ここから本文です

前例なきアイドル道を行くSMAPとファンのパワー

読売新聞(ヨミウリオンライン) 1月20日(水)18時7分配信

 月曜の夜、スマスマ(SMAP×SMAP、フジテレビ)はご覧になりましたか? 解散騒動後、本人たちがコメントするのは初めて。しかも5人そろっての緊急生放送ということで、最高視聴率は37.2%だったそうです。「紅白か?」という数字ですね。

か弱いファンに“力”を与えたのは…

 解散騒動が起きた日から連日、新聞もテレビもSMAP一色でした。スポーツ紙はスポーツの結果そっちのけで1面で扱い、売り上げもアップしたとか。一般紙もNHKも“通常のニュース”として報道し、海外でも大きく取り上げられていました。

 皮肉なことに、こういった事態になったことでSMAPは別格であり、特別な存在なのだと、日本全体、ファンではない人にまで強く印象づけることになりました。

 メンバー同士の関係、事務所の“圧力”……臆測が入り乱れた情報がメディアに氾濫していますが、ひとつだけ確かなのは、今、ファンのソーシャルパワーが無視できない存在になってきたことです。

 解散騒動が起こってすぐ、ネットでは、SMAPの人気曲「世界に一つだけの花」(2003年、約260万枚)を買い、トリプルミリオンを達成しようという運動がネット上で拡散されました。CDショップやアマゾンでは、SMAPのほかのCDシングルやDVDも売り切れ、売り上げランキングの上位にSMAPの曲が並び、ファンの購買力を見せつけました。

 署名サイト「change.org」でも解散に反対する署名運動「SMAP STAY! どうか届きますように…」が始まり、あっという間に1万人以上が署名。15日には1万3000人以上の署名を事務所に届け、今も2万5000人に迫る勢いで続いています。この署名サイト、普段は児童扶養手当増額キャンペーンなど、社会問題、政治問題で活用されることが多いところです。こんな使い方もあったのだと驚きました。

 ツイッターでも、さまざまな応援ハッシュタグが立ち上がり、ラジオやテレビの音楽番組へのリクエストの仕方、スポンサー企業への働きかけ方などのノウハウも共有されていました。

 ファンがインターネットの力を使い、団結し、モノを言うようになったのですね。

 ファンはかつて弱い存在でした。どんなに好きなアイドルでも、どんなに愛とお金と時間をつぎ込んでも、彼らとて生身の人間。恋愛したり、結婚したり、思わぬスキャンダルを起こすこともある。

 また、分裂や解散、引退など、ファンの手の届かない「オトナの事情」で、突然ファンの前から姿を消すこともある。東方神起の分裂のときも、「信じて待つ」と言いながら、引き裂かれていく大好きなグループをみているしかなかったファンたちの悔しい思いがありました。

 しかし今回は違います。「もの言う株主」が出現したように、「もの言うファン」がパワーを発揮したのです。ファンは団結し、CDを買い支え、署名をし、またそれがネタとなってマスコミに取り上げられることで、広くSMAPの影響力のすごさを見せつけました。ファンが弱い存在ではなくなったのは、ツイッター、署名サイトなどのインフラがそろっている時代だからこそなのですね。 スマスマの直後、ツイッターなどがダウンしていました。まさにファンのパワーでしょう。

1/3ページ

最終更新:1月20日(水)18時7分

読売新聞(ヨミウリオンライン)