北朝鮮 金英哲偵察総局長が金養建氏の後任か

【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)偵察総局長が、昨年末に死亡した金養建(キム・ヤンゴン)朝鮮労働党書記(統一戦線部長)の後を引き継ぎ、統一戦線部長と対南(韓国)担当書記に就いたもようだ。

 北朝鮮の事情に詳しい消息筋が20日、「金英哲氏が金養建氏の後任であるのは確実だ」と述べた。統一戦線部長と同時に党中央委員会秘書局の書記も引き継いだとした。別の消息筋も「金英哲氏は党書記に任命され、軍服を脱いだ」との見方を示した。

 党書記は金己男(キム・ギナム)氏や崔竜海(チェ・リョンヘ)氏、崔泰福(チェ・テボク)氏ら9人だった。党書記は各専門部署の部長より高い職責だ。金英哲氏が金養建氏の後を引き継いで対南担当書記と統一戦線部長を兼任するとすれば、対韓国の総責任者に取り立てられたことになる。軍出身者が党書記に任命されるのも異例。

 北朝鮮筋は「金英哲氏が金養建氏の後任として党の対南担当書記に任命されたならば、もう偵察総局の局長ではない可能性が高い」と話した。

 金英哲氏は党中央軍事委員会の委員で国防委員会書記室の責任参事でもある。2009年に朝鮮人民軍中将から上将に昇格し、対韓国工作の司令塔である偵察総局長に任命された。韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈や韓国・延坪島砲撃、ソニー米映画子会社へのサイバー攻撃、南北軍事境界線に接する非武装地帯(DMZ)への地雷埋設などの背後にいたとされる。

 また、1980年代終わりから南北間の主要協議・会談で北朝鮮代表団として出席するなど南北対話にもかかわり、軍の韓国通の代表格に挙げられる。2014年10月に黄海上の南北軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)で南北艦艇による射撃戦が発生した直後には、南北軍事当局者協議の北朝鮮代表として出席した。双方はNLL周辺の緊張緩和や韓国民間団体による北朝鮮非難のビラの散布問題を話し合ったが、溝を埋めることができなかった。

 工作専門家の金英哲氏が対韓国の総責任者を担うことで、北朝鮮の対韓国政策を読み取るのは一層困難になるという指摘もある。

 韓国の民間シンクタンク、世宗研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)統一戦略研究室長は「2010年の第3回党代表者会で金英哲氏は金正恩(キム・ジョンウン)第1書記のすぐ横に座った。金第1書記の主要な側近であることを示唆するものだった」と話す。金英哲氏はこれまでも対韓国交渉や工作に関与してきたため、統一戦線部の機能と全く無関係な人物というわけではないという。また、「金英哲氏が統一戦線部長に任命されたとすれば、統一戦線部の機能も南北対話というよりは対南工作と南南葛藤(韓国内の対立)の誘導に焦点が合わせられるだろう」との見方を示した。

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