とある平日、会社で『KING OF PRISM by PrettyRhythm』という映画が面白いらしいという話を聞いた。
1月は、とりわけ2010年のアニメ化発表から実に5年越しに公開された『傷物語〈Ⅰ鉄血篇〉』が注目されがちで、ぼくも会社で聞くまでは、『KING OF PRISM』の存在を知らなかった。
映画のポスタービジュアルを見る感じ、「王国的な壮大なRPG的なや〜つか〜〜〜」という印象だった。
あんまり見る気もなかったのだが、1月17日(日)、ちょうど時間が空いたので、「面白いらしい、一応見てみるか……」というクソみたいな気持ちで、豊洲にある映画館まで足を運んだ……のだが、ぼくはここで、今までに体験したことのない、とても刺激的で幸せな経験をすることになった。
はてなブログ、そもそもブログを使うこと自体初めてなのだが、せっかくなので、ここではその体験を記しておきたい思う。
そして、ぜひ『KING OF PRISM』を映画館で見てほしい。「日常に刺激が足りない」「最近のアニメおもんない!」とか思ってる人は、とにかくめっちゃ面白いし、何より映画館での体験がかなり斬新なので、映画館に行ってほしい!
※追記:本編のネタバレが含まれておりますので注意してください!
「KING OF PRISM by PrettyRhythm」劇場前売券「正装ver.」/みんなパンツ履いてないらしい
そもそも『KING OF PRISM』とは?
『KING OF PRISM』、通称「キンプリ」は、「プリティーリズム」というメディアミックスシリーズのスピンオフにあたる劇場版作品らしい。
もともと「プリティーリズム」は、女性アイドルがメインの主に男性向けの作品だったが、この「キンプリ」は、男性アイドルメインの作品となっている。
近くにいた女性ファンに、なんで「キンプリ」が好きか聞いてみたところ、「スタッフさんがやりたいことを、とにかく一生懸命やっているのが作品から伝わってくる」「予算とか考えずにつくってそう」だからだと教えてくれた。
ちなみにこの「キンプリ」の上映は、「応援上映」という形式で上映されており、ぼくもこの「応援上映」という形式の上映会をみた。
コスプレOK!声援OK!アフレコOK!
お客様みなさんで一緒に盛り上がるイベント上映です!
この上映回に限り、コールや応援など、本当のライブをご覧いただいているかのように盛り上がっていただいて構いません!
また「KING OF PRISM by PrettyRhythm」ではキャラクターのセリフが字幕で表示されるシーンがございます。
字幕シーンについてはキャラクターになりきって生アフレコをしていただくことも可能ですので、
皆さんで「プリズム☆アフレコ」をお楽しみください。イオンシネマより
果たして、スタッフがやりたいこととは、一体なんなのだろうか……。
アイドルのライブ会場と似た雰囲気
上映の10分ほど前に館内に行ってみると、中には女性7割、男性3割といった感じの客層。
年齢は女性は10代から20代前半、男性は30代〜40代っぽい方がいたりと、男性のほうが年齢層は高めだった。
観客のほとんどの方は、キングブレード(通称、キンブレ)と呼ばれるペンライトと、なぜか光る薔薇を手に持っていて、おまけになんだかちょっとザワザワした感じだった。
薔薇を光らせて見せ合いっこしている女子がいたり、はたまたカップルが光る薔薇でチャンバラをしていたりと、ぼくは「面白いらしい」という情報以外、『KING OF PRISM』に関して何の情報や知識を持たないまま劇場に足を運んだので、この光景にはちょっとビックリしてしまった。
突然の「フゥ〜〜〜〜」事件
予告編が流れている間は、一般的な映画館と同じように、普通にみんな黙って見ていたので、映画が始まったらさすがにみんな黙るよな、とちょっと安心していた。
他の映画と変わらず、新作映画の予告編が流れ、カルピスを飲みながら眺めていたら、今度はSexy Zoneの中島健人が主演を務める映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』の予告編が流れた。
ヒロインの小松菜奈かわいいなぁと思いながら眺めていたら、そのうち、中島健人と千葉雄大がキスしそうな場面が流れ始めた。すると、突然左後方の席から、
左後方の男性 フゥ〜〜〜〜〜!!!!!!!
という悲鳴が聞こえた。
僕 !?
すると、それに呼応するかのように、あちこちから、
観客(女性)フゥ〜〜〜〜〜
観客(女性)フゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
観客(男性)フォォオオオオオオオ〜〜〜〜〜〜
という悲鳴が、あちこちから聞こえ始めたのだ。
怖い……。なんの儀式がはじまるの……。一体何が起きているの……? と不安で不安でしょうがなかったのだが、もはやこのタイミングで彼女たちの前を通って劇場から逃げ出すことの方が怖かったので、とりあえずはそのまま見続けることにした……。
本編スタート! タカラトミーアーツウウウウ❤️
こんな感じで、映像内のキャラクターを観客に見立てて、セリフが字幕で出てきたりもする
謎のふぅ〜〜という奇声で盛り上がった予告編が終わると、制作を手がける エイベックス・ピクチャーズ、 タカラトミーアーツ 、シンソフィアのロゴが順番に映し出される。
観客 エイベックスウウウウウウ❤️❤️❤️❤️❤️!!!
観客 タカラトミーアーツウウウ❤️❤️❤️❤️❤️❤️❤️❤️❤️!!!!
観客 シンソフィアアアアアア❤️❤️❤️❤️❤️❤️❤️❤️❤️!!!!
という感じで、ロゴがスクリーンに出ると、みんなとても大きな声で会社の名前を叫んで声援を送っていた。
基本的にアニメとかのコンテンツの運営は、ファンから文句を言われたりする対象だと思っていたのだけれども、まるで好きなアイドルを応援するかのように会社の名前を叫んで声援を送る姿には、とても驚いたし、同時に作品とファンがとても良い関係築けているんだろうと思った。
そしていざ、本編が始まり、イケメンのキャラクターが出てくると、
キャラクター ばんばんこ〜〜〜!
観客 ばんばんこ〜〜〜
最初の「突然のふぅ〜〜事件」からなんとなく察していたが、基本的にはこんな感じで、映画のキャラクターに声援やレスポンスを送って、応援することになる。
この時のぼくは、正直言って「よく声だすなぁ……。絶対俺じゃできないよ……。」と思っていた。
オープニングで突然全裸の少年がイキそうな顔でハグしだす
主人公の一条シンくん/オープニングでいきなり全裸になったりする面白い男の子
オープニングでアイドルたちのライブが始まると、観客たちは手に持っていたキンブレと薔薇を光らせ、キャラによってテーマカラーが異なるので、歌うキャラが変わると、光の速さでキンブレのボタンを「カチカチカチカチカチカチカチ」と連打して、色を変える。
本当にリアルなアイドルのライブ現場のような感じで、映像の中で歌って踊っているアイドルを応援するのだが、そのアイドルのライブが結構衝撃的だった。
突然、なぜか急に青い髪の少年が、今にもイキそうな表情を浮かべながら全裸になりはじめてハグしだすのだ。
!?!?!?!?!?!?
もう、あまりに意味わかんなすぎて思わず吹き出してしまった。ちょっとどういう文脈でアイドルのライブで少年が全裸になるのか理解が及ばなくて意味不明だったのだが、めちゃめちゃ笑った。
「やばい、これ笑ったりとかしたらファンに殺される……」と思ったのだが、意外にもファンも普通にみんな笑ってて、本編開始5分くらいで、爆笑しながら応援するというちょっと異様な光景が広がっていた。
君の苦手な食べ物はなんだい? トマトオオオオオオオオオ
君の嫌いな食べ物はなんだい?
物語は、「プリズム」と呼ばれる人たち(アイドルみたいなもんだと思う)の世界で、めちゃめちゃ人気のある、イケメン3人組のユニット・Over The Rainbowの「プリズムショー」(プリズムのライブみたいなもん)を見た、突然全裸になり始めた青い髪の少年こと一条シンが、プリズム養成学校であるエーデルローズに入学するところから始まる。
シンは、プリズムの見習いみたいなもんなので、いわば僕のようなプリズムについて何も知らない視点から物語が展開するため、特に知識がなくても大筋の流れは理解できた。
オープニングが終わると、Over The Rainbowの結成秘話だったり、Over The Rainbow以外のプリズムたちが登場したり、その中でもちょいちょい笑いをぶち込んできて、観客は、相変わらずキャラへの声援やレスポンスを送る。
キャラクター 君の苦手な食べ物はなんだい?
左に座ってる女性 トマトォォォォォオオ!!!!!!!
僕 (ビクッ!? そんなにトマト嫌いなんだ……)
キャラクター なぁんだセロリか。
僕 (トマトちゃうやんけええええええ!!!!! なんでいきなりトマトって叫んだあああああ!!!!)
こんな感じ。いきなりトマトって叫ぶから、めっちゃびっくりしちゃった。
Over The Rainbowのメンバーは神浜コウジ・速水ヒロ・仁科カヅキという3人で構成されているのだが、隣にいたファンの方によると、おそらく一番人気はヒロ、次いでコウジらしいのだが、たしかにこの2人はめっちゃイケメン。
でも、仁科カヅキという灰色の髪の毛の少年だけ、イナズマイレブンに出てきそうなタッチで描かれていて、めっちゃダサいのがツボだった。
仁科カヅキくん
唐突に始まるバトル、そしてEZ DO DANCE
アスリート系のヤンキー
ちょいちょい笑わされながら微笑ましいプリズムたちの学園生活を眺めていると、場面はヤンキーみたいなモブキャラにOver The Rainbowの仁科カヅキが喧嘩を売られるシーンへと移る。
ストリート系とアスリート系の決着をつけようぜ! みたいな流れで、そもそもそんな概念あったのかという驚きは置いといて、なんか急に喧嘩が始まりそうになった。
へぇ〜こういう喧嘩とかもあるのねって思って見ていたら、喧嘩というより、なんかバトルを仕掛けてるっぽくて、突然、小室哲哉による往年の名曲であり、TRFの代表曲「EZ DO DANCE」が流れ始めた。
!?
「EZ DO DANCE」が流れると、2人のキャラクターは、パッツンパッツンの片方の肩が露出した謎衣装に変身。
仁科カヅキ I can here my voice 今始まる〜〜♪
お前が歌うんかい!!! とつっこみたくなったがそこは抑えて、低い声でモブキャラと仁科カヅキが歌って踊り始める。
しばらく歌って踊って姿を放心状態で真顔で見ていると、突如、
エクステンレビテーション!!!!!
バーニングソードブレイカアアアアア!!!!!!
!?!?!?!?!?!?
と必殺技みたいなのを叫びながら、めっちゃでかいドラゴンがでてきたり、めっちゃでかい剣を振りかざして攻撃したりしだした! 完全に意味不明だった。
攻撃されると、「うわああああああ」と腕につけた時計みたいな装置のライフポイントが減る。
ストリート系とアスリート系の決着つける系のバトルと同時進行で、バトルしていたシンとコウジのバトルでも、
ハニィィィィィキッスゥゥゥゥゥ❤️❤️❤️❤️
全裸になったシンが、今度は大量に出てきた!!!
キュンキュンしますぅぅ〜〜〜
ファッ!?!?!?
おかしい……。さっきまでアイドルたちの学園生活みたいなのを見ていたはず……。だが、なんだこの胸が高まる感じは……。
僕 フォッーーーー!!!
僕 フォオオオオオ!!!! きみだけを見ていりゅうううう!!!
僕 I,ve got feeling 突き抜けてくッ! 街が目、醒ますころ〜〜〜
気づけば僕は、プリズムたちが真面目にやっているけれども意味不明な言動に、みんなで笑わされ、癒されている、この幸せな空間に、知らず知らずのうちに魅了されていたようだった。
突如始まった謎のバトルシーンは、アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』を見ているかのような「おれのターン、ドロー!」「滅びのバーストストリーム!!!!」と叫んでいた小学校の頃の感覚を思い出させてくれ、それが、その意味わかんなさにブーストをかけ、僕を完全に突き抜けさせてくれた。
これ、一見イケメン同士がイチャイチャする女性向けの作品にようにも見えてしまうのだが、このバトルシーンとかは完全に少年心をくすぐる演出で、僕のテンションは、完全に突き抜けた。
声を出すってこんな気持ちええんや……。と両腕をあげて、一緒に叫んでいた。
あとシンくん、かわいすぎかよ……
そしてむかえるクライマックス。詳しいことは言えないが、最後はプリズムショーで幕を閉じ、最初に見たプリズムショーと最後に見たプリズムショーでは、まるで見え方が違っていた。
プリズムが輝いていた、めっちゃかっこよかった、めっちゃかわいかった、見よう見まねでワンテンポ遅れながら無我夢中で一緒に声援を送っていた。
一言で言うならば、進くん、まじかわいすぎかよ……。
こうして終わった映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』。
まだまだ続きがある感じの終わり方で、後編の制作も予定しているらしい。
最後のエンディング「ドラマチックLOVE」もまた良い歌で、
おーおおーーおおー
ドラマチックに〜
ハートひらり落ちてくる〜〜〜
と思わず一緒に歌ってしまった。
心のときめきを、多くの人に知ってもらいたくて
主人公の一条シンは、はじめてOver The Rainbowのプリズムショーを見たときに感じた、心のときめきを、たくさんの人に知ったもらうためにプリズムの世界に入ってきた。
ぼくもまさにそうだ。シンくんのプリズムショーで感じた、胸がキュンキュンしたときめきやきらめき、そしてこの映画館で感じた刺激的な空間を多くの人に知ってもらいたくて、このブログを書いたのだ。
もし、退屈な日常にうんざりしている人がいれば、ぜひ『KING OF PRISM』を見てほしい。プリズムたち、そして応援上映という空間が、きっとあなたに、今まで感じたことのない意味のわからない刺激をくれるだろう。
ただ、映画を見るんじゃない、紛れもなく、プリズムショーなんだ。
僕も次は、キンブレと光るバラを持って劇場に向かいたいと思う。