人生で最も後悔したのは何か、と問われ、英歌手デビッド・ボウイは「自作の『すべての若き野郎ども』を他人にあげてしまったことだ」と振り返ったことがある。弟分バンドのモット・ザ・フープルの代表曲となり、洋楽名曲百選のような企画でよく取り上げられる。
▼自分でヒットさせておけば、ロックの伝説としての名声は一層高まっていたに違いない。すでに大スターなのだから1曲くらい惜しまなくてもよいではないかという気もしたが、その飽くなき貪欲さが成功の秘訣のひとつだったのだろう。自作曲の将来の売り上げの証券化にいち早く取り組むなど商才にも結構たけていた。
▼「火星から来た宇宙人」を名乗り、ウルトラマンをまねたような扮装(ふんそう)で歌い踊る。子供だましと言えばそれまでだが、怪獣特撮ものやコスプレなどの日本のサブカルチャーを世界に広める大使的役割を担ってくれたことは忘れてはならない。本人も日本が気に入り、飛行機嫌いなので船に乗ってまで来日したこともあった。
▼アルバムを出すごとに曲調が全く違い、見た目も変化した。昔からのファンをがっかりさせることもあったが、常に変わり続けることで新たなファンを獲得してほぼ半世紀、芸能界の最前線に立ち続けた。最新作の発売は亡くなる2日前である。時代の変化に乗り遅れがちな日本の経営者は、そこにもよく注目してほしい。
デビッド・ボウイ、春秋
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