(聞き手は日野 なおみ)
味香り戦略研究所では昨年11月、独自の調査を実施し、「1日3食から1日4~5食時代へ」という結果を発表しました(詳細は「食品・飲料のトレンドは『プチカム(噛む)食感』」)。具体的にどういうことでしょうか。
菅氏(以下、菅):これまで一般的な食生活は朝昼晩の1日3食でした。ところが実態を調べてみると、1日3回、きっちりとした食事の機会を持っている消費者は少なくなっています。
朝食では、これまでのような一汁三菜の食事を出す家庭が少なくなっています。朝はがっつりしたものを食べないで、ヨーグルトやゼリーといった、軽く胃袋を満たすものが主流になりつつあります。これを私は朝食の液状化と呼んでいます。
昼はどうかと言うと、家族世帯はみんなバラバラに食事をするようになっています。子供は学校で給食や弁当を食べ、親は職場でランチを済ませる。実は唯一、この昼のタイミングが、きちんとした食事をする機会になっています。それは、昼食以降の食のスタイルを見れば分かります。
晩ご飯は、最近では共働き世帯が増え、家族で食卓を囲む時間が遅くなっています。多くの共働き世帯で、晩ご飯を食べるのは午後7時や8時頃。子供にしてみれば、正午に昼食を食べて、晩ご飯までの間に7~8時間もあるわけです。当然、お腹が空きます。
晩ご飯まで待てないのでおやつを食べる。最近では保育園のおやつでも、お菓子を出すのではなく、おにぎりやピザ、うどんを出しています。親の迎えが遅いから、夕食までの間に空腹を満たす軽食を出すんですね。「おやつ」というよりは「補食」の側面が強い。
こうして夜ご飯前に軽食を食べると、実際の晩ご飯は、そんなにボリュームのあるものを食べられなくなります。お腹が空いていないから軽めのもので済む。そうなると晩ご飯の軽食化が進みます。そして夜更かしをするので寝る前にデザートやパンなどをつまむ。
流動化した朝食と、しっかり食べる昼食、夕食までの軽食と、軽食化した晩ご飯、そしてデザート…。食事の機会だけを見れば、1日3回ではなく、1日4~5回になっています。