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交差点事故を防げ

(2016年1月14日放送)

愛知県では13年連続で交通死亡事故が全国最悪となっていますが、死亡事故のうち、4割あまりは交差点で起きています。
このため警察は、死亡事故には至らないものの、人身事故が複数にわたって発生している交差点を中心にリストアップし、集中的に整備する新たな取り組みを始めました。
名古屋放送局・堀木伸一記者が取材しました。

整備された交差点

愛知県長久手市内の住宅街にある丁字路交差点では、通行する車と道路脇から出てきた歩行者が接触する事故が毎年起きていました。
いずれ死亡事故が起きるおそれもあると、去年、赤く塗り目立つようにしました。
舗装された後は、事故は起きていません。

死亡事故が発生する前に

警察はこれまで、重大な事故が発生したあとに、現場の整備などの対策に乗り出すことがほとんどでした。
しかし犠牲者が出てからでは遅いと、死亡事故までは至らないものの、過去3年間に、人身事故が複数回、起きた交差点を中心にピックアップしました。
そして去年から、事故が多い交差点200か所あまりを集中的に整備することにしたのです。

より効果的な対策を

新たに始まった整備内容を決める会議です。
交差点の特徴や事故の実態に即してどのような対応ができるのか。
交通部門を専門とするベテランの警察官と、現場に詳しい最寄りの警察署の担当者が意見を交わすことで、より効果的な対策が取れるようになったといいます。

愛知県警・交通規制課、森厚憲次長は「交通対策を1歩進めて、死亡事故と重傷事故につながりやすい出会い頭の事故、横断歩行中の交差点をまず選定します。新たな視点で、個々の交差点により適した対策を講じることが可能になったと考えています」と話します。

実情に合わせて

実際に整備した名古屋市名東区の交差点は、道幅が狭く、やや変形した構造のため、歩行者が近道をしようと横断歩道がないところを無理に斜めに横断することが問題でした。
そこでとられた対策は、まず、斜め横断が多い実態を踏まえ、新しく斜めに横断歩道をつくりました。
さらに歩行者が渡っている最中は交差点内を車が通行しないよう、信号も調整しました。

整備した後は、1件も事故が起きていません。
「いつも斜めの横断歩道がなかったので、何回かわたらないといけなかったですが、歩きやすくなりました」

「すごく安全だと思う。この方が絶対いい。日本全国で見直してやってほしい」と歩行者にも好評です。

車道の整備も

実際の通行量に合わせて、車道を変更したところもあります。
豊橋市内の国道の交差点は、右折して高速道路の入り口に進む車と、直進してくる対向車の衝突が多く、過去3年間で30件近い事故がありました。
そこで右折専用の信号を設けることで、ドライバーは余裕をもって曲がれるようにしました。

さらに、通行をスムーズにするため、1車線しかなかった右折レーンを2つに増やしました。

ドライバーも「今は2車線になって流れがよくなった。直進する車を気にせず右折できるので安全だと思う」と整備した効果を実感しています。

住民の声を

警察は、さらに交差点を危険だと感じる地元の住民の声にも耳を傾けながら、こうした取り組みを進めていきたいとしています。
愛知県警・交通規制課、森厚憲次長は「地元住民の意向を踏まえて対策を推進することにより、抑止効果の高い対策にしていきたい」と話しています。

一定の成果も

警察によりますと、今回の整備対象の205か所の交差点すべてで整備に着手し、半数近くが完了したということです。
整備した交差点では、人身事故の減少率が全県の平均と比べ10倍にも達し、一定の成果も出ているということで、来年度も継続する方針だということです。

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