「記憶あいまい。きちんと整理し説明したい」
参院決算委員会で述べる
甘利明経済再生担当相は21日午前の参院決算委員会で、千葉県の建設会社から自身や秘書が口利きの依頼を受け、見返りに現金を受け取ったとの週刊文春(21日発売)の報道について、「しっかり調査して説明責任を果たしたい」と述べた。また、大臣室で自らも現金50万円を受け取ったとの指摘に関しては「社長一行の訪問を受けたのは事実だが、正確に何をしたのかは記憶があいまいだ。きちんと整理して説明したい」と述べるにとどめた。
菅義偉官房長官は21日午前の記者会見で「甘利氏はしっかり説明責任を果たしたいとしている。それに尽きる」と語り、国会審議を見守る考えを示した。公明党の山口那津男代表も中央幹事会で「本人が説明責任を尽くすのをしっかり見守りたい」と述べた。
甘利氏は成長戦略の柱である環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を担当しており、経団連の榊原定征会長も東京都内で「透明性、公正性、説明責任をしっかり果たしていただきたい」と語った。
野党は国会審議で徹底追及する方針だ。民主党の高木義明国対委員長は記者会見で「TPP担当相で農家などに生活の変化を強いる立場にありながら、こうした疑惑が出てきた。極めて問題は大きい」と指摘。安倍晋三首相の任命責任も「当然、問われてくる」と語った。維新の党の石関貴史国対委員長も「国民視線、庶民実感から糾弾する。古い体質の自民党に戻っている」と批判した。
問題が長引けば夏の参院選に影響するとの見方があり、与党内の危機感は強い。参院自民幹部は「この3年間で政権最大のスキャンダルだ」と語った。
週刊文春の記事によると、建設会社が千葉ニュータウン整備事業を進める都市再生機構(UR)との間で、道路工事を巡るトラブルを抱えたため、総務担当者が2013年5月、甘利事務所にURへの口利きを依頼。解決の見返りとして、同年8月に公設秘書に現金500万円を供与したなどとしている。【松本晃】