京都地検の女4 2016.01.19


(店員)ありがとうございました。

(店長)お客様…!大変申し訳ございませんがまだ清算がお済でない品物お持ちじゃありませんか?
(香西雅之)いや…。
その鞄…ちょっ…待て!
(香西)はな…放せ!
(店員)動くな!
(香西)放せ!
(店員)静かにしろ!
(店長)こんなに盗って…。
近所にうちの支店でも出そうっていうの!?あんた初めてじゃないだろう?
(香西)いえ初めてです。
どうかしてたんです!こんな事は今まで一度だって…。
警察呼んで。
はい。
ま…待ってください!店長さんお願いします!お願いします!この通り!もう二度と致しません!どうか見逃してください!お願いします!お願いします!…何してんだよ。
早くかけろよ。
(店員)は…はい!
(鶴丸あや)香西雅之さん。
私の事覚えてませんか?以前あなたの担当になってこうして取り調べをした事があります。
どう?思い出してくれた?
(ため息)また前回同様の容疑ですね。
長い時間かかって罪の償いをし二度と同じ過ちを繰り返さないと誓ったはずなのに…。
私としても大変心苦しくて仕方ありません。
申し訳ございません。
では始めます。

(太田勇一)鶴丸検事絶好調です!もう即断即決!今の万引き犯なんか有無を言わさず「起訴します太田さん」ときたもんだよ!もうカミソリの如く切れ味鋭い鶴丸検事の判断力をもう高原副部長にぜひともご報告したくて!
(高原純之介)我々は常に矛盾を抱えている。
「疑わしきは罰せず」の原則で被疑者の被疑事実を十二分に吟味・調査せねばならぬ反面山積する事件の迅速な処理も求められてる。
担当検事諸君はその矛盾の中で常に四苦八苦しているわけだが…。
私も今回取り調べをおろそかにしたつもりはありません。
前科二犯の被疑者が前回同様の手口で犯行に及び供述・証拠全て揃ったので疑問を差し挟む余地もなく…。
疑問なんか差し挟む必要ありませんよ!万引きを何度やっても懲りない被疑者は何度でも塀の向こうに落ちるしかないんだ!更生を誓って刑務所を出たはずなのに…。
悲しい現実です。
私も…時々感じる事がある。
自分の体の中の魔物を自分自身でどうしても制御する事の出来ない人間がいるって事をね。
まぁいずれにしましても珍しく単純な案件でしたよね。
検事この勢いでひとつ午後からの案件も右へ左へとバッサバッサ切りさばいていってくださいね!多分ご期待には添えないと思うけど?またご謙遜を…。
(高原の笑い)
(ノック)
(柿口可久子)失礼します。
(可久子)鶴丸検事。
わざわざ呼びに来なくていいんだよ可久子。
私も検事もすぐに戻る!いえ鶴丸検事にお客様です。
さっきの万引き事件の被疑者香西雅之の勤め先の社長さんがぜひ検事にお会いしたいと。
会うわ。
帰せ!いや…か帰せ!
(太田)検事…ダメ…ダメです!そんなにすんなりいってたまるもんか…。
お待たせしました。
鶴丸です。
(谷口光男)あの…松原商店街で小さな電器屋をやっております谷口と申します。
保護司の先生の紹介で香西雅之をもう2年店で雇っています。
この度は大変なご迷惑をおかけしまして…。
あいえ…どうぞ…。
でご用件は?はい。
警察でも申し上げたんですが香西にもう一度立ち直る機会を与えてやるわけにはいきませんでしょうか?そんな事出来るわけないですよ。
香西雅之はすでに起訴相当と判断されたわけで…。
黙って太田さん。
お話聞かせてください。
検事…。
谷口さん外でお話しましょうか。
はい。
呆れてものが言えないよ!
(白井清志)ずっと折に触れて観察してきましたが今日鶴丸あやという傍若無人なモンスターがここに誕生してしまったのはどうも鶴丸1人だけの問題ではないような気がする…。
白井検事…何か面白い説を披露してくださるんでしょうか?太田さん。
鶴丸検事の暴走の一端をあなた自身の…事なかれ主義逃避癖女性恐怖症などが担っていると思えてならないんですが。
可久子!何か言ってやって!私も同感です。
谷口さんお気持ちはわかります。
でも…。
無理なお願いだとは承知しています。
香西は可哀想な奴なんですよ…。
小さい頃に父親を亡くして母1人子1人で育ってそのお母さんも3年前に死んだ。
最近よく母親の夢を見るって。
小さい頃一緒に川で遊んだ夢…スイカを食べた夢…。
谷口さん仕事を残してきましたのでまた改めて。
検事さん!香西を助けてやってください。
お願いします!あ…。
検事さんいつでも呼んでください。
香西のためならすぐにどこへでも参上しますので。
お願いします。
(ため息)
(池内弘二)検事!あぁ池内さん。
(池内)谷口さんと何話してたんですか?あら知り合い?うちの管内じゃ有名ですからねあの人。
へぇ。
前科のある人間を積極的に雇い入れて。
今まで10人じゃきかないでしょう。
へぇ〜街の篤志家ってわけね。
保護司に頼まれて雇うけども裏切られて。
また雇ってまた裏切られて…。
前科のある人間が働いてる店だと知れて客は離れていくし確か奥さんも愛想尽かして出て行ったはずですよ。
今もある窃盗犯の弁護に来たの。
可哀想な奴だから許してやって欲しいって。
裏切られても裏切られても懲りないで親身になってとことん面倒見る。
なぜ…?わかりません。
中京署の七不思議の1つです。
(北村鉄男)まぁ俺に言わせりゃそいつは偽善者だね。
誰?谷口さん?そう。
あの電器屋のオヤジ。
表面上はな前科者使ったりして親切そうには見えてるけどね。
(鶴丸りん)裏向きは?ちょっとりん…!こんな人の話まともに聞く事ないわよ。
裏向きはな前科者を安い金で使いたいだけなんだよ。
今人件費高ぇだろ?ブー!わかったような事言わないで。
いくら人件費節約出来たってお客さんが離れちゃったらしょうがないじゃない。
それに奥さんにまで逃げられちゃったら元も子もないわ。
これは北村の負けだね。
ノンノンノン。
あの電器屋な元々カミさんと別れたかったんだよ。
だから前科者を家に引き込んだりしたわけだ。
うんそういう考え方もあるか。
ちょっと…!青少年につまんない話吹き込まないで!りん!あんたもいつまで食べてんのよ!ほら勉強勉強。
あんた受験生でしょ。
今日寒くて。
あたしの部屋北側だから。
だったらエアコンつければいいじゃないの!エアコン壊れてる。
じゃあオーバー着てマフラー巻いて靴下履いて。
ほら頑張る頑張る!ほらほら!…はい。
はい。
はい頑張って!ほら北村さんももうご馳走様して帰る!あたし片付けるからさ。
え〜白菜が足んねぇから買って来いって使いっぱしたのは俺じゃねぇかよ。
俺にはな食う権利があんだよ。
ふ〜ん。
じゃあ白菜だけ食べてって。
はいどうぞ。
鳥じゃねぇんだからそんな葉っぱだけいらねぇよ!何言ってんのよ。
美人2人とご飯食べれただけでありがたいと思いなさい。
美人2人!?りんりんはともかくもう1人どこにいるんだよ。
目も悪くなったの!?目の前にいるでしょ!見えねぇな…どこだ?あっちぃな!もうほら白菜だけ食べなさいよ。
もうさっさと帰る帰る帰る!こうなったらな俺は徹底的に食ってやる!大体まだ飯食ってる…何すんだよ!?うどん…!
(りん)ちょっと!静かにしてよ。
勉強の邪魔!
(2人)…すいません。
あんたのせいよ。
そっちだろ。
(あやと北村のケンカする声)いつもいつもすみませんねぇ。
(谷口)いえいえ遠慮しないでいつでもすぐ電話してください。
すぐ来ますからね。
はい大丈夫ですね。

(店長)ダメじゃないか。
(店員)すいません。
こちらの商品もまだ在庫入ってこなくて…。
う〜ん…。
ちょっとあんた!前に私が言った話聞いてなかったのか!?な…何ですか?あいつには前科があるんだよ。
何かあったらまず声をかけて注意してやってくれって口すっぱくして言っただろう!
(咳ばらい)黙って品物を持って行きそうになったら声をかけて注意してやってくれって言ったでしょう!
(店長)注意も何も店の物あれだけごっそり持って行かれた日…。
あんたさ…そんなに自分の点数が稼ぎたいのか?何すんだ!?あんたも捕まりたいのか!?あぁ上等だよ!捕まえてみろよ!さぁ!ほら!捕まえてみろよ!捕まえてみろ!
(店長)放せ!ちょっとやめてくださいよ!ちょっと…お客さん!ちょっと…ほら!
(店長)いい加減にしろ!
(足音)検事。
まぁ池内さんおはよう。
早いわねぇ。
今日は何?
(池内)検事をお待ちしてたんです。
あたし?へ〜光栄ねぇ。
この前会った谷口って人覚えてますか?あの窃盗犯の香西雅之雇ってた電器屋の…。
あぁ覚えてるわ。
どうかしたの?昨日の夜傷害事件起こしまして。
えぇ…!?まぁ幸い示談で済みそうなんですが…。
あの人誰をぶん殴ったと思います?さぁ…?香西が万引きで捕まったスーパーの店長です。
なんでまた!?逆恨みでしょう。
香西が捕まった事がよほど悔しかったんでしょうね。
でももういくら谷口さんが外でスタンドプレーしたって香西雅之の起訴は免れないわよ?谷口もそれは重々にわかってるんですよ。
まぁ憤懣やるかたなかったって事でしょうね。
でもどうして…?ねぇどうして谷口さんは香西雅之にそんなに熱心になれるの?今回に限った事じゃないですよ。
あの人ほど誠心誠意マエのある人間の面倒を見てる人は珍しいですよ。
でもなんでだろう…?だって今の世の中自分の事だけで精一杯ってご時世でしょ?ほら人の面倒なんてさ見たくも聞きたくもないわよ。
いやあたしだってその1人よ。

(チャイム)
(りん)あの…家に何か御用ですか?あお嬢さんですか?お母さんにエアコンの修理を頼まれまして。
ご苦労様です!あぁお帰りなさい。
あぁ…。
あのこの前は仕事の営業で地検に行ったわけじゃないんですよ。
えぇこれも何かの縁ですから。
わぁ…!あの終わったら声かけてくださいね。
よかったら一緒に夕食でも。
あぁいえ!あの終わったらすぐに引き揚げますから。
あらこれからお仕事でも?いえ…。
だったらいいじゃありませんか!どうせ帰ったって1人でもそもそ食べるだけでしょ?フフフ…。
あの…私に何か?今時まれなボランティア精神の持ち主のお話伺いたくて。
いや私なんか…。
じゃあ。
あの遠慮しないでおかわりしてくださいね。
いえいえもう十分いただきましたありがとうございます。
いや〜久しぶりにまともな食事をしたような気がします。
あたしも。
お客様がいないと手抜きが多くて…。
こらりん!もう…。
いやうちの東京の主人も1人暮らしの自炊生活で。
いつも「大変だ大変だ」ってこぼしてるんですよ。
谷口さんもずっとお1人で?…えぇまぁ。
ちょっとりんあのほら終わったんだったら早く2階上がって勉強しないと。
ね?エアコンばっちり直ってるから。
試してみてください。
もしおかしかったらまた言ってくださいね。
またあたしだけ追っ払う…。
私は子どもがいなかったもんですから離婚は割合スムーズに。
あぁ…。
奥さんは谷口さんのボランティア活動に反対だったんですか?いえ最初は協力的でした。
でも雇う人間雇う人間次から次にと問題を起こして…。
お客さんとのトラブルは日常茶飯事。
突然いなくなる売り上げを持ち逃げされる昔の仲間に誘われてまた同じ事を繰り返して捕まったり。
女房もほとほと愛想が尽きたんでしょう。
保護司さんから紹介される人間を断ろうとは思わなかったんですか?奥さんは多分そう要求なさったと思うけど。
えぇ何度も女房に言われました。
「私を取るのかあの人たちを取るのか」ってね。
で結局あの人たちを選んだ…。
そういう事になりますね。
はぁ…。
あたしずーっと考えてました。
あいえもちろん谷口さんのボランティア精神を批判するつもりは毛頭ありません。
でも…奥さんと別れてまで…。
裏切られても裏切られても彼らと付き合う理由を知りたくて。
さぁ…なんでしょう。
多分…死んだ父が…。
お父さん?あお父さんの頃から彼らを受け入れてた…。
いや反対です。
反対?父も塀の向こうで何度も過ごした人間でしたから。
まぁ…!話がおかしいってどこが?お父さんにマエがあるって話なんだけどね詐欺と暴行で前科三犯。
おかしいと思わない?だからどこが?鈍いわねぇ!何!?詐欺と暴行!知能犯と粗暴犯!両立すると思う!?あそう言われりゃそうだな。
頭いい奴は頭使うし体自慢の奴は体使うわな普通。
そうよ。
そんな嘘にあたしが気付かないとでも思ったのかな?見ろ!だから俺が言ったとおりあいつはやっぱ偽善者なんだよ。
腹に一物あるからなそういう嘘が平気でつけんだよ。
あ〜もう!また仕事が増えた!ハッ!自分で増やしてんだから世話ねぇや。
ほいじゃな!さてと…。
すいません!あのちょっとそこの谷口電器さんについてお伺いしたいんですけど。
あぁ谷口さんね…。
ちょっとすいません!あのそこの谷口電器さんの事ご存知ですか?あぁよく知ってますよ。
すいませんちょっとお伺いしたいんですけど…。
(あやの声)亡くなった谷口さんのお父さんっていうのはどこにでもいるごく普通の人のいい町の電器屋さんだったのよ!もちろん刑務所とは無縁の人生で。
谷口さんって人なんで自分の父親を悪く言ったんですかねぇ?それもちょ〜っと調べればわかるような嘘を。
ちょ〜っと調べるなんて思わなかったからだよ!担当検事が起訴した被疑者の雇用主の父親の事をこのクソ忙しい午後の貴重な時間を2時間も割いて調べるなんて誰が考える!?谷口さんには兄弟がいるの。
弟が1人。
でその弟っていうのが小さい頃から神童って呼ばれるぐらい近所でも評判の天才で!神童?うん!今はねアメリカの大学で宇宙工学とか宇宙物理学とかを研究してるんですって!
(音楽を止める音)鶴丸検事。
ちょうど第二楽章が終わったので一言申し上げます。
いちいちキザだね言う事が。
鶴丸検事。
太田事務官の肩を持つわけじゃないですが少々やり過ぎではありませんか?よく言った!やり過ぎ…?すでに起訴済みの事件の周辺を意味もなく調べまわるのはどうかと。
残念でした。
まだ起訴してません。
書類はあたしの手元で止めてあります。
嘘〜!?鶴丸検事。
あなたのおやりになってる事は…。
よしましょう。
無用な諍いは避けたい。
ちょっと言いなさいよ。
いえやめておきます。
言いなさいよ。
言いかけて途中で止めるのは卑怯。
言いなさい。
これは命令です。
言ってやれよ!言ったってどうせわかんないんだから!では言わせていただきます。
鶴丸検事のおやりになってる事は検事の仕事じゃない。
いわゆる…出歯亀というか何というか…。
出歯亀…!ほぉ〜。
このあたしに…面と向かって…そんな侮蔑的な言葉を吐いたのはあなたが初めてよ。
よく覚えておくわ。
出歯亀かそうでないかその内わかると思う。
太田さん!はい!次の被疑者を呼んでください。
出歯亀は一時お休み!
(桜井麗子)うちもね兄と弟がいるんだけどあまり仲良くない。
(吉川香織)え〜うちんとこ4人兄弟だけどあん時まで仲良かったで。
え?急に悪くなったの?お父ちゃん死んでからやんか!
(漆原さやか)財産の争奪戦!ピンポーン!争うだけ財産がありゃいいわよ。
昔からさお金がある家の兄弟は仲が悪いって言うじゃない?で逆にお金のない方は平和なの。
今の話真に受けたらあかんよ。
口から出任せに…。
アッハッハッハッハ!まぁどう想像してくれはってもかまへんけど!うちは金持ち猫に小判や。
(麗子)豚に真珠でしょ。
馬の耳に念仏。
金持ちケンカせずや!
(柿野たまこ)そこのお金持ちの奥さん。
1段上のセレブなあなたにスペシャルドリンクを。
最後の1杯なんですよ。
(4人)あたしあたし…!あ〜ん飲みやすくて美味しい!セレブなあたしにピッタリや!通常商品より少々お値段は張りますがキャンペーン中の今ならなんと…。
ごめ〜ん。
うちちょっと用事思い出した。
帰るわ!わ〜化けの皮すぐはがれた〜!
(4人の笑い)
(谷口の声)「鶴丸検事殿」「勝手なお願いという事は重々わかっておりますが香西に今一度チャンスを与えていただけませんでしょうか?」「今から2年前私は保護司さんから相談を受け彼を受け入れました」「それから今日にいたるまで香西と1つ屋根の下寝食を共にして参りました」「私は香西がどんな人間か知っているつもりです」「私は彼が同じ過ちを犯す人間でない事を信じます」「1人の人間を立ち直らせるためにどうぞ寛大なご判断を賜りますようお願い申し上げます」
(池内)検事。
あぁ…。
香西雅之があたしに会いたいって?今朝そう言ったんで来てもらったんですが今また会いたくないって。
え?ちょっとどういう事?何か迷ってるの…?
(池内)わかりません。
じゃあ検事。
あぁありがとう。
香西さん気楽に考えて。
ちょっとした息抜き。
私と雑談するつもりで…ね?食事ちゃんと取れてますか?何事も体力が第一だから。
あぁこの間ね家のエアコンが壊れて谷口さんに直してもらったの。
その後一緒に食事して…。
いつも谷口さんと2人で食事してたんでしょ?料理は?谷口さんが作るの?それともあなたが作ってたの?…気に入らない。
あ…あぁ!谷口さんの料理マズイんだ。
気に入らないのは料理じゃない。
なぁに?何が気に入らないの?いいです検事さん。
もういいです。
よくないわよ。
それじゃ何もわからない。
検事さんに話す事はもう何も…。
(高原)さっき白井君が来てな…。
またあたしの悪口ですね。
うん。
それもとても辛辣だった。
あやちゃん起訴相当と判断した窃盗犯の周辺をいまだに調べて回ってるってのは本当かね?事件とは直接関係ないのかもしれませんが…。
関係ないんならやめようや。
身近な部下の信頼も損なうし毎度言うが仕事は次から次に山のように…!今の窃盗犯の雇用主から私宛にさっき。
便箋20枚に切々と窃盗犯の釈放を訴えています。
自分自身がもう一度当該被疑者を鍛え直すから今回だけは見逃して欲しいと。
でどうするつもりだね?あやちゃん。
もう一度この雇用主に会って…。
おいおい…!君は保護司じゃないんだから何もそこまでこだわる必要は…。
副部長のおっしゃりたい事はよ〜くわかります。
太田事務官や白井検事の言う事もよくわかる。
いやあたし自身自分の立場や仕事量を考えたら余計な事に嘴を突っ込んでる暇はない事はよくわかってます。
でも…でもこの熱心さをこの情熱を右から左に見過ごす事もくずかごにポイと捨ててしまう事も出来ないんです!それに…被疑者自身も…。
犯行を否認し始めたのか?いえ…供述を翻したわけではないんですが…。
あ〜あやちゃん!…今日で最後だ。
今日いっぱいでその件は片をつけてくれ!ありがとうございます!
(ため息)はぁ〜。
まぁ…!すごい表彰状ですねぇ!
(谷口)警察や防犯協会から何度も。
連中の社会復帰や更生に尽力したなんて大げさな事を書かれてますけど私は別に大した事をしたわけではなくて…。
いえいえ誰にでもできる事じゃありませんわ。
さぁどうぞ。
あはい。
失礼します…。
手紙にも書きましたけど私は香西の気性も癖も気の弱さもダメさも何もかも知ってるんです。
そんなふうに寝食を共にした香西雅之はあなたを裏切って再び犯罪に走った…。
何がいけなかったんでしょう…。
原因は私の非力。
それだけです。
香西は悪くはない。
ちっとも悪くない。
私が…私が…!谷口さん。
そんなに自分を責めないで。
検事さんお願いします。
香西と私にもう一度チャンスを…!お願いします!お願いします!!…不起訴にします。
不起訴…ですか?はい。
同じ犯行を繰り返したのは見過ごせませんが被害も軽微でしたし改悛の情も認められる…。
検事!高原副部長にはどう説明されるおつもりですか!?今と同じ事を言うわ。
きっと理解してくださると信じてる。
僕はようやく決心がつきました。
これからもずーっと鶴丸検事の事を見続けていこうかと。
それはどうも。
もちろん反面教師として。
ありがとうございます検事さん。
必ず心を入れ替えて検事さんに恥をかかせる事がないように…。
あたしよりも谷口さんに恥をかかせないようにしないと。
今回のあたしの判断は谷口さんのあなたに対する熱い思いに負うところが大きいので。
また表彰状が増える…。
フフ…。
表彰状って…谷口さんの家にある?あの額を毎日磨かせられるんです。
1つ1つ丁寧に。
香西さん…。
今谷口さんを批判すべきじゃないと思いますよ。
起訴を免れさせようと一生懸命方々に働きかけた谷口さんを悪く言うのは…。
すいません。
余計な事を言いました。
(香西)ご厄介おかけしました。
(池内)鶴丸検事の温情溢れる判断を無にするなよ。
(池内)決してまた俺の前に姿を現すな。
(池内)いや日本中の警察官の手を煩わせるなよ。
(香西)肝に銘じて…。
またまた大胆な事してくれちゃいやがってもう…。
ホシは鶴丸検事のところに連れていきゃ全員無罪放免でい!京都中にワルが溢れ出すってなもんでい!
(堀川正太)えっとですねあの今日一日府警本部じゃ鶴丸検事の話で持ち切りでしたよ。
でしたでした。
噂になるのは慣れてるわ。
言っといてやるよ。
俺たちがなぁ噂して騒いでる内はまだいいよ。
今にきっとなぁお宅んとこのお偉いさんが東京から京都に乗り込んできて鶴丸・高原っていう反動的な輩の首を飛ばそうとすっぞ。
香西次第でしょ。
奴が検事の気持ちを汲んで二度と犯罪に手を染めなければ…。
甘いねお前。
んなわけねぇだろ。
二度ある事は三度ある。
三度ある事は四度あんだよ。
谷口さんがついてて絶対そんな事はさせないの!…あ!ほら!ほらほら今になって後悔だ。
気に入らないって言ってたけど…あれ絶対谷口さんの事だわ。
香西がですか?谷口さんに反感持ってる事だけは確か。
逆恨みだろ。
あいつらのひねくれ曲がった根性がそんな事言わせんだよ。
それだけならいいけど…。
(電話)はいもしもし谷口電器ですが。
あ谷口は私ですが…。
香西?え〜とまだ寝てると思うんですが…。
香西!香西。
香西?もしもし?あの…香西が何か?え…?うちの倉庫!?ハァ…ハァ…。
谷口さんとこから合鍵を持ち出して盗みに入ったようです。
幸い逃走の途中でトラックが交通検問に引っ掛かって御用になりました。
検事…。
お嫌でなかったらもう一度担当してもらえませんか?香西さん…残念です。
非常に…残念です。
どうして…?どうしてわざわざ谷口さんの店の品物に手を出したりしたの!?言ったでしょう!?谷口さんは誰よりもあなたの社会復帰に心を砕いていた!
(香西)これでおあいこだよ。
え…?あいつが合鍵使うから俺も合鍵使ったんだ。
鶴丸検事!白井検事。
香西雅之の窃盗事件の概要聞きました。
あたしの甘い判断を笑いたいなら後にして。
谷口さんと大事な話があるの。
同席させてください。
何も言いません。
ただ黙って座ってますから。
いいわ。
今中京署で香西さんに会ってきました。
今度ばかりは本当にショックでした。
方々を駆けずり回り検事さんにもご尽力いただいたのに…。
たった1週間でシッペ返しをくうなんて。
谷口さん…。
何度も何度もこんなつらい目にあわれて恩を仇で返すような仕打ちを受けてそれでもまた保護司さんから頼まれたら…?恐らくまた裏切られるのを承知でここで働いてもらう事に…。
お茶を淹れましょう。
なぜですか?以前にお話ししませんでしたか?死んだ父が…。
もうデタラメはおっしゃらないでください!谷口さん…あなたもうご自分で気付いておられるんじゃないですか?何がですか?あなたが面倒を見てきた大勢の人たちのほとんどがあなたを裏切って出て行くわけを。
残念ながら人間なんて弱い動物ですから…。
それはあなた自身にも当てはまる。
さっき香西さんが話してくれました。
あなたを気に入らないわけを。
あなたはいつも自分たちを見下しているって。
…見下す?私が?何度も繰り返しそう言ってました。
谷口は自分より弱い人間を側においていつも優越感に浸っていたいんだって。
あれだけ世話になりながらそんな事を抜け抜けと…!保護司の先生からもお話伺いました。
あなた雇い入れた人間にかなりきつく当たっていたようですね。
早く仕事を覚えさせてやりたいからですよ。
厳しいというよりは冷たい感じだったと不満を持った何人もの人間から聞かされたと保護司さんは言っていました。
拾われた猫の分際で私がする事に文句をつけるって言うんですか!?三度三度の飯を食わせ仕事を教えわずかだが毎月毎月彼らに小遣いを恵んでやってるっていうのに…!なんで私が不満を言われなきゃならないんですか!?拾われた猫だから合鍵使って無断で日記を読んでいいんですか!?彼らの心の内を知っておくのも私の役目ですよ!ここで世話になった人たちはあなたの本音を生活の時々に感じてそこに悪意が透けて見えて…それが嫌であなたの元を逃げ出し再び犯罪に手を染め…。
(急須を置く音)検事さん…!あなたはそんなに立派な人間なんですか!?私に説教するほどそんな立派な人間なんですか!?谷口さんあなた誰と戦ってるんですか?アメリカハーバード大学谷口博也教授。
すなわちあなたの弟さんの論文です。
今じゃパソコンで簡単にダウンロード出来ますから。
弟の話はするな!私と比べるな!私は日本に根を張って親父の跡をしっかりと継いでお年寄りに喜ばれる町の電器屋を目指して…!それだけじゃない!前科者の面倒も見てるんだ!誰にも後ろ指をさされる事なんかない!見ろ!この表彰状。
こんなにたくさんもらった奴は他に誰もいない!弟だってたかが2〜3枚の賞状だろ!?だから弟なんかに四の五の言わせねぇ!どっちが立派な仕事をしてる?私に決まってるだろう!私に決まってるだろ…!?
(谷口の嗚咽)谷口さん…。
やめましょう…誰もが不幸になる。
(嗚咽)検事さん…。
私は…変われるんでしょうか?きっと。
鶴丸検…。
白井検事…。
どうぞ。
あなた兄弟は?弟が1人。
優秀?そりゃ僕の方が優秀でしょう!言うと思った。
鶴丸検事は…一人っ子でしょ?あらよくわかったわね。
わかりますよ。
少し…見直しました。
鶴丸検事の事。
反面教師として?いえ。
効率も必要ですが時には大いなる無駄も必要なんだと。
谷口さんを追い込んで嫌な思いさせただけだわ。
香西雅之の再犯も防げなかった。
北村さんじゃないけどあたし偉い人にどっかに飛ばされちゃうかもね。
その時は…。
一緒に来る?その時は盛大な送別会を開いてあげますよ!ハハハ!豪華なヤツを!ハハハ…!
(携帯電話)
(携帯電話)はいはい…わかってるわよ太田さん。
あたしあと1分で着く!ん?白井検事?白井検事はあと30秒で着くわよ。
30秒…!?そうよあっという間よ。
はぁい。
とってもちっちゃいけどいい事1つあったかな?
おしゃべりあるき目です今日は大阪は泉州が誇るグルメ・2016/01/19(火) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
京都地検の女4[再][字]

名取裕子主演人気シリーズ第4弾!事件解決のカギは“主婦の勘”。京都地検・鶴丸あや検事が、事件の盲点を主婦ならではの視点で鮮やかに解き明かす!

詳細情報
◇番組内容
第5話「裏切られても…窃盗犯と暮す男の謎!!」
◇出演者
京都地検検事・鶴丸あや ・・ 名取裕子
京都府警刑事・北村鉄男 ・・ 船越英一郎
中京署刑事 ・池内弘二 ・・ 益岡徹 
京都地検事務官・太田勇一・・ 渡辺いっけい
京都地検副部長・高原純之介・・蟹江敬三
(ゲスト)
 小野寺昭

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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