被災地、タクシーに乗る幽霊 東北学院大生が卒論に:朝日新聞デジタル
これのブコメにも書いたんですが、震災後に勤め先で起こった不可思議な現象について。身バレは嫌なので少しぼかしますけど。
私が勤めている会社は三陸沿岸部にあり、東日本大震災ではモロに津波の被害に遭った。幸い人的被害は無く、事務所は倒壊はしなかったものの天井まで津波を被り、数日後行ってみたら事務所内はぐっちゃぐちゃ、エアコンからは海藻がぶら下がっている有様だった。
さすがに事務所は使えなかったため、身内とも言える会社の事務所のすみっこを借りて業務を続けた。3カ月ほど経ったとき、ずっと使ってない倉庫付き事務所があるんだけど借りないかと打診があり、すぐに飛びついた。
その物件は街の比較的中心部にあった。古い建物でホコリまみれだったが中は広く、以前の事務所には無かった休憩室やロッカールームもあった。津波を被っていたもののせいぜい倉庫側が床上浸水していたくらい。事務所は全然問題なかった。
2011年7月、新しい場所でようやく業務を再開。周りは瓦礫の山だったが、ようやく落ち着いて仕事ができると意気込んでいた。
「不思議な現象」が起こり始めたのは7月の下旬くらいから。昼休みに休憩室で休んでいるとどこからともなく「ヴーヴーヴーヴー」という音と振動が伝わってきた。誰かの携帯電話かと思ったが、鳴っていると思しき方面には壁しか無い。しばらくするとそれは止んだ。
また別の日、またもや「ヴーヴー」という音と振動が、今度は天井から聞こえてきた。もしかしたら樹の枝か何かが屋根にあたっている音か?とも思って調べたがそんなことは無かった。しばらくするとそれは止んだ。
それからしばらく「ヴーヴー」という音は聞こえてきた。1日に何度も聞こえるときもあれば、全く聞こえない日もある。聞こえてくるのは休憩室。社員全員がその音を聞いていた。当時家を流された社員が1人泊まっていたが、夜は聞かなかったらしい。
数百人が亡くなっている街なわけだし、この音は犠牲者が幽霊となり、気付いて欲しくて鳴っているのではという憶測が生まれてくる。幽霊とか信じるタチでは無いが、そうなると少し怖くなってくるもので、「ヴーヴー」と聞こえてくるとドキっとするようになった。
お盆を過ぎて8月下旬のある日、親会社から出張で来た社員を囲んで、休憩室でバカ話をしていた。すると突然
ヴーヴーヴーヴーヴーヴーヴーヴー
と、これまでに無いくらいに大きな音と振動。事務所のみんなは悲鳴を上げてその場から逃げた。きょとんとした顔で取り残される親会社社員に「早く逃げて!」と女性社員が叫ぶ。わけもわからず倉庫に逃げる親会社社員だが、事前にこの話をしていたため、「今のが幽霊のやつですか?あんな音するんですか!」と驚いていた。このときこの社員はスマホで休憩室の写真を撮っていたが、なぜかまともに撮影できず真っ黒と真っ白の画像が数枚続いていた。
このことに恐怖を感じ、お祓いをしてもらうことに。自分が事務所不在のときにやったのでどんな感じだったかは分からないけど、それ以後「ヴーヴー」という音は無くなった。