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 高齢女性から現金をだましとったとする詐欺の罪に問われた無職男性(47)に対し、松江地裁(大野洋裁判長)は20日、詐欺行為に加担する認識があったか疑いが残るとして無罪判決(求刑懲役4年6カ月)を言い渡した。男性は捜査段階の取り調べ状況を記す「被疑者ノート」をつけていたが、勾留先の刑務所職員が誤って廃棄。防御権を侵害されたと訴えていた。

 男性は昨年4月、共犯とされた知人に頼まれて松江市の女性から1550万円を受け取る役をしたとされ、捜査段階で容疑を認めた。だが、公判で「否認すると裁判官の心証が悪くなると警察官に言われて認めた。会社の書類と現金を預かってくるよう頼まれただけ」と否認。判決はこの主張に沿って無罪を導いた。

 男性側は被疑者ノートの廃棄で取り調べの問題点を裏付ける資料が失われたとして、捜査段階の供述調書を証拠採用しないよう公判で求め、検察側が撤回する展開をたどっていた。(石川達也)