NISA枠を実質拡大するために、ブル型投信を買う手がある?
- 2016/01/19
- 22:20
読者の方より、NISAに関するご質問をいただきましたので、自分なりの回答をしたいと思います。
件名:NISAでブル投信は有効でしょうか?
はじめまして。いつもブログを拝読させていただいている者です
NISA枠を実質的に拡大するためブル投信を買う手があるような気がするのですが、どう思われますか?
例えば、SPXLを買えば枠が実質的に拡大される効果があるようにも思えます。経費率が0.95%と高いですが、ベータも高いのでベータあたりの経費率だとそんなに高くはない(0.3%位のイメージ?)とも考えられるかと
お時間あればお考えを頂けると幸いです
理由は、ブル型(レバレッジ型)やベア型(インバース型)の商品は、長期で保有すると、騰落率が目標どおりにならない性質があるからです。
- インデックスの2倍やマイナス2倍といった目標値を「日ごと」に達成するように設計されているため、2日以上離れた2時点間の騰落率は目標値どおりにならない
- インデックスの値動きが上昇・下降を繰り返した場合に、マイナスの方向に差(ずれ)が生じる可能性が高くなり、期間が長くなれば長くなるほどその差(ずれ)が大きくなる傾向がある
いわゆる「複利効果」が悪さをするためなのですが、これは商品設計のミスではなく、レバレッジ・インバース型商品共通の性質であり、目論見書にもでかでかと書かれていることです。投資家は気をつける必要があります。
上記の説明は、当ブログでレバレッジ・インバース型商品が新登場するたびに、たびたび注意喚起しているところですが、今回は、この質問者さんが例にあげている「SPXL」のデータを実際に見てみます。
「SPXL」は 米国株式指数の S&P500 の「3倍」の値動きをするように設計された海外ETFです。S&P500 の「-3倍」の値動きをするように設計された「SPXS」とともに見てみましょう。
直近1年間で、S&P500 は -7.0% なので、SPXLは本来なら3倍の -21.0% になってほしいところですが、実際は -22.6% と余計に下落しています。
一方、SPXS の方はどうかというと、本来なら -3倍の +21.0% で運用大成功となってほしいところですが、実際は -0.9% とプラスどころかマイナスの結果になっています。
このように、 レバレッジ・インバース型商品は、長期保有してしまうと、相場が上がっても下がっても損をする可能性があるものです。相場の見通しがある程度つくかたが、ピンポイントで短期売買するための商品、と言えるでしょう。
NISAは長期投資を念頭に設計されており、一度商品を購入すると非課税枠は消費されてしまい、商品を売却しても非課税枠は元には戻らない設計になっています。ゆえに、短期売買するための商品であるレバレッジ・インバース型商品には向いていないと考えます。
回答は以上になります。何かのご参考になれば幸いです。
※いわずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いいたします。
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