ。
≫頑丈なんですね、じゃあ。
≫そうなんです。
この橋の下が骨格としても1枚の岩で作られているということなんですよね。
だから、分解はできないという橋なんですが。
この岩の重さなんと9トンあるんですよ。
橋に合う頑丈な岩を探してわざわざ香川県の小豆島から運んできたということなんですよね。
≫長い間耐えているんですもんねそしてね。
≫そういうことなんですよ。
それで、ちょっと橋の上にも実際に行ってみたいと思いますけれどもでも、9トンの岩を運ぶなんて大変なことですよね。
≫これで磯山がのって壊れたらびっくりしますね。
≫びっくりしますけど1回、乗ってみましょうか。
磯山がのっても大丈夫じゃないですよ、本当に。
9トンありますから丈夫なんですけど本当にわざわざ大変なことをなぜしたのか。
その理由はこの橋を作った人たちの心意気にありました。
物流の中継地として栄えた倉敷はもともと、商人が主役の町でした。
そして、明治に入り侍が一番偉い時代が終わりまして商人の地位が向上しました。
そして、新しい時代を迎え…。
≫お米運んでる。
これがその当時はこういうふうにやってたんですね。
≫こういうふうに、いろいろと物流の中継地としていろいろと運ばれていたということなんですけれどもその商人さんが、自分たちがこの町の推進力になっていくために結束力を、この橋の建設で示したのではないかといわれております。
頑張った証しといいますか自分たちで支えていこうという。
≫まさしく支えていく橋を作ったんですね。
≫そういうことなんですよ。
この橋で表したということなんですがこうした倉敷の商人の気質を表す言葉があるんです。
それが3ぱりということなんですが…。
ちょっと倉敷の当時の商人の皆さんですかね。
すいません!倉敷の商人さんですか?≫さようでございます。
≫ちょっと若めですけれども。
倉敷の商人の気質を表す3ぱりというのはなんですか?≫意地っぱり。
≫強情っぱり。
≫見えっぱり。
≫という、これが3ぱりということなんですよね。
この3ぱりでこの橋を作ったかもしれないということなんですよね。
すいませんありがとうございました。
≫それでは商いがありますので失礼いたします。
≫頑張ってください!商いのほうも。
≫この橋の完成から50年後の大正時代に移りますがその時代、1人の商人が、さらにこの町を大きく変えていくことになるんです。
そこにもまた心意気が関わっていました。
≫勝俣さん、大正時代は私がご案内します。
この辺りは、ご覧くださいなまこ壁の建物が軒を連ねています。
この景色も美観地区の特徴の1つでもあるんです。
ただ、この風情ある町並みを大きく変えた商人というのがいます。
それがこちら、大原孫三郎です。
とにかくとてつもないスケールの大商人でした。
明治から昭和の初めにかけて紡績業で財を築き上げました。
そこで、心意気のある孫三郎は得た利益を社会事業に投じました。
その額は今にしてなんと数百億円といわれます。
勝俣さん、すごいでしょ。
≫すばらしいですね。
≫そして、孫三郎は潤沢な資産を生かして町のためにさまざまなものを作りました。
その1つが今、私が立っている今橋です。
この橋、美観地区の橋の中で道幅が最も広いんですよ。
車も優に通ることができます。
そして橋の全景をご覧いただいてもどうですか、これ立派な橋ですよね。
≫レリーフっていうんですか模様もきれいですよね。
≫彫り物も入っているんですよ。
なぜ商人の孫三郎はこうした橋を作ろうと考えたのかその理由がここにあります。
これ、菊の御紋なんですけどこれ、天皇家の菊の御紋なんですね。
なぜ天皇家かというと大正15年、当時の皇太子。
つまり後の昭和天皇が美観地区を自動車で訪問されることになりました。
この橋は、自動車でも渡れるようにと作られたものなんです。
当時も橋が架かっていましたがそのときの写真がこちらです。
勝俣さん、当時の橋は小さかったんですよ。
道幅も狭かった。
ですから、車でお通りいただくことができない。
そこで、倉敷の町は公共工事で新しい橋を建設することに決めて入札にかけました。
落札したのが、商人・孫三郎です。
皇太子がお越しになっても恥ずかしくないように立派な橋にしようと考えたんです。
そのときの工事の様子ですね。
勝俣さん、この辺り分かりますかね。
注目していただきたいんですが当時の倉敷ではまだ珍しかった鉄筋コンクリートの橋なんです。
工事には2000人投入しました。
最終的にかかった費用は落札額をはるかに上回る金額にまで膨らみました。
ただ、赤字分はすべて孫三郎が自腹を切ったといわれているんですね。
立派な橋を作るためにお金を惜しまない孫三郎の心意気がこの広く頑丈な今橋を作り上げたんですね。
≫今も多くの方が利用してくれているのがありがたいですね。
≫そうなんです。
ただ、勝俣さんこの孫三郎の心意気を感じられるものこの橋にまだあるんです。
こちらです。
竜の彫り物です。
これ、欄干一面に彫られているんです。
≫多くの竜が描かれていますよね。
≫そうなんですよ。
1つだけじゃないんですよ。
この内側の一面に描かれているんですけども。
これ、孫三郎が倉敷の画家に依頼してデザインしてもらったものなんですがなぜ、これ竜なのかといいますと華やかな見た目にするというだけでなく孫三郎自身がたつ年生まれだったこともあるそうなんですよ。
≫竜は、あと水神だから水の害があまりないんですよね。
≫そうなんですね。
そして、大正時代はこの町の繁栄のために孫三郎、力を注いだんですが昭和になるとその心意気が芸術に向けられます。
そこで作ったのがこちらです。
こうした建物、ひときわ目を引く建物も作りました。
これは日本で一番最初にできた西洋美術館、大原美術館です。
ギリシャとかローマのイメージだそうなんですけど地元ではパルテノンの愛称で親しまれています。
大原孫三郎は持ち前の心意気で海外の名画を買い集めました。
コレクションはモネ、ゴーギャン、ピカソなど当時の芸術界をリードしていた画家ばかりでした。
中には、直接ルノワールに依頼して描いてもらった作品も存在します。
孫三郎は町の中心部に美術館を建てることで市民が世界最高峰の芸術に気軽に触れられる環境を作りました。
≫文化レベルを上げるということはいいですよね。
≫そうなんです。
で、勝俣さん、孫三郎が残した芸術的な建物がもう1つあるんですね。
それがこちらにあります。
この向かいにあります。
こちらの建物です。
≫これも日本的な建築物ですけど。
≫これは、奥さんのために商人・孫三郎が作った別邸で、有隣荘と呼ばれています。
ただ、この建物の特徴はなんといってもこちらの瓦です。
≫緑色で珍しいですね。
≫1枚1枚、釉薬を使って緑色に焼き上げています。
一つ一つ見ると焼き上がり、違いますよね。
≫奥さんが好きなのかな?緑が。
≫地域では、これ緑御殿とも呼ばれているんですね。
≫あんまりないですもんね。
≫珍しいんですよ。
ただ、特徴は瓦だけではありません。
改めて川沿いの美観地区の風景をご覧いただきましょう。
白壁の町並みとも呼ばれているこの美観地区。
ですから、白い壁の建物がズラッと並んでいるんですがただ、有隣荘の壁をもう一度見ていただきますと緑の瓦に合うようにオレンジ色になっています。
≫色彩感覚も優れていたんだね。
≫壁に色をつけたのはこちら、地元でとれた顔料弁柄です。
これは酸化した鉄なんですけれどもこれだけだと真っ赤じゃないですか。
これに土を混ぜ合わせることで鮮やかなオレンジ色にしたんです。
先ほど、勝俣さん、日本風とおっしゃっていましたけれどもこれ、実は斬新なデザイン。
中国、あるいは西洋の建築の影響も受けているということでまさに和洋中の文化の結晶なんですよ。
≫太陽が当たると町が明るくなりますよね。
≫とてもきれいですよね。
この江戸の風情が中心だった倉敷の町並みに時を重ねて芸術のモダンさが加わって文字どおり、美しい美観地区が出来上がっていったわけです。
≫さてさて、こちら現代に戻って今、この美観地区には新たな変化が生まれているんです。
それはどういうことかといいますと世界中から人が集まる場所ができたんです。
それが、こちらなんですよね。
一見、古民家を使ったカフェなんですけれども秘密は中にありますのでちょっと入ってみましょう。
お邪魔します、すいません。
おいしそうなものを皆さん召し上がっていますけれども。
ちょうどお昼の時間なので。
申し訳ございませんお邪魔します。
こっちには畳のお部屋もあるんですよ。
≫人の家にお邪魔しちゃったみたいですね。
≫古民家ですからね。
ちょっとここからあがらせていただきます。
お邪魔します。
こたつも暖かそうですね。
おいしい香りがしますけれども秘密はこちらなんですよ。
ちょっと開けてみましょうか。
これ、これで分かるかな?布団があるんですけども。
≫泊まれるんですか?≫そういうことなんです。
こちらは宿泊施設として営業されているんです。
≫またいい部屋だね!≫すてきな部屋なんですけれどもこの宿に、世界中からお客さんが殺到しているというわけなんですね。
それが、こちら、この地球儀を見ていただきたいんですが。
たくさんシールが貼ってありますよね。
それは、なんでかといいますとお客さんたちが自分がどこから来たのか印をシールでつけているんです。
≫すごい遠くからいらっしゃってるんですね。
≫日本の裏側のチリだったりとかアルゼンチンから来ている方もいますし。
あと、ここマダガスカルからも。
すごいですよね。
たくさん宿泊客が来ているということなんです。
≫本当、世界中からですね。
オーストラリアからも来ているしハワイからもかな。
≫本当に人気でこの人気の理由の1つは近年、海外のメディアでここ倉敷の魅力が取り上げられ注目が高まっているということにあるということなんですね。
そして中でも、この宿泊施設はこういった縁側があってまた中庭がきれいなんですけども。
こちらで昔ながらの日本の生活が体験できる、そこも人気だということなんですね。
≫日向ぼっことか、いいですよね。
≫最高ですよ、本当にね。
≫磯山さんやっと追いつきました…。
すてきな宿なんですけれどもこの宿を立ち上げました中村功芳さんにも一緒にお越しいただきました。
よろしくお願いします。
中村さん、海外からも多くの人が集まる宿泊施設。
どういう思いで作られたんですか?≫この施設は先輩とか先人が作ってくれた文化を倉敷から世界に発信したいと思いましてこういうふうにしました。
≫そして、この魅力あふれる倉敷の美しい町並みを舞台にしたドラマも放送されるんです。
≫ということですてきな大人のラブストーリーという感じなんですけれども。
実は、今日、ご紹介した場所も登場するんですよ。
≫よーい、スタート。
≫中橋も、見事にドラマに参加。
400年にわたる美観地区の美しさが作品に彩りを添えました。
≫はい、OK。
≫中村さんこのドラマの舞台にもなった倉敷の魅力改めてどんなところに感じています?≫倉敷の建物もすばらしいんですけれども営みをしている町の人の生活に触れていただくと、もっと倉敷を楽しんでいただけるかなと思っています。
≫雰囲気だけじゃなくて人も魅力ということですね。
≫はい、そうですね。
そのときはぜひ滞在していただいてもう、2日ぐらい滞在すると住みたくなるかもしれないんですが。
≫住んでもいいぐらいの町ということですね。
≫そうですね。
≫人が温かいんですね。
≫そうなんです。
こちらの奥の部屋にはここ倉敷の魅力に引きつけられてこの宿に働いている皆さんがいるので、お話を伺いに行きたいと思います。
皆さん、魅力に引きつけられていると。
≫こちらの部屋です。
この部屋、もともと荷物を置くような蔵だったんですけれどもそれを改装して作っています。
≫それでは失礼します。
こんにちは。
≫いい部屋だね!≫すいません、失礼します。
こたつ、ぬくぬくですけれども。
勝俣さん、こちらには働いている方の中には元お客さんだという方も多くいるんですよ、実は。
≫いい出会いがあったんですね。
≫そういうことなんです。
お話を伺ってみましょう。
どうしてもともとお客さんだったのにここで働くことになったんですか。
≫ここ有鄰庵に泊まって泊まったときにオーナーだったり地元の人たちが倉敷の魅力とか楽しみ方を教えてもらってすごいいいなと思って移住してきたような感じになりますね。
≫そして、海外からやってきてそのまま、ここで働いている方もいます。
こちら、王さんです。
こんにちは。
王さん、どちらからいらっしゃったんですか?≫私は台湾から。
≫なんでまた倉敷に?≫私は以前、台湾で倉敷の番組を見ました。
倉敷紹介の番組を。
倉敷には和風と洋風古い建物があります。
違和感もありません。
倉敷もアートの町です。
私は昔ながらの雰囲気と民芸品が好きですから、そのとき番組を見て倉敷に憧れるようになりました。
≫こちらで今何をやってるんですか?≫これは、台湾語のブログを書いています。
≫これを見てまた多くの人が来ますね。
≫世界に発信されているんですね。
今日のことなんかもこのあと、もしかしたら発信されるかもしれませんね。
勝俣さん、今は町を財力で守っていくというような大商人はもういないかもしれませんがただ、国内外問わずこの町の魅力に引きつけられてやってきた人たちがこの町の新しい力になっているんですね。
≫心ですね、大切なのはね。
(友厚)もし私が死んだかて五代が作った大阪は残ります。
2016/01/19(火) 12:20〜12:45
NHK総合1・神戸
ひるブラ「冬の倉敷☆再発見!〜岡山・倉敷市〜」[字]
古さと新しさが同居する倉敷をぶらり旅。和と洋の趣ある建物が織りなす美しい景観。そして古民家を改築した人気のゲストハウスもご紹介。行ってみたくなる倉敷を再発見!
詳細情報
番組内容
【ゲスト】磯山さやか,【コメンテーター】勝俣州和,【司会】南波雅俊 〜岡山県・倉敷市から中継〜
出演者
【ゲスト】磯山さやか,【コメンテーター】勝俣州和,【司会】南波雅俊
ジャンル :
バラエティ – 旅バラエティ
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
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