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【社会】夢のマグネシウム蓄電池実用へ道 世界初、埼玉県が開発成功埼玉県産業技術総合センターは十九日、室温でも安定して使用できるマグネシウム蓄電池の開発に世界で初めて成功した、と発表した。マグネシウム蓄電池は、スマートフォンやパソコンなどで主に使われているリチウムイオン電池よりも安全で大容量化にも向くなど利点が多いが、室温では性能が一定せず実用化のめどが立っていなかった。同センターは「夢の次世代蓄電池の実用化につながる」としている。 (谷岡聖史) 同センターによると、小型機器の電池として現在主流のリチウムイオン電池は、二〇二〇年の全世界の市場規模が約一・五兆円と予測されるほど普及。だが、原料のリチウムは高価な希少金属で、水に触れると発火したり、電池容量の拡大が限界に近づいているなどの課題もある。 一方、海水や鉱物中に豊富に存在するマグネシウムは安価に調達でき、発火の危険性も少ない。しかも、リチウムイオン電池の二倍以上の大容量化が期待できる。国内外のさまざまな研究機関がマグネシウム蓄電池の研究を進めてきたが、放充電を繰り返すと電池容量が大幅に減ったり、電解液が高温でないと出力が安定しなかったりすることが、実用化への壁だった。 〇八年から研究に取り組んできた同センターは、約二十種類の物質を試した結果、酸化バナジウムなどで作った電極を開発し、放充電を五十回繰り返しても元の約八割の性能を保つことに成功。さらに、リチウムイオン電池で一般的に使われている電解液に有機物の一種を加えるなどして、室温でも安全で安定した性能を実現した。 開発を手掛けた栗原英紀専門研究員(44)は「リチウムイオン電池では難しかった水回りの機器や、人間が身に着ける端末でも安心して使える」と将来性を語り、上田清司知事も「画期的な製品化の動きを加速させることになる」と期待する。同センターは二、三年後の製品化を目指すという。 (東京新聞)
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