FREETELブランドでスマホや通信サービスを展開するプラスワン・マーケティングは、14日に記者会見を開催。新機種の「Priori3S LTE」を発表するとともに、2画面+折りたたみスマホの「MUSASHI」や、音声通話を中心にしたシンプルケータイ「Simple」をチラ見せしました。
Priori 3S LTEは、低価格で好評を博しているPrioriシリーズの最新モデル。発売中のローエンドモデルであるPrioriからスペックアップを果たし、ディスプレイは5インチのHDに、バッテリーは4000mAhにアップしています。
メモリ(RAM)は2GB、ストレージ(ROM)は16GBと、普段使いに十分なスペックを備えたミッドレンジモデルになっているのが特徴です。
ミッドレンジクラスになった「Priori 3S LTE」
「3S」という名称から、「Priori 3 LTE」のマイナーチェンジに思われがちですが、そのスペックはもはや別物。むしろ、Prioriシリーズの上位モデルといった位置づけになっていることが分かります。大容量バッテリーという特徴を持ちながらも、価格は1万7800円。同価格帯の製品と比べたときに、一段優れたスペックを実現するというFREETELの戦略は、ここにも貫かれています。
バッテリーは超大容量の4000mAh
価格以上の充実したスペック(重量は161g)
カメラの画質にも、改善を加えた
これだけで終わらないのが、FREETELのおもしろいところ。昨年は、11月、12月とBCNの市場調査でSIMフリースマホシェア1位を獲得したFREETELですが、今年は「通年で1位を目指す」(代表取締役社長 増田薫氏)と意気込みも十分。それを示すように、折りたたみスマホのMUSASHIや、Simpleの名称で展開されるシンプルケータイ3機種を披露しました。
MUSASHIは、「宮本武蔵のMUSASHIで、二刀流」(プロダクト部 執行役員 佐々木隆文氏)というように、ディスプレイを2つ搭載しているモデル。
折りたたんだときはタッチで操作する一般的なスマホとして、開いたときは10キーで操作できるフィーチャーフォンとして使える1台です。大手キャリアから発売されているガラホとは違い、Androidをそのまま使っているため、Google Playにも対応。アプリもインストールすることができます。
折りたたみ+2画面スマホの「MUSASHI」
現状では、あくまで試作機のため、クオリティの評価まではできませんが、アイディアとしてはおもしろい端末。iモードメールなどに慣れた層のユーザーとっては、入力のしやすい端末と言えるかもしれません。方向キーの上を押すとカーソルでの移動ができるため、片手での操作もスムーズそうです。
ただし、現時点ではユーザーインターフェイスがタッチ操作前提で作られているため、キーでどうやってスクロールすればいいのかなど、戸惑うこともありました。J:COMから発売されたLG製の「Wine Smart」は、ホーム画面もキー操作に合わせて作り込んでいるため、発売にあたっては、ソフトウェアのさらなる作り込みに期待したいところです。
ネットでは品質に対して疑問の声も出ていたSimpleですが、こちらは名誉挽回となるかが注目されます。後継機は「Simple 2」。しかも1機種ではなく、3機種の発売が予定されています。発表会ではサプライズとして外観のみが公開された格好ですが、形状は通常タイプのほか、小型版と折りたたみ版があることが分かります。
写真を拡大してみると、通常版にはWi-Fiのようなキーが、折りたたみ版には「インターネット」と書かれたキーが搭載されており、通話とSMSが中心だった初代Simpleより機能が増える可能性もありそうです。
Simple 2は、まさかの3機種展開に
写真を拡大すると「Hot Spot」や「インターネット」の刻印が見える
増田氏が「去年は多くの方にFREETELを知っていただいた。今年は製品もサービスもどんどん拡充していきたい。製品力もどんどん上がっている」と述べているように、端末やサービスの品質は徐々に上がっています。
堅実な売れ筋であるPrioriシリーズを手堅くリリースしている裏で、MUSASHIやSimple 2のような冒険ができるのも、FREETELの魅力と言えるでしょう。2月に発表を予定しているというSAMURAIシリーズの新端末も含め、同社の次の一手が楽しみです。
また、FREETELは、MVNOとしてドコモと直接L2接続をして、サービスを提供しています。こちらの通信事業に関しても増田氏は「新しい料金プランを近日発表する。『そう来たか!』というものを発表したい」と述べています。使った容量に応じて自動的に料金が変わる「使った分だけ安心プラン」は、安心感があり、速度も比較的安定しているとあって好評を博しているだけに、新プランにも期待が高まります。
MVNO事業では、新プランを近日発表予定
一方で、発表後にPriori 3S LTEの重量を大幅に間違えていたことが発覚し、120gから161gに訂正するなど、スタートアップならではのドタバタぶりが健在なのは少々気になります。これは単なるミスで済ませられますが、過去には、先に挙げたように、Simpleの品質問題がネットで噴出したこともあります。
厳しい見方をすると、「安心感」というか、「安定感」というかが今ひとつ足りないことは、同社が次に克服すべき課題と言えるのかもしれません。2016年に投入する製品やサービスで、そうした評判をどのように覆していくのかも、注目しておきたいポイントと言えるでしょう。