放送作家・山田美保子
2016年1月20日11時00分
1月16日付、朝日新聞本紙beの「フロントランナー」が大きな話題になっていますね。「気配りと努力の『テレビの顔』」の見出しでインタビューを受けているのはSMAPの中居正広くんです。
取材日は昨年の12月23日。渋谷NHKで収録が行われた特別番組、「スポーツハイライト」の前だったとのこと。
冒頭で記者さんは、中居くんがCG撮影用のブルーバック(クロマキー)に覆われたセットを見て、「無機質な空間だから、緊張が増すかもしれない」と言ったこと。「人って足が地についていないと落ち着かないから」と、演者らが座る椅子の高さについてまで目を配ったことなどを記していました。
ちょっと解説させてください。
クロマキーは確かに慣れていないと、どこに立っていいかも、どこを向いていいかもよくわからなくなります。タレントさんでなければ、衣装の色に気をつけなければならないこともご存じないかもしれません。クロマキーと同じ青系の色が衣装に入っていると、バックと同化してしまうのです。昔の「進め!電波少年」(日本テレビ系)のように、松本明子さんと松村邦洋さんの顔だけを浮かせるように、お二人にあえてブルーのマントを着せていた番組もありました。
椅子の高さについては、特に女性は戸惑うでしょう。たとえばハイスツールは、スマートに腰掛けるのが本当に苦労。つま先まで、ずっとカメラに映し出されているので、それこそずっと緊張していなければならず、長めのスカートの下で両足を縛って出演していた女優さんも私は知っています。
長年、MCとして多くの番組を仕切り、何百人ものタレントさんや文化人、アスリートを仕切ってきたからこその中居くんの配慮なのだと私は記事の冒頭の10行だけで、心から感動しました。
実は、そんな中居くんのMCを目の当たりにする機会に恵まれました。1月22日(金)オンエアのTBS系「中居正広の金曜日のスマたちへ」です。かつて、Kis-My-Ft2の北山宏光くん、藤ケ谷太輔くん、玉森裕太くんに取材をしたとき彼らが驚いていた「僕たちを緊張させないように、すごく気を使ってくださる」「行き当たりばったりのように見えるかもしれませんが、実はものすごく時間をかけて打ち合わせをなさっている」「中居さんは台本に自分でたくさん書き込んでいらっしゃる」をすべて目の当たりにしてきました。
収録前、かなり余裕をもって局入りし、レギュラー陣の楽屋へのごあいさつを順に済ませる中、何度、中居くんの楽屋を訪ねても、彼の姿は見当たりませんでした。
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1957年東京生まれ。青山学院大学卒。お小遣いで初めて買ったレコードがフォーリーブスのデビュー曲という、ジャニーズ歴やがて半世紀! 「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。テレビ「ミヤネ屋」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーもつとめる。
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