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オウンドメディア、ネイティブ広告、コンテンツマーケティングに関する話題をお届け。株式会社はてなが運営しています。

商業メディアをオウンドメディアCMSに移管 「Tech総研」リニューアルの裏側

はてなブログMedia(オウンドメディアCMS) インタビュー 事例 ピックアップ

2015年11月に、はてなのオウンドメディアCMS「はてなブログMedia」へと移管した、リクルートキャリア様のWebメディア「Tech総研」。1990年に創刊し、多くのエンジニアから親しまれている商業メディアの移管作業を任されたのは、二人の若手社員でした。

Tech総研

今回お話を伺うのは、IT戦略室 プロダクトマーケティング部の多田匠様と鈴木大輝様。CMSにはてなブログMediaを選んだ理由のほか、移管作業の裏側や、生まれ変わったTech総研の今後についてお聞きしました。


■ スピーディーな移管とスマートフォンでの見やすさを重視

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株式会社リクルートキャリア
(左)IT戦略室 プロダクトマーケティング部 新卒インタラクションデザイングループ 多田匠様
(右)IT戦略室 プロダクトマーケティング部 コンテンツマーケティンググループ 鈴木大輝様



__Tech総研について、あらためてお聞かせください。

鈴木様 Tech総研は、エンジニア向けの仕事・転職情報や、求人探しに役立つコンテンツを提供するサイトです。職場の実態や給与、転職のノウハウなど、エンジニアライフを楽しんでいただけるような情報を掲載しています。

__そもそもTech総研を移管しようと思った目的は何だったのでしょうか?

多田様 スマートフォンに対応しようという大きな目的がありました。リクルートには、スマートフォンに対応していないサイトがまだいくつかあります。その中で、Tech総研はエンジニアに愛されるために作っているにもかかわらず、エンジニアがよく使うスマートフォンで見られないってどうなの? という思いがあったので、きちんと手を加えようと決めました。どうせならスマートフォンに対応させる以外の目的も持って、事業貢献もしたいよね、ということでSEO対策も目的に加えました。

鈴木様 あとは、エンジニア向けとなるとサイトのデザインも最新でなければという思いもありました。

多田様 息の長いメディアということもあり、Tech総研の読者は年齢層が高いので、チーム内で話し合って「デザイン重視になりすぎて読み辛くならないように」というのは意識しましたね。何パターンかデザインを作って、「これちょっとかっこよすぎない?」という意見があった場合はやり直して。今よりはいいけどきれいになりすぎていないか? Tech総研らしさが崩れていないか? というのは常に考えていました。

__Tech総研を移管するに当たって、はてなブログMediaを採用してくださった理由をお聞かせください。

多田様 はてなブログMediaを選んだ理由は、構築に時間がかからず、スピーディーに移管できるからです。上層部からは2015年10月~11月中にリニューアルしたいという要望があったのですが、従来のオープンソースのサービスだと開発工数が掛かってしまうという懸念がありました。そこで、デザインと平行して移管できるプラットフォームはどこかと考えた時に、はてなブログMediaがいいんじゃないかと。今のTech総研のデザインって、テンプレートでもある程度は間に合いますし、そこまで複雑にする必要はないんです。そもそもTech総研を見てくれている人に作り込んだデザインは必要だろうかと考えても、そんなに意味はないと思ったので、はてなブログMediaを使ってリニューアルしました。

__スピード重視という考えが最初にあったのですね。はてなブログMediaはブログがベースだから、他のサービスと比較すると簡単に実装して立ち上げられそうだという期待があった、と。

多田様 はい。あとは、すでに「リクナビNEXTジャーナル」ではてなブログMediaを使っているので、社内でも使い方をある程度知っている人がいたんです。初めて触る人ばかりじゃないのはありがたいですね。

鈴木様 CMSの知識を持っている人だけじゃないので、ライターの寄稿のしやすさを重視したところもあります。

__管理者かライターさんの工数を考えると、すでに触れたことの多いはてなブログMediaの方が使いやすいということですね。御社ではてなブログMediaの話題が出た際に、はてなブックマークの集客面についてもお聞きになりましたか?

多田様 結構聞きましたね。リクナビNEXTジャーナルだと、記事にどれくらいはてなブックマークが集まったかなどが社内で話題になるんです。Tech総研でも早くそういう会話をしたいな……と思っています。

__はてなブックマークにはエンジニアのユーザーも多いので、Tech総研との相性はすごくいいですよね。

多田様 そうですね。それも踏まえて、はてなブログMediaを使いたいと思いました。

鈴木様 あと、以前はてなさんと打ち合わせをした際に、Tech総研をすごく愛してくださっているのが伝わったんです。「あ、読んでくださってる読者が本当にいるんだ」って初めて実感できたので、その出会いがきっかけでもあります。

__はてなブログMediaでTech総研が動くかもしれないとなった時は弊社でも話題になりました。普段見ていた媒体に選んでいただけた、というのがとてもうれしかったです。

多田様 はてなブログMediaについてはてなさんと打ち合わせをした際にそういうお話を聞いて、チーム内でも「ちゃんと見ている人がいるんだね」と言っていました。なので、見てくれている方がより読みやすい環境にすることは重要だとあらためて思いました。

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■ 4,000記事から600記事を読み、300記事に絞り込む

__移管する際の作業について、詳しいフローを教えていただけますか?

鈴木様 大枠としては、どういうサイトにしてどういうふうに更新していくのかというリニューアルにおける方針の検討と、移管する記事の選定、デザインという3つに分けて進めました。

__メディアの骨子を作る、コンテンツを選定する、実際にデザインを含めて載せ替えをしていく、という流れですね。この工程の中で、一番苦労した点はどこでしょうか?

多田様鈴木様 記事の選定ですね。

__お二人の声がそろいました。記事の選定と比べると、骨子を考えたり、デザインを載せ替えたりする作業はスムーズに進んだのでしょうか?

多田様 そこは鈴木を含めたチーム内の複数人で話し合って進めていました。記事の選定に関しては、すべて任せると言われていたんです。なので、一つ一つの記事を「◯」「△」「×」の3段階で評価して、どれを移管するか人力で選定していきました。一人でやっていると、途中で「あれ? さっきの△つけてたのやっぱり◯じゃない?」とつまずく瞬間があるんです。そこが難しかったですね。

__移管した記事は、旧サイトでも人気があったコンテンツだとお聞きしました。選定基準は、やはりSEOを考慮した上での被リンクの多さでしょうか?

多田様 もちろん参考にはしました。ですが、被リンクが多くても、それが5年前の記事だと今はあまり読まれない可能性がありますよね。なので、今でも需要のある内容かを確認するために、一つ一つの記事をじっくり読み込みました。旧サイトはスマートフォンでの閲覧に対応していなかったのですが、今は見られるようになっているので、この記事はスマートフォンで読んでも楽しんでもらえるか? というのも意識しました。全体で約4,000記事あったのですが、約500~600記事に目を通して、約300記事まで絞り込んでいます。

__他に選定基準で考慮した点はありますか?

多田様 記事で取り上げている人に話題性があるか、ですね。ノーベル賞を取った方がまだ受賞していなかった時にインタビューした記事もあるので、そういうものは取りこぼさないようにしました。少し古い記事なんですが、受賞する前のインタビューってなかなかないと思うんですよ。そういう記事は数値としてはあまり読まれていないこともあるんですが、今出したら読んでもらえるんじゃないかなという主観で選んでいます。


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【技術未来人インタビュー】古い価値観、見えない「洗脳」から脱出せよ! - Tech総研
高輝度青色発光ダイオードを発明したことで、2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二さんへのインタビュー記事。2003年3月に作成された。


__コンテンツを300記事まで絞り込む作業は、多田様と鈴木様で分担されていたのですか?

多田様 いえ、僕だけでやっていました。この時のブラウザの履歴にはTech総研しか入っていないくらい、ずっとTech総研に向き合っていましたね。旧サイトはディレクトリが作られていなかったので、記事を確認するにはURLをブラウザに一つずつコピー&ペーストするしかありませんでした。作業中に目を離してしまうと、どこまでやったか分からなくなってしまうこともあり……。記事内のレイアウトも一緒に確認していたので大変でした。

__記事の選定後に引き継いだ鈴木様の場合、他に苦労した点はありましたか?

鈴木様 過去にあったコンテンツをCMSに載せ替える際に、社外にいるパートナーさんに記事のリライトを依頼したのですが、パートナーさんは複数いるので同時に進めるのが大変でした。

__リライトというのは具体的にどういう作業をしていくのでしょうか?

鈴木様 記事ごとのデザインをCMSに載せ替える形です。テキストは既存のコンテンツからそのまま持っていきます。画像などを組み込む場合は、はてなブログMediaのCMSでどう配置していくかを考える、という流れです。

__HTMLで構築していた旧サイトではそのまま貼っていた画像などを、はてなブログMediaのフォーマットでどう見せるかということですね。

鈴木様 はい。見た目から入る形でした。


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(左)旧サイトの記事(右)現在のTech総研の記事


多田様 鈴木が納品物を確認してくれていたのですが、やはりスマートフォンではうまく見られない記事もあったんです。そういう記事を修正したり、修正を依頼したりといったディレクションも鈴木がすべてやってくれました。

鈴木様 多田と比べると確認した記事の本数は少ないですが、一言一句きちんと読んで、コンテンツの良さを出しているデザインになっているかというのはしっかり見ました。一つの記事を何十回もチェックしましたね。

__例えばブログのフォーマットで表示されないグラフなどが見つかった場合は、そのまま取ってしまうんでしょうか?

鈴木様 作り直したものもあります。

多田様 当初予定したスケジュールよりも一番遅れが出たのは画像周りなんですよね。<h1>タグの部分に画像が埋め込まれているケースもあったのですが、こういう場合はテキストをコピー&ペーストするだけではだめなので、画像からテキストを引っ張ってこないといけなくなるんです。

鈴木様 画像のものもあればテキストがくっついているものもあり……仕分ける場合はテキストだけ切り離してCMSで載せ替えて、みたいな。画像をトリミングする作業もありました。

__移管作業を進めるチームメンバーは何名いらっしゃったのでしょうか?

多田様 全体のディレクションは僕と鈴木で、他にアドバイザーとして二人が関わってくれました。運用チームと開発チームに分かれて作業を進めました。

__では、基本的に多田様と鈴木様が主導で進めてきたということなんですね。現在の運用状況はいかがでしょうか?

鈴木様 多田が担当から離れたので、今は私が環境構築をメインで担当しています。現状としては、旧サイトから一部の記事をはてなブログMediaに移管し終えて、これから新しい記事をどう作っていくか、どう運用していくかを考えているところです。

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■ メディアの立ち上げを通して会社の歴史をたどる

__多田様と鈴木様はすごくお若いですよね。

多田様 二人とも入社1年目です。

__Tech総研というと、30代以上のエンジニアにとってはとても慣れ親しんだメディアですが、20代の方にとってはまだ身近じゃない部分もあったと思います。ここまで大きなメディアをお二人が中心となってリニューアルするという、先代が築いたものに次世代の方が手を加えて新しく生み出していく流れですよね。

多田様 ピックアップする300記事を選んでいるときに、リクルートの歴史……ではないですけど、変化の過程を知ることができた気がします。紙媒体から始まって、Webメディアに移って、少しずつチャレンジしていって、いろいろなレイアウトにしてきて……。試行錯誤してここまできたんだなというのを、僕も記事を読んでいて感じましたね。

__移管作業を終えて、社内での反応はいかがでしたか?

鈴木様 大々的に告知はしていなかったのですが、商品枠の営業をしている者から「Tech総研、良くなったね」「スマートフォンからでも見られるようになったんだ」という声を掛けてもらいました。

多田様 移管したことをまだ一部のグループにしか共有していないんです。もっとたくさんの記事であふれて、リクナビNEXTジャーナルみたいに多くの人に見てもらえるようになって、いろいろなことを感じてもらえるようになったタイミングで「デザインだけじゃなくて、こんなに大きく変わりました」というのを社内で打ち出したいです。まずはひっそりとやりつつ、じわじわ大きくしていきたいです。

__今後、Tech総研を通してやりたいこと、目標についてお聞かせください。

鈴木様 キャリア形成に役立つメディアというTech総研の価値は維持しつつ、新しくリニューアルしたことでタッチポイントをどんどん増やしていきたいです。スマートフォンに対応したことで多くの人に見てもらえるようになったので、たくさんのエンジニアの方々に触れてもらって、エンジニアライフを楽しんでいただけるようなサイトにしていくのが目標です。

多田様 エンジニアの約半分はTech総研を見ていただけているというふうにしたいですね。将来的にそうなっていたら、愛されるメディアに近づいているという実感が持てるのかなと思います。

__ありがとうございました!



二人の若手社員が主導して進めた、Tech総研のリニューアル。「エンジニアに愛されるメディアにする」という、強い思いを感じたインタビューでした。

はてなブログMediaを利用したオウンドメディア構築をお考えの企業様は、以下よりお気軽にお問い合わせください。