【コラム】イランと北朝鮮、核開発の貸借対照表

 このような中で今回、イランとサウジとの対立が表面化したわけだが、これはロウハニ大統領にとって大きな負担となっている。かつて米国と英国の大使館を占拠したことのあるイランが、再び他国の大使館を占拠するようなことになれば、そのマイナスのイメージは当然イランの国際的な地位に悪い影響を及ぼすだろう。しかも来月イランで行われる総選挙では強硬派が有利と伝えられている。イランの強硬派は今回の核交渉にも大きな不満を抱いているという。

 国際社会はロウハニ大統領に対し、サウジとの対立をきっかけに表面化した国内外での問題をうまく解決することを願っている。イランは最近、国内に保管してきた低濃縮ウラン11トンを海外に搬出し、アラク原子炉を閉鎖した。国際社会もイランとの約束通り、経済制裁の解除に向けて動き出している。ロウハニ大統領も「今年からイランでは経済の繁栄が始まるだろう」と発言している。

 イランにおける核開発の歴史は1950年代にさかのぼる。これは北朝鮮が核兵器に関心を持ち始めたのとほぼ同じ時期だ。しかし今回イランは核兵器開発疑惑を解消することで、少なくとも核に関しては国際社会の模範的な国として生まれ変わろうとしている。ロウハニ大統領も核問題を解決し、国益の貸借対照表に経済再建と国際社会への復帰という大きな利益を書き込むことができそうだ。これに対して北朝鮮は4回目の核実験を行った影響で、その貸借対照表に国際社会からのより厳しい制裁という損失を書かねばならないはずだ。ところが北朝鮮の権力者たちは、核開発によって自分たちが得をしたと正反対に考えている。北朝鮮における最高の目的は金氏王朝の維持にあるため、核実験により住民の生活が苦しくなっても、彼らはそれを貸借対照表に記載する必要性を感じないのだ。

張一鉉(チャン・イルヒョン)欧州特派員
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【コラム】イランと北朝鮮、核開発の貸借対照表

right

関連ニュース