「長崎市が強制徴用の隠蔽に躍起」 韓国人教授が批判

【ソウル聯合ニュース】韓国の広報活動に取り組む誠信女子大の徐ギョン徳(ソ・ギョンドク)教授は21日、日本による植民地時代に多数の朝鮮人が強制徴用された高島炭坑(長崎市高島町)にある供養塔をめぐり、長崎市が「事実の隠蔽(いんぺい)にきゅうきゅうとしている」と批判した。

 18~20日に供養塔を訪れた徐氏は、聯合ニュースに対し「長崎市は供養塔に向かう道を閉鎖しただけでなく、新たに設置した高島神社の案内板にも『強制徴用』の事実を表記せず、誤った歴史だけを伝えている」と述べた。

 高島炭坑は国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」(全23施設)の一つだ。植民地時代に多くの朝鮮人がここで厳しい労働を強いられ、命を落としている。供養塔は炭坑を経営していた三菱が朝鮮人労働者の遺骨埋葬地の目印として設置したが、長年放置され、位牌も焼失している。

 昨年9月に韓国の放送局MBCのバラエティー番組が紹介し、世間に知られるようになり、供養塔を訪れたいという声が多数寄せられた。徐氏らはインターネット上で集めた募金で供養塔までの道を整備し、案内板を設置した。一方、長崎市は、供養塔に朝鮮半島出身者の遺骨がまつられたのかどうか確認されていないとの立場だ。

 徐氏は「閉鎖後に現場を訪れた結果、長崎市による歴史の歪曲(わいきょく)は続いていた」と明かした。韓国人の訪問が増えることを恐れたためか、全ての案内板を新しく設置し直したとし、「案内板は木で作った急ごしらえのもので、強制徴用の事実を隠蔽しようとする意図がありありと感じられた」と伝えた。

 また、高島神社の慰霊碑の脇にある案内板には「旧供養塔の遺骨は金松寺納骨堂に安置されている」との旨が記されていたと説明した。

 徐氏は「供養塔までの道を再び通れるようにするため、年初から長崎市に何度も連絡しているが、どの部署でも担当でないと逃げられる。三菱側にも資料を要請したが『全部焼けてしまった』と言われるだけでもどかしい」と明かした。

 今回の訪問で、長崎市が高島炭坑と高島石炭資料館を紹介する冊子を韓国語、日本語、英語の3カ国語で作成し、高島港ターミナルに置いていることも確認された。徐氏はこれまでに高島を6回訪れている。

 徐氏は「昨年7月に明治時代の産業革命施設が世界文化遺産に登録された当時、日本の代表団が強制労役の認定と犠牲者の追悼を約束したにもかかわらず、長崎市はむしろ強制徴用の事実を隠そうとし、高島と(構成施設の一つである近隣の)端島炭坑(軍艦島)を『観光地』としてのみ広報している」と批判した。ターミナルで軍艦島をモチーフにした菓子が販売されていることなどがその証拠だという。

 徐氏は、今後も日本による歴史歪曲の現場を写真と文章で記録し、これらをまとめて複数言語で書籍を出版、世界の主要図書館に寄贈する計画だ。

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