【記者手帳】歴史教科書が変えた台湾政治

【記者手帳】歴史教科書が変えた台湾政治

 16日夜、台湾の総統選と立法委員選で民進党が圧勝したことが伝わると、開票報道を見守っていた台湾・国立政治大国際関係研究センターの厳震生教授は「初めて選挙権を得た満20歳以上の有権者(中国語で首投族)129万人を含め、20代の300万人が今回の選挙のムードを変えた」とした上で、民進党政権(2000~08年)下で学校に通った生徒らが『台湾独立』傾向の教科書で歴史を学んだため、政治的傾向も影響を受けたと分析した。

 台湾では2000年に「台湾独立」を主張する民進党の陳水扁氏が総統に当選し、検定教科書の編集綱領が「親中」から「反中」へと変わった。本来1冊だった歴史教科書は「中国史」と「台湾史」に分かれた。台湾史の教科書は「台湾と中国は別だ」と強調した。『台湾独立』傾向の教科書で学んだ青年層は『台湾人』としてのアイデンティティーが鮮明だ。中高年の国家観も徐々に影響を受けた。

 政治大選挙研究センターの調査(1992-2015年)によると、昨年台湾住民のうち、『自分は中国人だ』と答えた人は3.3%にとどまった。59%が『自分は台湾人だ』と答えた。1990年代後半までは「台湾人でもあり、中国人でもある」との回答が40%を超えていたが、今では20%台にとどまる。

 16日に政治大で会った学生会幹部(20)は「我々は低賃金や就職難ばかりを理由に政権交代を主張していると思われがちだが、我々が選挙を通じて守ろうとしているのは『完全な』台湾であり、それが我々が成長過程で学んだ最も重要な価値観だ」と話した。

 政党の勝ち負け以上に、台湾の選挙は次世代に対する歴史教育の重要性を物語っている。韓国でもまともな歴史教科書がいつになく求められている。

イ・ボルチャン記者(国際部)
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