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熊本・水俣 町づくりに「新国富指標」活用へ1月20日 5時33分
熊本県水俣市と九州大学は、国や地域の豊かさを示す新たな経済指標「新国富指標」を町づくりに役立てるための協力協定を結びました。この指標を自治体が活用するのはこれが初めてだということです。
19日、水俣市役所で行われた締結式には、水俣市の西田弘志市長や、九州大学大学院の馬奈木俊介教授らが出席し、共同研究などに関する協力協定を結びました。
「新国富指標」は、各国の経済学者が共同で考案し、4年前、国連の会議で提案された新たな経済指標で、経済の持続的な発展につながる自然環境や人材なども金額に換算して評価します。
今後、水俣市は九州大学都市研究センターと連携し、市が行う事業の意義について、新たな指標を使った評価を試みるということです。
馬奈木教授は、「自治体が『新国富指標』を活用するのはこれが初めてで、世界的にもまだ例がないのではないか。経済効果が上がるものだけでなく、健康や教育といった見えにくいものを評価することで、価値が見えるようになり、よりよい政策やその評価につなげることができる」と話していました。
また、水俣市の西田市長は、「水俣が将来にわたって活力ある持続可能な社会であるために、地に足のついた取り組みを進めたい」と話していました。
「新国富指標」は、各国の経済学者が共同で考案し、4年前、国連の会議で提案された新たな経済指標で、経済の持続的な発展につながる自然環境や人材なども金額に換算して評価します。
今後、水俣市は九州大学都市研究センターと連携し、市が行う事業の意義について、新たな指標を使った評価を試みるということです。
馬奈木教授は、「自治体が『新国富指標』を活用するのはこれが初めてで、世界的にもまだ例がないのではないか。経済効果が上がるものだけでなく、健康や教育といった見えにくいものを評価することで、価値が見えるようになり、よりよい政策やその評価につなげることができる」と話していました。
また、水俣市の西田市長は、「水俣が将来にわたって活力ある持続可能な社会であるために、地に足のついた取り組みを進めたい」と話していました。
「新国富指標」とは
「新国富指標」は、国や地域の豊かさを示す新しい経済指標として、各国の経済学者が共同で考案し、4年前、国連の会議で提案されました。
GDP=国内総生産が、ものやサービスの価値が1年間にどれほど生み出されたかを表すのに対して、「新国富指標」は、経済の持続的な発展につながる「資本」がどれほどあるかが金額に換算して表されます。
この中には、インフラなどの「人工資本」だけでなく、農地や森林などの「自然資本」や、人々の教育水準や健康状態といった「人的資本」も含まれることから、国や地域の将来性を分析する尺度としても活用が期待されています。
2年前に各国の経済学者がまとめた報告書によりますと、日本全体の「新国富指標」は、大学などへの進学率が高まったことなどにより、2010年までの10年間でおよそ5%伸び、およそ54兆ドルに相当するということです。
一方、報告書のメンバーの1人の馬奈木教授によりますと、熊本県水俣市の場合、人口や農地が減ったことから、「新国富指標」は同じ10年でおよそ2%減少したということです。
馬奈木教授は、「人口減少が続く自治体では、ものの生産を増やす以上に、すでにある資本を有効に活用することが重要だ。『新国富指標』の考え方は、より多くの人から納得が得られる行政サービスを見極めるうえで判断材料になるため、今後、多くの自治体に活用してほしい」と話しています。
GDP=国内総生産が、ものやサービスの価値が1年間にどれほど生み出されたかを表すのに対して、「新国富指標」は、経済の持続的な発展につながる「資本」がどれほどあるかが金額に換算して表されます。
この中には、インフラなどの「人工資本」だけでなく、農地や森林などの「自然資本」や、人々の教育水準や健康状態といった「人的資本」も含まれることから、国や地域の将来性を分析する尺度としても活用が期待されています。
2年前に各国の経済学者がまとめた報告書によりますと、日本全体の「新国富指標」は、大学などへの進学率が高まったことなどにより、2010年までの10年間でおよそ5%伸び、およそ54兆ドルに相当するということです。
一方、報告書のメンバーの1人の馬奈木教授によりますと、熊本県水俣市の場合、人口や農地が減ったことから、「新国富指標」は同じ10年でおよそ2%減少したということです。
馬奈木教授は、「人口減少が続く自治体では、ものの生産を増やす以上に、すでにある資本を有効に活用することが重要だ。『新国富指標』の考え方は、より多くの人から納得が得られる行政サービスを見極めるうえで判断材料になるため、今後、多くの自治体に活用してほしい」と話しています。
新たな指標 どう生かすか
水俣市は、新たな指標を活用することで、予算を投じている事業の意義を評価しようとしています。
例えば、山間部で住民が進めている棚田の保全活動の場合、米の生産だけではなく、環境に魅力を感じた人が集まって来ることで、地域全体の「指標」を向上させる可能性があり、こうした評価を交付金などの額の検討に役立てるということです。
また、行政が赤字を補填(ほてん)しているコミュニティバスで、仮に路線の統廃合や減便などを検討する場合は、採算性だけでなく、集落の維持や高齢者の健康管理にバスがどれだけ役立っているのか、指標を使って評価できるということです。
水俣市はこうした事業を指標に基づいて評価し、効率的な財政支出につなげる考えです。
例えば、山間部で住民が進めている棚田の保全活動の場合、米の生産だけではなく、環境に魅力を感じた人が集まって来ることで、地域全体の「指標」を向上させる可能性があり、こうした評価を交付金などの額の検討に役立てるということです。
また、行政が赤字を補填(ほてん)しているコミュニティバスで、仮に路線の統廃合や減便などを検討する場合は、採算性だけでなく、集落の維持や高齢者の健康管理にバスがどれだけ役立っているのか、指標を使って評価できるということです。
水俣市はこうした事業を指標に基づいて評価し、効率的な財政支出につなげる考えです。