中日スポーツ、東京中日スポーツのニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 中日スポーツ > 大相撲 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【大相撲】

琴奨菊、白鵬破り単独トップ11勝 10年ぶり日本生まれVへグイッ

2016年1月21日 紙面から

琴奨菊(右)が押し出しで白鵬を破り全勝を守る(安藤由華撮影)

写真

◇大相撲初場所<11日目>

(20日・両国国技館)

 大関琴奨菊(31)=佐渡ケ嶽=が横綱白鵬(30)=宮城野=との全勝対決を制した。一方的に押し出し、ただ一人全勝を守り単独首位。12日目は、1敗をキープした横綱日馬富士(31)=伊勢ケ浜=と対戦。10年ぶりとなる日本生まれ力士の優勝へ、2日連続の大一番に臨む。横綱鶴竜は魁聖を寄り切って勝ち越した。大関稀勢の里は関脇嘉風の肩透かしに屈し、ともに6勝5敗となった。小結の勢は負け越した。

 過去50回でわずか4勝の白鵬戦。そんなデータも関係ない圧勝劇だ。琴奨菊は左を差す。休まず前に出て最後は右手で押し出した。2006年初場所の栃東以来10年ぶりとなるとなる日本生まれ力士の優勝へ−。ファンの期待が乱れ飛ぶ座布団と大歓声に乗り移ったようだった。

 熱気をよそに11連勝の琴奨菊はゆっくり目を閉じる。「自分を信じてしっかり踏み込んだ。熱くなりすぎず、やるべきことをやろうと思って」。14年春場所以来、11場所ぶりとなる白鵬からの白星でV争いも単独トップ。それでもハートは冷静に脈打っていた。

 10日目は朝稽古を急きょ休んだものの、この日はいつも通り稽古場に下りた。優勝の行方を占う戦いを前にしても特別な緊張感とは無縁。報道陣から「大一番の前にすいません」と言葉を掛けられると、琴奨菊は「全然関係ない」と返すほど余裕があった。

 毎日繰り返す「準備と対策」ができているからこそ口に出せる自信だ。「相撲以外の時間は全部」と1日の多くを取組に向けた予習に費やす。「相手とやるのは20秒、30秒。他の時間は自分に負けないようにやっている。立ち合い、気持ちの持っていき方、心の準備、イメージ」と琴奨菊。受験シーズン真っただ中の受験生もビックリするほどの集中力で日々の「準備と対策」に頭をフル回転させている。

 賜杯へ向けて白鵬という第一関門を突破した気持ちも「全くない」と即答した。「まだまだ場所は長いから。明日もあるのでしっかり対策と準備。そこだけしかない。明日も厳しい戦いです」と琴奨菊。朝稽古後には「正直、腰がちょっと痛い」と漏らした。疲労は確実に蓄積しているが「ブレたら終わり。まだあるから」。揺るがない考えと気力で日本生まれ力士Vへとひた走る。 (永井響太)

<日本人Vは> 琴奨菊が優勝すれば2006年初場所の栃東以来の日本生まれ力士Vとなるが、この10年間で『日本人力士V』は、12年夏場所の旭天鵬だけ達成している。旭天鵬はモンゴル出身だが、優勝当時は日本国籍を取得しており、これが過去10年で一度だけの日本人力士Vとなる。

 

この記事を印刷する

PR情報





中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ