中国経済の減速は、訪日外国人旅行客の「爆買い」で好調な小売りの業績にも影響を与えそうだ。過去最高額となった平成27年の訪日客の旅行消費額を牽引(けんいん)したのも訪日中国人客。百貨店などは免税フロアの拡充など訪日中国人対応を進めており、今後を不安視する声が上がっている。
訪日中国人の旅行消費額(推計)は前年の2・5倍に当たる1兆4174億円で訪日客全体の40・8%を占め、1人当たりの支出額も28万3842円と突出する。訪日中国人は支出の大部分を買い物につぎ込んでおり、訪日客の買い物代額全体(1兆4539億円)のうち、8089億円が中国人の財布からだ。
中国経済の減速について百貨店各社は「あまり悲観せずに引き続き取り込みを図る」(高島屋)「足元でも売り上げは下がっていない」(三越伊勢丹ホールディングス)と強気の姿勢を崩さないが、「昨年10~12月ごろから(客足が)落ち着いている」(松屋)といった声も聞かれる。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「人民元の大幅な切り下げで円高が進めば、中国人観光客の『爆買い』は収束する」と警鐘を鳴らす。
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