【ニューデリー=黒沼勇史】パキスタン北西部ペシャワル近郊で20日、武装集団が大学を襲撃する事件が起き、現地報道によると学生ら少なくとも25人が死亡、60人が負傷した。過激派武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」が犯行を認めたとの情報もある。パキスタン政府は国内の過激派掃討作戦を強化しており、これがテロを誘発している面もありそうだ。
テロが起きたのは北西部カイバル・パクトゥンクワ州チャルサダのバチャカーン大学のキャンパス。ロシア製自動小銃「AK―47」で武装した約10人のテロ集団が教室などに侵入し、頭部を撃ち抜くなどして学生や警備員、教授らを殺害した。キャンパス内には学生ら大学関係者3千人に加え、文学イベント参加のため600人近くの訪問者も参集していた。
TTPのスポークスマンは20日の公式声明で犯行を否認した。ただTTPで同地を担うオマル・マンスール幹部が同国記者団らに犯行を認めたとの報道もある。シャリフ首相は20日出した非難声明で「同胞の犠牲を無駄にはしない」と強調し、テロ対策を強化する意向を示した。
カイバル・パクトゥンクワ州の州都ペシャワルでは2014年12月、軍が運営する学校をTTPが襲撃する事件があり、児童ら約150人が犠牲になっている。昨年9月にもTTPが空軍施設を襲撃し軍関係者約30人を殺害している。
パキスタン北西部で治安が悪化する背景には、シャリフ政権が14年6月から本格化した武装勢力に対する掃討作戦がある。米軍が14年末にアフガン駐留戦闘部隊を引き揚げたのに合わせ、パキスタン国内の治安改善に乗り出した。パキスタン軍は1年間で武装勢力2700人を殺害したと成果を強調していた。
ただアフガンとの国境付近では依然、治安回復が遅れている。シャリフ首相が昨年10月に訪米し、ワシントンでオバマ米大統領と首脳会談した際にも、治安回復への取り組みが不足しているとして、さらなる行動を求められていた。
タリバン、TTP