阪神・淡路大震災から浮かび上がったGISの問題点

被災直後は使えなかった

 神戸市はGIS利用の先進都市であったにもかかわらず、阪神淡路大震災の被災直後はGISを管理しているフロアが全壊したため、GISを利用することができなかった。(GISシステム等をクレーンで運び出すための作業をTVで見られたかたも多いと思います。実際は、GISを構築した業者がバックアップ用のデータを持っていた。・・・データの分散管理が必要)
 また、日常業務に利用するGISと災害時に利用するGISとは相違点が多い

瓦礫の撤去効率化にGISを利用

 GISが災害復旧に威力を発揮したといわれている。瓦礫の撤去を公費により行ったが、ゴミになってしまったとはいえ、個人の財産を処分するため、申請が必要となる。住民から申請をしてもらい、税データで確認後発注という手順ととった。
 神戸市灘区は受付順に撤去したため、隣が撤去したにもかかわらず、隣接地もついでに撤去できないのかという不満が発生した。
 一方、長田区はGISを利用し瓦礫の撤去申請された箇所を把握することにより、ブロックごとにまとめて撤去を行ったため、不満は少なかった。

住所代表点の必要性

 被災後に明らかになった問題点は、住所を使いGISにデータを展開できるシステムが必要であるということ。これを実現するには、住所に対応する位置参照情報(以下「住所代表点」という。)が必要。被災直後にこの住所代表点が整備済みであった自治体は西宮市のみ。ゼンリンの電子住宅地図等を利用し、瓦礫撤去の申請を受け付けた。
 現在豊中市では、住所を発行する際に住所代表点付きで発行することとし、自治体の日常業務として住所代表点の更新を行っている。

市町村におけるGIS導入の課題