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肌にもダメージ 水分蒸発させ、油分分泌を抑制

飛散するスギ花粉

 スギ花粉が肌の水分を蒸発させたり油分の分泌を抑えたりしてバリアー機能を低下させることを、資生堂の研究機関と科学技術振興機構などの研究グループが確認したと発表した。スギ花粉が目や鼻だけでなく、肌にもダメージを与えるメカニズムの一端が明らかになった。内容はドイツの皮膚科学に関する学術論文雑誌1月号に掲載された。

     研究グループによると、アレルギーの原因となるスギ花粉の抗原たんぱく質「クリジェイワン」を、セロハンテープで角層をはがした培養皮膚に塗ったところ、水を塗ったものに比べて皮膚からの水分蒸発量が極めて多いことが分かった。通常は角層がはがれると油分が分泌されてバリアー機能が回復するが、その分泌も少なかった。水分と油分の不足によって肌は乾燥し、肌の炎症を悪化させる。

     花粉の飛ぶ時期に肌荒れが起きやすいことはこれまでも皮膚科医らの間で知られていたが、肌荒れを引き起こすバリアー機能の低下のメカニズムを具体的に特定したのは世界で初めてという。

     資生堂ライフサイエンス研究センターの伝田光洋主幹研究員は「肌の健康な人でもストレスなどでバリアー機能が下がることがある。このたんぱく質が肌に進入し、バリアー機能がさらに下がると、炎症が悪化し、かゆみが増し、かいて炎症が慢性化するという負のスパイラルに陥る恐れがある」と話す。

     対策としては「花粉を肌につけないこと、ついた花粉はなるべく早く洗い流すこと、またスキンケアで肌を守ることが大切」と呼びかけている。【田村佳子】

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