昨年暮れ、大阪市長だった橋下徹さんが任期満了で政界を引退した。
市職員の職務倫理に入れ墨(タトゥー)の禁止を明記し、全職員にその有無を調査して社会に問題を提起した。入れ墨は“裏社会”のイメージが強い。緩和派は宗教やファッション性を挙げて正当化するが、批判派は眉をひそめるばかり。異文化論うんぬん以前にモラルが議論になる。
政府が2020年東京五輪までに訪日外国人数2500万人を目標に掲げたこともあり、最近は緩和派の意見が目立つ。公共施設や海水浴場の露出規制は日本の良い文化という声が強い半面、昨年10月の観光庁の調査では温泉地などで全面禁止だった入れ墨が“隠せばOK”が13%となった。ビジネス優先が気になる。
医師法違反で略式起訴された彫り師が昨年末、裁判に訴え、無罪を主張している。入れ墨は芸術か否か−で司法の判断を仰ぐのだろう。私は、入れ墨を嫌う文化は日本人の品格の条件の一つだと思っている。医師法は唯一の拡散の歯止めと思うのだが。 (格闘技評論家)
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