2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の新計画案に採用された建築家・隈研吾氏(61)が15日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を行い、旧計画のザハ・ハディド氏が自分たちの図案と似ていると主張していることに対して、合理性の観点から「自動的にそうなる」と主張した。

 観客席の3段構造と、その角度が類似している点については「8万人の規模でアスリートと観客席を近づけるには3段がリーズナブル。旧コンペで最終案に残った11案のうち7案が3段構造だった。3段にしたときに全ての人に選手を見やすくしようとすると自動的にその角度が出てくる」と語った。

 座席の並びが類似している点にも触れ「東京都の火災予防条例があって、そこで決まっているもの。そこに照らし合わせると、この配列じゃないと通らない」と主張した。

 ただ、建築家・伊東豊雄氏(74)らがデザインしたB案は同じ8万人規模だが、2段構造で座席配列もザハ案とは類似していない。

 英国のザハ事務所は事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)から、デザインの未納代金を全額支払うのと引き換えに著作権を譲るよう書面で要請されたが、拒否したと表明した。“口止め”とも取れるJSCの要求にザハ事務所は怒っており、新旧の計画が類似している具体例を挙げて書面を通知したことを14日、明かしていた。隈氏は「JSCとザハさんの交渉のことは分からない。ザハさんから直接私のところにメッセージは来ていない」と語った。