2016年01月20日
信頼できるニュースソース、検索エンジンがソーシャルメディアを引き離す
これは米PR会社のエデルマン(Edelman)がまとめた「2016 EDELMAN TRUST BAROMETER」の調査結果である。昨年同様、今月20日から始まる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に向けて実施され調査で、2015年10月13日〜11月16日の間に28か国の3万3000人を対象に行った。
昨年の調査で注目されたのは、最も信頼できるニュースソースとして、検索エンジンが初めて新聞やテレビなどの伝統メディアを追い抜いたことであった。今年はさらに、以下の図に示すように、検索エンジンを信頼する人の割合が昨年よりも1%増えて63%となり、伝統メディアと5%の差をつけたままトップを続けている。また若いミレニアル世代に限るとさらに差が開き、66%もの人が検索エンジンを信頼している。
(ソース:Edelman)
図1-1 信頼できるニュースソース。一般ニュースや情報のためのニュースソースとして信頼できると答えた割合を示している。
(ソース:Edelman)
図1-2 信頼できるニュースソース。ミレニアム世代(1980〜2000年生まれ)に限定した信頼度データ(2016年)も付け加えている。
オンラインメディア(オリジナルのWebサイト)も信頼されてきているが、検索エンジンと比べると信頼度でまだ10%もの差が開けられている。オリジナルのWebサイトと同じニュース見出しが検索エンジンでも表示されているはずなのに、検索エンジンサイトで接したニュースのほうが信頼度が高いわけだ。検索エンジンの利用では、能動的にニュースを探し、また検索結果から実績のあるWebサイトを選べることもあり、ニュース記事を信頼しやすいのかもしれない。
ソーシャルメディアは、若い人を中心に主要なニュース接触の場にのし上がっているが、そこで接するニュースに対する信頼度は昨年より1%減の44%に落ち、検索エンジンとの差が拡大している。エデルマンの調査でも、友人や家族などとシェアしたニュース記事を信頼する人が多いと語っているのに、ソーシャルメディアのニュースはあまり信頼されていない結果となっているのだ。
Quartzの解説によると、検索エンジンで示されるニュース記事の見出しは、検索エンジンに最適化するようにファクト(キーワード)ベースで作られているため、信頼できる記事かどうかを判断しやすいと解く。一方ソーシャルメディアでのニュース記事の見出しは、拡散を狙ってくただけた解説的なものが多く、またコンテンツとかけ離れた釣りっぽい見出しも少なくない。信頼できないニュース記事が散在しているのも確かである。またグーグルのような検索エンジンでは、信頼できる有益なニュース記事をなるべく上位に表示するように努めているはずなので、信頼を得るための施策を打っているとも言える。
検索エンジンの市場を事実上独占しているグーグルは、Reputation Groupが発表する「世界で最も信頼度の高い企業100社」のランキングで2014年と2015年の2年連続で2位に選ばれている。このことは、グーグルの検索エンジンは何やかんやと批判されようが、一般にはおおむね信頼されている。だから検索エンジンで探したニュース記事をある程度信頼しても良い、と判断する人が多いのもしれない。
◇参考
・People trust Google for their news more than the actual news(Quartz)
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