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養子、里子...児童福祉施設の職員が語る表沙汰にできない闇

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©iStock.com/LiudmylaSupynska

記者は、かつて県営の乳児院を取材した際、担当者から「ここの定員は30人ですが、実際は40人ほどいます」と言われカメラをしまった経験がある。

仮に写真をもとに実際の人数を把握されて困るのはこの施設にいる子供たちだからだ。「定員増加を訴えればいいんじゃないか?」と聞いたら「予算が下りず、厳しい」と話していた。

子供の貧困など、彼らを取巻く環境が社会問題化して久しい。しかし、上記のような問題は未だ解決する様子がない。そして現状の問題は氷山の一角だろう。そんな事例をいくつか紹介する。

①母親が親権を盾に養子縁組を阻止

施設の子供たちなどを受け入れる里親は徐々に増えている。喜ばしいのだが里親から養子縁組に至るケースは殊の外少ない。その理由の一つが親権を持った親とのトラブルだ。

ある里親が里子を実の子供のように愛し、施設側も喜んでいた。ところが、その子を施設に預けたまま1度も面会に訪れなかった。養子の件が破断になった時、母親は再度どこかに消えてしまったという。


②子育てに耐えられず里親解消

里親制度は、我が子として育てていけるかを試すテストだ。当初はどの里親も「必ず自分が育ててみせる」と意気込むのだが、さまざまな問題を抱え切れず施設へ帰す里親も少なくない。

この夫婦は施設で「子育てが辛く、このままでは暴力を振るいかねない」と担当者へ伝えたという。


③疾患がネックで...

入所しているA君には、何度か里親を申し出た人々がいた。しかし結局、誰も養子縁組までたどり着けなかった。 A君はある疾患を抱えており、縁組のネックとなっていた。

そして月日が流れA君は中学生に成長した。しかし、その時には誰も里親に手を上げなくなった。A君は卒業後、施設を出て行ったきり音信不通だという。

施設担当者は「障害のある子を敬遠する気持ちは分かるのですが、幼くて可愛い子供が優先的に養子となる現実はやりきれないです」と話した。

(取材・文/しらべぇ編集部・伊藤憲二

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