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全国の汚泥からヨウ素 がん治療薬が原因か

(2012年2月12日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

原発無関係 見方強まる

昨年秋以降の主な放射性ヨウ素検出例

 昨年秋、福島県各地の下水処理場の汚泥から相次いで検出された半減期の短い放射性ヨウ素131。福島第1原発からの放出を疑う声も出ていたが、最近は放出量は激減しているのに、福島以外の全国各地で検出され続けている。専門家からは甲状腺がんなどの治療で使われたヨウ素が、患者から排出されて検出されたとの見方が強まっている。

 全国の自治体が調べた下水道汚泥の放射性物質の濃度の値を、国土交通省がまとめている。事故直後ならともかく、札幌市や長崎市など福島から遠く離れた地域でも断続的に放射性ヨウ素が検出されている。

 仮にこれが福島第1に由来したものとすると、今も核燃料が連鎖的な核分裂(臨界)をし、放射性ヨウ素が漏れ続けていることになる。ただ、核燃料の冷却が進み、大量の放射性ヨウ素が出る可能性は低い。

 専門家が排出源とにらむのは、甲状腺がんなどの治療で使うカプセル入りの甲状腺治療薬。甲状腺がんの患者には、1回の治療で37億〜74億ベクレルのヨウ素131が投与されるという。放射線医学総合研究所(放医研)の説明では、病院ではヨウ素が濃度限度(1リットルあたり40ベクレル)以下になるまで待って下水に流すルール。患者は体内ヨウ素残量が5億ベクレルまで下がれば退院できるが、家庭トイレからの排出基準はないという。

 東京大付属病院放射線科の中川恵一准教授は「ヨウ素131を使った治療は日常的に行われている。事故から時間がたった後に検出されているものは、患者から排せつされたものと考えられる」と指摘する。

 放医研は「体内に5億ベクレルが残る状態で患者が退院しても、一般公衆への被ばくは年間1ミリシーベルト以下になることが確認されている」と説明している。

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