イランは1月18日、即時の大幅増産を命じて国際石油市場に猛然と復帰した。仲間の石油輸出国機構(OPEC)加盟国はこれに応じ、イランの行動は過去10年間で最大の価格暴落を長引かせる恐れがあると警告を発した。
米国と欧州連合(EU)が対イラン制裁を解除した。それを受け、合計5000万バレルの原油を積んだイランのタンカーが出航の準備を始めるなか、国際指標の一つであるブレント原油は2003年以来初めて1バレル28ドルを割り込んだ。
イラン国営石油会社のトップは数年にわたる経済的孤立の終焉(しゅうえん)を象徴するように日量50万バレル前後の増産を命じ、地域の競合国で世界最大の石油輸出国であるサウジアラビアとの関係をいっそう緊張させた。
原油価格は過去18カ月間でほぼ75%急落した。世界最大級の産油国が譲歩するのを拒んだためで、供給量と在庫は過去最高に近い水準まで膨れ上がっている。
■「シェアを奪われる」イラン石油会社幹部
「イランが産油量を増やさなければ、近隣諸国が向こう半年か1年で増産し、イランのシェアを奪うかもしれない」。イラン国営石油会社のトップ、ロクノディン・ジャバディ氏はテヘランでこう語った。同氏は「石油市場を管理する合理的なコンセンサス」がない限り、原油価格は1バレル30ドルを下回る水準から抜け出せないと予想する。この発言は明らかに、サウジ主導の政策――比較的コスト高の生産業者に圧力をかけるために生産を維持するというもの――に対する言及だ。
原油価格の急落は、広範囲に及ぶ雇用喪失につながった。エネルギー企業が4000億ドル以上の支出計画を棚上げにしたからだ。一方、ナイジェリアやベネズエラなどの産油国の経済には重圧がかかっている。原油価格は現在、08~14年に平均で1バレル100ドル近かった水準の4分の1程度でしかない。
ロシア・ルーブルは対ドルでほぼ史上最安値に落ち込んでおり、最も裕福な中東湾岸諸国でさえ、燃料補助金の減額を含む痛みを伴うコスト節減策を制定し始めている。
経済制裁を受け、イランの石油輸出は11年の日量250万バレルから日量100万バレル強まで落ち込み、経済が圧迫された。イラン政府は、制裁と市場のだぶつきの中でなかなか売れなかった重質原油とコンデンセート(超軽質原油)を積んだスーパータンカー25隻の船団を結集した。
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