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木村拓哉がもし本当にタイムリープ能力を持っていたらどうなるか。SMAP会見に寄せて真剣に考えてみた

2016年1月20日 09時00分

ライター情報:青柳美帆子

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「……今日は、2016年1月18日です」
カメラを見つめて彼は言う。
たどり着いてしまったこの日を噛みしめて。
解散報道に揺れるSMAPは、1月18日の「SMAP×SMAP」生放送で5人そろって会見を行った。そこでの木村拓哉のふるまいは「木村拓哉はタイムリープを繰り返しているのでは!?」という説を生み出した。この記事は「木村拓哉は時を繰り返しているんだよ説」に着想を得たパロディ小説である。実在の団体・人物とは関係がありません。
(イラスト/小西りえこ)

国民的アイドルグループ「SMAP」。そのエースとして立つ木村拓哉には、誰にも明かせない秘密があった。
彼の秘密、それは──何度もタイムリープを繰り返し、世界線を乗り越えることができること。そう、木村は「時間遡行者」であり、「世界改変者」だったのだ。

「1周目」がいつだったのか、正直はっきりとは覚えていない。
夢から目覚めるように、木村は「気が付いた」。この世界は、なにかがおかしい。叔母の応募によって入ることとなった事務所。そばで草なぎ剛が興奮して語る。
「これで永遠のアイドル・少年隊に一歩近づける! 嬉しいなー!」
「ハハッ、何言ってるんだよ剛。少年隊はもう解散しただろ?」
「……? ちょっと、冗談にしてはフキンシンだよ、木村くん! もう少年隊はボクらにとっての先輩なんだからね!」
「えっ……」
少年隊が、解散──? 自然に、半ば無意識に唇からこぼれたその言葉は、明らかに「現在」の事実とは反していた。けれど木村は、それが「真実」であることを知っていた。なにかが、おかしい……。
その世界線での木村は、オーディションに合格はした。けれどデビューはできなかった。

はっと目が覚めた。そこはオーディション会場だった。
木村はぼんやりと、やたらと口になじんだ自己紹介と自己PRを声に出した。オーディションは危うげなく終わり、当然のように合格していた。
レッスンの日々、先輩たちの後ろを踊る日々が続いた。そして、そこまで親しくもないはずなのに、奇妙に覚えのある5人と出会った。
「YOUたちは『SMAP』としてデビューしてもらうよ」
念願のデビュー! 木村も、そしてほかの5人も必死で歌い、必死で歌った。
コンサートをこなし、ついにCDデビュー。しかし、オリコンで1位をとることはできなかった。前代未聞の事態に、周りの大人は激怒し、自分たちへの自信は地を這った。
もっと歌を、ダンスをがんばれば、世の中で輝けるはず──木村はそう考え、がむしゃらに練習を重ねた。5人も同様だった。しかし、彼らのスキルは上がっても、人気も注目度もぴくりとも上がらなかった。
アイドルグループ・SMAPは、鳴かず飛ばずのまま、解散させられた。

はっと目が覚めた。
「なあ、コントをやってみないか。おもしろいことをしようよ」
そう言い出したのが誰かはわからない。

ライター情報

青柳美帆子

フリーライター。1990年(平成2年)生まれ。オタクカルチャー・イベントレポ・明るいエロス・少女革命ウテナなどを中心に執筆しています。

URL:青柳美帆子のまとめ

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