体操クラブで指導する小学5年生の女児(11)が段違い平行棒から転落した際、額を殴ったとして、静岡県警は18日、元体操日本代表で静岡市清水区の「清水ペガサス体操クラブ」経営者寺尾直之容疑者(53)を暴行の疑いで逮捕した。寺尾容疑者は1987年にオランダ・ロッテルダムで開かれた世界選手権の元日本代表。清水署によると、「試合前にできた技ができなくなったのでやった」と容疑を認めているという。
逮捕容疑は昨年8月1日午後2時半ごろ、清水区内の体育館で、段違い平行棒から転落して負傷した女児の額を、鉄棒用の革製プロテクターで殴った疑い。
この時の転落について署は、女児の足首をつかんで段違い平行棒から落とし、負傷させたとして、寺尾容疑者の長男でインストラクターの直希容疑者(28)を傷害容疑で逮捕した。直希容疑者は「練習の補助中に(女児が)落下し、けがしたことは間違いない」とする一方「両足首はつかんでいない」と供述しているという。
直希容疑者の逮捕容疑は、段違い平行棒で車輪の練習中だった女児の両足を逆上がりのように力任せに振り上げて落下させ、左股関節の脱臼や、左大腿(だいたい)骨の上部が傷つく全治6カ月のけがを負わせた疑い。高さ2・5メートルと1・7メートルの棒があり、女児は高い方で練習中だった。
クラブには幼児から中学生までが所属し、東京五輪に向けた県の指定強化選手に選ばれている選手もいる。女児は小学1年から体操クラブに入り、基本コースより高度な選手コースに所属していた。昨年8月、女児の保護者が被害届を提出し、署が捜査していた。